8月は「HARUMI FLAG」相場ー都心ファミリー向けの需要の強さを活かしたい

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★ 17日付の日本経済新聞によれば、不動産経済研究所が同日発表した8月の首都圏のマンション発売戸数は前年同月比21%増の1,819戸と、8カ月ぶりに増加しました。2020年の東京五輪の選手村を活用する「HARUMI FLAG(ハルミフラッグ)」が全体の3分の1を占めるなど貢献しました。ただ、全体の売れ行きは鈍いままで、一時的な盛り上がりで終わりそうです。

 地域別の発売戸数は
東京都区部が2.2倍の1,201戸です。三井不動産レジデンシャルなど事業者10社が販売するハルミフラッグ(分譲予定総戸数4,145戸)の第1期1次販売(600戸)があった影響が大きくなりました。神奈川県も374戸と、2.7倍になりました。

 ハルミフラッグの第1期1次は
ほぼ完売のめどが立ち、契約率も押し上げました。発売したその月に物件が売れた割合を示す契約率は約75%と、好不調の目安となる7割を5カ月ぶりに上回りました。

 ただ、不動産経済研究所では
「8月は発売戸数が一時的に増加した」と説明しています。9月の発売戸数は前年同月比11%減の3,000戸の見込みです。

 8月の
1戸当たりの価格は20%増の6,405万円と、全体的に高止まりの状況が続く中で売れ行きは鈍くなっています。10月の消費増税前の駆け込み需要はほとんどみられず、8月末の販売在庫数は6,748戸と、前年同月末に比べ725戸多くなっています。販売事業者の在庫圧縮が続きます。

 2019年1〜8月の累計発売戸数も前年同期比14%減の1万7,187戸にとどまっています。秋以降、東京都江東区のタワーマンション(総戸数1,152戸)やハルミフラッグの第1期2次といった大型物件の発売を控えますが、販売事業者は発売戸数を絞る可能性があり、2019年通年の発売戸数が18年の3万7,132戸を上回るのは「かなり厳しいハードル」といいます。

 以上が日本経済新聞の記事の概要です。上記記事は、不動産経済研究所のプレスリリース『首都圏のマンション市場動向ー2019年8月度ー』に依っていますので、以下その内容を見ていくこととします。


 8月の発売戸数1,819戸は、前年同月の1,502戸より多く、一昨年同月の2,101戸より少なくなっています。前年8月は前年の中でも特に発売戸数が落ち込んだ月でしたので、これをもって発売戸数が回復したとは言えないところです。

 また、
発売戸数が少ない分、大規模マンションの数百戸規模の販売が全体の成績に影響を与えやすくなっています。今回の特徴である『HARUMI FLAG』の販売戸数が600戸ですから、上記記事の通り1棟だけで8月の総販売戸数の約3分の1を占めています。

 全体の契約率は75.4%ですが、『HARUMI FLAG』600戸がほぼ完売ということですから、その
影響を排除して計算しなおすと、契約率は63.2%となり、今年の中で2番目に契約率が悪い月になります。このことからも、全体の売れ行きが回復しているわけではないことがわかります。

 しかし、逆に言えば、
『HARUMI FLAG』のような都心立地のファミリー物件は、価格がそこそこリーズナブルであれば非常に需要が強いことがわかります。8月の間取り別の契約率を見ると、23区は、1Kが25.4%と投資用の契約率が低いのに対し、3LDKが83.8%、4LDKが90.2%にもなります。販売価格帯で見ると、5千万円台までの物件の契約率が低く、ファミリー用と思われる6千万円台からの物件の契約率が高くなっています。

 このニーズにきちんと応えてくれるデベロッパーは現れないものでしょうか?例え薄利多売であってもこのようなビジネスモデルが確立すれば、たちまちマンション業界の革命児になれると思います。航空業界も、JAL、ANA体制のままでは航空運賃は高いままでした。政府としても、マンション価格の低廉化を目指して業者の新規参入を支援してほしいものです。

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| 市場動向 | 19:26 | comments(0) | trackbacks(0) |
資産価値ランキングー都心は「憧れ」から「日常(コモディティ)」へ

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★ suumo8月6日号は、「資産価値BEST100」を特集しています。これは、約10年前に分譲された新築マンションが、中古として何倍の価格で流通しているかを示す指標「RV(リセールバリュー)」をランキング化したものです。よくある指標ではありますが、最新のものとしてご紹介します。ランキングは、以下の通りです。数字はリセールバリューの%です。

1 原宿 173.4  2 みなとみらい 155.2  3 溜池山王 142.7
4 半蔵門 136.3  5 淡路町 134.6  6 大崎 134.4
6 麻布十番 134.4  8 神谷町 131.8  9 九段下 131.5
10 明治神宮前 131.3  11 市ヶ谷 129.9  12 永田町 129.5
13 田町 128.7  14 東神奈川 127.9  15 目黒 126.8
16 恵比寿 126.0  17 本所吾妻橋 125.6  18 荏原中延 125.2
19 豊洲 124.2  20 人形町 124.1


 対象の街は首都圏全体なのですが、トップ20のうち23区が18を占め、残りの2つはみなとみらい、東神奈川という横浜湾岸再開発エリアになっています。

 23区18の街のうち、
千代田区が最多の6、港区、渋谷区、品川区が各3、中央区、墨田区、江東区が各1となりました。都心(千代田、中央、港、渋谷)が13と圧倒しています。品川区と江東区は再開発等によるもので、墨田区は東京スカイツリー効果と言えます。

 トップ20を眺めていると、
人気の街のど真ん中というより、その周辺で当時は少しイケてない、購入するには若干躊躇する場所だったところが多く、だからこそ価格がそれほど強気でなかった、という様子が感じられます。その後の再開発が街の利便性を押し上げ、気が付けば価格が高騰していた街が多いのです。

 また、
千代田区などはそもそも住むところか、とも思われていたところ、マルエツプチなど都心型スーパーが台頭し、生活利便性が格段に上がったといった事情もあります。これらのことから、購入する時点では「交通利便性は抜群にいいけど、街並みが今一つでその良さがまだ浸透しきれていない」という場所が良さそうです。

 それにしても、
都心偏重の動きはますます顕著で、「郊外の良さ」をいくらアピールしてもこの傾向は変わりそうにありません。私の娘がこの夏、都心の会社に長期のインターンをすることになったのですが、自宅のある武蔵小杉から当然通うつもりでいたら、会社の人事担当から驚かれたそうです。

「え?武蔵小杉から通うの?オフィスから遠いから、インターン期間中ホテルに泊まったら?」

 遠いと言ってもオフィスは丸の内にあり、武蔵小杉からドア・ツー・ドアで約30分です。しかし、インターンはハードでタクシー帰りのこともあり、その時は娘も都心からの遠さを実感したそうです。実際、インターン生のうち東京在住以外で自宅から通ったのは娘1人で、埼玉在住の学生はホテルに泊まったということでした(ホテル代は当然会社負担です)。

 その会社の社員は
ほぼ全員が都心住まいでした。お洒落とか、かっこいいとか、そういうことではなく、とにかく通勤の時間や体力の消耗がもったいないということのようです。家賃は高くてもそれに見合うだけの価値は十分にある、というか、それ以外は考えられないとのことでした。

 この会社はやや極端かもしれませんが、
今の20歳代はほぼ同じような感覚を持っていることを感じます。そのような人たちは、年齢を重ねても傾向が容易に変わることはなく、その子供たちもますますそのような傾向になっていくことでしょう。都心に住むことはもはや「憧れ」ではなく、何の変哲もない「日常」になりつつある(都心のコモディティ化)ことを感じました。

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| 市場動向 | 19:33 | comments(0) | trackbacks(0) |
7月のマンション発売戸数は1976年以来の少なさ−分譲事業は既に衰退期へ?

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★ 8月19日付日本経済新聞によれば、マンション販売の不振が強まっています。不動産経済研究所が同日発表した7月の首都圏のマンション発売戸数は、前年同月比35%減の1,932戸と7カ月連続で減少しました。7月として発売戸数が2,000戸を下回るのは1976年(1,571戸)以来43年ぶりです。物件価格の高止まりで購入を検討する人が減り、販売会社も売り出し戸数を減らしました。

 7月として
1973年の調査開始以降、過去3番目の低水準となりました。同研究所は2019年7月の発売戸数を3,000戸と見込んでいましたが、大きく下回りました。

 7月の1戸当たり価格は5,676万円と前年同月比8%下がりました。地域別の発売戸数で単価が高い都区部が922戸と36%も減少したことが主因ですが、販売不振を背景に不動産業者がマンション価格を徐々に引き下げていることも影響しました。

 価格の引き下げにもかかわらず、発売したその月に物件が売れた割合を示す
契約率は68%と好不調の目安となる7割を下回りました。依然として価格が高いと感じる購入検討者が多いためで、今後も販売の低迷が続くと分析されています。10月の消費増税前の駆け込み需要もほぼないとみられています。

 7月末の
販売在庫数は7,115戸と前年同月に比べて853戸も積み上がっており、7月までの累計発売戸数も1万5,368戸にとどまっています。同研究所は2019年の年間発売戸数を3万7000戸と見込んでいましたが、「かなり厳しい状況」と指摘されています。

 2020年の東京五輪・パラリンピックの選手村を活用する
「HARUMI FLAG」の第1期の第1次分に当たる600戸の募集が7月から始まり、ほぼ完売見通しがつくなど一部で好調な物件もあります。秋には第1期の2次販売や東京・豊洲などでの大型販売が控えており、どこまで販売できるかが今後のマンション市場の動向を占いそうです。

 以上が日本経済新聞の記事の概要です。上記記事は、8月19日に不動産経済研究所がリリースした『首都圏のマンション市場動向 −2019年7月度−』によっていますので、以下その内容を見ていくこととします。

 まず、2019年7月の発売戸数1,932戸は、
前年同月の2,986戸より1,054戸減、一昨年同月の3,426戸より1,494戸減と、大幅な減少を記録しています。この少なさが1976年以来というのも驚きで、今までは不振の数字があっても「1990年代の不動産バブル崩壊後」以来ということだったのに、今回はそれをも突き抜けて、日本のマンション分譲黎明期の数字に比較されるまでになってしまいました。

 マンション販売にとって
7月は、梅雨の閑散期と8月の休暇期の合間をぬう短いセール期間であり、秋の本格シーズンまで待たずに売り出すマンションで一時的に賑わう時期となっています。それが本年は、梅雨で販売戸数が少なくなる6月よりも少ない販売戸数にとどまってしまったのですから深刻に感じます。

 特に本年7月は、安倍総理が衆参同日選挙を仕掛けなかったことから、
10月からの消費税増税が政治判断としても固まった時期であり、増税前の駆け込み要素がプラスに働かなければならないはずでもありました。

 契約率67.9%は、本年に入って2番めに高い数値ではあるものの、引き続き好不調の目安である70%は切っています。ただし、新規発売戸数を抑えたおかげで、
在庫数は、上記記事の通り高い水準ではありますが、前月に比べて323戸減少しました。

 超高層物件の販売戸数は、
前年同月の24物件609戸から76.5%も減少した17物件143戸で、契約率も、前年同月71.9%だったものが本年7月は62.2%と振るいませんでした。したがって、上記の販売戸数減少の傾向は、タワーマンションにおいてはさらに際立っていたといえます。

 なお、近畿圏の7月のマンション契約率は83.1%、販売価格はここ3年で最も高い4,713万円と、
首都圏とは対照的に極めて好調でした。最近の首都圏の元気のなさと関西圏の活況が如実に現れている感があります。

 この数字を見て思い出したのが、
「プロダクトライフサイクル」理論です。製品を導入期、成長期、成熟期、衰退期の4つの段階に分類して、各段階に応じて製品改良、新品種の追加や製品廃棄を計画するものです。

 思うに、
マンション分譲は、既に成熟期から衰退期に差し掛かってきたのではないでしょうか。「成熟期」は、「需要の伸びが鈍化してくる時期で、製品の品種改良、スタイル変更などによって、シェアの維持、利益の確保が行われる」のですが、「衰退期」においては、「売上と利益が急激に減少する時期で、市場からの撤退が検討される段階である」とされています。

 今まで、
大手デべロッパーでは、廃業や、大京・藤和不動産のような吸収合併はともかく、自ら進んでマンション分譲事業をやめる事例は見当たりませんでした。しかし、これからは経営判断として、マンション分譲事業から撤退するところが出てくるかもしれません。

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| 市場動向 | 22:10 | comments(0) | trackbacks(0) |
「あと少し手を伸ばせば届きそうな高級マンション」の消滅

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★ 不動産経済研究所は7月18日、『首都圏のマンション市場動向−2019年6月度−』を発表しました。これによれば、6月の発売戸数は2,259戸で、前年同月の2,659戸より15.0%減となりました。2年前の6月の発売戸数が2,284戸ですので、6月としてはここ3年間で最少の販売戸数となります。もっとも、6月は梅雨時で、マンション販売としてはあまり適さない時期ではあります。

 地域別では
東京都区部が892戸で前年同月比37.6%減と大きく減少したのが響きました。都下も137戸で18.0%減、これにより東京都のシェアは45.6%となりました。通常、東京都のシェアは50%を超えてくるのですが、珍しくこれを割り込みました。23区に大型物件がなかったことと、価格高騰で買いづらくなっていることが原因と思われます。

 契約率は65.9%で、前年同月比0.1ポイントダウン、前月比5.9ポイントアップとなりました。本年に入ってからは、3月に72.2%と好不調の分かれ目となる70%を超えたものの、それ以外は軒並み7割を切る月が続いています。地域別では都下が56.9%で最も低く、都区部は66.6%でした。

 1戸当たり価格は5,964万円と、前年同月比で1戸当たり280万円、4.5%ダウンしています。都区部では1戸当たり7,672万円で、前年同月比で1.4%アップしています。千葉県が地域別では唯一ダウンしており、17.7%のダウン、4,158万円でした。

 販売在庫数は7,438戸と、前月に比べて217戸減少しましたが、前年同月では6,368戸でしたので、1,070戸増加している計算です。タワー物件は21物件455戸の売り出しがあり、前年同月比で18.5%増加、契約率も前年同月62.5%と比べ、66.4%と増加しました。

 タイプ別の契約率は、1K20.5%、1DK35.3%、1LDK70.1%、2LDK78.5%、3LDK63.6%、4LDK58.9%でした。1LDK、2LDKが高く、1K、1DKが低くなっており、シングル、ディンクス、小家族用にニーズがあり、投資用が低調だったと言えます。

 また、
価格帯別の契約率は、4,000万円以下65.2%、4,000万円〜6,000万円65.1%、6,000万円〜8,000万円56.2%、8,000万円以上82.2%でした。高価格帯がよく売れ、その下の価格帯が最も売れていないという結果です。これは、一般層が買える6,000万円以下、富裕層が買う8,000万円以上のはざまで、「中途半端な価格帯」になっていることが考えられます。

 これも
所得格差の拡大ととらえればいいのでしょうか。今まで高級マンションの主力購入層だったアッパーミドルがパワーカップル化して富裕層マンションへと視線を移し、郊外型マンション中心の一般サラリーマン層との世界をますます違えている気がします。

 確かに、
「あと少し手を伸ばせば届きそうな高級マンション」というものが少なくなり、私たち一般サラリーマンの夢があきらめに変わってしまった現状を裏打ちしているのではないか、としみじみ感じました。

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| 市場動向 | 19:21 | comments(0) | trackbacks(0) |
マンション価格の平均値と中央値の格差とは?−東京の歪な価格分布が明らかに

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★ 16日付のZDNet Japanは、不動産情報プラットフォーム事業を行うマーキュリーの『2019年上半期ファミリータイプ価格動向』についての記事を掲載しています。

 この調査では、
2019年上半期に供給されたファミリータイプ(3LDK(2SLDK等のサービスルーム含む))の住戸価格を集計しました。これによれば、2019年の上半期の平均価格は6,059万円、価格中央値は5,380万円で、2018年の上半期と比較すると、平均値で314万円(+5.5%)、中央値で302万円(+5.5%)上昇しており、2019年上半期のファミリータイプのマンション価格は平均値、中央値ともに依然として上昇していることが分かりました。

 また2018年、2019年ともに
平均価格が中央値価格を700万円程度上回っており、一部の高額の物件が平均価格を押し上げている構図であることも明らかになりました。

 エリア別に平均価格、中央値価格を見ると、
東京都が平均価格7,537万円に対して中央値価格6,608万円で、首都圏平均を大きく上回る929万円の差が生じています。

 その他のエリアでは最も差が大きかった
千葉県でも145万円差、概ね100万円前後の差に収まるなど、首都圏の中央値価格に対して平均価格が上振れしている要因は東京都、特に中央値を上回る価格帯の物件が数多く供給される都区部を中心とした主要エリアの価格にあることが分かりました。

 価格帯別の供給割合を見ると、
5,000万円台が全体の25.7%で最も多く、次いで4,000万円台の22.6%と続きます。5,000万円未満は全体の40%にとどまる一方、8,000万円以上の高価格帯が全体の12%を占めています。

 エリア別にみても、
東京都と神奈川県で最多供給価格帯が、埼玉県で2番目に多い供給価格帯が5,000万円台で、平均価格および中央値価格付近が概ね主力供給ゾーンであることも分かります。

 昨今マンション価格は高値維持していると言われていますが、特に
東京都のように高価格物件の価格の偏りが大きなエリアについては中央値の方が感覚値に近い数値と言えそうです。

 以上がZDNet Japanの記事の概要です。今回の調査でスポットが当てられているのが
平均価格と中央値価格の格差です。上記の記事の通り、首都圏新築マンションの3LDKの平均価格が6,059万円、中央値価格が5,380万円で、その差は679万円あります。これを東京都に限ってみるとその差が929万円と拡大します。

 これをみて
連想するのが、日本人の平均貯蓄額です。金融広報中央委員会によれば、2016年の日本人の平均貯蓄額は1,615万円とされています。「えっ、みんなそんなに持ってるの?」とあせるのですが、これが中央値となると、950万円に下がります。

 しかも、これは
「金融資産がある世帯」を対象とした数字なのです。「金融資産がない世帯」を含めると、平均値は1,078万人、中央値は400万円まで落ちることになります。さらに、シングル世帯になると、全世帯で、平均値が822万円、中央値が20万円になってしまいます(ちなみに、40歳代のシングル世帯の中央値はなんとゼロです)。

 1,615万円という平均値を見ると
「日本人って案外裕福なんだな」と思いますし、20万円という中央値を見ると「日本人って貧乏になったなあ」と思うでしょう。40歳代シングル世帯の中央値がゼロ、と聞くと、もはや貧困国という言葉しか思い浮かびません。これらがいずれも正しい数値であることに驚きます。

 それはともかく、
マンション価格の平均価格と中央値価格の格差は、マンション購入において、世帯によって格差が拡大していることの表れととらえることができます。それは都心部になるほど激しく、一握りの富裕層と大多数の一般層という、従来「一億総中流社会」と言われた日本とは異なった姿になってきたことを実感します。

 一方、これは首都圏では
東京のみに顕著に表れた現象でもあります。平均価格と中央値価格の格差は、神奈川県で90万円、千葉県では145万円に過ぎず、埼玉県では▲64万円と、むしろ逆転しています。

 すなわち、埼玉県では何が起きているかというと、
マンション価格で最も多い価格帯が、埼玉県の平均価格4,535万円を大きく下回る3,000万円台になっているのです。埼玉県では、主要価格帯が、3,000万円台と5,000万円台という二こぶラクダとなり、かつ、6千万円台超の物件が極端に少なくなるという価格構造を形成しています。

 それはそれで
ある意味、埼玉県におけるマンション購入事情としても格差がある、ということなのかもしれません。最もいびつなのがやはり東京都で、1億円以上の供給戸数が8千万円台と9千万円台を合計した供給戸数より多く、最上位層に供給が集中している形です。

 供給価格帯がきれいな曲線を示しているのが神奈川県と千葉県です。このような安定した曲線は、中古市場でも安定感をもたらし、今後とも健全な売買が成立していくことでしょう。

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| 市場動向 | 20:03 | comments(0) | trackbacks(0) |
わずかな地価下落に持ち直し傾向ー少なくなったオリンピック後地価暴落論

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★ 野村不動産アーバンネットでは四半期ごとに住宅地価格とマンション価格の動向を調査・公表しています。7月4日には、本年7月1日現在について、『2019.7.1時点の首都圏「住宅地価格」の動向』として公表されましたので、その内容をご紹介します。

 「住宅地価格」において、四半期比較で「値上がり」を示した地点が7.1%(前回2.4%)、「横ばい」が91.1%(前回92.3%)、「値下がり」が1.8%(前回5.4%)となり、値上がり地点が増加し、横ばい地点と値下がり地点が減少しています。エリア別の平均変動率では、東京都区部、東京都市部の2エリアが前回より上昇、神奈川が前回より低下となりました。埼玉、千葉の2エリアは前回から横ばいでした。

 これを
年間ベースで見ると、「値上がり」を示した地点が18.5%(前回19.0%)、「横ばい」が73.2%(前回71.4%)、「値下がり」が8.3%(前回9.5%)となり、横ばい地点が増加し、値上がり地点と値下がり地点が減少しました。エリア別の平均変動率では、東京都市部が前回より上昇、埼玉と千葉の2エリアが前回より低下となりました。東京都区部、神奈川の2エリアは前回から横ばいでした。

 住宅地価格変動率の最近の四半期ごとの上昇率の推移は、
0.2%、▲0.0%、▲0.0%、0.1%となりました。直近が2回連続でわずかながらマイナスでしたが、今回は再びプラスに転じました。

 23区の「住宅地価格」でこれまでの年間変動率のベスト10及びワースト5の地点を挙げると、次の通りです。〔〕内は前回順位、()内は最寄駅です。

ベスト10

1 目黒区鷹番1丁目(学芸大学) 6.5%
2 文京区本駒込6丁目(駒込) 6.3%
3 渋谷区本町2丁目(初台) 5.1% 
4 文京区白山2丁目(白山) 3.7%
5 北区赤羽西1丁目(赤羽) 3.4%
6 大田区西蒲田4丁目(蒲田) 3.0%
6 練馬区練馬2丁目(練馬) 3.0%
8 新宿区中落合4丁目(落合南長崎) 2.3% 
9 板橋区成増3丁目(成増) 1.9% 
10 杉並区高井戸東2丁目(高井戸) 1.5%
 

ワースト5

1 荒川区西尾久8丁目(荒川遊園地前) ▲5.4%
2 大田区久が原4丁目(千鳥町) ▲2.3%
3 世田谷区上野毛3丁目(上野毛) ▲2.2%
4 北区滝野川2丁目(王子) ▲1.5%
5 世田谷区用賀1丁目(用賀) ▲0.9%


 最近のランキングの特徴としては、値上がり幅が小さくなっていることで、1年前のランキングでは上位10位の値上がり幅7.0%〜3.4%だったところ、今回は6.5%〜1.5%と、特にランキング下位の値上がり幅がわずかになっています。値下がり地点も若干増加気味といったところで、23区人気地でも交通利便性がやや劣るところが弱くなっている傾向にあります。

 ただし、全般にはわずかに下げていた傾向に
下げ止まりも見られ、オリンピック後をにらみながらも案外タフな動きとも言えます。2〜3年前まで盛んに言われていたオリンピック後の地価の暴落といった論調も少なくなっており、皆が地価の先行きに自信を持つようになれば、再び力強い上昇が出てくるかもしれません。 

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| 市場動向 | 18:53 | comments(0) | trackbacks(0) |
一向に盛り上がらないマンション需要−マンション業界にQBハウスはいないのか?

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★ 17日、不動産経済研究所は、『首都圏のマンション市場動向−2019年5月度−』を発表しました。これによれば、首都圏における5月の新築マンション発売戸数は2,206戸で、前年同月(2,462戸)と比較して10.4%減となりました。2年前の5月の販売戸数が2,603戸でしたので、2年前からは約400戸減った計算になります。

 本年のGWは
10連休で、とてもマンション販売どころではないだろう、という予測を本ブログでも述べてきたところですが、概ねそのような傾向になっていると思います。マンション市場景気もさることながら、本年の特殊要因もこの数字に関係しているところです。

 特に
東京都区部の発売戸数が前年同月比36.3%減の781戸と、大きく落ち込みました。その分都下が48.3%増の344戸、神奈川県が23.3%増の476戸と伸びているのですが、もともと23区物件のグロスが大きいだけに、全体では落ち込みをカバーできませんでした。

 首都圏の契約率は60.0%と、かろうじて60%台を維持しましたが、今年に入ってから最も低い割合になっています。今回の特徴は、契約率70%超でずっと好調を維持してきた近畿圏のマンション契約率が67.7%となり、2018年3月以来の低い割合となった点です。首都圏の不調の波が近畿圏にも伝播した格好です。

 なお、首都圏の地域別契約率では、
都下が39.5%と非常に低調で、次いで神奈川県が52.3%と低く、販売戸数を増加させたエリアが増加分を吸収できずに率が沈みました。この点からもマンション購入者層の底が浅く、販売需要の硬直化が見られます。

 1戸当たり価格は高額物件の販売が寄与し6,093万円で前年同月比1.0%のアップ、再び6千万円台の大台を回復しました。販売在庫数は7,655戸で先月より93戸減少しましたが、発売戸数の減に比して思ったより増えていません。前年同月の在庫が6,377戸でしたので、それより1,278戸も多く販売戸数を減らして在庫消化に励んだ割には成果が上がっていないとも言えます。

 タワー物件の販売戸数は21物件350戸で前年同月比で3.3%減と、販売戸数の減り方はわずかだったのですが、契約率が45.1%と低迷しました。前年同月の契約率が67.1%でしたので、それより22ポイント減となりました。

 一方、価格帯別契約戸数を見ると、今回は
1億円超の物件が契約率70%超で、比較的よく売れていました。

 なお、
建売市場を見ると、契約率が16.3%と大変低くなっています。先月の契約率が34.2%でしたので、率は半分以下となりました。5月の新規発売戸数が227戸で母数が小さいだけに、変動率には大きなものがあります。また、在庫数は前年同月とほぼ変わらず、770戸台になっています。

 いずれにせよ、
あまり良い数値が明確には見当たりません。最近は都心・再開発・駅近・大規模の好立地物件が出ても、価格があまりにも高いためか、注目を以前ほど集めなくなりました。消費税増税前だというのに、駆け込み需要も一向に盛り上がりません。理髪業界におけるQBハウスのように、誰かが画期的なマンション価格破壊でも起こしてくれないと、マンション市場はしぼむ一方になりそうな、「衰退産業」の匂いがしてきました。

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| 市場動向 | 19:19 | comments(0) | trackbacks(0) |
4月はここ3年間で最少のマンション発売戸数にーGW10連休の影響か

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★ 不動産経済研究は21日、『首都圏のマンション市場動向−2019年4月度ー』を発表しました。これによれば、首都圏における4月の新築マンション発売戸数は1,421戸で、前年同月(2,342戸)比39.3%減、前月(3,337戸)比57.4%減の大幅減となりました。

 この数値は、ここ3年間で最も発売戸数が少なかった2018年8月(1,502戸)をも下回り、
この3年間で最少の発売戸数となりました。これは首都圏に限ったことではなく、近畿圏でも発売戸数が852戸と、やはりここ3年間で最少となっています。

 従来、1年間の中で
マンション発売戸数が最も少ないのは、夏休みが入る8月と相場が決まっていました。これは、過去に例を見ないGW10連休が現場のマンション販売に大きく影響を与えたのではないかと考えられます。働き方改革の波にも乗って、デベロッパーは営業を無理やり駆り出して販売活動を継続させることを早々に諦めたと思われます。先々月の3月の発売戸数が多かったのも、4月の長期連休を見越したものでもあったのでしょう。

 契約率も64.3%と、久しぶりに70%を超えた3月契約率(72.2%)から再び60%台となりました。それでも在庫数は、発売戸数の少なさも影響して519戸減少させることができ、7,748戸となっています。

 タワー物件については、13物件の130戸しか売り出されませんでした。前年同月が16物件でも338戸販売されたことを考えると、そもそもデベロッパーが
この時期をスルーしてまとまったタワーマンションの発売戸数を出さなかったことが考えられます。

 1戸当たり価格は5,895万円、平米単価93.1万円で、6千万円台に乗った
2月、3月よりは低い価格水準となりました。高額物件が多いタワーマンションの販売が少なかったのも影響しているのでしょう。

 地域別では、埼玉県の発売戸数が122戸で前年同月比67.7%減、千葉県が98戸で前年同月比72.1%減と、
ファミリー層狙いのエリアが動きませんでした。

 価格帯別戸数を見ると、
6千万円台の住戸の売れ行きが目立って悪くなっています。この価格帯は、比較的金銭的に余裕のあるファミリー層がターゲットですので、この時期はお子さんを連れて旅行に出かけたものと想像されます。

 10連休は4月が4日間、5月が6日間でした。当然のことながら、5月の発売成績も振るわないことが予想されます。小税率が予定通り引き上げられるかどうかも不透明になってきましたが、いずれにしても次に盛り上がりが予想されるのは消費税引上げ直前の完成売り駆込みが期待される9月ということになりそうです。

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| 市場動向 | 19:38 | comments(2) | trackbacks(0) |
契約率1年ぶり70%超―消費増税の駆込み需要が寄与、10連休はマイナス要因か

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★ 先月17日、不動産経済研究所は、『2019年3月度の首都圏マンション市場動向』を発表しました。これによれば、同月の首都圏の新築マンション発売戸数は3,337戸で、前年同月(3,617戸)から7.7%減少となりました。2年前の3月が3,408戸でしたので、これをも下回る数字です。

 毎年3月は春期商戦の走りとして、また、竣工売り物件としては新年度スタートの需要を取り込み、発売戸数は増える傾向にあります。本年も、1月・2月に比べて発売戸数は増加しているのですが、販売側の慎重スタンスもあって
例年ほどの発売増はなかった模様です。

 しかし、
契約率は72.2%と、好不調の基準となる70%を上回りました。契約率が70%を超えるのは昨年3月以来、実に1年ぶりのことです。特に千葉県で契約率79.4%、都下で77.6%、都区部で73.3%と好調で、埼玉県68.8%、神奈川県66.7%をカバーしました。また、タワー物件の契約率も80.4%と、高い率を達成しています。

 特に好調だったのは、『パークコート文京小石川 ザ タワー』で、
「春日」駅徒歩1分、「後楽園」駅徒歩2分の両駅直結の再開発事業というのが大きなアピールポイント、販売までの期間を長期にとって需要をじっくり喚起したことが、平均13,234万円という高額物件にもかかわらず、発売戸数178戸即日完売という結果をもたらしました。

 一方、今回の契約率の高さは、
消費税率アップ駆け込みをにらんだ特殊事情とも言えそうです。すなわち、本年3月末日までに契約すれば、消費税率は8%で済むからであり、「どうせ買うなら今」という需要を先食いした可能性もあるのです。したがって、この好調ぶりが持続するかどうかは、本格春商戦となる4月、5月の売れ行きをもみる必要があります。

 しかし、結果を先取りして推測するならば、
本年のGW商戦はかなり低調だったのではないでしょうか。中日なしの10連休は、ファミリーを中心としたマンション購入者層を旅行等に駆り出し、あたかも年末年始のように、気持ちをマンション購入には向かわせない気分がありました。

 また、販売側も、
「働き方改革」の流れもあって、長期休暇に入るところが多かったのです。実は、不動産業界では、休みを少しずらして、5月8日(水)までお休みというところが多くありました(水曜日は不動産業界の定休日です)。したがって、購入者側、販売側合わせると、4月27日(土)〜5月8日(水)までの12日間は、不動産売買の動きはほぼストップしたと考えています。

 それでも、マンション市場は
販売鈍化の雰囲気から一息ついた格好ではあります。2月末までに8,572戸まで積み上がった在庫から305戸減少し、8,267戸となりました。一戸当たり価格は6,552万円、坪単価313万円で、2017年7月以来約1年半ぶりの販売価格の高さです。2〜3億円の販売住戸18戸のうち15戸が成約して、この価格帯の契約率は83.3%に達しました。

 このように見てくると、
富裕層の購買意欲はまだまだ衰えていないなあ、と感じます。自分には縁のないことではありますが、日本の景気を良くするためには明るい材料と言えるでしょう。

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| 市場動向 | 19:34 | comments(0) | trackbacks(0) |
平均坪単価400万円台の23区コンパクト−南北ラインが上昇、東西ラインが出遅れ

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★ 不動産経済研究所は、3月28日に『首都圏コンパクトマンション供給動向』をリリース、その結果について詳しく分析しています。

 ここでいうコンパクトマンションとは、
住戸専有面積が30平米〜50平米で、ワンルームマンションとファミリータイプマンションの中間に位置する物件であり、単身者やDINKSをメインターゲットとするものと定義されています。

 過去では
最も供給戸数が多かったのが2003年で、6,145戸供給されました。しかし、この時代はマンション全体の供給戸数も多かったので、コンパクトマンションのシェアは7.4%にとどまっています。

 これが
2009年にはシェア10.5%となり(供給戸数3,811戸)、ピークを迎えます。この頃は不動産プチバブルの直後でしたから、マンション価格の高騰とさらなる先高観が、実需と投資双方の観点からコンパクトマンション買いに向かわせたのでしょう。

 しかし、その後、東日本大震災の発生等を受けてマンション販売が沈静化し、コンパクトマンションのシェアも下り坂となり、
2014年にはシェア3.7%まで落ち込みます。しかし、東京オリンピック需要も巻き込んで不動産価格はさらに高騰、昨年はシェア8.7%、供給戸数も3,237戸と、2010年以来8年ぶりに3千戸を上回りました。

 これをさらに
都区部にフォーカスして見てみます。傾向は首都圏全体と変わらないのですが、シェアは最も大きかった2009年が19.1%と、首都圏全体の1.82倍です。直近の2018年のシェアが16.3%で、首都圏全体の1.87倍と、やはりコンパクトマンション市場を牽引しています。

 注目は価格水準で、
都区部のコンパクトマンションの2009年〜2018年の坪単価は、次の通りです。

2009年 280万円 2010年 289万円 2011年 292万円 2012年 295万円
2013年 310万円 2014年 318万円 2015年 370万円 2016年 371万円
2017年 379万円 2018年 401万円


 価格水準が前年比16.3%上昇と大きく跳ね上がったのが2015年です。その後2017年までは微増だったのが、直近の2018年は前年比6%上昇し、遂に坪単価400万円の大台に乗ってしまいました。2009年と2018年の10年間で43%も上昇したことになります。

 しかし、同じく2009年から2018年の上昇率をエリア別に見てみると、
都下が9%上昇、神奈川県が51%上昇、埼玉県が54%上昇、千葉県が12%上昇と、実は埼玉県、神奈川県の方が都区部より上昇率が大きいのです。これは、神奈川県、埼玉県の2009年水準が坪単価199万円〜217万円なのに対し、2018年水準が307万円〜327万円と、今から思えば2009年の埼玉・神奈川価格が今から見ればとても安かったということに尽きます。

 確かに2009年当時、
「桜木町」駅徒歩5分のコンパクト物件が坪単価210万円台だった記憶が私にもあります。東京都心物件が高騰するにつれて、コンパクトマンションが供給される横浜都心、さいたま都心の価格が連れ高するのは無理からぬところです。

 都心から見て
南北ラインの不動産が人気を呼んでいるのに対し、東西ラインに当たる東京都下及び千葉県の物件が出遅れています。ここに妙味を見出して都下物件、千葉物件に注目するのか、それともこれまで以上の高騰を期待して埼玉物件、神奈川物件を追い続けるのか、その人の投資スタンスにより判断が分かれることとなりそうです。

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| 市場動向 | 20:21 | comments(0) | trackbacks(0) |