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宝くじで1億円以上当たった人の末路−破滅を防ぐ最も賢い使い方とは?

JUGEMテーマ:マンション


★ 14日付日経ビジネスは、『宝くじで1億円以上当たった人の末路』という記事を掲載しています。その概要は、次の通りです。

宝くじに当たった瞬間に舞い上がってしまい、家庭内トラブルを巻き起こしたり、一度に大金を手にしたが故に身を滅ぼすケースが、少なからず存在するようです。

 ポピュラーなのは家族内・親族内トラブルだと聞きます。例えば、宝くじを当てると家族はもちろん、それまで縁遠かった親族までが直接的・間接的に“おすそわけ”を要求してきます。運が悪ければ、「一家離散」のきっかけにすらなりかねません。

 当たる前は「黙っていよう」と思っていても、
多くの人はばれてしまいます。我慢しきれずに自らカミングアウトする人もいるし、隠そうとしてもついつい生活が派手になり周囲に隠し切れなくなる人もいるようです。

 人間の浪費というものは一回始まるとなかなか止まらないものです。クルマ、旅行、宝飾品…。浪費はどんどん膨れ上がり、周囲からすぐに「何かあったな」と勘繰られるようになるはずです。

 「自分は大丈夫」と思っている人ほど危ないのです。企業側も
「急に資産を築いた人」の財布を開くためのマーケティングは研究し尽くしています。

 ただでさえ人は、
「日頃、不慣れな金額の取引」は、金銭感覚が麻痺して失敗しやすいものです。5,000万円で家を買う時、70万円でより生活が快適になるオプションが付きますよと言われたら「70万円なんて大した金額ではない」などと思う人もいるでしょう。しかし、70万円は日常生活では大金で、吟味すべき対象です。それくらい、不慣れな取引では、いい加減な意思決定をしてしまいがちです。

 超高級宝飾店で買い物をすれば、豪華なパンフレットやインビテーションが届くようになります。行けばVIPルームに通されます。この“あなただけ感”に堪えられる人は多くはないですし、更にはそのような生活を諦めることはより難しくなります。
「急な富裕化」というのはそのくらい危険なことで、例えばNBAを引退した人の60%は5年以内に破産しているというデータもあります。

 また、
大金が入った勢いで仕事を辞めてしまったりすれば事態は一段と深刻になります。1億円は使い始めると想像以上の速さで減っていってしまいます。それに、労働が私たちに提供してくれているものはお金だけではありません。ヴォルテールはかつて「労働はわれわれを三つの大きな悪から逃れしめる」と言いました。悪徳、欲求、退屈です。

 前の2つはわかりますが、
退屈というのも人生にとって辛いものです。宝くじを当てて仕事を辞めてしまえば毎日、その退屈と向き合わねばならなくなります。宝くじは「人生のやる気を失う」ことにも繋がりかねないわけです。

 かといって、
宝くじで得た資金で事業を始めるのは最もハイリスクな選択です。飲食店に行っても3億円分は一生かけても食べきれませんが、誤った経営により3億円を失うのは容易にありえることです。

 それでも宝くじで1億円当たった場合、まず、
親族内トラブルを回避するため、税理士、弁護士に相談しましょう。次に、複数の金融機関に相談し、その中から信頼できるファイナンシャルプランナーを見つけて一緒に資金プランを立て、今の生活を変えないことです。もちろん仕事を辞めてはいけません。人との付き合い方も変えてはいけません。この部分さえしっかり押さえておけば、宝くじが当たってもまず大丈夫です。』

 以上が日経ビジネスの記事の概要です。宝くじで大金が当たった人が必ずしも幸せな人生を送れるというわけではない、というのはよく聞かされる話ですが、ここまで整理して語ってくれた記事はそれほどないように思います。なるほど、一つ一つの論旨に説得力があります。

 結論から言えば、
「当たらないのが最も良い」ということになりますが、「万が一当たっても生活を変えてはいけない」というのが教訓です。しかし、手元にキャッシュがあると、その誘惑に勝つのはとても困難です。したがって、手元にキャッシュを残さず、バランスシートを改善させる方法を考えなくてはなりません。

 その方法は
2つしかなく、資産を増やすか、負債を減らすか、です。ここで最も大きく貢献するのは、ロットの大きい不動産に関するファイナンスです。「資産を増やす」とは、資産価値が今後とも向上しそうな不動産、今の流れでいけば、都心の大規模再開発タワーマンションを、高値掴みではない価格水準で購入することが考えられます。

 ただ、不動産購入には、その資産価値が今後の社会経済情勢に左右されるため、いくら
慎重に選別したとしてもリスクの大きさは否めません。したがって、一番確実なのは、「負債を減らす」ことです。もちろん、不動産を所有していない場合にはとれない策ですが、住宅ローンを数千万円単位で背負っている場合には、まずこれをゼロにすることがー面白みもワクワク感もないかもしれませんがー一番賢明な宝くじ当選金の使途と言えます。

 事実、上記記事によれば、宝くじの当選金を受け取るみずほ銀行では、高額当選者に『【その日】から読む本』という冊子が渡され、中には、
「当選した興奮と付き合い、落ち着いたらローンなどの返済を優先すること」などが書かれているとのことです。住宅ローン等の返済に充てれば、月々の支払いがそれだけなくなり、毎月の余裕資金が増えて、かつ、大金を一度に消費することが防止でき、家計面での生活の質が大いに改善することになります。

 我が家でも昔、年末ジャンボを珍しく買った時、
「もし当たったら何に使う?」とウキウキして家族に聞いたら、当時小学生だった下の娘が「まずは住宅ローンを返して楽になること!」と叫んだのにはびっくりしました。ちょうど住宅ローンの支払いが始まった頃だったので、子供の目から見てもそんなに苦しそうだったのか、と今でもやや恥ずかしい思い出として覚えています。

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| 住宅ローンその他融資 | 22:30 | comments(0) | trackbacks(0) |
住宅ローン審査もAIの時代に−大事な何かが失われないか?

JUGEMテーマ:マンション


★ 4日付日本経済新聞によれば、インターネット専業のソニー銀行は、10日から住宅ローンの仮審査に人工知能(AI)を使い始めます。仮審査は2日から6日程度かかっていましたが、1時間に短縮します。

 住宅ローンで
顧客の利便性を高めることで、融資を増やす狙いがあります。住宅ローンの仮審査の情報(4年分)を基に、どのような属性の人に融資できたかなどをAIに学習させました。

 以上が日本経済新聞の記事の概要です。
世の中は、AI流行りです。9日付の毎日新聞によれば、三井住友海上火災保険は、AIを使って企業の決算書などの財務情報を分析する実証実験を始めるということで、企業の保険を引き受ける際、信用力の分析にかかる時間を大幅に短縮することが目的とのことです。

 また、AIではありませんが、同じく4日付の日本経済新聞によれば、
SMBC日興証券は、顧客の生涯収支や家族構成から適切な資産形成を助言する営業ツールを導入するとのことです。これはビックデータを活用するもので、国税庁の公開データを用い、顧客の老後の収支の過不足を計算するとされています。

 総論的に言えば、
全て進めるべき方向だと思います。超少子高齢化社会で生産年齢人口がどんどん減っていく中で、今でさえスキルのある人材が不足気味なのに、これら人材が将来補填できる見込みはかなり小さいと言っていいでしょう。したがって、これは「顧客の利便性の向上」というより、「最低限のサービスを維持し続けるための苦肉の策」といった方が、各企業の心情に合っているかもしれません。
 
 一方で、「顧客の利便性の向上」どころか、
「顧客サービスの低下」につながる動きにもなりかねない点を危惧しています。まず、上記に記した通り、目線が「顧客志向」ではなく「企業の都合」が感じられます。例えば、AIで住宅ローンの仮審査をする、としたとき、企業側はAIで誤って「仮審査」が〇と付けたものを「本審査」で×にできますが、顧客である申請者側はAIで「仮審査」で×になった場合、例えこの判断がAIの誤りであったとしても、それをリカバリーする方法がありません

 これは住宅ローンという、ある意味定型的な業務なので可能なのかもしれませんが、そもそも
銀行員から「融資審査」の業務をなくしたら、何のための銀行員か、という気がします。極端な話、ネットで無人銀行を設立し、業務は学習させたAIがすべて行って、申請から即時に審査結果をメール送信する、これで手数料を稼げれば、代表取締役1人の銀行でも十分賄え、最も効率的な銀行、ということになります。

 確かに住宅ローン審査は定型的なのでしょうが、
住宅ローンといえども、各個人の事情を汲んでほしいときはあるのではないでしょうか。たまたまその時点での資料審査では通らなくても、実は退職時にストックオプションで優遇されるとか、退職年齢は50歳でもその後70歳まではキャリアアップの仕組みがあるとか、各企業のキャリア戦略はかなり多様になっています。

 AIの審査項目にはない事項について、
顧客の身になって真剣に考え、ともに融資が下りるように考えてくれるのが今までの良心的な銀行員の姿でした。そしてそれがその銀行員の行内でのプラス評価になり、昇進のインセンティブになっていたのではないかと思います。

 「いやいや、そんなものは不平等だ」「情でやる審査は甘くなる」という意見もあるでしょう。だからこそ、各企業は、これを防止するための規律やガバナンス方策を導入し、
両者の緊張関係やせめぎあいの中で業務を進めてきたのだと考えています。

 AIを活用するというのは、もはやそれだけの余裕が日本の企業になくなってきた現れなのかもしれません。また、AIを活用すること自体が、そのような経験とスキルを有する銀行員を失わせることになり、それは銀行自身にとって大きな損失ではないかと思うのです。

 AI活用はもちろん重要で、今後の業務改革に不可避なのですが、
顧客にとっても企業にとっても大事な「財産」をかえって喪失することがないよう、バランスをとってほしいと願っています。

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| 住宅ローンその他融資 | 19:50 | comments(0) | trackbacks(0) |
なるほどリバースモーゲージ−東京で働くサラリーマンにはやっぱり無縁かも?

JUGEMテーマ:マンション


★ 7月8日付ZUU onlineでは、『約6割が知らない 老後資金を作るリバースモーゲージという方法』という題で、リバースモーゲージについてわかりやすく説明しています。私も今までわかったつもりでいましたが、この記事を読んで、ようやく内容がきちんと把握できた気がします。その概要は、以下の通りです。

リバースモーゲージ(Reverse mortgage)とは、自宅を担保にして、そこに住み続けながら金融機関から融資を受けられる制度です。モーゲージというのは、抵当付きの住宅ローンを意味し、最初にお金を借りて毎月返済してローン残高が減少していくものです。これに対し、リバースモーゲージはその逆で毎月お金を借りてローン残高が増えていき、最後に全額返済します。一般のローンの逆なので「逆」を意味する「リバース」が付いています。公的年金だけで現金収入が少ない高齢者世帯が、住居を手放すことなく一定の収入を確保できるのが魅力です。

 通常のローンは現金で返済することが前提になっていますが、リバースモーゲージは死亡後に自宅を売却あるいは抵当権を実行して返済に充てます。そのため、住宅ローンの場合、借りる人の返済能力が審査されますが、リバースモーゲージは、
借りる人の返済能力は問われず、担保となる不動産の価値が審査の対象になります。ただ、返済能力が問われない分、不動産価値は厳格に審査され、不動産の売却で十分返済できる額しか融資は受けられません

 リバースモーゲージは、アメリカでは非常に一般的であるのに対し、日本ではなぜ普及していないかというと、
日本人は新しいものが好きで、古い家屋の価値が低く評価されているからです。また、日本人は生まれ育った家に愛着を持ち、子供に家を残したいという意識が強いため、最終的に不動産を売却して精算するリバースモーゲージの導入が少ないのです。

 他方、アメリカは、中古の建物の価値は日本に比べ高く、また、住居も環境の変化に応じて転々と変える文化なので、リバースモーゲージを利用して、そのお金で優雅な老後を過ごそうと考える人が多いのです。


 リバースモーゲージのメリットは次の通りです。

・自宅に住み続けられる
 お金が必要な場合に、自宅を売却してお金を作ることも可能ですが、その場合賃貸物件等を探して住まなくてはなりません。それに対して、リバースモーゲージは住み慣れた自宅に住んだままお金を受け取れます。

・返済能力がなくても融資が受けられる
 高齢者で収入がない場合、融資は基本的に受けられません。しかし、リバースモーゲージは、不動産があれば返済能力がなくても融資を受けられます。

・基本的に返済不要
 融資を受けた場合、通常は返済が必要になりますが、リバースモーゲージの場合、不動産を売却して精算することになるので返済が不要です。

・相続人に借金が残らない
 リバースモーゲージの借入金は、担保物件で精算されるので、相続人に借金が残りません。近年、空き家問題があるように不動産の管理は手間がかかることから、不動産の処分を任せられるというのもメリットです。

 他方、デメリットとしては次のようなものがあります。

・長生きするリスク
 契約終了期間が死亡時となっていない場合、長生きすると融資枠を使い切ってしまう可能性があり、その場合、自宅を売却して返済しなければならなくなるので住むところがなくなります。

・金利上昇リスク
 金利は基本的に変動金利の場合が多く、将来金利が上昇すると返済額が膨らむ可能性があります。万が一、不動産価格を上回ると融資がストップされます。

・不動価格の下落リスク
 自宅の評価が下落して融資限度額を割り込んでしまうと、場合によっては一括返済を求められることもあります。ただ、担保価格の下落リスクをあらかじめ考慮して、担保物件の評価額の半分程度しか融資しないので実際には余程のことがない限り担保割れすることはありません。

・対象となる住宅に制限がある
 評価の低い不動産は対象になりません。基本的に一戸建てで、マンションは対象外のところが多くなっています。

・推定相続人全員の同意が必要
 契約者が死亡した後のトラブルを防止するため、推定相続人全員の同意が必要で、1人でも相続人が反対した場合には利用できません。

・単身もしくは夫婦だけで居住していないと利用できない
 本人と配偶者以外の人が居住している場合には、その人の居住権を奪うことになるので、リバースモーゲージを利用できません。

 高齢化を背景に近年、リバースモーゲージに参入する金融機関も増えています。最近では、静岡銀行が東京スター銀行と提携したとのニュースがありました。両行で共同開発した商品は、煩雑な手続を解消し、ローン用カードをつくってATMで引き出せるなど利便性を高めた点が特徴ということです。」

 以上、長くなりましたが、ほぼ全文を掲載しました。最近、お子さんのいらっしゃらない方も増えてきましたので、
相続させるべき相手もいなければ、むしろ生存中にきれいに活用した方が理にかなっていると言えます。

 自分の親のことを考えても、
実家が残ってしまった場合、やはり処置に困ると思います。もっとも、両親とも年金だけで生活できていて、他に使うところもなさそうです。しかし、いざ片方が病気や入院となった場合、経費がかかりますので、リバースモーゲージが利用できるならそれに越したことはありません

 もう少し基本的なところで知りたいのは、
リバースモーゲージの融資限度額を使い切れなかった場合はどうなるのか、ということです。例えば30年融資を受けるつもりが5年で亡くなってしまった場合も、不動産は全部召し上げられるのでしょうか。また、そもそも担保評価の半分程度しか融資していませんので、死後は不動産がまるまる金融機関のものになってしまうとすれば、割にあわない気もします(記事には「精算」とありますので、大丈夫だとは思いますが)。

 また、
マンションが融資対象外となる点は意外でした。しかし考えてみれば、マンション購入を相続税対策とするのは、流通価格と異なりその評価が低いからにほかならず、リバースモーゲージの場合はこれが不利に作用するのは当然といえば当然です。

 ということは、
人生の終盤でリバースモーゲージの活用を考えるのであれば、むしろ土地付き家屋に住んだほうがよいことになります。資産を子孫に残すのであればマンション、自分で活用するのであれば一戸建て、ということのようです。

 これが都心の土地であれば問題なく資産価値は高いのですが、例えば
路線価で平米50万円の土地が、売買価格では例えば平米200万円で4倍になったりしますので、これはこれで割に合いません。ところが、首都圏近郊に行けば、担保価値は高いのに、駅から少し遠くて買い手がつかないために売値がこれより低い土地が普通に見られます。

 例えば駅には徒歩20分かかりますが、
徒歩5分で国道に出られ、そこには商業施設があってバス便があるとすれば、暮らしていくのに何の問題もないでしょう。そもそも定年で職場を辞めた場合には、鉄道や地下鉄で都心まで出かけていく必要はまるでないのです。

 ただ、
リバースモーゲージのために現役時代からそのような場所に住み、住宅ローンをせっせと払い続けるのも非現実的です。こう考えていくと、リバースモーゲージは東京で働くサラリーマンにとってはやはり想定しづらいものなのかもしれません。

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| 住宅ローンその他融資 | 21:44 | comments(0) | trackbacks(0) |
金融機関の融資姿勢が厳しくなっている?−明るくないマンション市場の未来

JUGEMテーマ:マンション


★ 『世田谷に利回り7%以上の新築RC一棟マンションを持とう!』−5〜6年前、昼休みに本屋に行き、熱心に立ち読みしたのがこの本です。買って読むほど現実味がないため、立ち読みで失礼したのですが、城南エリアに新築一棟RCマンションを所有する、という夢のようなコンセプトは魅力十分でした。

 その時は、郊外であれば新築アパートで利回り10%は普通にあり、
「こんないい場所で、しかもRCマンションだからどんなに頑張っても利回り7%でしょうがないんだよね」と思っていました。その後も「新築RCマンション一棟オーナー」の夢は断ち切れず、3〜4年前に思い切って、この本を書いた著者が代表を務める不動産会社に電話をしてみました。

「…その時はそうだったのですが、今は土地の値段や建築費がかなり上がりまして、6%を切るものも出てきました」
「ええっ、それじゃあ、利益はほとんど出ませんね」

 私は気落ちして電話を切りました。持てるはずもないものを気落ちする必要はないのですが、ひょとして将来、というかすかな希望を抱いていたのです。しかし、この様子だと、例え城南エリアに新築RCマンション一棟を所有できたとしても、日々の家計をむやみに圧迫し、破産するしかないものになりつつあると感じたのでした。

 ところが、その後も城南エリアの新築一棟RCマンションの利回りはどんどん低下し、
今や利回り5%を切る水準となっています。これでも売れるのは、日銀の金融政策の異次元緩和により融資金利が極限まで低下し、利益が出ないまでも何とか回る水準を保っているからのようでした。

 しかし、そのような状況も今や危うくなっています。先日、ふとしたことで不動産業者のAさんとゆっくりお話する機会がありました。話の中で、Aさんは、城南のある土地の販売図面を私に見せてくれました。


「これ、かわいそうな土地でね」
「は?もしかして、事故物件ですか?」
「いや、そうじゃなくて、なんだかお客さんに縁がないのよ。仕入れたのは半年前で、問い合わせは毎日のようにあるのに、成約しなくて」
「よさそうなのに、不思議ですね」
「この間、やっと契約までこぎつけたら、ローンキャンセルになっちゃってがっくり」
「あらら」
「とにかく今は融資が通りにくい。この土地は投資用に適した土地で、価格も手ごろだから、ちょっと前ならあっという間に売れる土地だったのに」
「今、だめなんですか」
「この手の土地に目をつける人は、たいてい既に2〜3棟、マンションを所有してるサラリーマン」
「え、サラリーマンで」
「いや、そういう人結構いるよ。で、今までの投資の延長線上で買付を入れてくるんだけど、最近は金融機関から『もうほどほどになさい』と言われるんだって。だから、買えるつもりの問い合わせは多いのに、結局誰も買えない」
「そうですか…」
「プロが手を出す規模じゃないしね。本当困っちゃう。それで●●さん(私)、買ってくれるとうれしいんだけど」
「あ、いや」

 最近読んだ新聞記事では、マイナス金利に追い込まれて
投資ローンに突っ込んでいる地銀・信用金庫に対する金融庁の監督が厳しくなっているようで、1〜2年前の積極的な融資スタンスが影を潜めつつあります。これは、不動産に資金を傾けてきた個人投資家の資金源を止めることとなります。

 これは実需のマンション市場とは関係ないではないか、とも思われますが、実は
分譲マンションの買い手にも一定程度は投資家が存在し、これは人気の都心・高額・タワーマンションほど投資の占める割合が高くなる傾向があります。

 今までマンション市場をけん引してきたこれらの好立地高級タワーマンションの買い手が減ることは、やはり
実需のマンション市場にも少なからぬ影響を与えます。価格高騰へのブレーキがかかることは良いことかもしれませんが、元来マンション販売は利幅が少ないだけに、デベロッパーの新築マンション供給が細り、購入検討者にとって選択肢が狭まることにもなりかねません。
 
 Aさんの困ったような声からは、
買い手にとっても売り手にとっても明るくないマンション市場の未来が見えるようで、やや寒い気持ちになったのでした。

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| 住宅ローンその他融資 | 20:07 | comments(2) | trackbacks(0) |
8月のマンション市場も低調−ペイしない新築マンションからの資金逃避か

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★ 9月15日付SUUMOジャーナルによれば、不動産経済研究所は9月14日、2016年8月度・首都圏の「マンション市場動向」を発表しました。

 2016年8月の新規発売戸数は1,966戸で、対前年同月(2,610戸)比24.7%減、対前月(3,317戸)比40.7%減です。地域別発売戸数は、東京都区部623戸、都下153戸、神奈川県618戸、埼玉県350戸、千葉県222戸で、東京都のシェアは39.5%でした。

 新規発売戸数に対する契約戸数は1,310戸で、
月間契約率は66.6%と、前月の63.3%に比べて3.3ポイントアップ、前年同月の74.3%に比べて7.7ポイントダウンしました。地域別契約率は都区部60.8%、都下56.9%、神奈川県72.2%、埼玉県74.0%、千葉県62.6%でした。

 1戸当り平均価格、1平米当り単価は、5,662万円、79.8万円です。2016年7月は5,656万円、80.6万円でしたので、前月比総額では6万円(0.1%)のアップ、平米単価は0.8万円(1.0%)ダウンとなりました。

 8月の地域別平均価格、1平米当り分譲単価は、東京都区部7,238万円・107.0万円、都下4,909万円・67.3万円、神奈川県5,939万円・82.9万円、埼玉県3,758万円・52.1万円、千葉県3,988万円・53.4万円です。


 即日完売は33戸(全体の1.7%)で、【フラット35】登録物件戸数は1,937戸(同98.5%)でした。

 以上がSUUMOジャーナルの記事の概要です。この記事は、不動産経済研究所のプレスリリース『首都圏のマンションの市場動向−2016年8月度−』を基にしていますので、以下その内容を見ていくこととします。

 まず、8月の発売戸数1,966戸ですが、前年同月が2,610戸、一昨年同月が2,110戸ですので、またしても
3年間で最低の発売戸数となりました。8月はモデルルームも夏季休暇を取り、例年一休みの季節なのですが、それにしても低調でした。

 契約率は66.6%で、
販売戸数の3分の1が売れなかったことになります。これで契約率70%割れは3か月連続、今年1〜8月のうち6か月は70%を割っている状態です。地域別では23区の契約率が60.8%と、これまで販売を牽引してきた23区で売れ行きが悪いのが特徴です。

 これは、マンション購入者の23区志向が薄れたというより、
23区のマンション価格があまりに高くなりすぎたことに起因しています。したがって、23区の発売戸数は前年同月比45.4%減、以前は50%を超えていた地域別シェアも31.7%にとどまるなど、販売も手控えられています。

 1戸当たり平均価格は5,662万円と、グラフ上は「凪」状態が続いています。通常は、話題の高級マンションが爆発的に売れる月があって、その月は平均価格が跳ね上がるのですが、本年はそのような兆候が見られず、
皆の注目を集める羨望の高級マンションが乏しいことがわかります。

 ただ、このところ増加が続いていた
在庫数が270戸減少したのは良い兆候で、販売を絞った分、売れ残った住戸に目が向いた格好です。即日完売物件は、『Brillia(ブリリア) Tower 上野池之端』第1期5次12戸など4物件33戸に過ぎず、淋しい結果となりました。

 なお、タワー物件については12物件435戸の販売で契約率73.1%と、まずまずの結果を出しています。

 都区部における間取り別の契約率は、ワンルームが40%、1Kが25%、1DKが0%、1LDKが44%、2DKが14%、2LDKが53%、3LDKが67%、4LDKが61%と、売れ筋が投資用から実需用へとシフトしてきました。というより、
実需の売れ行きがそれほど変わっていない反面、投資用物件の購入意欲が減退していることがわかります。

 これは、本年5月28日付のブログ『大人気の『パークリュクス白金高輪』は投資対象として適格性があるのか』で書いたように、
投資用物件が投資対象になり難いほど物件価格が上昇してしまったことによると考えます。

 もともと新築マンションは投資としてのうま味が少ないだけに、より高利回りが狙える中古物件、一棟ものアパート・マンション物件等に投資資金がシフトしているのかもしれません。いずれにせよ、
投資用としてのインカムゲインが期待できず、かといって物件価格の高騰からキャピタルゲインも信じられなくなっている現状が、新築マンション市場を冷えさせているとも言えるでしょう。

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| 住宅ローンその他融資 | 19:53 | comments(2) | trackbacks(0) |
ついに住宅ローン金利0.35%!−「歴史的低金利」の中で確実に言えること

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★ 本日、仲介業者さんからいただいたメールに次のようなものがありました。

「三井住友信託銀行の金利情報です。現在、5年固定が0.35%、10年固定が0.4%、30年固定が0.8%です。固定金利でのこの水準は魅力的だと感じております。」

 ついにここまで来たか、という水準です。本年頭に日銀がマイナス金利を発表して以来、国債10年物金利は順調に(?)低下し、英国のEU離脱騒動を受けて、本日現在−0.235%と史上最低の金利レベルにまで低下しています。上記の固定金利がどのような算出の下に決められているのか、門外漢の私にはわかりませんが、これでもしっかり利ザヤが出る水準なのでしょう。

 思えば私が8年前に住宅ローンを借りたときは、10年固定で1.8%という水準でした。それでも売買契約からローン実行までの2〜3年の間に各金融機関の金利や条件をじっくり比較し、
「これ以上のベストの選択はない」と自信を持って選んだ商品でした。そして、今後は金利が上昇すると読んで、10年間はこのローンを払い続けるつもりでいたのです。

 しかし、金利はその後も上がることはなく、それどころかますます低下傾向を示し、私もこの8年間の間に借換えと金利変更を行い、
現在は0.750%の条件を得ています。「ずいぶん得したな」と喜んだのですが、実は今、三井住友信託銀行に借り換えたら、0.35%〜0.4%の金利が享受できたわけです。

 私が当初融資を受けた額は3千万円でした。この金利を上記に挙げた1.8%、0.75%、0.35%で比較すると、融資期間30年の場合、毎月支払額はそれぞれ10.8万円、9.3万円、8.8万円となり、私がもし同じマンションを今購入したとするならば、
月々の支払いは2万円も少なくてすむことになります。

 しかも10年後のローン残高は、それぞれ2,170万円、2,070万円、2,035万円となり、
月々2万円支払い額が少ないのに、ローン残高は135万円軽くなっています。また、総支払額は、それぞれ3,880万円、3,350万円、3,160万円となり、金利分の支払い額で考えれば、8年前購入では880万円のところ今は160万円で済み、その差は5.5倍にもなります。

 さらに上記の場合、住宅ローン減税額は合計で約250万円ほどは税額控除がありますので、金利0.35%の場合は
実質10年間は無金利で、逆に90万円のキャッシュバックを受けた計算になります。

 見方を変えて、月々の支払いが10.8万円とした場合、金利0.35%、融資期間30年という条件での
借入可能額は3,690万円となります。当初の物件価格が3,000万円とすると、その時と比べて23%価格が上昇したとしても支払額はほぼ変わらない計算です。

 ただし、23区物件だとこの8年間で2割超は物件価格が上昇していますから、お得感は感じられないのですが、家計としての負担感は等しいところに救いがあると言えます。

 こうしてみてくると、私がマンションを購入した8年前に比べれば、
融資環境は比較にならないくらい良くなっていると言えます。ただ、その8年前も「歴史的低金利」と騒がれて、「今が購入のチャンス!」と喧伝されていたわけですので、「本当に今度こそベスト」と言い切れないところが、住宅購入の難しさであり、面白さでもあります。

 しかし、マーケットに左右されずに
確実に言えるのは、「私たちは日々年を取っていく」ということです。これだけは融資期間においても、マンションで過ごせる時間という意味でも、「今がチャンス!」と考えてよい唯一の条件だと思います。

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| 住宅ローンその他融資 | 20:05 | comments(2) | trackbacks(0) |
中古価格とローン残高の関係−マンション所有者「勝ち組」の法則
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★ 8日付家みつかわら版には、『マンション価格、中古になるとどのくらい下がるの?』と題して、以下の内容の記事を掲載しています。

 『
中古マンションの価格は、主に築年数や立地(利便性や周囲の環境)、階数や方位(リビングなどの向き)、管理状態などで決まってきますが、一般的には仲介を依頼した不動産会社が取引事例比較法によって査定し、その査定価格を参考に売主が売却値段を決めます。取引事例比較法というのは、同じ地域での類似する物件の取引事例を参考に値段をつけるもので、最もウエイトが大きくなる判断要素は築年数となります。

 中古マンションの築年数による価格下落の度合いすが、一般的に築10年までで年に1.5%、築10〜20年で年に2%、築20年以上で年に2.5%ずつ価格が安くなっていきます。平均すると年に2%ずつ下がる計算で、専有面積の1坪(3.3平方メートル)当たり単価でみると年に4万円ずつ下落していきます。専有面積20坪(66平方メートル)のマンションなら、年に80万円ずつ価値が下がっていくことになります。この1坪当たり年4万円の下落は立地に関係なく、都心でも郊外でも同じように下がる傾向があります。

 たとえば、専有面積20坪(66平方メートル)の新築マンションの価格が
都心で4,000万円(坪単価200万円)、郊外で3,000万円(同150万円)とします。年に同じように坪当たり4万円下がると、下落率は都心で年2%、郊外で2.7%と、郊外の方が下落の度合いが高くなります。これは、都心は地価が高く、都心のマンション価格の場合、価値が下がりにくい土地のウエイトが高くなっているからです。

 対応策としては2つあります。

 ひとつは、
築年が経過してもマンションの価値が落ちにくい好立地で物件を探すことです。先ほども述べましたが、坪単価が高いところほど下落率は低くなります。最初から買い換えを考えているのであれば、価格は高くても、その後の価値が落ちにくい好立地の物件を選ぶことです。マンションは一に立地、二に立地です。

 もうひとつの対応策は、価格の下落分以上にローンの元本を減らしていくことです。たとえば、先ほど例に挙げた専有面積20坪(66平方メートル)の新築マンションを都心で4000万円(坪単価200万円)で購入した場合、年に80万円(4万円×20坪)ずつ価格が下落する計算です。ローンの元本返済を年80万円以上に設定しておけば、売却時に元本返済額と下落分の差額がキャッシュで手に入ることになります。』

 以上が家みつかわら版の記事の概要です。これからわかることはやはり、
地価の高い、人気のあるところほど価値も落ちにくい、ということで、つまり都心高級物件ほど価格は維持されるという意味で、マンションというものは、構造的に、貧富の差を拡大させる効果を有するものだと言うことができます。

 ただ、
私たち一般サラリーマンでも、そんなに損をせずにマンションを所有し、生活することは可能です。マンション所有者の最大のリスクは、マンション価格の下落であるわけですが、上記の価格下落率を見れば、それほど心配はないことがわかります。

 上記記事の都心坪単価200万円の物件例は今やあり得ませんので、例えば
湾岸マンション、坪単価310万円と設定し、専有面積70平米、分譲価格6,560万円の物件でシミュレーションしてみます。

 価格下落率を上記記事のとおり設定すると、
築年数ごとの中古価格は以下のとおりとなります。

1年 6,462万円   5年 6,068万円  10年 5,576万円  
15年 4,920万円  20年 4,264万円  25年 3,444万円
30年 2,624万円


 そして、本マンション購入のために、全額をフラット35、現在の金利1,680%、融資期間35年で住宅ローンを借りたとすると、各年の住宅ローン残債額は次の通りです。

1年 6,421万円   5年 5,842万円  10年 5,060万円
15年 4,211万円  20年 3,287万円  25年 2,282万円
30年 1,189万円


 この結果、各築年数時点で本物件を売却した場合、手元に残るお金は、次の通りです。

1年   41万円   5年  226万円  10年  516万円
15年  709万円  20年  977万円  25年 1,162万円
30年 1,435万円


 また、仮に住宅ローン負担=家賃と置き換えると、実質の月額家賃は、次の通りです。

1年 17.3万円   5年 16.9万円  10年 16.4万円
15年 16.7万円  20年 16.6万円  25年 16.8万円
30年 16.7万円


 家賃との置き換えでは、10年目までの下落率が小さく設定されているために、築10年が一番効率よく売却できる時期となっていますが、それはさておき、一番大事なのは、マンション価値が住宅ローン残債を常に上回っている、という点です。この点さえ確保していれば、住宅購入による自己破産を免れることができるからです。

 また、
マンション価値と住宅ローン残債の差はそのまま、プラスの資産となります。住宅ローンをこつこつと真面目に払っていけば、手元には自然と、妻や子に残せる財産ができることになります。この程度であれば相続税の要件にも引っかからないでしょうから、次の世代に自分の資産を渡すことができます。これは、私にとっては結構、心強く感じるものがあります。

 もちろん、今後、
相場が大きく変動したり、不動産価格が下落の一途をたどる場合には、負の資産となる可能性もあり、最終的にはどんなことがあっても住宅ローンを自分で支払えるだけに抑えることがまずは肝要です。その上であれば、不動産を長期に保有するということは、ほとんどの場合において資産にプラスになり、「勝ち組」になれる可能性が高い、と言うことができるのではないでしょうか。

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| 住宅ローンその他融資 | 23:25 | comments(2) | trackbacks(0) |
住宅ローンを支払う楽しみ−借金の重圧が開く不思議な世界
JUGEMテーマ:マンション

★ 本ブログでご紹介したとおり、ひょんなことから親族(娘)使用のセカンドハウスを持つことになり、住宅ローンの毎月の支払額が2倍以上になりました。元々借金をすることには罪悪感と負担感があり、「極力住宅ローンは借りたくない」と、武蔵小杉のマンションを購入するときは、物件価格の約半分を自己資金として投入し、営業の方から「よくこれだけ入れられますね」と言われたこともありました。

 しかし、
妻の分も含めて貯金を目いっぱい注ぎ込んだことにより、世帯としての手許の資金はン千万円からン百万円に急減し、「何かまとまった資金が必要になったらどうするんだ」我ながら心配になったこともありました。貯蓄額に余裕がなくなったので、生活も何となくせせこましくなって、心理的な余裕がなくなっていた覚えがあります。

 当時借りていた
住宅ローンは金利1.8%の10年固定、融資期間35年で、毎月支払額10万円ちょっとのうち元本に当てられるのが5.3万円ほどでスタート、元本の減が年間100万円にも遠く満たないスピードで、「自己資金をいっぱい入れた割には完済までの道のりは遠いなあ」がっくりきていました。

 その後は
少しでも元本の減りを増やそうと、住宅ローン借入れ3年足らずで早くも借換(金利1.3%、10年固定、融資期間29年)を実行、それから5年経った本年春に、再度借換えを目論んだ結果、現在の金融機関に融資期間短縮と金利引下げを行ってもらい(金利0.75%、5年固定、融資期間22年)当初に比べて金利は1%以上引き下げることに成功しました。これにより毎月支払額はさほど変えずに元本充当額が毎月9万円程度と改善してきました。

 そして、ここで
考え方の転機(?)が訪れます。以前も本ブログで書きましたが、ある出張先の宴会で、たまたま隣り合わせになった方(個人事業主)がえらく羽振りがよいので、「何だかすごく景気がいいですね」と話しかけたら、「その代わり借金もすごいけどな」とウインクされたのです。自己資金の中でかつかつにやる方法しか考えていなかった私にとって、「借金をすることでパイを広げる方法もあるんだなあ」と、気づかされたのでした。

 そんな目で
自分の財政状況を見ると、武蔵小杉のマンションに自己資金を目いっぱい入れたことにより、私の借入限度額にはまだ余裕があることがわかりました。「1回不動産に入れた自己資金はもう戻らない」とずっと後悔していたのですが、実はローンを組むという観点からは、自己資金を多く入れて借入額を減らしたことが、2戸目のマンション購入の道を開いてくれることになりました。

 ということで、
セカンドハウスへの住宅ローン額は、武蔵小杉のマンションのローン額の1.6倍もあります。しかし、借入金利が変動0.725%だったことと、融資期間を年齢が許す限りの長さとったので、毎月支払額は武蔵小杉の住宅ローン支払額の1.3倍で済んでいます。

 しかし、それでも
毎月の住宅ローン支払額は20数万円2戸のマンションの毎月の管理費・修繕積立金を合計すると毎月支払額は約30万円、これに加えて毎年の固定資産税・都市計画税の支払額は合計で35万円を超えてきます。「酔狂の世界だな」と自嘲しているのですが、2重の住宅ローンを支払い始めて、また心境の変化を感じています。
 
 「ああ、今月も支払えた」

 不思議なことに、住宅ローンの口座引落としをATMで印字するたびに、どことなく満足感を覚えるのです。「よくもまあ、こんなに支払って」自分でもあきれるのですが、一方で、「これで今月も約20万円分、2戸のマンションが自分のものになった」という気持ちがわいてきます。

 もちろん
物件の所有権は私にあるわけですが、いずれにも住宅ローンを介して融資銀行の抵当権がくっついています。毎月のローン支払いは、この抵当権をこつこつとはがしていき「真のオーナー」に近づいていく感覚です。

 幸い現在の
借入金利は2戸のマンションとも0.7%台ととても低く、元本返済が結構進んでいくイメージです。この感じは、自宅の貯金箱にこつこつと小銭を入れていく、苦しいけれど楽しい思いに似ています。

 「これって、あまりに支払いがきついので現実逃避の麻薬を打っている感覚?」なのかと自問自答しているのですが、精神的な充足感を感じているのは事実です。それにしても、あれだけ借金を警戒していた私がこんなにも借金を抱えることになるとは、「人間ってわからんもんだなあ」というのが今の率直な感想です。

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| 住宅ローンその他融資 | 20:03 | comments(6) | trackbacks(0) |
ついにマイナス金利の住宅ローン?−マンション買って200万円もらおう!
JUGEMテーマ:マンション

 「すごい時代になったなあ」

 私がため息をついて読んだのが、ある雑誌のマンション購入に関する記事でした。その記事では、金銭感覚に敏感なAさんマンション購入に踏み切った理由がこう書いてありました。

「今の
歴史的な低金利の住宅ローンと、消費税率アップに伴う住宅ローン減税の拡充と組み合わせれば、実質国が住宅ローンの元金を払ってくれることになりますから」

 私はこの記事に目を疑いましたが、確かにこの
驚くべき現象は現実のものとなっています。例えば、住宅ローン減税の優遇がある長期優良住宅のマンションについて、住信SBIネット銀行の住宅ローン5年固定、金利0.49%で、融資年限35年、融資額5,200万円借りたと仮定すると、1年目の利払いが251,729円に対し、住宅ローン減税額はその倍の50万円となり、国が248,271円分のローン元金を払ってくれたことになります。

 仮に
金利が6年目以降10年目まで0.49%で維持できた場合、10年間の利払い総額は約221万円となります。これに対し、住宅ローン減税額の10年間の合計額は、元金残高を考慮するとその倍の約443万円で、国が約222万円のローン元金を支払ってくれたことになります。

 したがって、
マンション価格が5,200万円だった場合、国が物件価格の4%を支払った上に、10年間は住宅ローンの金利を支払ったのに等しい効果です。私は昨年夏、ビックカメラでエアコン値引きしてもらった上に無利子ローンで割賦購入しましたが、この場合、国はビックカメラと同じような役割を果たしてくれています。また、これを金利で換算すると、実質マイナス0.5%程度となり、約200万円のキャッシュバックをされたようなものです。

 なぜこれがすごいことかというと、さる筋によれば、財務省は、国のお金が個人の資産形成につながることを極端に嫌がるからだそうです。例えば、新潟大震災の前までは、いかに震災で家が全壊しようとも、その住宅の再建に国費を投入しなかったということです。それが平時の、しかも利殖にもつながる高級マンションの購入に対して、所得制限を設けることなく、一律に減税しているわけです。

 ちなみに、上記の
融資額5,200万円の例では、毎月の支払額は134,754円になります。1年目は50万円が年末調整で戻ってきますから、実質支払いは毎月93,087円となります。例えば、長期優良住宅の認定を受けた坪単価350万円の23区内人気地の新築マンションの場合、5,200万円出せば50平米程度の住戸が購入できますが、23区内人気エリアの新築賃貸マンションでは毎月12万円の家賃で30平米程度のワンルームしか借りられません。

 しかも、当然のことながら、
賃貸住宅は、そのマンションに縛られない身軽さはあるものの、分譲マンションのように資産形成にはなりません。建物も分譲仕様の方がグレードが高く、住み心地がよく、専有面積が広く、将来の賃貸・売却も見込める、ということになります。

 夫婦共働きで、それぞれが住宅ローンを組めば、それぞれが住宅ローン減税を受けられることになります。上記の例では、1億400万円の億ションを購入し、夫婦合計で10年間最大1,000万円の住宅ローン減税額となります(ただし、住宅ローン返済途上で離婚する場合は、きれいに売却できないケースではもめる要因となるかもしれません)。

 さらに、
住宅ローン減税は、一生涯で一度受けたら終わり、というものではなく要件に合致する場合には、この制度が続いていれば何度でも受けることができます。例えば10年タームでその時々のライフスタイルに合ったマンションに買い換えていけば、その都度、そのときの条件の住宅ローン減税を受けることができます。

 また、
金融機関と相談してOKであれば、既存のマンションを人に貸してその賃料を得つつ、新しいマンションを購入して移り住むことで、既存マンション住宅ローン支払い後の賃料余剰益と住宅ローン減税を活かしつつ新マンションの住宅ローンを支払うことで、資産を増やしていくことも不可能ではありません

 現在、
マンション価格が高騰して、もはや不動産バブルの域ではないかと言われたりしていますが、それでも賃貸マンションを借り続けるよりは、多少マンション価格が中古市場で値下がりしたとしてもお得ではないかと思われます。経済情勢厳しい世の中ですが、国の住宅購入支援策をできるだけ上手に活用しながら生活防衛を図りたいものです。

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| 住宅ローンその他融資 | 20:19 | comments(6) | trackbacks(0) |
積み上がる変動金利の貸出残高−気になるバーゼル委員会の国債評価見直し
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★ 国土交通省は3月13日、『平成26年度民間住宅ローンの実態に関する調査の結果について』を公表しました。本日はこの内容についてご紹介したいと思います。

 まず、
個人向け住宅ローンの新規貸出額は、平成24年度は159,786億円、平成25年度は161,018億円であり、平成25年度の新規貸出額は前年度比0.8%増となりました。平成22年度からの変化を見ると毎年増加してきており、平成25年度は消費税率アップ前の駆け込み需要の伸びが予想されたのですが、現実にはそれほど大きな伸びではなかったことになります。業態別では地銀が57,048億円でトップ、都銀・信託銀行他が55,042億円で続いています。

 貸出残高については、平成24年度末時点では1,240,684億円、平成25年度末時点では1,275,62億円であり、平成25年度末の貸出残高は前年度末比2.8%増となっています。こちらは平成24年度の伸びよりも平成25年度の伸びの方がやや大きくなっています。また、業態別では都銀・信託銀行他が450,766億円とトップ、地銀が445,497億円とわずかの差で2番手につけています。上記の新規貸出額と考え合わせれば、昨今は資金の貸出先に悩む地銀の方がより住宅ローンの貸出に積極的であることが読み取れます。

 ただし、
新築住宅(新築マンション含む。)に対する住宅ローンの新規貸出額は、平成24年度は56,734億円、平成25年度は56,004億円であり、平成25年度の新規貸出額は前年度比1.3%減となっています。過去を見ると、平成23年度が前年度比較で大きく新規貸出額を伸ばしたのに対し、平成24年度は頭打ち、そして平成25年度は逆に減少に転じました。

 これに対し、
中古住宅(中古マンション含む。)に対する住宅ローンの新規貸出額は、平成24年度は10,953億円、平成25年度は11,251億円であり、平成25年度の新規貸出額は前年度比2.7%増となっています。最近では、平成23年度を谷として順調に新規貸出額が増えています。上記の新築住宅と合計した新規貸出額では0.6%減となっており、全体では微減にとどまっているとも言えます。

 これらのことから、
平成25年度は住宅ローン借入者の購入住宅が若干中古住宅にシフトしたと言え、これは最近のマンション価格高騰の影響を受けたものと考えられます。この調子でいけば、足元の平成26年度は更に中古住宅シフトが進んでいるものと予想されます。

 次に、
他の住宅ローンからの借り換えの実績すが、平成24年度は23,056億円、平成25年度は18,494億円であり、平成25年度の新規貸出額は前年度比19.8%減となっています。これは近年にはない落ち込み方で、低金利が続いている現状から、借り換えにメリットがありその意向がある者はほぼ借り換えを終えており、これ以上の伸びしろに乏しいのかもしれません。

 金利タイプでは、平成25年度は「変動金利型」(49.7%)の割合が最も多く、次いで「固定金利期間選択型」(35.2%)が多くなっています。ただし、変動金利型の割合は平成24年度の58.0%に比べればかなり減少しています。これは最近、固定金利選択型が変動金利と見まごうくらいに低金利になっており、3年もの、5年ものに至っては変動金利より低金利の商品もあったりすることが影響しているものと思われます。全期間固定金利型が近年になく多いのも(6.0%)、長期も含めた低金利トレンドによるものでしょう。

 一方、
貸出残高は、平成25年度末時点では「変動金利型」(52.4%)の割合が最も多く、次いで「固定金利期間選択型」(35.7%)が多くなっています。これは、年々変動金利型のシェアが大きくなっており、過去の住宅ローン借入が変動金利優勢であったことを物語っています。

 新規貸出額における固定金利選択型の内訳を見ると、平成25年度は「固定金利期間選択型(10年)」(64.8%)の割合が最も多く、次いで「固定金利期間選択型(3年)」(16.5%)が多くなっています。この傾向はここ数年あまり変わっておらず、固定金利でもより安定を求める10年型と、変動金利より低い金利を追求する3年型で人気が分かれるようです。ただ、貸出残高で見ると、「固定金利期間選択型(10年)」のシェアが年々大きくなっています。

 気になるのは、
固定期間10年超の住宅ローンのリスクヘッジ方法を貸出機関に聞いたところ、平成26年度調査では「リスクヘッジは特に行っていない」が47.0%と最も多くなっていることです。既にその裏づけとなる国債を充てているのでリスクヘッジの必要はないということかもしれませんが、融資側も債権としての年限バランスに留意する必要はあると思います。

 また、
借入側としては、変動金利の貸出残高が住宅ローン全体の過半となったことに注意すべきです。本年1月、 バーゼル銀行監督委員会(バーゼル委員会)は、銀行が保有する国債のリスクウエートをゼロとする規定について、見直しを開始したと表明しています。

 これが
現実に基準改定となれば、現在、収益の大半を国債購入で賄っている日本の金融機関は見直しを余儀なくされ、大量の国債売却を引き起こさないとも限らず、その結果としての国債暴落、金利急騰という破綻シナリオも可能性ゼロではありません。

 もちろんそのときは
極めて低い国債調達コストでなんとか回っている国の財政運営が窮地に陥るのですが、それと同じように極めて低い金利の変動金利を前提に住宅ローンを組んでいる家計も窮地に陥ります。自らに合ったリスクヘッジとは何か各々で考えておく必要はありそうです。

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| 住宅ローンその他融資 | 20:14 | comments(0) | trackbacks(0) |