10月は半世紀ぶりの歴史的な低い契約率−タワマンの契約率は25.4%のみ

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★ 18日付日本経済新聞によれば、不動産経済研究所が同日発表した10月のマンション市場動向調査によると、首都圏の新築マンション発売戸数は前年同月比29.5%減の2,007戸でした。2カ月連続で大きく減り、10月としては調査を開始した1973年以来で最低となりました。台風19号の上陸で週末を中心に集客ができなかったことが響きました。

 月間契約率は42.6%と好不調の目安とされる70%を大きく下回りました。10月としては1974年(23.5%)以来、すべての月で比較しても1975年8月(42.0%)以来の低水準となりました。台風の影響で「1〜2週間ほど販売を後ろにずらした物件が複数みられた」(不動産経済研究所)といいます。販売在庫数は7,000戸と2カ月連続で増加しました。

 1戸あたりの平均価格は5,992万円と前年同月に比べ58万円(1.0%)上昇し、1平方メートルあたりの単価も91.4万円と同2.6万円(2.9%)上昇しました。用地費の上昇傾向や工事費の高止まりなどを背景に、3カ月連続で上昇しました。11月の発売戸数は「白金や豊洲などで予定されている大型物件がけん引する」(同)ことから、前年同月を上回る3,500戸と見込んでいます。

 近畿圏の10月の新築マンション発売戸数は28.4%減の1,271戸となり、3カ月連続で前年同月を下回りました。家族向け住戸を中心に価格の上昇基調が重荷となっています。1戸あたりの平均価格は3,476万円と一人暮らし向け住戸の販売が増えた影響で前年同月に比べ4.9%低下しましたが、1平方メートルあたりの単価は71.9万円と同4.7%上昇しました。


 近畿圏の月間契約率は73.8%と5カ月連続で70%を上回り、販売在庫数は1,858戸と前月より減少しました。価格上昇を背景に客足が鈍りがちななか、販売予定時期の後ろ倒しが散見されるといい、11月の発売戸数は1,500戸程度と前年同月を下回る見通しです。

 以上が日本経済新聞の記事の概要です。この記事は、不動産経済研究所のプレスリリース『首都圏のマンション市場動向‐2019年10月度‐』を基にしていますので、以下その内容をみていくこととします。

 まず、
10月の発売戸数2,007戸は、前年同月の2,845戸、一昨年同月の2,817戸に比べ約3割減と大幅に減少しています。さらに契約率が42.6%と、1975年8月以来44年ぶりの歴史的な低さとなりました。台風による販売先延ばしの影響が甚大で、各デベロッパーとも販売計画を見直す必要が出てくるインパクトだったと思われます。

 しかも、今回の台風は、多摩川をはじめとする首都圏の河川氾濫、冠水により、
フラットな低地に建つマンションの危険性、タワーマンション高層階の災害時の不便性を浮き彫りにしました。マンション購入を躊躇させるには十分な影響がありました。

 実際、
タワーマンションの10月の契約率は25.4%しかありませんでした。445戸の売り出しのうち332戸が売れ残った計算です。

 発売戸数が10月として1973年以来の少なさだったにもかかわらず、在庫数は220戸も増加し、ちょうど7,000戸となりました。地域別契約率をみると、発売戸数の過半を占める23区物件の契約率が35.0%で地域別ワーストとなり、足を引っ張っていることがわかります。

 ただ面白かったのは、
1億円以上の23区物件は契約率82.4%と、高額物件のみ売れ行きが台風や消費税増税に影響されなかったことです。「買いたいスグレモノものは周囲に左右されることなく買う」というスタンスなのか、妙に感心しました。

 本ブログでも11月13日の記事『首都圏既存マンション成約が2ケタ減!ー10月は消費税+台風で散々な月に』で、
10月の中古マンション市場の不調ぶりをレポートしたところでした。

 もっとも、
10月の数値の低さは原因がはっきりしていますので、ある意味では救われていると言えます。上記の日本経済新聞の記事にあるとおり、話題の大型物件『白金ザ・スカイ』や『ブランズタワー豊洲』が販売される11月の動向が勝負どころです。

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| 市場動向 | 19:44 | comments(0) | trackbacks(0) |
新築マンション価格定点観測ー坪250万未満のリーズナブルな物件を再発見

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★ 不動産ポータルサイトや情報誌でありそうでないものが「価格一覧表」です。購入検討者にとって最も重要な情報が価格であり、だからこそ売主側はこの情報をなかなか公開したがりません。また、これを他の新築マンションを比較検討できる方法で提示するなど、販売側にとってはできればやってほしくないことです。

 その中で、駅のラックに置いている
suumoは、比較的価格公開に積極的です。ポータルサイトが優勢な中、情報誌が生き残っていくには必要な努力なのでしょう。各デベロッパーにお願いしてできるだけ価格情報を掲載しているものとお見受けしました。

 suumoの最新号である
11月12日号に掲載されている新築マンションの価格水準の例は、次の通りです。

ルフォン北綾瀬シエルフォート 「北綾瀬」駅徒歩9分 坪192万円〜226万円
リビオシティ西葛西親水公園 「西葛西」駅徒歩11分 坪199万円〜296万円
ブレイズ北千住 「北千住」駅徒歩13分 坪202万円〜248万円
TOKYOキラリスナPROJECT 「南砂町」駅徒歩13分 坪203万円〜253万円
シティテラス金町 「金町」駅徒歩10分 坪206万円〜250万円
ソライエ成増 「地下鉄成増」駅徒歩11分 坪210万円〜257万円
ザ・パークハウスオイコス赤羽志茂 「志茂」駅徒歩6分 坪217万円〜257万円
ルピアコート篠崎 「篠崎」駅徒歩8分 坪219万円〜264万円
グランドメゾン江古田の杜 「新江古田」駅徒歩10分 坪231万円〜295万円
センチュリー船堀 「船堀」駅徒歩11分 坪232万円〜260万円
エクセレントシティ竹ノ塚駅前 「竹ノ塚」駅徒歩3分 坪237万円〜302万円
ザ・ガーデンズ大田多摩川 「矢口渡」駅徒歩12分 坪241万円〜293万円
シティテラス東京三ノ輪 「三ノ輪」駅徒歩9分 坪245万円〜282万円
蘆花公園ザ・レジデンス 「千歳烏山」駅徒歩9分 坪294万円〜345万円
ブランズ元浅草 「田原町」駅徒歩7分 坪313万円〜334万円
バウス世田谷上町 「上町」駅徒歩5分 坪315万円〜353万円
プラウドシティ東雲キャナルマークス 「豊洲」駅徒歩10分 坪319万円〜352万円
クレヴィア日暮里THE RESIDENCE 「日暮里」駅徒歩10分 坪334万円〜351万円
クレヴィア池袋East 「池袋」駅徒歩10分 坪338万円〜431万円
ルピアシェリール森下 「菊川」駅徒歩2分 坪363万円〜393万円
クレヴィア日本橋浜町公園 「浜町」駅徒歩2分 坪389万円〜437万円
クレヴィア日本橋水天宮前 「水天宮」駅徒歩3分 坪432万円〜455万円
クレヴィア文京湯島 「湯島」駅徒歩1分 坪526万円
SHIROKANE The Sky(白金ザ・スカイ) 「白金高輪」駅徒歩3分 坪550万円〜1,245万円

 上記は、
suumoにおいて、見開きページで紹介されている23区所有権物件のうち、現在の販売期に応じて価格レンジが掲載されているものを全て挙げ、最も低い坪単価を示した順に並べたものです。これを見ると、23区でも最低価格水準が坪単価250万円を切っているものが13件あり、総掲載件数24件の54%を占めるなど、案外買いやすいものがあることを再発見しました。

 また、低価格水準物件のうち
駅距離が徒歩10分圏外であるものが6件あり、坪単価250万円未満の低価格物件の46%を占めています。逆に最低価格水準が坪単価250万超の物件には駅距離が徒歩10分超となるものが皆無であり、高額物件では駅距離徒歩10分超となると売りにくいことがわかります。

 したがって、
リーズナブルな物件を探そうと思えば、まずは駅徒歩距離10分超が狙い目となります。しかし、これは中古市場でも低価格で取引されることを示唆しており、一概にお得であるとも言えません人気駅徒歩3分内であったり、話題の大規模タワー物件であったりすると、価格があり得ないくらい高くなりますが、それはセカンダリーで高額で売れる可能性と裏腹でもあります。

 売主に安心感があり、価格もリーズナブルで、個人的にバランスが良い思っている物件は、『リビオシティ西葛西親水公園』、『シティテラス金町』、『ザ・パークハウスオイコス赤羽志茂』、『グランドメゾン江古田の杜』、『シティテラス東京三ノ輪』です。『蘆花公園ザ・レジデンス』より上は価格が一段と上がり、サラリーマンにとって現実的ではありません。

 上記に掲げたマンションは
都心へのアクセスも良好です。あまり背伸びをしなくてすむ快適なマンションとして、魅力は十分だと考えています。

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| 市場動向 | 20:04 | comments(0) | trackbacks(0) |
首都圏既存マンション成約が2ケタ減!ー10月は消費税+台風で散々な月に

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★ 11日付R.E.portによれば、東日本不動産流通機構は同日、2019年10月度の首都圏不動産流通市場動向を発表しました。

 同月の首都圏中古(既存)マンション
成約数は2,771件(前年同月比10.5%減)の2ケタ減、5ヵ月ぶりに前年同期を下回りました。地域別では、東京都区部1,160件(同4.2%減)、東京都多摩261件(同15.3%減)、埼玉県339件(同10.6%減)、千葉県364件(同9.9%減)、神奈川県横浜市川崎市460件(同19.4%減)、神奈川県その他187件(同16.1%減)と、全面的に大幅減となりました。

 1平方メートル当たりの
成約単価は53万4,500円(同5.7%増)、平均成約価格は3,461万円(同5.7%増)と、共に9ヵ月連続の上昇です。新規登録件数は1万7,033件(同5.4%減)で2ヵ月連続の減少でした。在庫件数は4万7,805件(同1.8%増)となり、53ヵ月続けて前年同月を上回りました。

 既存戸建ての成約件数は928件(同13.0%減)で3ヵ月ぶりに減少に転じました。平均成約価格は3,150万円(同6.7%増)と、2ヵ月連続の増加でした。

 以上がR.E,portの記事の概要です。上記記事は、東日本不動産流通機構のプレスリリース『月例速報Market Watch−2019年10月度−』に基づいていますので、以下その内容を見ていくこととします。

 まず、
10月の首都圏中古マンションの成約数が前年同月比2ケタ減と、急減しました。成約数が前年同月で減となったのは5月以来5か月ぶりで、しかも2ケタ減はここ2年間でも経験したことのない減り方です。

 これはやはり
10月1日よりの消費税増税の影響と考えてよいでしょう。中古マンションは個人間取引が多く、その場合に物件価格に消費税はかからないのですが、仲介手数料等諸費用には消費税がかけられることと、高額商品全般に係る消費者心理の冷え込みが主要因と思われます。

 さらに、
10月は台風19号により首都圏にも甚大な被害がもたらされました。台風襲来が土日の週末にかかった点、また、武蔵小杉のタワーマンションをはじめとしてマンションにも大きな被害が及んだことも、少なからず影響していると考えられます。

 実際、台風の被害が大きかった川崎市が含まれる
横浜市・川崎市の成約件数は前年同月比で19.4%減と、首都圏で最も大きく落ち込みました。冠水した多摩川沿岸部を含む多摩地域も、成約件数が前年同月比15.3%減でこちらも振るいませんでした。

 横浜市・川崎市の不振は成約単価にも表れています。首都圏の各地域の成約単価が前年同月比で上昇している中で、
一人横浜市・川崎市だけが2.3%減となり、売り手の弱気が鮮明になっています。

 特に
川崎市の成約件数は、前年同月比で26.8%減となっています。新規登録件数も前年同月比で21.4%減、新規の売り出し額、単価とも前年同月比3%超の減です。

 まとめて言えば、
10月は不動産市場にとって「散々な月」でした。消費税増税+台風被害のダブルの影響から早期に回復できるのか、長引くのか、この年末にかけて重要な局面を迎えています。幸い株価が年初来高値を記録しており、これが不動産のような高額物件の購入にプラスの影響を与えてくれることを期待しましょう。

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| 市場動向 | 19:28 | comments(0) | trackbacks(0) |
0%〜0.1%の価格変動率の少なさが常態化−昨今のマンション価格の硬直性

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★ 野村不動産アーバンネットでは四半期ごとに住宅地価格とマンション価格の動向を調査・公表しています。10月11日には、本年10月1日現在について、『2019.10.1時点の首都圏「住宅地価格」の動向』として公表されましたので、その内容をご紹介します。

 「住宅地価格」において、四半期比較で「値上がり」を示した地点が5.4%(前回7.1%)、「横ばい」が94.0%(前回91.1%)、「値下がり」が0.6%(前回1.8%)となり、横ばい地点が増加し、値上がり地点と値下がり地点が減少しています。エリア別の平均変動率では、東京都下、神奈川の2エリアが前回より上昇となりました。東京都区部、埼玉、千葉の2エリアは前回から横ばいでした。

 これを
年間ベースで見ると、「値上がり」を示した地点が10.7%(前回18.5%)、「横ばい」が80.4%(前回73.2%)、「値下がり」が8.9%(前回8.3%)となり、横ばい地点と値下がり地点が増加し、値上がり地点が減少しました。エリア別の平均変動率では、東京都下が前回より上昇、東京都区部、埼玉、千葉の3エリアが前回より低下となりました。神奈川は前回から横ばいでした。

 住宅地価格変動率の最近の四半期ごとの上昇率の推移は、
▲0.0%、▲0.0%、0.1%、0.1%となりました。これで2回連続でわずかながらプラスとなりました。

 23区の「住宅地価格」でこれまでの年間変動率のベスト10及びワースト8の地点を挙げると、次の通りです。〔〕内は前回順位、()内は最寄駅です。

ベスト10

1 目黒区鷹番1丁目(学芸大学) 6.3%
2 文京区本駒込6丁目(駒込) 6.2%
3 杉並区高井戸東2丁目(高井戸) 3.7% 
4 北区赤羽西1丁目(赤羽) 3.4%
5 大田区西蒲田4丁目(蒲田) 3.0%
6 渋谷区本町2丁目(初台) 2.9%
7 大田区田園調布3丁目(田園調布) 2.9%
8 目黒区大岡山2丁目(大岡山) 2.1%
9 中野区野方2丁目(野方) 1.2%
10 板橋区坂下3丁目(蓮根) 0.9%
 

ワースト8

1 荒川区西尾久8丁目(荒川遊園地前) ▲3.4%
2 大田区久が原4丁目(千鳥町) ▲2.3%
3 台東区池之端4丁目(根津) ▲1.8%
 世田谷区上野毛3丁目(上野毛) ▲2.2%
4 北区滝野川2丁目(王子) ▲1.5%
5 練馬区平和台2丁目(平和台) ▲1.2%
6 豊島区目白4丁目(目白) ▲0.9%
7 世田谷区用賀1丁目(用賀) ▲0.9%
8 板橋区南常盤台2丁目(ときわ台) ▲0.7%


 最近のランキングの特徴としては、値上がり幅が小さくなっていることで、1年前のランキングでは上位10位の値上がり幅7.0%〜3.4%だったところ、今回は6.3%〜0.9%と、特にランキング下位の値上がり幅がわずかになっています。値下がり地点も前回5地点から8地点に増加し、23区人気地でも交通利便性がやや劣るところが弱くなっている傾向にあります。

 比較的長いスパンで見ると、
価格変化率は2015年以来プラスもマイナスも1%内で、しかもその振幅幅が極めて小さくなってきていることに注目です。こう見てくると、東京オリンピック開催後がやはりひとつの注目点であることには変わりはなく、また、短期的には、10月の台風被害がタワーマンションをはじめマンション購入の動きを鈍らせるかどうかも目下の関心事項だと考えます。 

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| 市場動向 | 23:01 | comments(0) | trackbacks(0) |
高くて売れない、売れなくても高い―マンション買い手不在の健全度

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★ 不動産経済研究所は10月17日、『首都圏のマンション市場動向−2019年9月度−』を発表しました。これによれば、9月の発売戸数は2,359戸で、前年同月(3,372戸)との比較で30.0%減少しました。一昨年9月の発売戸数が2,978戸でしたので、一昨年からも20.8%減少していることになり、9月としてはここ3年間で最少となりました。

 前年同月比を地域別にみると、
23区▲23.8%、都下▲9.8%、神奈川県▲30.8%、千葉県▲79.5%と減り方が大きく、埼玉県だけが△21.5%でした。

 契約率は56.8%しかなく、2019年では最も低い数値となりました。ここ3年間でも、2018年12月の49.4%、2018年11月の53.9%に次ぐ3番目に低い結果です。前年同月比の契約率を地域別にみると、23区54.4%、都下44.6%、神奈川県69.3%、埼玉県50.8%、千葉県76.7%と、23区、都下、埼玉県でふるいませんでした。

 9月は、8月の長い夏休みから心機一転、
秋商戦のはじまりとして盛り上がるのが例年です。また、本年は10月1日からの消費税率アップの駆け込み需要も見込めるかと思われましたが、その気配すらありませんでした。これは、家電製品、車や日用品などで結果的に消費が伸びて駆け込み需要が見られたのとは対照的な動きです。

 確かにこの夏は
大型話題物件『HARUMI FLAG』がよく売れ、その反動が来たともとらえられます。マンションというライフスタイルが見捨てられたわけではなく、価格と広さがニーズにマッチすれば、需要があるとの証左でもあります。

 1戸当たり価格は5,991万円で、前年同月比で16.6%アップしています。販売在庫数は6,780戸で、販売戸数が少なかったにもかかわらず、在庫は32戸増加しています。タワー物件の契約率は44.7%で、9月に売り出した戸数273戸の過半が売れなかったことになります。

 例えていうならば、
Tシャツが1枚3万円する銀座の高級ブランドショップの店頭にいる心持ち、といったところでしょうか。いつになったら売れるかわからないけれど、資本力があるのでつぶれることはなく、他の事業で稼いでいるので、値下げしてブランド価値を毀損するくらいならこのままディスプレイしておく方がよい、という判断です。まあ、いつかは売れるだろう、とゆったり構えているわけです。

 リーマンショック前の中小デベロッパーが多数競合した状態であれば、もっと売主が皆焦っていたに違いありません。競争が淘汰された今の「買い手不在でも売主平気」という状態は、資本主義経済としては不健全である気がします。

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| 市場動向 | 19:34 | comments(2) | trackbacks(0) |
今ドキ下落している住宅価格指数とは?−新たに見えてくる首都圏の不動産価値

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★ 24日付R.E.portによれば、日本不動産研究所は24日、2019年7月の「不動研住宅価格指数」(既存マンション)を公表しました。

 2000年1月を100とした場合の指数は、首都圏総合が91.29ポイント(前月比0.56%下落)と反転下落、前年比では0.88%上昇しています。

 地域別では、
東京都が100.34ポイント(同1.09%下落)です。神奈川県が85.20ポイント(同0.02%上昇)、千葉県が71.01ポイント(同0.94%上昇)で、いずれも2ヵ月連続の上昇です。埼玉県は75.28ポイント(同0.57%上昇)となりました。

 以上がR.E.portの記事の内容です。
「あれ、東京都の中古マンション価格は100.34ということは、2000年1月から中古マンション価格は上がっていないの?神奈川、千葉、埼玉は2000年より2〜3割安い?」と思ってしまいますが、この指数はそういう意味ではないようです。

 説明資料を見ると、不動研住宅価格指数は、
リピート・セールス法を用いて3ヶ月移動平均方式で計算したもので、リピート・セールス法では、同一物件が2度売買された時の価格のペアに基づいて既存マンションのそれぞれの価格水準を回帰計算によって指数化したものということです。

 従来、日本は不動産価格指数の計算に
ヘドニック法というものを用いており、米国で用いられているリピート・セールス法と異なる云々の興味深い議論はあるようですが、わかりやすく言えば、リピート・セールス法は同一マンションの2時点での売買価格で指数を作ることによって、複数マンションの属性の違い(例えば、グレード、売主、タワーか否か、などでしょうか)が指数に影響を与えることを避けることができると言われています。

 その代わり、リピート・セールス法では、
同一マンションの経年劣化の影響を考慮し、これを適切に取り除かなければなりません。しかし、その結果としても、折れ線グラフで表すと右肩下がりという結果になります。これを米国の各都市のグラフではいずれも右肩上がりで、対照的になっています。

 日本の場合、1990年代の不動産バブルから長期的トレンドはいまだに下り坂にあると評価することができます。最近、新築マンションの価格高騰ばかりに目が行きますが、これも「新築バイアス」を取り除けば、案外不動産としての「正味の価値」は引き続き漸減しているとも言えます。

 したがって、
東京都のみがかろうじてマンション価値を維持しているものの、東京都も含めて大きな視点では首都圏ですら不動産の価値は常に「下方圧力」がかかっていると考えられます。我が国の今後の不動産価値を考えていく場合、これは結構重要な視点かもしれません。

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| 市場動向 | 19:31 | comments(0) | trackbacks(0) |
基準地価に現れる地域差−横浜、川崎で資産価値を手に入れるコツとは?

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★ 19日、基準地価が全国一斉に発表されました。東京23区は全地点で地価が上昇していましたが、横浜市、川崎市の住宅地では下落地点もあります。これは今年に生じた異変ではなく、以前からの傾向ではありますが、神奈川県の地価調査(令和元年7月1日現在)をベースに、あらためてその内容を見てみたいと思います。

 住宅地の全体的な動きは、以下のとおりです。

都心への接近性に優れる川崎市、横浜市東部が地価の上昇をけん引していますが、その他の地域は都心からの距離に比例する形で、概ね横ばい、下落という傾向になっています。

駅徒歩圏かつ平坦地で利便性のよい住宅地は需要が堅調で上昇していますが、敷地が広く総額が高くなりがちな住宅地の一部では高値警戒感から上昇率が縮小しています。

駅徒歩圏外や起伏のある旧来の分譲地等の利便性が劣る地域、敷地の分割ができない地域、都心へのアクセスが劣り、人口減少、高齢化が進行する地域の住宅地は、依然として需要が弱く下落基調にあります。

 このように、
さらなる多様化、都心回帰の傾向が進んでおり、住環境より利便性が選好される傾向が顕著となっています。

 横浜市は、以下の通りです。

・ 横浜市では、市全体の
平均変動率は1.1%(前年1.1%)と前年と同じ上昇率になりました。利便性の良好な東部、中心地区、その中でも東急田園都市線、東横線沿線や山手といった優良住宅地で地価は上昇しています。

・ 一方、
西部や南部では、最寄り駅や都心へのアクセスが劣り、丘陵地である等の条件により、地価が横ばいないし若干の下落となっている地域が見られます。

・ 上昇率を区ごとに見ると、
中心地域の神奈川、西、中の3区と、沿線の選好性、都心接近性に優れる港北区は2%以上の上昇でした。続いて、鶴見、南、青葉、都筑の4区は1%以上の上昇でした。また、西部及び南部の保土ケ谷、戸燹港南、旭、緑、瀬谷、栄、泉の8区は1%未満の上昇であり、磯子、金沢の2区は横ばいでした。

・ 個別の地点では、
中、西、戸燹⊃斉狎遏旭の5区の各地点が県内上昇率順で4位及び8〜10位(10位は2地点が同率)となりました。

 川崎市は、以下の通りです・

・ 川崎市では、市全体の
平均変動率は1.7%(前年1.7%)と前年と同じ上昇率になりました。都心に接近しているという優位性、都内との価格差等を反映して、前年に引き続き上昇している地点が多くなっています。

・ 上昇率を区ごとに見ると、
幸、中原、高津、多摩の4区は2%以上、川崎区は1%以上の上昇でした。特に多摩区では、JR南武線の利用や小田急線登戸駅の利便性向上が一段と進んだことから上昇率が高まっています。

・ 一方、
地勢や駅からの距離等から居住環境がやや劣り、敷地規模が大きく分割ができない土地の需要は弱く、そのような地点が多い宮前区は1%未満の上昇、麻生区は前年に引き続き△0.1%の下落でした。個別の地点では、多摩区の3地点が県内上昇率順で5〜7位となりました。

 以上が神奈川県の地価調査の内容です。
横浜市、川崎市については、全般的に上昇率は昨年と変わらず都心に近い」「横浜市中心部に近い」「人気の沿線」「最寄り駅に近い」「鉄道の利便性が向上した」「平坦」といった点がキーワードのようです。

 横浜市、川崎市で上昇率順でトップ10にランクインしたのは、
4位に横浜市中区山手町(「元町・中華街」駅徒歩7分)、5位に川崎市多摩区登戸(「登戸」駅徒歩6分)、6位に川崎市多摩区登戸(「登戸」駅徒歩19分)、7位に川崎市多摩区菅2丁目(「稲田堤」駅徒歩7分)、8位に横浜市西区岡野2丁目(「平沼橋」駅徒歩5分)、9位に横浜市戸塚区戸塚町(「戸塚」駅徒歩5分)、10位に横浜市神奈川区入江2丁目(「大口」駅徒歩5分)及び横浜市旭区二俣川2丁目(「ニ俣川」駅徒歩9分)でした。

 これを見ると、
川崎市多摩区が登戸を中心に予想以上の大躍進をとげていることがわかります。小田急線の複々線化、JR南武線の快速化などの恩恵を両方受けられるのが登戸の強みです。山手町は丘陵地ですが、港の見える丘公園を見晴らすロケーションです。

 岡野は「平沼橋」駅というより、「横浜」駅へ徒歩10分で行ける唯一のほぼ平坦な住宅地であることが評価されたのだと考えます。戸塚、ニ俣川は元々人気の駅だったところ、駅前再開発でさらに注目を集めました。入江2丁目は、大口駅西側とは違って平坦で、大口、子安、新子安の各駅に囲まれた利便性のよい場所です。

 こうして考えれば、
それぞれの上昇地はそれぞれの観点で魅力がある土地であり、個人的にも「ちょっと住んでみたいな」と思える立地です。そのような魅力ある土地を自分の判断で見つけることができるようになれば、皆が気づいて地価が上昇する前に手に入れることができ、豊かな資産価値を獲得することになるのでしょう。

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| 市場動向 | 20:14 | comments(0) | trackbacks(0) |
8月は「HARUMI FLAG」相場ー都心ファミリー向けの需要の強さを活かしたい

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★ 17日付の日本経済新聞によれば、不動産経済研究所が同日発表した8月の首都圏のマンション発売戸数は前年同月比21%増の1,819戸と、8カ月ぶりに増加しました。2020年の東京五輪の選手村を活用する「HARUMI FLAG(ハルミフラッグ)」が全体の3分の1を占めるなど貢献しました。ただ、全体の売れ行きは鈍いままで、一時的な盛り上がりで終わりそうです。

 地域別の発売戸数は
東京都区部が2.2倍の1,201戸です。三井不動産レジデンシャルなど事業者10社が販売するハルミフラッグ(分譲予定総戸数4,145戸)の第1期1次販売(600戸)があった影響が大きくなりました。神奈川県も374戸と、2.7倍になりました。

 ハルミフラッグの第1期1次は
ほぼ完売のめどが立ち、契約率も押し上げました。発売したその月に物件が売れた割合を示す契約率は約75%と、好不調の目安となる7割を5カ月ぶりに上回りました。

 ただ、不動産経済研究所では
「8月は発売戸数が一時的に増加した」と説明しています。9月の発売戸数は前年同月比11%減の3,000戸の見込みです。

 8月の
1戸当たりの価格は20%増の6,405万円と、全体的に高止まりの状況が続く中で売れ行きは鈍くなっています。10月の消費増税前の駆け込み需要はほとんどみられず、8月末の販売在庫数は6,748戸と、前年同月末に比べ725戸多くなっています。販売事業者の在庫圧縮が続きます。

 2019年1〜8月の累計発売戸数も前年同期比14%減の1万7,187戸にとどまっています。秋以降、東京都江東区のタワーマンション(総戸数1,152戸)やハルミフラッグの第1期2次といった大型物件の発売を控えますが、販売事業者は発売戸数を絞る可能性があり、2019年通年の発売戸数が18年の3万7,132戸を上回るのは「かなり厳しいハードル」といいます。

 以上が日本経済新聞の記事の概要です。上記記事は、不動産経済研究所のプレスリリース『首都圏のマンション市場動向ー2019年8月度ー』に依っていますので、以下その内容を見ていくこととします。


 8月の発売戸数1,819戸は、前年同月の1,502戸より多く、一昨年同月の2,101戸より少なくなっています。前年8月は前年の中でも特に発売戸数が落ち込んだ月でしたので、これをもって発売戸数が回復したとは言えないところです。

 また、
発売戸数が少ない分、大規模マンションの数百戸規模の販売が全体の成績に影響を与えやすくなっています。今回の特徴である『HARUMI FLAG』の販売戸数が600戸ですから、上記記事の通り1棟だけで8月の総販売戸数の約3分の1を占めています。

 全体の契約率は75.4%ですが、『HARUMI FLAG』600戸がほぼ完売ということですから、その
影響を排除して計算しなおすと、契約率は63.2%となり、今年の中で2番目に契約率が悪い月になります。このことからも、全体の売れ行きが回復しているわけではないことがわかります。

 しかし、逆に言えば、
『HARUMI FLAG』のような都心立地のファミリー物件は、価格がそこそこリーズナブルであれば非常に需要が強いことがわかります。8月の間取り別の契約率を見ると、23区は、1Kが25.4%と投資用の契約率が低いのに対し、3LDKが83.8%、4LDKが90.2%にもなります。販売価格帯で見ると、5千万円台までの物件の契約率が低く、ファミリー用と思われる6千万円台からの物件の契約率が高くなっています。

 このニーズにきちんと応えてくれるデベロッパーは現れないものでしょうか?例え薄利多売であってもこのようなビジネスモデルが確立すれば、たちまちマンション業界の革命児になれると思います。航空業界も、JAL、ANA体制のままでは航空運賃は高いままでした。政府としても、マンション価格の低廉化を目指して業者の新規参入を支援してほしいものです。

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| 市場動向 | 19:26 | comments(0) | trackbacks(0) |
資産価値ランキングー都心は「憧れ」から「日常(コモディティ)」へ

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★ suumo8月6日号は、「資産価値BEST100」を特集しています。これは、約10年前に分譲された新築マンションが、中古として何倍の価格で流通しているかを示す指標「RV(リセールバリュー)」をランキング化したものです。よくある指標ではありますが、最新のものとしてご紹介します。ランキングは、以下の通りです。数字はリセールバリューの%です。

1 原宿 173.4  2 みなとみらい 155.2  3 溜池山王 142.7
4 半蔵門 136.3  5 淡路町 134.6  6 大崎 134.4
6 麻布十番 134.4  8 神谷町 131.8  9 九段下 131.5
10 明治神宮前 131.3  11 市ヶ谷 129.9  12 永田町 129.5
13 田町 128.7  14 東神奈川 127.9  15 目黒 126.8
16 恵比寿 126.0  17 本所吾妻橋 125.6  18 荏原中延 125.2
19 豊洲 124.2  20 人形町 124.1


 対象の街は首都圏全体なのですが、トップ20のうち23区が18を占め、残りの2つはみなとみらい、東神奈川という横浜湾岸再開発エリアになっています。

 23区18の街のうち、
千代田区が最多の6、港区、渋谷区、品川区が各3、中央区、墨田区、江東区が各1となりました。都心(千代田、中央、港、渋谷)が13と圧倒しています。品川区と江東区は再開発等によるもので、墨田区は東京スカイツリー効果と言えます。

 トップ20を眺めていると、
人気の街のど真ん中というより、その周辺で当時は少しイケてない、購入するには若干躊躇する場所だったところが多く、だからこそ価格がそれほど強気でなかった、という様子が感じられます。その後の再開発が街の利便性を押し上げ、気が付けば価格が高騰していた街が多いのです。

 また、
千代田区などはそもそも住むところか、とも思われていたところ、マルエツプチなど都心型スーパーが台頭し、生活利便性が格段に上がったといった事情もあります。これらのことから、購入する時点では「交通利便性は抜群にいいけど、街並みが今一つでその良さがまだ浸透しきれていない」という場所が良さそうです。

 それにしても、
都心偏重の動きはますます顕著で、「郊外の良さ」をいくらアピールしてもこの傾向は変わりそうにありません。私の娘がこの夏、都心の会社に長期のインターンをすることになったのですが、自宅のある武蔵小杉から当然通うつもりでいたら、会社の人事担当から驚かれたそうです。

「え?武蔵小杉から通うの?オフィスから遠いから、インターン期間中ホテルに泊まったら?」

 遠いと言ってもオフィスは丸の内にあり、武蔵小杉からドア・ツー・ドアで約30分です。しかし、インターンはハードでタクシー帰りのこともあり、その時は娘も都心からの遠さを実感したそうです。実際、インターン生のうち東京在住以外で自宅から通ったのは娘1人で、埼玉在住の学生はホテルに泊まったということでした(ホテル代は当然会社負担です)。

 その会社の社員は
ほぼ全員が都心住まいでした。お洒落とか、かっこいいとか、そういうことではなく、とにかく通勤の時間や体力の消耗がもったいないということのようです。家賃は高くてもそれに見合うだけの価値は十分にある、というか、それ以外は考えられないとのことでした。

 この会社はやや極端かもしれませんが、
今の20歳代はほぼ同じような感覚を持っていることを感じます。そのような人たちは、年齢を重ねても傾向が容易に変わることはなく、その子供たちもますますそのような傾向になっていくことでしょう。都心に住むことはもはや「憧れ」ではなく、何の変哲もない「日常」になりつつある(都心のコモディティ化)ことを感じました。

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| 市場動向 | 19:33 | comments(0) | trackbacks(0) |
7月のマンション発売戸数は1976年以来の少なさ−分譲事業は既に衰退期へ?

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★ 8月19日付日本経済新聞によれば、マンション販売の不振が強まっています。不動産経済研究所が同日発表した7月の首都圏のマンション発売戸数は、前年同月比35%減の1,932戸と7カ月連続で減少しました。7月として発売戸数が2,000戸を下回るのは1976年(1,571戸)以来43年ぶりです。物件価格の高止まりで購入を検討する人が減り、販売会社も売り出し戸数を減らしました。

 7月として
1973年の調査開始以降、過去3番目の低水準となりました。同研究所は2019年7月の発売戸数を3,000戸と見込んでいましたが、大きく下回りました。

 7月の1戸当たり価格は5,676万円と前年同月比8%下がりました。地域別の発売戸数で単価が高い都区部が922戸と36%も減少したことが主因ですが、販売不振を背景に不動産業者がマンション価格を徐々に引き下げていることも影響しました。

 価格の引き下げにもかかわらず、発売したその月に物件が売れた割合を示す
契約率は68%と好不調の目安となる7割を下回りました。依然として価格が高いと感じる購入検討者が多いためで、今後も販売の低迷が続くと分析されています。10月の消費増税前の駆け込み需要もほぼないとみられています。

 7月末の
販売在庫数は7,115戸と前年同月に比べて853戸も積み上がっており、7月までの累計発売戸数も1万5,368戸にとどまっています。同研究所は2019年の年間発売戸数を3万7000戸と見込んでいましたが、「かなり厳しい状況」と指摘されています。

 2020年の東京五輪・パラリンピックの選手村を活用する
「HARUMI FLAG」の第1期の第1次分に当たる600戸の募集が7月から始まり、ほぼ完売見通しがつくなど一部で好調な物件もあります。秋には第1期の2次販売や東京・豊洲などでの大型販売が控えており、どこまで販売できるかが今後のマンション市場の動向を占いそうです。

 以上が日本経済新聞の記事の概要です。上記記事は、8月19日に不動産経済研究所がリリースした『首都圏のマンション市場動向 −2019年7月度−』によっていますので、以下その内容を見ていくこととします。

 まず、2019年7月の発売戸数1,932戸は、
前年同月の2,986戸より1,054戸減、一昨年同月の3,426戸より1,494戸減と、大幅な減少を記録しています。この少なさが1976年以来というのも驚きで、今までは不振の数字があっても「1990年代の不動産バブル崩壊後」以来ということだったのに、今回はそれをも突き抜けて、日本のマンション分譲黎明期の数字に比較されるまでになってしまいました。

 マンション販売にとって
7月は、梅雨の閑散期と8月の休暇期の合間をぬう短いセール期間であり、秋の本格シーズンまで待たずに売り出すマンションで一時的に賑わう時期となっています。それが本年は、梅雨で販売戸数が少なくなる6月よりも少ない販売戸数にとどまってしまったのですから深刻に感じます。

 特に本年7月は、安倍総理が衆参同日選挙を仕掛けなかったことから、
10月からの消費税増税が政治判断としても固まった時期であり、増税前の駆け込み要素がプラスに働かなければならないはずでもありました。

 契約率67.9%は、本年に入って2番めに高い数値ではあるものの、引き続き好不調の目安である70%は切っています。ただし、新規発売戸数を抑えたおかげで、
在庫数は、上記記事の通り高い水準ではありますが、前月に比べて323戸減少しました。

 超高層物件の販売戸数は、
前年同月の24物件609戸から76.5%も減少した17物件143戸で、契約率も、前年同月71.9%だったものが本年7月は62.2%と振るいませんでした。したがって、上記の販売戸数減少の傾向は、タワーマンションにおいてはさらに際立っていたといえます。

 なお、近畿圏の7月のマンション契約率は83.1%、販売価格はここ3年で最も高い4,713万円と、
首都圏とは対照的に極めて好調でした。最近の首都圏の元気のなさと関西圏の活況が如実に現れている感があります。

 この数字を見て思い出したのが、
「プロダクトライフサイクル」理論です。製品を導入期、成長期、成熟期、衰退期の4つの段階に分類して、各段階に応じて製品改良、新品種の追加や製品廃棄を計画するものです。

 思うに、
マンション分譲は、既に成熟期から衰退期に差し掛かってきたのではないでしょうか。「成熟期」は、「需要の伸びが鈍化してくる時期で、製品の品種改良、スタイル変更などによって、シェアの維持、利益の確保が行われる」のですが、「衰退期」においては、「売上と利益が急激に減少する時期で、市場からの撤退が検討される段階である」とされています。

 今まで、
大手デべロッパーでは、廃業や、大京・藤和不動産のような吸収合併はともかく、自ら進んでマンション分譲事業をやめる事例は見当たりませんでした。しかし、これからは経営判断として、マンション分譲事業から撤退するところが出てくるかもしれません。

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| 市場動向 | 22:10 | comments(0) | trackbacks(0) |