大地震で大津波が来る駅ランキング−海から遠いと感じるJR沿岸駅ほど危ない

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★ 5月31日付東洋経済オンラインは、『首都圏「大地震で大津波が来る駅ランキング」』という大変気になる記事を掲載しました。早速ランキングを以下に掲げます。

1 長谷(江ノ電)  2 鎌倉(JR横須賀線)  3 新逗子(京急逗子線)
4 片瀬江ノ島(小田急江ノ島線)、京急久里浜(京急久里浜線)、由比ガ浜(江ノ電)、
  腰越(江ノ電)
8 御宿(JR外房線)、上総興津(JR外房線)
10 逗子(JR横須賀線)、田浦(JR横須賀線)、浜川崎(JR南武支線・鶴見線)、
  昭和(JR鶴見線)、扇島(JR鶴見線)、横浜、関内(JR根岸線)、
  馬車道(みなとみらい線)、汐入(京急本線)、湘南海岸公園(江ノ電)、
  江ノ島(江ノ電)、八景島(横浜シーサイドライン)、
  野島公園(横浜シーサイドライン)、金沢八景(横浜シーサイドライン)、
  新杉田(JR根岸線)


 上記は東京都・千葉県・神奈川県を範囲とする駅ランキングなのですが、結果的には上記24駅中、JR外房線の御宿、上総興津の2駅以外の22駅は全て神奈川県下の駅となりました。神奈川県が占める駅の割合は91.7%と、9割以上になります。

 路線別では、
江ノ電で5駅、JR横須賀線、JR鶴見線、横浜シーサイドライン、京急線(合計)で3駅、JR外房線、JR根岸線で2駅などが多くなっています。

 1位は江ノ電の「長谷」駅です。津波の高さは最大5〜8mと断トツの高さで、ビルの3階の高さの津波に襲われる想定です。「長谷」駅は鎌倉の大仏様(高徳院)の最寄り駅で長谷寺も近く、多くの観光客が利用します。駅に降りても海は見えないので、浜辺からやや離れているように思うかもしれませんが、駅付近の海抜は4.5mしかありません。

 「長谷」駅からは長谷寺など近くの高台まで約400mも離れており、
津波避難ビルも極端に少ない場所です。「長谷」駅周辺にいて津波警報に接したら、一目散に長谷寺や大仏様の高台へと逃げることを念頭に入れておく必要があります。

 ただ、江ノ電の良いところは、単線のため隣に線路がなく、電車が走ってくることがないため、
すぐに線路に降りられます。4両編成と短いので、乗っている車両か隣の車両には乗務員がいて、乗客が降車の介助を受けやすいのです。また、江ノ電は駅間が短く踏切も多いので、線路外にすぐ出られます。

 2位の「鎌倉」駅(JR横須賀線)も観光客の利用者が多い駅です。津波の高さは最大3〜4mで、海からは1km以上離れていますが、近くを滑川が流れ、海側から見るとしだいに狭くなる谷を遡って津波が遡上することが想定されています。三陸のリアス式海岸で津波が高くなるのと同じ理屈です。関東大震災の際は、同駅のすぐ手前まで津波が来ており、津波警報の際は、速やかに同駅西側の市役所方面や北側の鶴岡八幡宮、または最寄りの津波避難ビルへと避難する必要があります。

 JRは江ノ電と異なり、15両編成でラッシュ時乗客3,000人以上、乗務員3人程度といった目がなかなか届かず、ケアがしにくい状況にあります。またJRの幹線では、線路に立ち入られないように線路沿いにフェンスが続いていて、線路外に出られる扉のある地点まで遠い場合もあります。

 10位には、1日平均226万人が乗降する神奈川最大の駅「横浜」駅が入っており、津波の高さは最大1.2〜2mが想定されています。「横浜」駅は、東急東横線など地下に深く潜っている駅もあり、心配は増大しますが、ただ地下駅は、むしろ浸水対策をきちんと施しているケースが多いです。いずれにしろ、「横浜」駅は、東日本大震災の際にもポートサイドエリアや本牧などで液状化現象が観察されるなど、要警戒の駅になります。

 一方、東京都においては、東京湾沿いの駅が気になりますが、
東京湾の入り口が狭く奥に広がっている地形から津波の高さは低くなるということです。それでも津波はやってきますが、ゆりかもめの「日の出」駅が一番浸水高があり0.5〜0.8m、JRでは「浜松町」駅が0〜0.15mとなっています。

 なお、
江ノ電は、海辺を走るだけあり、津波に対する対策と訓練は他の鉄道会社より熱心に行われており、社員の意識も高いようです。逆に、大川小学校の悲劇にもあるとおり、海から遠い場所であっても、河川の存在や、普段意識しているより海抜が低いなど地形の影響で大きな津波が来る危険性があることも、上記の駅ランキングで確認され、そのような鉄道と駅は、社員や乗客の津波に対する意識や普段の備えが十分でないことが大変危惧されます。

 津波は、避難の仕方によっては被害が莫大になるリスクがあるという意味で、人災による部分がかなり大きい(逆に正しく行動すれば防げる可能性がある)ように感じます。心しておくにも限界があるかもしれませんが、普段から気をつけておきたいものです。

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| 地震・防災 | 19:22 | comments(0) | trackbacks(0) |
23区西・南部も危ない−東京都が災害時における各地区の総合危険度を発表

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★ 東京都は2月15日、地震による建物倒壊や火災の発生、避難・救助の困難さなどを町(丁目)ごとに評価した「総合危険度」で、新たに21地域が、5段階のランク付けで最も危険度が高い「ランク5」に加わったことなどを公表しました。

 評価はほぼ5年ごとに行っており、
地震による「建物倒壊危険度」「火災危険度」に避難や消火、救助活動の困難さを加えてまとめています。その結果、都内5,177地域のうち85地域が最高の「ランク5」となりました。前回の第7回と同様、荒川区、足立区、墨田区など、23区の東部に位置する8区が76%を占めました。

 一方、今回は初めて
「幅12メートル以上の大通りにつながる幅6メートル以上の道路に到達する平均所要時間」を評価に加味したところ、環状7号線沿いやJR中央線沿線の中野区、杉並区の一部などで危険度が高まりました。これらの地域は幅の狭い道が多く、災害時に消火や救助が困難な可能性があるとのことです。

 逆に、墨田区や台東区などの
下町地区は、大災害への備えの意識が高く、幅の広い道路の整備が進んでいることが奏功している面があると言います。私はこれに加え、下町は昔ながらの自治会組織やコミュニティがまだしっかりしていて、皆の協力体制がとれていることも、これらの防災対策に寄与しているのではないか、と思います。

 杉並区や中野区は対照的に、昔の木賃宿に端を発し、今では学生が主流の低廉なアパートが多く、これらの土地所有者はその地に根付いていないため、協力体制をとろうにもなかなか困難なところが多いのではないかと推察します。まして、賃借している若者達に、普段の防災訓練の参加を求めることは非常に難しいと言えます。いざ災害が起こったときに、生死の確認すら時間を要するかもしれません。

 また、
大田区・品川区や多摩川や運河沿いの脆弱な地盤の上の地区があり、かつ、工場が立地しておりその従事者が住むための家やアパートが密集している場所があります。

 さて、今回スポットが当たっている
23区西・南部の総合危険度「ランク5」の地区を以下に危険度の高い順に列挙します。

大田区羽田6  大田区西蒲田4  中野区若宮1  大田区仲六郷2
中野区野方2  品川区西大井3  大田区南蒲田3  大田区西蒲田5
杉並区天沼1  杉並区高円寺北3  品川区豊町5  品川区大井7
大田区西六郷2  杉並区方南1  中野区大和町4  杉並区成田東1
大田区西蒲田3  中野区大和町2


 特に、杉並区天沼1は、前回調査時(2013年9月)よりランクが2つ上がってしまいました。「阿佐ヶ谷」駅や「荻窪」駅から徒歩10分程度の立地で、その意味での交通の便は決して悪くないのですが、道幅の狭い道が多く、青梅街道や中杉通りといった大通りからはかなり離れています。

 災害は、いざ火災や建物倒壊が起こった時に、
いかに逃げおおせるかが身を守るために最も大事になります。私たちは普通、地盤の強さや建物の強固さばかりに気を取られますが、視点が変われば地域の危険度はまるで変わってくるということを肝に銘ずるべきでしょう。

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| 地震・防災 | 23:46 | comments(0) | trackbacks(0) |
大雪の日に思う都心立地−レベルが異なる安心と安全

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★ 今朝からテレビは積雪情報一色で、誰もが「今晩はえらいことになる」と思っていました。都心にある私の職場では、午前中は雨か小雪がちらつく程度だったところ、お昼を過ぎたあたりから本格的な雪になり出しました。

「今日の飲み会は中止にしましょう」

 今晩は取引先と懇談する予定だったのですが、お昼頃、迷った末にキャンセルにしました。その時は迷うくらいの雪の降り方だったところ、夕方になって「キャンセルして本当に良かった」と思いました。お店の方もこういう天候のため、キャンセル料を取られずに済みました。しかし、どこのお店も本日のキャンセルは相手を責めるわけにもいかず、本当に痛かったのではと思います。

 午後3時を過ぎたあたりから、社員は皆帰りの足を気にし始めました。これでは仕事にならず、家の遠い人から徐々に帰り始めました。多摩川を渡らなければいけない私も
普段より1時間早く職場を出て、後は駆け足で駅のホームに向かいました。

 朝からわかっていたことですが、
こういう日のつらさは、雪の影響と、雪の影響を気にする通勤客の乗車集中です。それでも皆、職場を気にしながら帰るので、結局は乗客が集中する時間帯に電車に乗り込むことになります。

 一番肝心なのは、どの路線を使うかを見極めることです。幸い私の住んでいる武蔵小杉はいくつもの路線が通り、選択肢が多いのですが、このとき選ぶ路線は、普段から利用客が比較的少なく、乗り入れの少ない東京メトロ南北線と東急目黒線の「一点買い」です。

 通常は、東京メトロ日比谷線+東急東横線か、東京メトロ銀座線又は半蔵門線+東急東横線なのですが、
乗り換え駅である「渋谷」駅又は「中目黒」駅は、こういう時には大混雑し、特に「渋谷」駅は入場規制の常連で、極力避けなければいけません。一方、JRならば、横須賀線又は湘南新宿ラインなのですが、両線とも運行距離が長いだけにこのような悪天候に弱く、やはり避けるべきです。

 実際、本日も、
「渋谷」駅と「品川」駅で入場規制が行われ、横須賀線もポイント故障等でのろのろ運転となりました。私が利用した東京メトロ南北線は激混みだったものの、遅延しながらも運行に支障はなく、東急目黒線「大岡山」駅で多くの客が東急大井町線に乗り換えたため、そこからは通常の混み具合となりました。

 しかし、午後9時を過ぎたあたりから混雑も緩和されましたので、
実は飲み会をして終わったくらいが一番スムースな帰宅だったと思われます。これも大いに予想されたことでしたが、本当に電車が止まるリスクを考えたらその手も取り難いと思います。

 こういう時に感じるのは、
最寄り駅で複数路線が使えるありがたさです。駅から近いこともメリットになります。しかし、これらも「都心住まい」にはかないません

 私の上司は
山手線内にマンションがあり、本日の積雪にも余裕でした。上司が利用する東京メトロ丸ノ内線は、他の路線と乗り入れしていないので、遅れや混雑はあっても深刻な事態にはなりにくいです。同様の状態にある東京メトロ銀座線も同じく好条件にあります。そして万が一電車に乗れなくてもタクシーが使えますし、いざとなったら歩いて帰れます。電車を使わないのであれば、駅近である必要もありません

 つまり、
都心と郊外では好条件のレベルが違うのです。私の住む武蔵小杉では、「複数路線」「駅近」がメリットですが、都心居住の場合は、「都心メトロ」「タクシー」「徒歩」が決め手となります。

 これは大雪にかぎらず、
東日本大震災のような大災害のときも痛感しました。これに津波の恐れを加えるとすれば、都心高台、そして災害に弱いとされるタワマン高層階を除くマンションが最も優れていると言えます。最寄りの駅自身も高台にあるとすれば、駅からのフラットアプローチでさらに好都合です。

 考えてみれば、
都心高台は著名な大名の武家屋敷が多くあったところです。昔から最も安心で優良な邸宅地は不変いうことなのでしょう。

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| 地震・防災 | 21:47 | comments(2) | trackbacks(0) |
大規模改修が大火事を招く?−「対岸の火事」ではないロンドンの悲劇

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 「テロ以上の恐怖−」

 15日付産経新聞は、ロンドン高層アパート火災について、このような住民の声を伝えています。ロンドン消防庁の消防総監は、「前例のない火災だ。これほどの規模のものは見たことがない」と話しています。

 誰もがこの火災を伝える映像を見て、慄然としたと思います。低層階から高層階まですっぽりと炎に包まれた高層アパートは、まさに
阿鼻叫喚の地獄そのものでした。

 本建物は公営住宅で、120世帯が入居、1974年竣工で、
昨年、約14億円をかけて2年にわたる大規模改修を終えました。外装や全館共通の暖房システム等を新しくし、住民の方々は暮らしやすくなったと喜んでいたのでしょう。原因はまだわかりませんが、おそらくはこの大規模改修こそが火災をこれほどまでに広げた要因ではないかと推察されています。

 日本では断熱材は建物の内側に貼るのが多いのですが、イギリスなど海外は
外断熱が一般的なのだそうです(日本でも住宅に外断熱を勧める本が出版されています)。そして、この断熱材に可燃性のポリエチレン素材が使われ、マンション外壁を覆ったために、外壁が一気に燃え広がったのではないかというのです。

 「なるほど」と思わせる説明です。それでは、日本の高層タワーマンションは大丈夫なのか、と誰しも心配になりますが、報道では、
日本国内の高層タワーマンションは、今回のロンドンと同様の火災が起きる可能性は低い」とされています。

 日本では、はしご車が届かない11階建て以上の建物は、
スプリンクラーの設置が義務付けられ、どの部屋で火災報知機が作動しても管理室を通じて全部屋に知らせる仕組みが取られています。また、マンションの場合、各部屋の鉄扉の外側に廊下が設置され、ベランダ側も仕切りで分断されています。

 平成27年に全国で起きた高層マンション火災は合計477件で、うち死亡火災は13件14人なのですが、
高層マンション火災全体の平均焼失面積は3.4平方メートルにとどまっています。日本国内では焼けても1室だけで済む場合が多く、大規模な延焼や逃げ遅れは考えにくい、というのが消防庁の担当者の弁です。

 ただ、
不適切な管理で危険が生じたケースもあり、平成元年8月、東京都江東区の28階建マンションから出火し、24階の約100平米が焼け、子供ら7人が一時取り残された火災がありましたが、この際には火災発生を知らせる放送に不具合があったとのことです。

 そういえば、過去にあった
雑居ビル火災では、逃げ道となるはずの外部階段に燃えやすい不要物がいっぱい置かれ、それが火災を広める原因となって避難を阻み、大惨事となったことを思い出します。亡くなられた方々は、本当に無念だったことでしょう。

 記憶に新しいのは
本年2月に埼玉県で発生したアスクル倉庫の大規模火災で、法令を遵守した防火装置を備えていたものの、防火シャッターやスプリンクラーが有効に機能せず、窓のない建物構造が消火を阻んで莫大な損失を被ってしまいました。大手会社の最新設備を備えた建物ですら火災を防げなかった状況を、私たちはもっと深刻にとらえるべきしょう。

 いかに建物自体が法令を遵守していたとしても、
適切な管理がなされていなければリスクは大変大きくなります。個人がいくら注意したとしても、集合住宅全体に気を配ることは不可能で、そのような適切な管理が欠如した建物となってしまうリスクを考えると、やはりタワーマンションは高層階ほど命を落とす可能性が高く、低層階ほど逃げられる可能性が高くなります。今回のロンドン火災でも、2階に住んでいた母親を助け出した住民は、「低層階でラッキーだった。炎が上に上がる様子を見て、背筋が凍った」と振り返っています。

 もう一点気になるのは、
今回の火災は大規模修繕が原因ではなかったか、ということです。過去にも改修中の火花が建物に燃え移ったことによるビル全焼などの悲惨な事故があったことを思い出します。改修事態に火気を使用するなどのリスクがありますが、今回の火災のように、不適切な改修方法が要因となることを気を付けなければいけません。

 建築基準法等日本の法制も、
建物建築時には建築確認をはじめとする厳しい規制や評価がなされていますが、いったん建築した後の改修方法や、リフォーム、リノベーションにはこれといった規制がない状態ではないでしょうか。今回のような誤った改修をしたとしても、それを改善指導できない点では、ロンドンでも日本国内でも同様だと思われます。

 その意味で、
今回のロンドン高層アパート火災は決して「対岸の火事ではない」ということを、私たちマンション住民は肝に銘じておくべきだと思います。

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| 地震・防災 | 20:22 | comments(0) | trackbacks(0) |
免震と耐震では被害の差が歴然−わずかな初期コストが守る人命と資産

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★ 7月20日付Net IBニュースでは、『熊本地震・有識者の見解/人命だけでなく資産価値も守る免震構造』と題して、福岡大学工学部建築学科の高山峯夫教授へのインタビュー記事を掲載しています。上中下と3部に分かれた長い記事ですが、概要は次の通りです。

地震のエネルギーを耐震構造はどうやって吸収しているかというと、ある程度自分を壊すわけです。自分自身がある程度被害を受けることで、地震のエネルギーをできるだけ効率良く吸収しようとします。そのため、耐震設計の理想的な被害の受け方としては、特定の階に被害が集中しないように建物全体で地震のエネルギーを吸収することであり、そうした発想で耐震計算がなされているのが現状です。
 
 次に制震構造ですが、耐震構造は自分自身を傷つけることによってエネルギーを吸収するしかありませんが、
制震構造は自分自身を傷つけなくても、「制震ダンパー」という地震のエネルギーを吸収するものを中に入れておくことによって、少なくとも柱や梁は地震のエネルギーを吸収せずに済むという考え方です。

 これに対し、
免震構造は、地面と建物の間に絶縁する特殊な免震層をつくるのが特徴で、地面が激しく揺れたとしても、建物は緩やかにしか揺れないようにします。この免震層で地震のエネルギーをほとんど吸収し、上部構造―建物にはほとんど伝えないいう発想です。

 今回、熊本市内に免震マンションやホテルなどがありましたが、そこの住人たちは、地震発生時にはもちろん多少の揺れは感じたものの、落ち着いた後に、免震構造でない隣のマンションと比べてみると、その被害の状況は全然違っていたそうです。
耐震のマンションでは建物内がめちゃくちゃで、とても住めた状態ではない一方で、免震のマンションではまったく問題ありませんでした

 建物内部で家具や家電製品の転倒や破損が極力抑えられるのは、とても良いことです。阪神・淡路でも、今回の益城町でも、建物や家具の下敷きになって亡くなられています。


 免震構造のコストの問題がよく言われるのですが、大規模物件に免震を導入する際、そんなに値段は高くないとは思っています。得られる性能が2倍も3倍も高いわけですから、それがたった数%のコストアップで達成されるのであれば、コストパフォーマンスを考えるとむしろ安いと思います。ですが残念ながら、皆さんイニシャルコストのことしか頭にありません。ぜひとも「本当にイニシャルコストだけで性能を評価していいのか」ということを、皆さんに考えていただきたいと思っています。』

 以上がNet IBニュースの記事の概要です。
免震構造が耐震構造に比べて格段に優れているというのは、東日本大震災でも経験されていました。本ブログでも、2011年7月17日付の記事『免震はやっぱり効果があった!−豊島区における免震・非免震の揺れの違い』で取り上げているところです。

 それによれば、免震構造の本庁舎は、
「大きな船に乗っているように、建物がゆっくりと揺れた。室内にも被害はなく、地震後も仕事を続けられた」のですが、すぐ隣に建つ1954年竣工の非免震の分庁舎では、多くの職員が地震直後、危険を感じて屋外へ飛び出してしまいました。この分庁舎では壁などに亀裂が発生し、書棚から本が落ちたり、開いた引き出しの重みでキャビネットが倒れたりといった被害が相次いだということです。

 今、私が住んでいる武蔵小杉では、『パークシティ武蔵小杉ザ ガーデン』を好評分譲中ですが、セールスポイントの一つが、
『武蔵小杉最大の免震ツインタワー』です。『パークシティ武蔵小杉』は、先行した「ステーションフォレストタワー」「ミッドスカイタワー」は制震構造だったのですが、東日本大震災発生後に分譲された「ザ グランドウイングタワー」以降は免震構造が採用されています。

 地震保険においても、
免震構造の建物は地震保険料の割引率が50%にもなり、単なる耐震構造(耐震等級1)の割引率10%と大きく差があります。つまり、その効果は保険料に大きく影響するほど格差があり、免震マンションの住人は「地震保険料が安くて安全な」物件に住んでいるというわけです。

 東日本大震災を経験してわかったことは、
地震による被害が、「当初の設計・建築ミスによる不備のためか」それとも「純粋に地震により生じたものなのか」非常に分かりにくいということです。前者であれば分譲したデベロッパーの責任ですが、後者であれば自己負担もありうる保険の範囲内となり、その判定を巡ってはかなり紛糾し、当事者間で疲弊し、復旧までに数年を要したケースもあったようです。

 免震構造のマンションであれば、この類の紛糾もほとんどなく、正常時への復旧も迅速だったことでしょう。上記インタビュー記事の指摘の通り、免震マンションはもっと評価され、普及が推進されて然るべきだと考えます。

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| 地震・防災 | 22:41 | comments(4) | trackbacks(0) |
エレベーター停止、再び−タワー高層階の恐怖と不便
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★ 首都圏にお住まいの方なら皆ご経験されたことと思いますが、私の住んでいるマンションでも本日早朝、地震を感じました。初めに「ずどどどど」という地鳴りがして、「ん?くるな」と思ったときに、「どすん」と衝撃、そしてその後に「ずだだだだだ」と引きずるような余韻の揺れが続きました。

 朝方で皆寝ぼけた頭だったので、「きゃー」と騒いだ人は少なかったことでしょう。私も、「この『ん?くるな』という感覚は、幽霊を知覚したときに似ているものかな?」間抜けなことを考えていました。しかし、私の寝ているところは、梁の出っ張りで座ることもできない二段ベッドの2階ですので、もし梁が落ちてきたらあまり考える間もなくあの世に行ける場所で、まあ危険と言えば危険な状況でした。

 で、
「何だ、まだ朝が早いではないか」と、アラームセットを間違った感覚で、ほとんどの方が二度寝をしたのだと思いますが、私が次に起きた朝8時、仕事に行こうとしていた妻は、「あ、高層階のエレベーター、止まってるって。低層階は大丈夫だけど」と言い残して、出て行きました。

 「なぬ?」私は意外に感じました。確かに揺れは感じましたし、震度4の表示でしたから、小さい地震でもなかったのですが、この程度でエレベーターは止まるのか、と思ったからです。しかも、居住者の利便性を考えれば、低層階が止まるのならまだしも、階段利用がよりしにくい高層階用エレベーターが止まった、というのです。

 そして、この
高層階用エレベーターの停止は、思ったより長く、昼過ぎまで続きました。業者を呼んでいるものの、おそらく同じような事情で、業者もてんてこ舞いなのでしょう。午後1時過ぎに私がエレベーターを利用したところ、なかなか来ない上に、扉が開くと、今まで見たこともなかったような大勢の居住者が1台のエレベーター内にすし詰めでした。高層階の方々が低層階用エレベーターの最上階まで階段を下りて乗ってきているからだと思いますが、行きはよくても帰りは…と思うと、ご苦労が偲ばれました。

 いつも思うことですが、こと
災害に関しては、タワー高層階は多くの点でタワー低層階より不利です。今回の揺れについても、タワーマンションは建物の構造上、高層階が大きく揺れることで地震の衝撃を和らげる仕組みになっていることから、エレベーターにより負荷がかかるのは高層階で、その影響が今回も出た、ということでしょう。何かあった時に逃げられない、又は逃げるのに時間がかかるのも高層階となります。

 しかし、
タワーマンションの中で人気があり、価格が高いのは高層階です。眺望の抜け感やステイタス感が得られることなどが主たる理由で、かつ、そのために価格が維持ないし上昇しやすく、売却益が出やすい上に相続対策では低い評価ですむという、平時であればメリットが大きいのは明らかに高層階だからです。

 一方、
災害時においては、低層階と高層階では全く逆の評価となるわけです。昔の人なら「命あっての物種」という諺を事あるごとにかみしめて用心して暮らしたのでしょうが、利便性重視の今では「物種あっての命」となりかねない風潮です。9月は災害の多い月ですが、2〜3日前の豪雨といい、本日の地震といい、いろいろ考えさせられる昨今です。

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| 地震・防災 | 21:27 | comments(0) | trackbacks(0) |
簡単に氾濫する東京の河川−地下住戸・半地下住戸は大丈夫なのか
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★ 本日17時53分配信のFNNニュースによれば、台風18号の大雨で、東京・世田谷区の多摩川の水位がかなり上昇しています。午後4時58分現在、雨は多摩川でも激しく降っていて、多摩川の水位はかなり上がり、濁流が流れています。また、その影響で、普段は中州までつながっている兵庫橋が冠水してしまったため、現在は通行止めになっています。

 近所の人によると、このエリアは、花火大会や朝の散歩などで、
多くの人が利用する場所だということですが、「ここまで浸水したのは、かなり久しぶりだ」と不安そうに話していました。また、区の職員によると、ごみなどが橋に引っかかり、橋ごと流されてしまうことを防ぐために、9日夜、橋の欄干を一度撤去して、水が引いてから再び設置するとのことです。

 しかし、復旧のめどは、雨の状況により水はけの具合が変わるため、現在もたっておらず、引き続き、
川の増水などに警戒が必要な状態が続いています。

 以上がFNNニュースの概要です。また、テレ朝ニュースでは、
善福寺川の様子につき、次のようにレポートしています。

「9日午後は雷も鳴って、大雨が降っています。
JR「荻窪」駅から南に車で5分ほどの所にある東京・杉並区善福寺川中流の辺りにある松見橋にいます。つい先ほどまでは、虹も出ていました。雨がやんで青空も見えていたほどでしたが、午後5時くらいから、また雨脚が強まってきて、今、かっぱに打ち付ける音で自分の声も聞こえないような状況です。

 川沿いは低い土地になっていて、雨がたまりやすい土地です。川の警戒水位は2.9m。9日朝は川底が見えるくらいでしたが、午後3時くらいから一気に川が増水し、午後4時には3mを記録しました。警戒水位を超えて川の増水を知らせる放送もありました。

 10年前には川が氾濫し、床上浸水など多くの被害も出たということもあって、近隣の住民は敏感になって、川の様子を心配して見にくる姿も見られました。また雨が強まっているように思えます。大気の状態は非常に不安定になっています。この後も一気に川が増水するような雨の降り方になる恐れもありますから、皆さん、十分にご注意下さい。」

 以上がテレ朝ニュースのレポートです。現状では、
多摩川と善福寺川で警戒が必要な状況になっているようです。確かに本日は強い雨が朝から断続的に降り続いていますが、一日で(もちろん最近雨が多かったのですが)すぐにこのような事態となる脆弱さに驚いています。

 冠水している
兵庫橋は、「二子玉川」駅方向と兵庫島公園を結ぶ橋で、私も渡ったことがありますが、確かに橋げたが短く、容易に水で溢れるだろうなあとは思います。これくらいならまだ大丈夫でしょうが、もし堤防が決壊したら、堤防近くまで迫っているマンションや戸建て群はひとたまりもないことでしょう。

 一方、善福寺川で警戒水域を超えた
松見橋界隈は、「荻窪」駅から南へ10分程度歩いた場所に立地します。この橋付近で川が蛇行し、川幅が狭くなっている関係で水が溢れやすいのだと思われます。そうだとすれば、川の氾濫には人災的な面もあるのではないかと思ってしまいます。

 実は、
23区ではこれ以外にも、目黒川、神田川、渋谷川、妙正寺川、石神井川などが2年前の9月の豪雨のときにも大雨で川が溢れそうになりました。海抜ゼロメートル地帯と言われるのは江戸川、荒川、隅田川周辺なのですが、これらの川が大河で河川敷が広いだけに、逆に豪雨時の河川の氾濫は起きにくいのかもしれません。むしろ、川幅の狭い上記の河川が、大雨が降るたびに緊張感が漂います。

 特に気をつけたいのが、言うまでもなく地下住戸、半地下住戸です。東京都下水道局は、文書で、『半地下家屋などでは浸水被害に十分なご注意を!』と呼びかけています。

 具体的には、半地下家屋、地下室では、
次の3点でリスクがあります。

1.道路面から家屋に雨水が流れ込みやすく、浸水するおそれ
2.流れ込んだ水圧によりドアが開きにくくなり危険


 これらの対策としては、

 /賛紊里それがあるときは、半地下部などへは入らない
◆/賛緞瓢澆里燭瓩療擇里Α⊃紊里Α∋濘緘弔覆匹鮟猗する


ということです。しかし、マンション半地下住戸で土のう等を準備することなど、想像ができません浸水被害のおそれがあるときは、半地下住戸、地下住戸を見捨てて逃げるしかなさそうです。

3.トイレや浴室などに下水が逆流するおそれ

 この対策としては、

・ 汚水用排水ポンプ槽などを設置し、下水が逆流しない構造にする

とありますが、通常のマンションがこのような措置を施しているとは思えません。水が引いて帰宅してみると、とんでもない事態が待ち受けていた、ともなりかねません。

 デベロッパーも地下住戸・半地下住戸の危険性を十分認識し、ハザードマップで危険なエリアでは地下又は半地下住戸を設定していないと信じていますが、最近の浸水被害では、従来危険個所とされていなかったエリアで河川の氾濫があったことも報告されており、予断を許しません地下住戸・半地下住戸をご検討の方は、その土地が十分に安全なのか、念には念を入れて調べた方が良さそうです。

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| 地震・防災 | 20:39 | comments(2) | trackbacks(0) |
中央区、江東区の9割超は液状化の可能性あり!−要注意は足立・葛飾・江戸川
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★ 5日早朝は久しぶりに大きな地震でした。初めは小刻みな揺れが長く続き、夢うつつで「うう、地震か…?」と思ったら、がたがたっと揺れが来ました。幸い私が住んでいる武蔵小杉は恐怖を感じるほどの揺れではなかったのですが、あらためて私達が不安定な地盤の上で生活していることを実感させられました。

 そこで気になるのが
液状化の問題です。浦安ではいまだに液状化被害の影響から完全に脱したとは言えず、地震後も長く残る課題として見過ごすわけにはいきません。分譲マンションについては液状化対策はしっかり施してあると思いますが、そのエリアがもともと液状化を起こしやすいところかどうかは、知っておく必要があると思います。

 本ブログでは
2011年の東日本大震災の半年後に、『23区で地価が下落しやすいエリアとは?−今後はブランド神話の崩壊も?』と題して、大震災の影響で進行していた地価下落の状況を記事にしていますが、その際「東京都では今後、液状化予測の見直し等を進めていく」と書いています。この見直しについては、昨年3月に、『東京の液状化予測』としてまとめられていますので、あらためて取り上げてみたいと思います。

 この予測では、
揺れの大きさを1923年の関東大地震並み、すなわち震度6弱を想定しています。液状化について、本報告書は、それ自体が直接人命にかかわることは極めてまれであるものの、上下水道・電気・ガスなどのライフラインへの被害木造住宅の傾斜・沈下など、「一般的には液状化による災害は財産に対するものや地震後の生活の不便さといったものと考える」としています。

 本報告書によれば、
東京低地には、有楽町層上部と有楽町層下部とよばれる軟弱な沖積層と、七号地層とよばれるややしまった沖積層が分布しており、液状化の発生する可能性があるのは、ゆるい砂層である有楽町層上部と、その上に人工的に盛られた表土層のうち砂でできている部分だということです。

 そして、
東京において、液状化の可能性を考えなければならない場所は、次の3つです。ただし、については、地形上その範囲は谷底に沿う形で狭く限られています。

1 荒川流域の東京低地
2 多摩川流域の多摩川低地
3 石神井川や神田川、大栗川、三沢川等の中小河川が台地・丘陵地を刻んでできた河谷底(谷底平野)


 そして、特に液状化が発生しやすい地形は、次のとおりです。

1 過去に水面であったところが陸になった「旧水面上の盛土地・埋土地、旧河道」や「干拓地」
2 現在の河川敷や湿地などが含まれる「頻水地形」


 これに対して、意外と液状化しにくいのは、昔の海岸線に沿ってできた砂礫質の微高地である「砂(礫)州・砂(礫)堆」です。ただし、同じ微高地でも自然堤防での液状化の程度は、一般の低地とそれほど変わらないということです。

 ややこしいのは、
人工的な盛土であっても、砂で盛土されていれば液状化しやすくなるのに対して、粘土やロームであれば液状化の発生を抑制するとされていることです。こうなると素人ではその地点が液状化しやすいのかしにくいのか、判断しがたいことになります。

 したがって、結局は
液状化予測図(マップ)を見て、自分が住んでいるエリアが液状化しやすい場所かどうか、確認することになります。地図では見事に液状化の可能性があるエリアが東西で分かたれていて、北から板橋区、北区、荒川区、台東区、千代田区、港区、品川区、大田区にその境界線があり、この境界線より東が液状化の可能性がある地域、西が液状化の可能性がない地域となります。液状化の可能性がある地域のうち、上記のとおり荒川水系と多摩川水系では、液状化の可能性が高い地域となっています。

 液状化の可能性が高い地域を挙げると、次のとおりになります。なお、ここに出てこない文京区、豊島区、新宿区、渋谷区、練馬区、目黒区、杉並区、世田谷区、中野区は、液状化の可能性が高い地域が存在しません

1 足立区 39.6%  2 葛飾区  38.5%  3 江戸川区 34.9%
4 大田区 20.5%  5 中央区  16.0%  6 江東区  13.1%
7 墨田区  8.8%  8 北区    6.5%  9 台東区   5.7%
10 荒川区  5.3%  11 港区    3.4%  12 品川区   2.4%
13 板橋区  1.2%  14 千代田区  0.6%


 これを液状化の可能性がある地域まで広げると、次のとおりになります(数値は液状化の可能清華が高い地域の割合を含みます。)。

1 墨田区  99.4%  2 葛飾区  99.1%  3 足立区 98.8%
3 江戸川区 98.8%  5 中央区  92.8%  6 江東区 92.3%
7 荒川区  91.0%  8 大田区  74.2%  9 台東区 73.0%
10 北区   55.1%  11 港区   35.3%  12 品川区 35.0%
13 板橋区  28.6%  14 千代田区 24.7%  15 文京区  2.0%
16 豊島区   1.9%  17 新宿区   1.2%  18 渋谷区  0.8%
19 練馬区   0.7%  20 目黒区   0.4%  21 杉並区  0.2%
22 世田谷区  0.1%  22 中野区   0.1%


 この2つを見比べると、液状化のレッドゾーンが足立区、葛飾区、江戸川区なのですが、墨田区、中央区、江東区、荒川区も、実に9割超の土地が液状化の可能性ありとしてカウントされています。大田区は面積が広いだけに、液状化の可能性が高い多摩川流域と、その心配がない池上以北がはっきりと分かれています。

 23区では液状化の可能性がない区はないのですが、
文京区、豊島区、新宿区、渋谷区、練馬区、目黒区、杉並区、世田谷区、中野区はその区域面積がごくわずかで、これはこれらの箇所が上記の「河谷底」に限られているからでしょう。

 あらためて液状化の可能性が高い要因を区ごとに見てみると、
葛飾区、江戸川区、江東区では、沖積層のうち、人工的な盛土層のすぐ下に分布する有楽町層上部とよばれる細砂やシルト質細砂を主体とするもろい地層が厚く堆積していることが挙げられます。墨田区や足立区南西部では、墨田区が大正期に、足立区南西部では昭和期都市化が始まって盛土のために土地を掘り下げて池ができ、その後にその土地を砂で埋め立てたためにもろい地層が人工的に造られてしまったと推測されます。

 現在、
タワーマンションがラッシュで注目されている豊洲、晴海、勝どき、月島、有明エリアも、そのほとんどの区域で液状化の可能性があり、局所的に液状化の可能性が高いスポットがあります。これらのエリアのタワーマンションは、建物自体は液状化対策で大丈夫でしょうが、上下水道、電気、ガスなどのライフラインについては復旧に時間がかかる可能性があることを認識しておいた方が良さそうです。

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| 地震・防災 | 20:53 | comments(0) | trackbacks(0) |
一流マンションに次々と不具合発覚!−現場では一体何が起きているのか
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★ 4月2日付ケンプラッツによれば、川崎市は3月31日、同市内で建設中の超高層マンション「パークタワー新川崎」で、4階部分の柱と梁の一部にひびや剥離が見つかったことから、不具合のある部分などを解体・撤去し、再施工すると発表しました。

 販売主である三井不動産レジデンシャルの資料によると、同マンションは鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造で地下2階、地上47階建て、延べ面積は7万5,861.66平米で全670戸、事業主は、三井不動産や三井不動産レジデンシャル、近隣地権者らが出資する鹿島田駅西部地区再開発、設計・監理者は松田平田設計、施工者は清水建設です。2012年8月に着工し、4〜30階までは15年3月下旬、31〜47階は同年5月下旬の入居を予定していました。敷地は、鹿島田駅西部地区第一種市街地再開発事業の区域内にあります。

 川崎市の発表によると、同マンションに
不具合が見つかったのは3月12日です。4階の柱と梁の一部にひびと剥離が発生していました。プレキャスト工法を採用していましたが、4階部分の柱と柱の接合部に充填剤(高強度無収縮モルタル)を注入しないまま、5階と6階、7階の一部の施工を進めたので、4階柱の一部に許容を超えた荷重がかかったことが不具合の原因としています。

 4月中旬から、不具合が発生した部分を解体・撤去したうえで、再施工する予定です。三井不動産レジデンシャルは4月10日以降に契約者らに説明を行う予定だということです。4月1日時点では、公式ウェブサイトやモデルルームは閉鎖、販売の受け付けはしていません

 三井不動産広報部の担当者は日経アーキテクチュアの取材に対し、
「契約者など関係者には深くおわびする。今後、関係行政などと協議し、誠意をもって対応していく」と回答、清水建設コーポレート・コミュニケーション部の担当者は、「事業主とマンションの契約者には深くおわびする。今後、責任をもって対応していきたい」とコメントしています。

 以上がケンプラッツの記事の内容です。
最近、たて続けに大手3社の高級マンションに不具合が発生しました。

 第一に、昨年12月に内部告発で発覚した『ザ・パークハウスグラン南青山高樹町』です。原因は、雑誌報道によれば、「6,000のスリーブ(配管のために開ける穴)設計に対して600箇所でスリーブが開けられていなかったり、位置が間違っていた上に、調査をせずにコアボーリングをしたために鉄筋が切れてしまった箇所もあった」ということです。

 第二に、本年2月に施工会社の大成建設が気づき、売主の積水ハウスに報告した『グランドメゾン白金の杜ザ・タワー』で、計34本あるRC柱のうち19本で、主筋を固定する補強筋(拘束筋)の一部が設置されないままコンクリートが打設されていたというものです。

 そして
第三に、上記記事の『パークタワー新川崎』で、4階部分の柱と柱の接合部に充填剤を注入しないまま、5階と6階、7階の一部の施工を進めたので、4階柱の一部に許容を超えた荷重がかかり、4階の柱と梁の一部にひびと剥離が発生したとあります。

 上記3件は、
いずれも工事のやり直しとなっています。特に、『ザ・パークハウスグラン南青山高樹町』はほぼ完成していただけに全面解体・再建築となり、今後39.5ヶ月の工期が予定されています。本物件は、三菱地所レジデンスの高級マンションブランド「ザ・パークハウスグラン」シリーズ第一弾で、しかも発覚がネット上の内部告発というお粗末なものだったため、そのショックは極めて大きいものがありました。

 これら
不具合物件の共通点は、いずれもスーパーゼネコンが施工会社であるということです。すなわち、『ザ・パークハウスグラン南青山高樹町』が鹿島建設、『グランドメゾン白金の杜ザ・タワー』が大成建設、『パークタワー新川崎』が清水建設です。

 私達は
この事実から何を読み取ればいいのでしょうか。一つは、元請が大手であればあるほど、孫請の連鎖が発生し、目が届きにくくなるのではないか、という論点です。特に東日本大震災の復興需要、マンション建設ラッシュ等で現場の人材は払底し、工期も厳しくなって、無理な工事が続いているのではないかとも推察されますが、その杜撰さに気づくチェック機能が大手ほど働きにくくなっているのかもしれません。

 しかし、第二には、
大手だからこそ、不具合の発覚及び対応が迅速に行えた、とも言えます。『ザ・パークハウスグラン南青山高樹町』の顛末はあまりに衝撃的で、スーパーゼネコンほど自社施工物件に敏感になったと言えます。その結果見つかった第二、第三の不具合物件、という可能性もあります。

 逆に言えば、
第一物件が発覚しなければ、第二、第三物件は発見されなかったかもしれません。また、たとえ発見されたとしても、(そうは思いたくありませんし、ゼネコン各社も強く否定するでしょうが)公にされなかったかもしれません。

 そして、
スーパーゼネコンだからこそ、たとえ全面解体・再建築になったとしても耐えられるだけの体力(財力)があったわけで、これが中小ゼネコンであれば、あの姉歯物件で倒産したヒューザーのように、ひとたまりもなく姿を消したはずです。なぜなら、ゼネコン自身、多額の借金をして建設工事をしている場合があり、いったんこのような事態となったら、融資していた金融機関が一斉に融資を引き揚げる可能性が高いからです。

 したがって、
中小ゼネコンの物件であれば、施工ミスを見つけること自体が会社の存亡に関わることから、そのようなインセンティブが働かないのではないでしょうか。まさかとは思いますが、見つかっても「見て見ぬふり」をされる可能性はないでしょうか。

 あの
ヒューザー事件の後も、耐震性に欠陥がある物件が複数、たて続けに見つかりました。しかも、そのどれもがやはり、一流デベロッパーとスーパーゼネコンの組合せの大規模マンションで、いろいろ批判されながらもきちんとした対応がありました。今回とあまりにそっくりな「その後」の展開に、私は逆に「その他」の物件の安全性に危機感を覚えます。

 私は最近、
モデルルームのアンケートで、魅力を感じるポイントとして、「大手だから」という趣旨の選択肢に必ずマルをしています。それはブランド名にひかれていると言うよりも、何かトラブルがあった時の対応能力が大手と中小では全く異なるであろう点に着目しているからです。

 しかし、一方では、
大手が手掛けるタワー物件、大規模物件は、施工に技術を要するものが多く、末端の施工会社の技術能力・監理能力が結局どこの現場でもあまり変わらないとすれば、それだけミスが起きやすいとも言えます。逆に「よくある」地上10階建前後のペンシル型の小規模物件であれば、相対的に標準的かつシンプルな技術で小さな施工会社が直に請けても対応可能であり、そのために目がよく行き届くとも言えます。

 いずれにしても、
マンションの施工は、購入者がその良し悪しを判断することがほぼ不可能で、指摘も手直しの指示もできない部分です。ある意味、「運を天に任すしかない」という不条理な世界なのですが、それでもマンションは売れていくという現実が、その再発を防止できない大きな理由なのでしょう。

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| 地震・防災 | 20:18 | comments(0) | trackbacks(0) |
大地震が来たらタワーマンションはどう崩れるか−実証された超高層の壊れ方
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★ 本日付のケンプラッツでは、『実験で分かった超高層の壊れ方』という興味深い記事をアップしています。以下にその概要を記します。

「実験は、2013年12月9日から11日にかけ、
防災科学技術研究所・兵庫耐震工学研究センターで実施されました。防災科研、京都大学、鹿島、清水建設、竹中工務店、小堀鐸二研究所の6者による共同研究です。

 試験体は2000年の改正で建築基準法が現行の性能規定に移行する以前、
1990年ごろに一般的だった設計・施工を再現したもので、鉄骨造ラーメン構造の18階建てです。試験台に載せるため3分の1に縮小しましたが、高さは25.3m、重さは420トンに達し、振動実験としては世界最大規模です。

 崩壊は、何度も繰り返し加振したことで、下層階の構造部材が塑性化したために起きました。柱と梁の接合部の破断、1階柱脚の局部座屈により下層階が大変形し、上層を支えきれなくなったのです。今回、実験で確認された崩壊現象について、小堀鐸二研究所の小鹿紀英副所長は『防護フレームがなければ、下層の5階分を上層部が押し潰す格好となっただろう』と解説しています。

 実験が確認したのは、
崩壊に至る一連の過程です。使われた地震波は、東海、東南海、南海地震の3震源域が連動したという想定で、マグニチュードは8.7です。入力は「東京・大阪・名古屋における平均レベル」で応答速度110cm/秒、「局地的な最大レベル」で同180cm/秒としました。建基法が「倒壊・崩壊してはならない」と規定する「極めてまれに発生する大地震」は、同80cm/秒に相当します。

 最大レベルとなる
同180cm/秒で揺らした際の試験体の屋上部分の最大水平変位は、実スケールに換算すると片側へ92.4cm動いたことになります。最大層間変形は57分の1で、設計要件の2倍近くに達しました。複数の梁の端部が塑性化し、亀裂が入った部位も出ました。

 長周期地震動に共振した建物が、大振幅で長時間揺れ続け、振り回されるように下層階が繰り返し変形を受け、徐々に上層階の荷重に耐えられなくなって圧壊する─これが、プロジェクトが想定した超高層の崩壊過程です。

 加振回数は3日間で計14回徐々に加振レベルを大きくしていきました。応答速度300cm/秒で揺らした場合の最大層間変形角は28分の1。応答速度420cm/秒まで増幅した波による3回目の加振で、崩壊しました。

 『ほぼ想定通りの結果。構造設計の際に想定していない倒壊に至るまでの余力について、定量的なデータを得られた』鹿島技術研究所の高橋元美・上席研究員はそう話します。今後、建物の健全度を即時評価するモニタリングシステムの開発も進めます。」

 以上がケンプラッツの記事の概要です。難しい言葉が並んでいますが、要は、
東海、東南海、南海地震の3地震が連動したとしても、それだけではタワーマンションは倒壊しない、ということのようです。

 つまり、その際の
マグニチュードは8.7で、建築基準法が「極めてまれに発生する大地震」を大きく超える応答速度180cm/秒で揺らしたとしても倒壊せず合計14回、徐々に加振レベルを大きくし、同420cm/秒で崩壊した、というのですから、1990年代の建物であってもそれこそ巨大地震を超える非現実的な揺れを何度も何度も加えないと崩れない、という結果です。

 ただ、
建物は確実に大きなダメージを受けます。上記記事のとおり、応答速度180cm/秒で揺らすと屋上部分は片側へ92.4cm動いたことになり、複数の梁の端部が塑性化、つまり変形したまま元に戻らなくなったうえに亀裂も入る、ということです。この修復には費用が相当かかることでしょう。

 これとの関連で、本実験で
大きな意味があるのは、構造設計の際には想定していない倒壊するまでの過程についてデータが得られた、ということです。倒壊過程やそれまでの余力まで解析が可能になれば、ビルが設計要件を超える大振幅で揺れた際でも、構造体がどの程度健全か、継続利用できるかなどが判明するわけです。

 個人的に興味深かったのは、
「高層ビルは下部から崩壊する」ということです。私は、タワーマンションは、途中からぽっきり折れて、中層階から高層階の住戸がまっさかさまに落ちていく様子を想像してしまっていたのですが、考えてみればそうなるためには猛烈に強い圧力が上空から来なければ不可能で、地面が揺れる地震からそのような力が起きるはずはないのでした。

 あの忌まわしき9.11テロで崩壊した
世界貿易センタービルも、下部から崩れ去っていきました。このように、タワーマンションを支える最も重要な部分は低層部にあり、そこに負荷がかからないように、免震装置は最下層で力を吸収し、高層階はできるだけしなやかに揺れてあげることで力を発散させています。

 その意味で、
タワーマンションは、実は地震のリスクに最も敏感で、各部が協力し合って全身で建物を守っている美しい建築物なのかもしれません。

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| 地震・防災 | 20:23 | comments(0) | trackbacks(0) |