金融機関の融資姿勢が厳しくなっている?−明るくないマンション市場の未来

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★ 『世田谷に利回り7%以上の新築RC一棟マンションを持とう!』−5〜6年前、昼休みに本屋に行き、熱心に立ち読みしたのがこの本です。買って読むほど現実味がないため、立ち読みで失礼したのですが、城南エリアに新築一棟RCマンションを所有する、という夢のようなコンセプトは魅力十分でした。

 その時は、郊外であれば新築アパートで利回り10%は普通にあり、
「こんないい場所で、しかもRCマンションだからどんなに頑張っても利回り7%でしょうがないんだよね」と思っていました。その後も「新築RCマンション一棟オーナー」の夢は断ち切れず、3〜4年前に思い切って、この本を書いた著者が代表を務める不動産会社に電話をしてみました。

「…その時はそうだったのですが、今は土地の値段や建築費がかなり上がりまして、6%を切るものも出てきました」
「ええっ、それじゃあ、利益はほとんど出ませんね」

 私は気落ちして電話を切りました。持てるはずもないものを気落ちする必要はないのですが、ひょとして将来、というかすかな希望を抱いていたのです。しかし、この様子だと、例え城南エリアに新築RCマンション一棟を所有できたとしても、日々の家計をむやみに圧迫し、破産するしかないものになりつつあると感じたのでした。

 ところが、その後も城南エリアの新築一棟RCマンションの利回りはどんどん低下し、
今や利回り5%を切る水準となっています。これでも売れるのは、日銀の金融政策の異次元緩和により融資金利が極限まで低下し、利益が出ないまでも何とか回る水準を保っているからのようでした。

 しかし、そのような状況も今や危うくなっています。先日、ふとしたことで不動産業者のAさんとゆっくりお話する機会がありました。話の中で、Aさんは、城南のある土地の販売図面を私に見せてくれました。


「これ、かわいそうな土地でね」
「は?もしかして、事故物件ですか?」
「いや、そうじゃなくて、なんだかお客さんに縁がないのよ。仕入れたのは半年前で、問い合わせは毎日のようにあるのに、成約しなくて」
「よさそうなのに、不思議ですね」
「この間、やっと契約までこぎつけたら、ローンキャンセルになっちゃってがっくり」
「あらら」
「とにかく今は融資が通りにくい。この土地は投資用に適した土地で、価格も手ごろだから、ちょっと前ならあっという間に売れる土地だったのに」
「今、だめなんですか」
「この手の土地に目をつける人は、たいてい既に2〜3棟、マンションを所有してるサラリーマン」
「え、サラリーマンで」
「いや、そういう人結構いるよ。で、今までの投資の延長線上で買付を入れてくるんだけど、最近は金融機関から『もうほどほどになさい』と言われるんだって。だから、買えるつもりの問い合わせは多いのに、結局誰も買えない」
「そうですか…」
「プロが手を出す規模じゃないしね。本当困っちゃう。それで●●さん(私)、買ってくれるとうれしいんだけど」
「あ、いや」

 最近読んだ新聞記事では、マイナス金利に追い込まれて
投資ローンに突っ込んでいる地銀・信用金庫に対する金融庁の監督が厳しくなっているようで、1〜2年前の積極的な融資スタンスが影を潜めつつあります。これは、不動産に資金を傾けてきた個人投資家の資金源を止めることとなります。

 これは実需のマンション市場とは関係ないではないか、とも思われますが、実は
分譲マンションの買い手にも一定程度は投資家が存在し、これは人気の都心・高額・タワーマンションほど投資の占める割合が高くなる傾向があります。

 今までマンション市場をけん引してきたこれらの好立地高級タワーマンションの買い手が減ることは、やはり
実需のマンション市場にも少なからぬ影響を与えます。価格高騰へのブレーキがかかることは良いことかもしれませんが、元来マンション販売は利幅が少ないだけに、デベロッパーの新築マンション供給が細り、購入検討者にとって選択肢が狭まることにもなりかねません。
 
 Aさんの困ったような声からは、
買い手にとっても売り手にとっても明るくないマンション市場の未来が見えるようで、やや寒い気持ちになったのでした。

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| 住宅ローンその他融資 | 20:07 | comments(2) | trackbacks(0) |
8月のマンション市場も低調−ペイしない新築マンションからの資金逃避か

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★ 9月15日付SUUMOジャーナルによれば、不動産経済研究所は9月14日、2016年8月度・首都圏の「マンション市場動向」を発表しました。

 2016年8月の新規発売戸数は1,966戸で、対前年同月(2,610戸)比24.7%減、対前月(3,317戸)比40.7%減です。地域別発売戸数は、東京都区部623戸、都下153戸、神奈川県618戸、埼玉県350戸、千葉県222戸で、東京都のシェアは39.5%でした。

 新規発売戸数に対する契約戸数は1,310戸で、
月間契約率は66.6%と、前月の63.3%に比べて3.3ポイントアップ、前年同月の74.3%に比べて7.7ポイントダウンしました。地域別契約率は都区部60.8%、都下56.9%、神奈川県72.2%、埼玉県74.0%、千葉県62.6%でした。

 1戸当り平均価格、1平米当り単価は、5,662万円、79.8万円です。2016年7月は5,656万円、80.6万円でしたので、前月比総額では6万円(0.1%)のアップ、平米単価は0.8万円(1.0%)ダウンとなりました。

 8月の地域別平均価格、1平米当り分譲単価は、東京都区部7,238万円・107.0万円、都下4,909万円・67.3万円、神奈川県5,939万円・82.9万円、埼玉県3,758万円・52.1万円、千葉県3,988万円・53.4万円です。


 即日完売は33戸(全体の1.7%)で、【フラット35】登録物件戸数は1,937戸(同98.5%)でした。

 以上がSUUMOジャーナルの記事の概要です。この記事は、不動産経済研究所のプレスリリース『首都圏のマンションの市場動向−2016年8月度−』を基にしていますので、以下その内容を見ていくこととします。

 まず、8月の発売戸数1,966戸ですが、前年同月が2,610戸、一昨年同月が2,110戸ですので、またしても
3年間で最低の発売戸数となりました。8月はモデルルームも夏季休暇を取り、例年一休みの季節なのですが、それにしても低調でした。

 契約率は66.6%で、
販売戸数の3分の1が売れなかったことになります。これで契約率70%割れは3か月連続、今年1〜8月のうち6か月は70%を割っている状態です。地域別では23区の契約率が60.8%と、これまで販売を牽引してきた23区で売れ行きが悪いのが特徴です。

 これは、マンション購入者の23区志向が薄れたというより、
23区のマンション価格があまりに高くなりすぎたことに起因しています。したがって、23区の発売戸数は前年同月比45.4%減、以前は50%を超えていた地域別シェアも31.7%にとどまるなど、販売も手控えられています。

 1戸当たり平均価格は5,662万円と、グラフ上は「凪」状態が続いています。通常は、話題の高級マンションが爆発的に売れる月があって、その月は平均価格が跳ね上がるのですが、本年はそのような兆候が見られず、
皆の注目を集める羨望の高級マンションが乏しいことがわかります。

 ただ、このところ増加が続いていた
在庫数が270戸減少したのは良い兆候で、販売を絞った分、売れ残った住戸に目が向いた格好です。即日完売物件は、『Brillia(ブリリア) Tower 上野池之端』第1期5次12戸など4物件33戸に過ぎず、淋しい結果となりました。

 なお、タワー物件については12物件435戸の販売で契約率73.1%と、まずまずの結果を出しています。

 都区部における間取り別の契約率は、ワンルームが40%、1Kが25%、1DKが0%、1LDKが44%、2DKが14%、2LDKが53%、3LDKが67%、4LDKが61%と、売れ筋が投資用から実需用へとシフトしてきました。というより、
実需の売れ行きがそれほど変わっていない反面、投資用物件の購入意欲が減退していることがわかります。

 これは、本年5月28日付のブログ『大人気の『パークリュクス白金高輪』は投資対象として適格性があるのか』で書いたように、
投資用物件が投資対象になり難いほど物件価格が上昇してしまったことによると考えます。

 もともと新築マンションは投資としてのうま味が少ないだけに、より高利回りが狙える中古物件、一棟ものアパート・マンション物件等に投資資金がシフトしているのかもしれません。いずれにせよ、
投資用としてのインカムゲインが期待できず、かといって物件価格の高騰からキャピタルゲインも信じられなくなっている現状が、新築マンション市場を冷えさせているとも言えるでしょう。

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| 住宅ローンその他融資 | 19:53 | comments(2) | trackbacks(0) |
ついに住宅ローン金利0.35%!−「歴史的低金利」の中で確実に言えること

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★ 本日、仲介業者さんからいただいたメールに次のようなものがありました。

「三井住友信託銀行の金利情報です。現在、5年固定が0.35%、10年固定が0.4%、30年固定が0.8%です。固定金利でのこの水準は魅力的だと感じております。」

 ついにここまで来たか、という水準です。本年頭に日銀がマイナス金利を発表して以来、国債10年物金利は順調に(?)低下し、英国のEU離脱騒動を受けて、本日現在−0.235%と史上最低の金利レベルにまで低下しています。上記の固定金利がどのような算出の下に決められているのか、門外漢の私にはわかりませんが、これでもしっかり利ザヤが出る水準なのでしょう。

 思えば私が8年前に住宅ローンを借りたときは、10年固定で1.8%という水準でした。それでも売買契約からローン実行までの2〜3年の間に各金融機関の金利や条件をじっくり比較し、
「これ以上のベストの選択はない」と自信を持って選んだ商品でした。そして、今後は金利が上昇すると読んで、10年間はこのローンを払い続けるつもりでいたのです。

 しかし、金利はその後も上がることはなく、それどころかますます低下傾向を示し、私もこの8年間の間に借換えと金利変更を行い、
現在は0.750%の条件を得ています。「ずいぶん得したな」と喜んだのですが、実は今、三井住友信託銀行に借り換えたら、0.35%〜0.4%の金利が享受できたわけです。

 私が当初融資を受けた額は3千万円でした。この金利を上記に挙げた1.8%、0.75%、0.35%で比較すると、融資期間30年の場合、毎月支払額はそれぞれ10.8万円、9.3万円、8.8万円となり、私がもし同じマンションを今購入したとするならば、
月々の支払いは2万円も少なくてすむことになります。

 しかも10年後のローン残高は、それぞれ2,170万円、2,070万円、2,035万円となり、
月々2万円支払い額が少ないのに、ローン残高は135万円軽くなっています。また、総支払額は、それぞれ3,880万円、3,350万円、3,160万円となり、金利分の支払い額で考えれば、8年前購入では880万円のところ今は160万円で済み、その差は5.5倍にもなります。

 さらに上記の場合、住宅ローン減税額は合計で約250万円ほどは税額控除がありますので、金利0.35%の場合は
実質10年間は無金利で、逆に90万円のキャッシュバックを受けた計算になります。

 見方を変えて、月々の支払いが10.8万円とした場合、金利0.35%、融資期間30年という条件での
借入可能額は3,690万円となります。当初の物件価格が3,000万円とすると、その時と比べて23%価格が上昇したとしても支払額はほぼ変わらない計算です。

 ただし、23区物件だとこの8年間で2割超は物件価格が上昇していますから、お得感は感じられないのですが、家計としての負担感は等しいところに救いがあると言えます。

 こうしてみてくると、私がマンションを購入した8年前に比べれば、
融資環境は比較にならないくらい良くなっていると言えます。ただ、その8年前も「歴史的低金利」と騒がれて、「今が購入のチャンス!」と喧伝されていたわけですので、「本当に今度こそベスト」と言い切れないところが、住宅購入の難しさであり、面白さでもあります。

 しかし、マーケットに左右されずに
確実に言えるのは、「私たちは日々年を取っていく」ということです。これだけは融資期間においても、マンションで過ごせる時間という意味でも、「今がチャンス!」と考えてよい唯一の条件だと思います。

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| 住宅ローンその他融資 | 20:05 | comments(2) | trackbacks(0) |
中古価格とローン残高の関係−マンション所有者「勝ち組」の法則
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★ 8日付家みつかわら版には、『マンション価格、中古になるとどのくらい下がるの?』と題して、以下の内容の記事を掲載しています。

 『
中古マンションの価格は、主に築年数や立地(利便性や周囲の環境)、階数や方位(リビングなどの向き)、管理状態などで決まってきますが、一般的には仲介を依頼した不動産会社が取引事例比較法によって査定し、その査定価格を参考に売主が売却値段を決めます。取引事例比較法というのは、同じ地域での類似する物件の取引事例を参考に値段をつけるもので、最もウエイトが大きくなる判断要素は築年数となります。

 中古マンションの築年数による価格下落の度合いすが、一般的に築10年までで年に1.5%、築10〜20年で年に2%、築20年以上で年に2.5%ずつ価格が安くなっていきます。平均すると年に2%ずつ下がる計算で、専有面積の1坪(3.3平方メートル)当たり単価でみると年に4万円ずつ下落していきます。専有面積20坪(66平方メートル)のマンションなら、年に80万円ずつ価値が下がっていくことになります。この1坪当たり年4万円の下落は立地に関係なく、都心でも郊外でも同じように下がる傾向があります。

 たとえば、専有面積20坪(66平方メートル)の新築マンションの価格が
都心で4,000万円(坪単価200万円)、郊外で3,000万円(同150万円)とします。年に同じように坪当たり4万円下がると、下落率は都心で年2%、郊外で2.7%と、郊外の方が下落の度合いが高くなります。これは、都心は地価が高く、都心のマンション価格の場合、価値が下がりにくい土地のウエイトが高くなっているからです。

 対応策としては2つあります。

 ひとつは、
築年が経過してもマンションの価値が落ちにくい好立地で物件を探すことです。先ほども述べましたが、坪単価が高いところほど下落率は低くなります。最初から買い換えを考えているのであれば、価格は高くても、その後の価値が落ちにくい好立地の物件を選ぶことです。マンションは一に立地、二に立地です。

 もうひとつの対応策は、価格の下落分以上にローンの元本を減らしていくことです。たとえば、先ほど例に挙げた専有面積20坪(66平方メートル)の新築マンションを都心で4000万円(坪単価200万円)で購入した場合、年に80万円(4万円×20坪)ずつ価格が下落する計算です。ローンの元本返済を年80万円以上に設定しておけば、売却時に元本返済額と下落分の差額がキャッシュで手に入ることになります。』

 以上が家みつかわら版の記事の概要です。これからわかることはやはり、
地価の高い、人気のあるところほど価値も落ちにくい、ということで、つまり都心高級物件ほど価格は維持されるという意味で、マンションというものは、構造的に、貧富の差を拡大させる効果を有するものだと言うことができます。

 ただ、
私たち一般サラリーマンでも、そんなに損をせずにマンションを所有し、生活することは可能です。マンション所有者の最大のリスクは、マンション価格の下落であるわけですが、上記の価格下落率を見れば、それほど心配はないことがわかります。

 上記記事の都心坪単価200万円の物件例は今やあり得ませんので、例えば
湾岸マンション、坪単価310万円と設定し、専有面積70平米、分譲価格6,560万円の物件でシミュレーションしてみます。

 価格下落率を上記記事のとおり設定すると、
築年数ごとの中古価格は以下のとおりとなります。

1年 6,462万円   5年 6,068万円  10年 5,576万円  
15年 4,920万円  20年 4,264万円  25年 3,444万円
30年 2,624万円


 そして、本マンション購入のために、全額をフラット35、現在の金利1,680%、融資期間35年で住宅ローンを借りたとすると、各年の住宅ローン残債額は次の通りです。

1年 6,421万円   5年 5,842万円  10年 5,060万円
15年 4,211万円  20年 3,287万円  25年 2,282万円
30年 1,189万円


 この結果、各築年数時点で本物件を売却した場合、手元に残るお金は、次の通りです。

1年   41万円   5年  226万円  10年  516万円
15年  709万円  20年  977万円  25年 1,162万円
30年 1,435万円


 また、仮に住宅ローン負担=家賃と置き換えると、実質の月額家賃は、次の通りです。

1年 17.3万円   5年 16.9万円  10年 16.4万円
15年 16.7万円  20年 16.6万円  25年 16.8万円
30年 16.7万円


 家賃との置き換えでは、10年目までの下落率が小さく設定されているために、築10年が一番効率よく売却できる時期となっていますが、それはさておき、一番大事なのは、マンション価値が住宅ローン残債を常に上回っている、という点です。この点さえ確保していれば、住宅購入による自己破産を免れることができるからです。

 また、
マンション価値と住宅ローン残債の差はそのまま、プラスの資産となります。住宅ローンをこつこつと真面目に払っていけば、手元には自然と、妻や子に残せる財産ができることになります。この程度であれば相続税の要件にも引っかからないでしょうから、次の世代に自分の資産を渡すことができます。これは、私にとっては結構、心強く感じるものがあります。

 もちろん、今後、
相場が大きく変動したり、不動産価格が下落の一途をたどる場合には、負の資産となる可能性もあり、最終的にはどんなことがあっても住宅ローンを自分で支払えるだけに抑えることがまずは肝要です。その上であれば、不動産を長期に保有するということは、ほとんどの場合において資産にプラスになり、「勝ち組」になれる可能性が高い、と言うことができるのではないでしょうか。

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| 住宅ローンその他融資 | 23:25 | comments(2) | trackbacks(0) |
住宅ローンを支払う楽しみ−借金の重圧が開く不思議な世界
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★ 本ブログでご紹介したとおり、ひょんなことから親族(娘)使用のセカンドハウスを持つことになり、住宅ローンの毎月の支払額が2倍以上になりました。元々借金をすることには罪悪感と負担感があり、「極力住宅ローンは借りたくない」と、武蔵小杉のマンションを購入するときは、物件価格の約半分を自己資金として投入し、営業の方から「よくこれだけ入れられますね」と言われたこともありました。

 しかし、
妻の分も含めて貯金を目いっぱい注ぎ込んだことにより、世帯としての手許の資金はン千万円からン百万円に急減し、「何かまとまった資金が必要になったらどうするんだ」我ながら心配になったこともありました。貯蓄額に余裕がなくなったので、生活も何となくせせこましくなって、心理的な余裕がなくなっていた覚えがあります。

 当時借りていた
住宅ローンは金利1.8%の10年固定、融資期間35年で、毎月支払額10万円ちょっとのうち元本に当てられるのが5.3万円ほどでスタート、元本の減が年間100万円にも遠く満たないスピードで、「自己資金をいっぱい入れた割には完済までの道のりは遠いなあ」がっくりきていました。

 その後は
少しでも元本の減りを増やそうと、住宅ローン借入れ3年足らずで早くも借換(金利1.3%、10年固定、融資期間29年)を実行、それから5年経った本年春に、再度借換えを目論んだ結果、現在の金融機関に融資期間短縮と金利引下げを行ってもらい(金利0.75%、5年固定、融資期間22年)当初に比べて金利は1%以上引き下げることに成功しました。これにより毎月支払額はさほど変えずに元本充当額が毎月9万円程度と改善してきました。

 そして、ここで
考え方の転機(?)が訪れます。以前も本ブログで書きましたが、ある出張先の宴会で、たまたま隣り合わせになった方(個人事業主)がえらく羽振りがよいので、「何だかすごく景気がいいですね」と話しかけたら、「その代わり借金もすごいけどな」とウインクされたのです。自己資金の中でかつかつにやる方法しか考えていなかった私にとって、「借金をすることでパイを広げる方法もあるんだなあ」と、気づかされたのでした。

 そんな目で
自分の財政状況を見ると、武蔵小杉のマンションに自己資金を目いっぱい入れたことにより、私の借入限度額にはまだ余裕があることがわかりました。「1回不動産に入れた自己資金はもう戻らない」とずっと後悔していたのですが、実はローンを組むという観点からは、自己資金を多く入れて借入額を減らしたことが、2戸目のマンション購入の道を開いてくれることになりました。

 ということで、
セカンドハウスへの住宅ローン額は、武蔵小杉のマンションのローン額の1.6倍もあります。しかし、借入金利が変動0.725%だったことと、融資期間を年齢が許す限りの長さとったので、毎月支払額は武蔵小杉の住宅ローン支払額の1.3倍で済んでいます。

 しかし、それでも
毎月の住宅ローン支払額は20数万円2戸のマンションの毎月の管理費・修繕積立金を合計すると毎月支払額は約30万円、これに加えて毎年の固定資産税・都市計画税の支払額は合計で35万円を超えてきます。「酔狂の世界だな」と自嘲しているのですが、2重の住宅ローンを支払い始めて、また心境の変化を感じています。
 
 「ああ、今月も支払えた」

 不思議なことに、住宅ローンの口座引落としをATMで印字するたびに、どことなく満足感を覚えるのです。「よくもまあ、こんなに支払って」自分でもあきれるのですが、一方で、「これで今月も約20万円分、2戸のマンションが自分のものになった」という気持ちがわいてきます。

 もちろん
物件の所有権は私にあるわけですが、いずれにも住宅ローンを介して融資銀行の抵当権がくっついています。毎月のローン支払いは、この抵当権をこつこつとはがしていき「真のオーナー」に近づいていく感覚です。

 幸い現在の
借入金利は2戸のマンションとも0.7%台ととても低く、元本返済が結構進んでいくイメージです。この感じは、自宅の貯金箱にこつこつと小銭を入れていく、苦しいけれど楽しい思いに似ています。

 「これって、あまりに支払いがきついので現実逃避の麻薬を打っている感覚?」なのかと自問自答しているのですが、精神的な充足感を感じているのは事実です。それにしても、あれだけ借金を警戒していた私がこんなにも借金を抱えることになるとは、「人間ってわからんもんだなあ」というのが今の率直な感想です。

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| 住宅ローンその他融資 | 20:03 | comments(6) | trackbacks(0) |
ついにマイナス金利の住宅ローン?−マンション買って200万円もらおう!
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 「すごい時代になったなあ」

 私がため息をついて読んだのが、ある雑誌のマンション購入に関する記事でした。その記事では、金銭感覚に敏感なAさんマンション購入に踏み切った理由がこう書いてありました。

「今の
歴史的な低金利の住宅ローンと、消費税率アップに伴う住宅ローン減税の拡充と組み合わせれば、実質国が住宅ローンの元金を払ってくれることになりますから」

 私はこの記事に目を疑いましたが、確かにこの
驚くべき現象は現実のものとなっています。例えば、住宅ローン減税の優遇がある長期優良住宅のマンションについて、住信SBIネット銀行の住宅ローン5年固定、金利0.49%で、融資年限35年、融資額5,200万円借りたと仮定すると、1年目の利払いが251,729円に対し、住宅ローン減税額はその倍の50万円となり、国が248,271円分のローン元金を払ってくれたことになります。

 仮に
金利が6年目以降10年目まで0.49%で維持できた場合、10年間の利払い総額は約221万円となります。これに対し、住宅ローン減税額の10年間の合計額は、元金残高を考慮するとその倍の約443万円で、国が約222万円のローン元金を支払ってくれたことになります。

 したがって、
マンション価格が5,200万円だった場合、国が物件価格の4%を支払った上に、10年間は住宅ローンの金利を支払ったのに等しい効果です。私は昨年夏、ビックカメラでエアコン値引きしてもらった上に無利子ローンで割賦購入しましたが、この場合、国はビックカメラと同じような役割を果たしてくれています。また、これを金利で換算すると、実質マイナス0.5%程度となり、約200万円のキャッシュバックをされたようなものです。

 なぜこれがすごいことかというと、さる筋によれば、財務省は、国のお金が個人の資産形成につながることを極端に嫌がるからだそうです。例えば、新潟大震災の前までは、いかに震災で家が全壊しようとも、その住宅の再建に国費を投入しなかったということです。それが平時の、しかも利殖にもつながる高級マンションの購入に対して、所得制限を設けることなく、一律に減税しているわけです。

 ちなみに、上記の
融資額5,200万円の例では、毎月の支払額は134,754円になります。1年目は50万円が年末調整で戻ってきますから、実質支払いは毎月93,087円となります。例えば、長期優良住宅の認定を受けた坪単価350万円の23区内人気地の新築マンションの場合、5,200万円出せば50平米程度の住戸が購入できますが、23区内人気エリアの新築賃貸マンションでは毎月12万円の家賃で30平米程度のワンルームしか借りられません。

 しかも、当然のことながら、
賃貸住宅は、そのマンションに縛られない身軽さはあるものの、分譲マンションのように資産形成にはなりません。建物も分譲仕様の方がグレードが高く、住み心地がよく、専有面積が広く、将来の賃貸・売却も見込める、ということになります。

 夫婦共働きで、それぞれが住宅ローンを組めば、それぞれが住宅ローン減税を受けられることになります。上記の例では、1億400万円の億ションを購入し、夫婦合計で10年間最大1,000万円の住宅ローン減税額となります(ただし、住宅ローン返済途上で離婚する場合は、きれいに売却できないケースではもめる要因となるかもしれません)。

 さらに、
住宅ローン減税は、一生涯で一度受けたら終わり、というものではなく要件に合致する場合には、この制度が続いていれば何度でも受けることができます。例えば10年タームでその時々のライフスタイルに合ったマンションに買い換えていけば、その都度、そのときの条件の住宅ローン減税を受けることができます。

 また、
金融機関と相談してOKであれば、既存のマンションを人に貸してその賃料を得つつ、新しいマンションを購入して移り住むことで、既存マンション住宅ローン支払い後の賃料余剰益と住宅ローン減税を活かしつつ新マンションの住宅ローンを支払うことで、資産を増やしていくことも不可能ではありません

 現在、
マンション価格が高騰して、もはや不動産バブルの域ではないかと言われたりしていますが、それでも賃貸マンションを借り続けるよりは、多少マンション価格が中古市場で値下がりしたとしてもお得ではないかと思われます。経済情勢厳しい世の中ですが、国の住宅購入支援策をできるだけ上手に活用しながら生活防衛を図りたいものです。

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| 住宅ローンその他融資 | 20:19 | comments(6) | trackbacks(0) |
積み上がる変動金利の貸出残高−気になるバーゼル委員会の国債評価見直し
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★ 国土交通省は3月13日、『平成26年度民間住宅ローンの実態に関する調査の結果について』を公表しました。本日はこの内容についてご紹介したいと思います。

 まず、
個人向け住宅ローンの新規貸出額は、平成24年度は159,786億円、平成25年度は161,018億円であり、平成25年度の新規貸出額は前年度比0.8%増となりました。平成22年度からの変化を見ると毎年増加してきており、平成25年度は消費税率アップ前の駆け込み需要の伸びが予想されたのですが、現実にはそれほど大きな伸びではなかったことになります。業態別では地銀が57,048億円でトップ、都銀・信託銀行他が55,042億円で続いています。

 貸出残高については、平成24年度末時点では1,240,684億円、平成25年度末時点では1,275,62億円であり、平成25年度末の貸出残高は前年度末比2.8%増となっています。こちらは平成24年度の伸びよりも平成25年度の伸びの方がやや大きくなっています。また、業態別では都銀・信託銀行他が450,766億円とトップ、地銀が445,497億円とわずかの差で2番手につけています。上記の新規貸出額と考え合わせれば、昨今は資金の貸出先に悩む地銀の方がより住宅ローンの貸出に積極的であることが読み取れます。

 ただし、
新築住宅(新築マンション含む。)に対する住宅ローンの新規貸出額は、平成24年度は56,734億円、平成25年度は56,004億円であり、平成25年度の新規貸出額は前年度比1.3%減となっています。過去を見ると、平成23年度が前年度比較で大きく新規貸出額を伸ばしたのに対し、平成24年度は頭打ち、そして平成25年度は逆に減少に転じました。

 これに対し、
中古住宅(中古マンション含む。)に対する住宅ローンの新規貸出額は、平成24年度は10,953億円、平成25年度は11,251億円であり、平成25年度の新規貸出額は前年度比2.7%増となっています。最近では、平成23年度を谷として順調に新規貸出額が増えています。上記の新築住宅と合計した新規貸出額では0.6%減となっており、全体では微減にとどまっているとも言えます。

 これらのことから、
平成25年度は住宅ローン借入者の購入住宅が若干中古住宅にシフトしたと言え、これは最近のマンション価格高騰の影響を受けたものと考えられます。この調子でいけば、足元の平成26年度は更に中古住宅シフトが進んでいるものと予想されます。

 次に、
他の住宅ローンからの借り換えの実績すが、平成24年度は23,056億円、平成25年度は18,494億円であり、平成25年度の新規貸出額は前年度比19.8%減となっています。これは近年にはない落ち込み方で、低金利が続いている現状から、借り換えにメリットがありその意向がある者はほぼ借り換えを終えており、これ以上の伸びしろに乏しいのかもしれません。

 金利タイプでは、平成25年度は「変動金利型」(49.7%)の割合が最も多く、次いで「固定金利期間選択型」(35.2%)が多くなっています。ただし、変動金利型の割合は平成24年度の58.0%に比べればかなり減少しています。これは最近、固定金利選択型が変動金利と見まごうくらいに低金利になっており、3年もの、5年ものに至っては変動金利より低金利の商品もあったりすることが影響しているものと思われます。全期間固定金利型が近年になく多いのも(6.0%)、長期も含めた低金利トレンドによるものでしょう。

 一方、
貸出残高は、平成25年度末時点では「変動金利型」(52.4%)の割合が最も多く、次いで「固定金利期間選択型」(35.7%)が多くなっています。これは、年々変動金利型のシェアが大きくなっており、過去の住宅ローン借入が変動金利優勢であったことを物語っています。

 新規貸出額における固定金利選択型の内訳を見ると、平成25年度は「固定金利期間選択型(10年)」(64.8%)の割合が最も多く、次いで「固定金利期間選択型(3年)」(16.5%)が多くなっています。この傾向はここ数年あまり変わっておらず、固定金利でもより安定を求める10年型と、変動金利より低い金利を追求する3年型で人気が分かれるようです。ただ、貸出残高で見ると、「固定金利期間選択型(10年)」のシェアが年々大きくなっています。

 気になるのは、
固定期間10年超の住宅ローンのリスクヘッジ方法を貸出機関に聞いたところ、平成26年度調査では「リスクヘッジは特に行っていない」が47.0%と最も多くなっていることです。既にその裏づけとなる国債を充てているのでリスクヘッジの必要はないということかもしれませんが、融資側も債権としての年限バランスに留意する必要はあると思います。

 また、
借入側としては、変動金利の貸出残高が住宅ローン全体の過半となったことに注意すべきです。本年1月、 バーゼル銀行監督委員会(バーゼル委員会)は、銀行が保有する国債のリスクウエートをゼロとする規定について、見直しを開始したと表明しています。

 これが
現実に基準改定となれば、現在、収益の大半を国債購入で賄っている日本の金融機関は見直しを余儀なくされ、大量の国債売却を引き起こさないとも限らず、その結果としての国債暴落、金利急騰という破綻シナリオも可能性ゼロではありません。

 もちろんそのときは
極めて低い国債調達コストでなんとか回っている国の財政運営が窮地に陥るのですが、それと同じように極めて低い金利の変動金利を前提に住宅ローンを組んでいる家計も窮地に陥ります。自らに合ったリスクヘッジとは何か各々で考えておく必要はありそうです。

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| 住宅ローンその他融資 | 20:14 | comments(0) | trackbacks(0) |
住宅ローン借換は本当にお得?−具体的なシミュレーションを公開
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★ 「うーむ」

今、個人的に迷っているのが
住宅ローンの借換を行うべきか否か、ということです。約5年前、地元のJAから借りた金利1.8%・10年固定の住宅ローンを見直し、地元に近い信用金庫で金利1.3%・10年固定の住宅ローンに乗り換えました。このとき大きかったのが「保証料不要」という条件で、JAに収めていた保証料のうち約60万円が戻ってきて、金利も当時十分低かったですし、「これで10年間は安泰」と満足していたのですが、予想に反して金利はますます低下し、今や10年固定1.3%は「高い」水準にさえなってきました。

 昨年から思っていたのは、「
もうすぐ固定期間が5年になるし、その時点で三井住友信託銀行の低利な住宅ローンを5年固定で借り換えればリスクがないな」ということで、この8月に5年目を迎えるので、「ここが借換のタイミング」と定めてきたのです。ところが、年末年始にかけて国債がどんどん買われ、2月の住宅ローン金利は史上最低を更新、逆に足元では国債が不安定な動きになってきて、昨日は10年物国債の入札が不調だったこともあって金利が急騰「少し早いけどもう借り換えた方がいいのかな」と考え始めました。

 個人情報で恐縮ですが、今私の
住宅ローンの残債は2月末で2,551万円ありますので、これを使って借り換えのシミュレーションをしてみたいと思います。このまま現在の住宅ローンを残期間の25年間借り続けた場合は、毎月の支払額が103,159円、5年後の残債は2,083万円です。

 これに対し、
金利が最も低い住信SBIネット銀行では5年固定で0.49%ですので、融資期間25年で計算すると、毎月支払額が90,365円、5年後の残債が2,065万円となります。この場合、毎月の支払額は12,794円助かりますが、5年後の残債は18万円しか減らない計算です。借換にかかる諸費用は経験則から30万円程度かかり、かつ、住信SBIネット銀行は融資手数料が融資総額の2.16%かかりますので55万円加算で、「割に合わない」結果となります。

 私は
毎月支払額を減らしたいわけではないので、上記条件の融資年限を4年縮めて21年としてみると、毎月支払額が106,548円と今より3,389円増えますが、5年後の残債は1,967万円で、現在の住宅ローンの5年後残債より116万円減ることになります。一方で、諸費用+融資手数料が85万円ですので、実質軽減は31万円、そのうち毎月支払い増貢献分が20万円ですので、得をした額は11万円となります。

 一方、
三井住友信託銀行は、金利は住信SBIネット銀行にわずかに及ばないものの、融資手数料が32,400円で済み、保証料は金利0.2%上乗せでも対応可能です。これを踏まえ、5年固定、家計応援プラン込みで0.02%引き下げ、保証料0.2%上乗せ後金利0.73%、融資年限22年で計算すると、毎月支払額104,625円、5年後の残債が2,007万円で、現在の住宅ローンの5年後残債より76万円減ることとなります。このうち諸費用・手数料で33万円程度かかり、かつ、毎月支払い増分が9万円ですので、得をした額は34万円となります。

 ちなみに、
保証料を一括して支払った場合、あらかじめ41万円必要で、5年後には26万円戻ってくる計算となり、5年間の保証料は15万円程度です。金利は0.53%で毎月支払額は102,393万円、5年後残債は1,997万円で毎月支払減分が5万円ですので、結局保証料金利上乗せプランとほぼ変わらないお得度になります。

 一方、この際、
金利が十分低くなった10年固定1.03%に乗り換えるとすれば、融資年限23年で毎月支払額103,846円と今とほぼ変わらず、5年後残債2,047万円と、ほぼ諸費用と手数料で消えてしまうお得度ですが、10年後に今の低金利が続いていたとしても10年後残債の比較をすると35万円程度お得となり、さらに今から10年間の低金利の安心感が得られます。

 これらのことから、
結論としては、三井住友信託銀行の5年固定への借換が最も意味がありそうです。ただ、100万円単位の支払差があるならともかく、労力と費用をかけて5年間で34万円の節約をお得とみるかどうかは人によって意見が分かれるところでしょう。私ももう少し考えてみることにします。

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| 住宅ローンその他融資 | 20:30 | comments(0) | trackbacks(0) |
退職金と住宅ローン−「豊かな老後」の成否はマンション購入時に決まる
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 「お世話になりました」「いえ、こちらこそお世話になりました…」−本日は年度末です。私が昔から知っているお二人の方が退職となりました。お一人は25年前、私が研修を終えて新米で配属された部署の直属係長として、もうお一人は、やはり同じ時期に、関連会社の年上のカウンターパートとして、ご指導いただいた方々でした。

 あの頃は
バブル絶頂期で、新しい分野の事業拡張で共に夢を描き、語り合ったものでした。偶然なのか、必然なのか、あれから四半世紀を経て、このお二人とまた同じような部署で仕事をすることとなり、そして本日、退職を見届けることとなりました。あと10年後には、今度は私が、今横に座っている10年以上若い部下に見送られることとなるのでしょう。

 本日はまた、
人事異動で全国各地の支店・営業所に行くべく若い社員達が辞令を受けた日でもあります。同じ部署で仕事をするうちに、男性社員と女性社員の間にほのかに芽生えた複数の好意の感情が、しかしそのいずれも実を結ぶこともなく、淡い気持ちのまま終わってしまう人事異動でもありました。だからといって何かしてあげられるほどのとっかかりはなく、その最後のそれぞれのぎこちない挨拶の様子を見ているだけの私も何となくせつない気持ちとなりました。

 さて、退職に話を戻しますと、やはり
気になるのが第二の人生の過ごし方で、そのための財源となる退職金の使い方です。私が40歳代半ばで住宅ローンを組んだとき、80歳までローンが組めると聞き、驚いた覚えがあります。

 「だってそんな80歳になって収入もないですよね?」と銀行担当者に尋ねると、担当者はにこやかに笑いながらこう答えてくれました。「いえ、私どももお客様がそんな年齢まで返済し続けるとは考えていないのですよ。途中で必ず繰上返済されるはずです。」

 サラリーマンである私が繰上返済ができるとなると、それは退職金をおいて他にはありません。確かに、そこからは第二の人生で再就職するにしても収入はがくんと減るでしょうし、毎月の返済だって覚束なくなるでしょう。「退職金で返す」というのは私にとってマストの条件と考えられます。

 しかしながら、ここで
迷い(迷っても選択肢はないのですが)が生じるのは、今の計算では、退職金で住宅ローンの残債を繰上返済すると、退職金がほぼ残らなくなることです。住宅ローンの毎月の返済義務はもちろんなくなりますが、それはそれで「老後の蓄え」もなくなります。住宅情報誌でも理想の姿として描かれる「豊かな老後」とはほど遠い現実が待っているようで、背筋に寒気が走ります。

 こう考えると、やはり
マンションを購入した年齢が少し遅すぎたのでしょう。例えば35歳で3千万円の住宅ローン(全期間の金利2%で計算)を組めば、退職時点での残債は1千万円前後となっており、平均退職金2,500万円とすれば、1,500万円は手許に残る計算です。これが45歳で同じ条件で借りたとすれば、退職時の残債は2千万円前後で、残りは500万円しかないことになります。

 私は、
やや暗い気持ちになって、ネット上の野村證券『お金のお悩み相談室』にすがったところ、「退職金で、住宅ローンの一括返済をした方がいい?」という悩みに対して、それには^豎臺嶌僉↓一部繰り上げ返済、B狄Ω紊睚嶌僂魴兮、という3つの対応策があり、どれを選択するかは「ケースバイケースで、まずは自分の資産を把握しましょう」という、まっとうすぎる回答が書いてあって、ますます悩みを深くしたのでした。

 一方、ALL ABOUTの記事『退職金の5割を貯蓄 データにみる退職金の使い道』を読むと、
退職金を住宅ローン返済に充てると回答した割合は、50歳代男性で18.1%、60歳代男性で11.7%と案外少なく大半の方にとって住宅ローン返済が退職金の主要使途ではない様子が見て取れます。

 「ならば住宅ローンの返済はどうしたのか」というのが私にとっては不思議ですが、おそらく私よりも計画的な借り方をしているのでしょう。「ご利用は計画的に」というフレーズは住宅ローンにもあてはまるのだ、と今更ながら気づいたわけですが、やはり「借りられるだけ借りる」のではなく、「返せるだけ借りる」を念頭にマンション探しはすべきである、というのが「豊かな老後」を送るための基本だと、自らの反省を込めつつ強調したいと思います。

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| 住宅ローンその他融資 | 19:57 | comments(0) | trackbacks(0) |
住宅ローンの重み、教育費の重み−父の言葉に救われて
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 「うーむ」私は新年度からの娘達の進学塾の費用明細を見て唸りました。上の娘は新高3で、来年はいよいよ受験なのですが、上の娘の塾の月謝だけで月々の住宅ローンの支払額を超えてしまったのです。これに下の娘の塾の月謝を含めると、月々の住宅ローン支払額の1.5倍に、2人の娘の私立高校の授業料を合わせると、住宅ローン支払額の2.5倍に達することが判明しました。

 つまり、
娘2人の教育費だけで私の給与の手取りの半分近くを占めることとなり、これに住宅ローンを合計すると、給与の手取りの約7割を占める計算になりました。当然、残り3割で家族4人が生活できるはずもなく、これから少なくとも1年間は(今までもそうでしたが)、貯金の取り崩しが続くことになります。

 しかし、これは何も
私の娘達が贅沢に受講科目を取っているからではなく、周りの友人に合わせたごくフツーの取り方のようでした。娘の通う学校は、確かに裕福なご家庭も多いのですが、私のような一般サラリーマンの家庭ももちろんたくさんいて、皆さんどうされているのかです。

 マンションを購入する前、私も
ローン支払いシミュレーションをして、娘の大学受験期は厳しい収支となることを見ていたのですが、いざその時期になってみると、本当に苦しいです。ただ、一方では、「これを払い切れるということは、あと1つや2つは小ぶりのマンションが買えるということだなっ」妙な自信まで芽生えました(もちろんこれから30年間払い続けるのは無理です)。

 住宅ローンと教育費、それは親にとって二大テーマです。どちらも家族のため、子供のために、両親が歯を食いしばらなければなりません。私の妻もパートに出始めてもうすぐ1年になります。

 私が思い出すのは、
私が高校受験を目前に控えた34年前の1月のことです。柄にもなく父が、私と母を呼び、目の前に座らせました。

 「お前、L高校を受けてみんか」

 私は思わぬ父の言葉に目が点になりました。私は当然、地元の県立高校に行くつもりで勉強していました。L高校とは、隣県の私立進学校で、試験はおそらく来月、受かるかどうかもわからず、万が一合格しても家から通うことはできず、寄宿舎生活となるはずでした。私はあまりの無謀な提案に激しくかぶりを振り、即座に拒否しました。

 「お父さん、そら無理やが」

 母は何も言いませんでしたが、心配そうでした。父は「そうか」とぼそっと言い、3人の珍しくかしこまった場はそれで終わりになりました。父はそれ以来、このことについては一切触れなくなり、私は地元の県立高校に進学しました。

 この事実は私の中でも
遠い記憶の彼方にあったのですが、先日、進学塾の明細書を見ていたとき、ふとこの時のやり取りを思い出したのです。そして、あれから34年後の今初めて、私は父の気持ちがわかったような気がしました。

 当時、私は
国立大学の附属中学校に行っていましたが、そこに附属高校はなく、また、私の住んでいた県には、私立の進学高校がありませんでした。高校は市内で学区制がとられており、私の住んでいる場所の県立高校は、進学成績では市内の他の県立普通科高校に比べ最も劣っていました。私の兄はそれを嫌ったのか、全県募集対象の新設の違う高校の理数科に入りました。しかし、文系の私は理数科に行くつもりが全くなかったため、地元県立高校でよし、と考えていたのです。

 私の
父は、9人兄弟という子沢山の家庭の末っ子として生まれ、戦後余裕のない中で育ってきました。成績が良かったため祖父母から1回だけチャンスを与えられ旧帝大を受験しましたが失敗、祖父母との約束どおり高校卒業と同時に地元銀行に就職しました。当時は珍しくないこととは言え、ずいぶん悔しかったのではないかと思います。

 おそらく父は、
のほほんとした私が自分と同じ失敗をするのではないかと心配したのでしょう。私は3人兄弟で、上の2人の兄は既に東京で大学生として別々に暮らし、これに私まで寄宿舎生活になったら、生活は四重になり、その5年前に建てたばかりの住宅ローンもあるのに、今考えても、どうにも無謀極まりない申し出でした。母親は既に重労働のパートに出て、日々くたくたでした。それでも父は、母の了解の下、「L高校を受けてみんか」と私に言ってくれたのです。

 今、
娘達の塾の緻密な勉強方法を目の当たりにして、その受験に徒手空拳で向かっていた田舎者の私がいかに無知だったか、わかるような気がします。たまたま受かったから良かったものの、それはある意味では奇跡で、ある意味では無謀でした。受験の苦さを経験していた父は、その無謀さもよく分かっていて、親が無謀さを背負うか、子が無謀さを背負うかの選択肢の中で、自ら無謀さを背負おうとしたのでしょう。

 住宅ローンの重み、教育費の重み、日々ずしずしと重たいですが、父が私にかけてくれた言葉を思い出すたびに、不思議と目の前が明るくなるのでした。

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| 住宅ローンその他融資 | 20:12 | comments(8) | trackbacks(0) |