日本郵政が野村不動産を買収?−期待と不安のシナジー効果

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★ 12日付毎日新聞によれば、日本郵政が、不動産大手の野村不動産ホールディングスを買収する検討に入りました。日本郵政は2015年に買収したオーストラリアの物流会社の業績低迷により約4,000億円の損失を計上し、2017年3月期連結決算で民営化後初めて最終(当期)赤字に転落する見通しです。郵便や金融など既存の主力事業では一段の成長を見込みにくい中、安定した利益を得るため不動産事業を強化し収益の柱に育てたい考えです。

 日本郵政はすでに野村不動産HDの大株主である証券最大手、野村ホールディングスと
具体的な協議を進めている模様です。野村不動産HD株の過半数を取得する場合、買収総額は数千億円規模に上ります。ただ、海外子会社の買収で失敗したばかりのため慎重な対応を求める声があり、一部の株式取得にとどめる可能性もあります。野村不動産HDの時価総額は約3,900億円です。

 日本郵政は、国営郵政時代からの名残で
全国各地の主要ターミナル駅前などの一等地に巨大な郵便局の建物を保有しています。不動産事業を展開するのに有利な立場にあり、実際、JR東京駅や大阪駅、名古屋駅などで新たな商業施設を展開する再開発事業の中心的プレーヤーとなっています。また、不動産各社と共同で分譲住宅事業も手掛けており、野村不動産HDとの共同事業もあるため、パートナーとして最適と判断したとみられます。

 日本郵政は12日夜、
「新たな資本業務提携についてさまざまな可能性を検討しており、決定した場合は速やかに公表する」とのコメントを発表しました。

 以上が12日付毎日新聞の記事の概要です。このニュースは、12日のNHK7時の夜のニュースがスクープしたのではないかと思います。私は職場で仕事の残りを整理していたのですが、つけていたTVからこのニュースが報じられ、思わず耳を疑いました。

 しかし、冷静に考えれば、
双方にメリットがあるのは確かです。日本郵政は上記記事の通り、オーストラリアの物流会社の買収で失敗したばかりで、これを挽回する買収が必要だったのではないでしょうか。資産額はケタ違いに大きいので、野村不動産の買収に要する費用3,900億円など、わけなく手当てすることができます。

 他方、野村不動産HDは、知名度は三井不動産、三尾地所、住友不動産、東急不動産にひけをとらないものの、
事業規模はどうしても見劣りがします。収益源が不動産販売に偏り、賃貸管理部門が弱いために多角化ができず、マンション市況の動向にもろに影響を受けてしまいます。今期決算でも、不動産大手5社の中で唯一減益という結果でした。

 これまで即日完売の魔術を発揮してきた
プラウドの高級ブランドイメージ戦略も、物件が増加しすぎて、また、人気が相対的に落ちる場所でプラウドを量産した結果、その神通力が失われつつあります。野村不動産としては、財政基盤を安定化する中で、より多角的な事業を展開したいところでしょう。

 その意味では、唐突な印象を受ける両社のコラボは、
実は双方の弱みを相補えるよい組み合わせかもしれません。しかし、「WIN-WIN」と思えるシナジー効果は、一歩間違えば、双方の足を引っ張る泥沼になりかねません。

 私が気になるのは、日本郵政は、
やはりお役所体質が抜けないのではないか、ということです。それは良い悪いの価値判断ではなく、もともと出自がお役所だったわけですから、体質としてしようがないわけです。彼らが、生き馬の目を抜くような不動産業界で、他の大手としのぎを削れるような競争ができるでしょうか。

 ポイントは、
野村不動産が子会社になるとすれば、どこまで経営の自由度を認めてあげるか、ということでしょう。ただ、バックに日本郵政という大旦那が控えている安心感が先に立つと、利益追求の矛先が鈍ってしまうことが考えられます。

 案外、影響が軽んじられないのは、日本郵政がバックにつくことで、
営業がやりにくくなるのではないか、ということです。例えばモデルルームでは「お国がついているなら、もうちょっと値下げしても問題ないでしょ。」というようなやり取りが増えてくるのではないでしょうか。

 いずれにせよ、今回の買収報道は
サプライズであったことは間違いなく、野村不動産の株価は、報道後の夜間取引で約25%も上昇しました。皆の期待を裏切らないよう、よい方向で実現してほしいものです。

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タワーマンション高層階の課税強化!−私たちが学ぶべきこと

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★ 10月22日付産経新聞によれば、政府・与党は平成29年度税制改正で、タワーマンションなどの高層マンションにかかる固定資産税を見直すことがわかりました。現在は床面積が同じであればどの階層でも同じ税額ですが、実際の取引価格を踏まえて高層階ほど税負担を高く、低層階では低くなるよう調整します。与党の税制調査会で議論し、12月にまとめる29年度税制改正大綱に盛り込みます。30年1月にも実施する方針です。

 固定資産税は
固定資産の評価額に対し、毎年1.4%の税率がかかります。マンションの場合、まず1棟全体の価値を評価して、税の総額を算出、その上で各部屋の床面積に応じ、税額を均等に割り当てます。

 同じ床面積であれば階層に関係なく、税額は同額になります。しかし、実際の取引価格は高層階ほど高くなります。低層階との価格差があるにもかかわらず、税額には反映されておらず、
納税者の不公平感がありました。

 このため、20階建て以上の物件を対象に、高層階になるほど固定資産税の税額が高くなるよう見直します。
高層階は増税、低層階には減税にして、1棟当たりの税額の総額は変わらないようにします。税額の傾斜配分の手法は今後詰めます。

 タワーマンションをめぐっては、高層階の物件が取引価格の割に相続税が安く済むため、
節税目的で購入する「タワマン節税」が問題になっています。国税庁は今後、タワマンの節税効果を薄める手法についても検討する考えです。

 以上が産経新聞の記事の概要です。最近各紙で報じられているので、ご存知の方も多いことかと思います。以下、各紙から拾ってきた情報を挙げてみます。


・ 資産評価システム研究センター調査では、最上階の床面積当たりの単価は最下層部より平均46%高かった。

・ 国税庁のタワーマンション価格調査では、販売価格と固定資産税評価額の間には最大で約7倍、平均で約3倍の開きがある。

・ 対象は、「高さ60メートルを超えるマンション」や「2018年度以降の新築物件」にすることを検討している。

・ 既存のマンションは、現在の税制を前提として高層階を買った住民から強い不満が出る恐れがあるため、構想の対象に入っていない。

・ 不動産コンサルタントは、「対象にならない昔の物件を買う人も出るかもしれず、抜本的な改革にはならない」と指摘する。

・ 引き上げ、引き下げは段階的に行う予定。評価額5,000万円の建物にかかる固定資産税は年70万円、これが5,500万円になれば固定資産税は年77万円。

・ 年末に向けて、どの階層で増減税の線を引くかなど、具体的な制度設計を進める。


 今明らかになっている情報は、だいたいこれくらいかと思います。この新税制が適用されればおそらくは税額が減ることになるであろう我が家は、「2018年以降の新築物件」が対象と聞いて、妻はショックを受けていました。なるほど、こんなショックもあるのかと感心(?)した次第です。

 私が気になったのは、今回の税制改正の動きとなった経緯です。いわゆる「タワマン節税」が識者によってもてはやされ、これをテーマにした書籍も出版されたりしました。そして、
「高層マンションを購入できるような高額所得者が得をする」という話は、課税当局がもっとも嫌うところだと考えます。

 なぜならば、
税制の基本は所得再分配であり、これに逆行する「抜け穴」があるとすれば、当然是正の対象となるからです。しかもそのことを得々と指南するような書物の出版は、税制度に携わる人たちにとって「許しがたい」行為ではないかと思われます。

 記事でも指摘されているように、
実際には節税という動機でタワーマンション高層階を購入する方はごくわずかでしょう。その意味では、言わばこのような喧伝の巻き添えを食った形と言えるのではないでしょうか。

 したがって、
「じゃあ、既存の中古タワーマンションの高層階を買いましょうね」と宣伝を始めると、課税側は、これをも塞ぐ税制度を考えてくるでしょう。このようなイタチごっこは、現在のビール税制を見るようで、結果として私たちは、「おいしいビールを適正な価格で」買えなくなっています。

 「タワーマンションを税制のゆがみの舞台にしないこと」がマンションを愛する(?)私たちが今回の課税構想から学ぶべき教訓なのではないでしょうか。

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「婚活」悪用しマンション投資勧誘−銀行はなぜお金を貸したのか?
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★ 2月26日のFNNニュースでは、最近問題になっている「『婚活』悪用のマンション投資勧誘」について、被害を訴える女性らが集団提訴に踏み切ったと報じています。その概要、以下のとおりです。

 疑惑のデート商法について、26日、被害を訴える女性らが、
勧誘者や不動産会社、さらに銀行などを相手取り、集団訴訟に踏み切りました。これは、「婚活サイト」を利用している女性などをターゲットに、メールのやり取りなどをして近づき、その後、実際に会ってデートを重ねていくことで、恋愛感情を芽生えさせて、結婚への期待を持たせ、結婚を期待する相手の心理につけ込んで、「将来のためになる」などと言って、投資用のマンションなどの購入を持ちかけ、マンションを売りつけるというものです。

 都内在住の30代の会社員のぞみさん(仮名)と「さとうたかし」と名乗る、自称コンサルタント会社勤務の33歳の男性は、いわゆる婚活サイトで知り合いましたが、2人の仲がこじれたのは、
たかしが勧めたワンルームマンションの購入がきっかけでした。

 のぞみさんは、たかしに勧められるがまま、ワンルームマンションを購入、ところが
その後、たかしは、態度を一変させたといいます。知り合った1週間後、2人は初めてのデートに出かけ、すぐに意気投合したといいます。そして、3回目のデートをした時、たかしは、次に会う時に、のぞみさんの収入が記載された源泉徴収票を見せてほしいと持ちかけてきたそうです。

 のぞみさんは
「結婚を考えているからこそ、お互いの収入とかについても、踏み込んだ話を彼はしてくるのかな」と思ったのですが、たかしが持ちかけてきたのは、2人の将来ではなく、税金対策でした。投資用のマンションを購入すれば、所得税が還付され、老後の対策にもなるというものです。

 のぞみさんは、
たかしの勧めに従い、新築として紹介されたワンルームマンションを、総額およそ2,600万円で購入することを決め、頭金として、預金から360万円を引き出し、35年ローンの契約をしました。購入した部屋は、賃貸住宅として貸し、入ってくる家賃との差し引き分1万3,000円を、毎月負担するという計算です。

 のぞみさんは、
将来のためと話す、たかしを信じていました。ところが、たかしは、マンション購入の手続きを済ませたあとから、態度を変え、のぞみさんと距離を置き始めました。

 その後の調べで、のぞみさんが購入したマンションは、
新築ではなく、中古だったことが判明し、不動産鑑定会社によると、このマンションの相場は1,650万円で、のぞみさんは、850万円も高く買わされた可能性が浮上しました。

 さらに、
たかしが別の婚活サイトにも登録していることを突き止め、たかしを追跡すると、たかしは、ほかの女性と接触していました。これまでの取材で、少なくとも、たかしを含め、同じ会社に勤務している8人の男女が、同様の手口で、異性にマンションを購入させていた疑いがあることがわかりました。

 26日、被害を訴えるのぞみさんら12人の原告が、たかしら8人を含む13人と、その勤務先の不動産関連業者などを相手取り、東京地裁に、
およそ2億円の損害賠償を求める訴えを起こしました。弁護士によると、原告の中には、1人で総額およそ8,000万円で、3つの物件を購入した女性もいるということで、その悪質性を指摘しています。

 また、
訴えた相手には、安易に融資審査をした責任があるとして、マンションの購入資金を融資した3つの銀行も含まれていますが、取材に対し、いずれの銀行も、「担当者が不在」、「内容を把握していない」などと回答しています。

 以上がFNNニュースの報道の内容です。海外からは、
「日本人は皆親切で、礼儀正しい」などと言われていますが、このようなニュースや、なくならないどころか数が急増している「オレオレ詐欺」被害報道を聞くにつけ、「そんなに買いかぶらないでください」と言いたくなります。まったくモラルの欠如もはなはだしいです。

 最も悪いのがこれらの活動を業として行っていた不動産関連業者であることはまず間違いないのですが、解せないのがのぞみさん達に易々と融資をした金融機関です。「銀行」と記事にはありますので、銀行法に基づいて内閣総理大臣から免許を受けたれっきとした銀行に違いありません。

 新築マンションであれば提携銀行方式で、物件審査を個別に行うことなく人物審査のみでパスさせるのでしょうが、このような行為を行うちっぽけな不動産業者の物件ですからそのような新築マンションを建築する資金力・プロジェクト力・信用力があるはずもなく物件としても個別審査が必要だったはずです。

 新築物件と見まごう築浅物件ですから、通常融資年限とされる30年〜35年ローンは問題ないのですが、しかし投資物件ですので、当然物件としての資金回収力も判断基準になると思われます。もっとも本人が住むことにして住宅ローンを申請しているのであれば審査は甘くなる傾向があり、「目をつむって」融資を通しているのかもしれません。

 それにしても
銀行内の稟議もあるはずですし、複数の目からチェックしても「問題ない」とされているのは解せません。それとも、世間にはそのような「割に合わない」不動産購入をする人がごまんといるので、本人の年収さえパスすればOK、という世界なのでしょうか。

 一方、
訴える側としては銀行を被告に加えることがポイントでもあるでしょう。このような不動産業者であれば、巻き上げたお金は既に雲散霧消しており、賠償能力がない場合が多いため、銀行に「共同責任」をとらせることが重要だからです。世間に信用力のある銀行を被告とすることで、単なる悪質業者による詐欺ではなく、社会的な事件として耳目を集めることも可能となります。

 ただ、
この訴えが認められるかどうか、個人的には微妙と考えます。原告としては、一連の行為は不法行為に当たり、最終的にはこのような契約は「公序良俗に反し無効」と訴えるのでしょうが、このような契約を結んだ背景や相手の悪質すぎる勧誘の仕方には十分同情できるものの、当該物件を購入するという行為は、一つの契約行為としてそれとは切り離して考えるべきもののように思われます。

 つまり、
当該物件自体が、購入しようとした物件と異なっていた、ということがその物的証拠(書き物)とともに残っていたら争えるのですが、それはそれとして「節税対策になるよ」という説明のまま購入したのであれば、たとえ査定額500万円のものでもそれを5,000万円で合意し購入した場合には契約としては有効だからです。

 不動産業者もその点、
尻尾をつかまれないようにうまくマニュアルを作っているのでしょう。でも、それでこのような悪質なデート商法を展開する業者が刑事的にも民事的にもなんら責任を問われないことはくやしいことです。皆が納得できる裁判、判決となるよう願っています。

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タワーマンションは打ち出の小槌?−三方一両得という商機
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★ 2月3日付日本経済新聞夕刊は1面で「タワーマンションまるごと商機」と題して、タワーマンションを新たなビジネスチャンスにしようと小売企業等が動いている様子を報じています。以下がその概要です。

 「
タワーマンションを新たな商機にしようと、小売企業やクリーニング業者などが動き出しています。買い物や衣類のクリーニング、靴の修理を外に出ずに済ませられるという便利さを打ち出し、顧客を取り込んでいます。20階建て以上のマンションは全国に千棟以上あり、今後も建設計画が相次いでいます。1棟当たり数百世帯が居住し、富裕層も多いタワーマンションを開拓し、収益につなげようという動きです。

 クリーニングの喜久屋(東京・足立)は1月にマンション事業部を設立、都内タワーマンションを対象に、クリーニングの集配業務を始めました。住民はあらかじめクレジットカード情報を登録し、衣類に「クリーニング」や「しみ抜き」の指示タグを付けてフロントに預けます。同社がほぼ毎日集配してクリーニングし、フロントまで届けます。料金は店舗価格と同じで、ワイシャツなら1枚270円程度です。

 すでに
東京都港区や中央区でサービスを開始しており、毎年20棟程度の受注をめざしています。今後、インターネット上にマンションごとに店舗ページを設け、料金やお勧めのサービスを載せる予定です。

 三越伊勢丹三井不動産と連携、2月から入居が始まる東京・日本橋の高級賃貸マンションの住人向けに、三越日本橋本店が無料で商品を届ける「日本橋三越御用聞きサービス」を提供します。

 靴修理の「ミスターミニット」を手がけるミニット・アジア・パシフィック(川崎市)は住友不動産と提携、タワーマンションを含めた同社の首都圏の新築マンションを対象に、宅配ボックスを利用した靴修理サービスを手掛けます。

 利用者は
ネット上で注文して宅配ボックスに靴を入れておくと、宅配業者が集荷、ミニット社が修理して宅配ボックスに戻します。多忙な人に、店舗に行く必要がないことや、集荷や配達時に家にいなくてもいい便利さを打ち出しています。

 インターネット接続サービスのテンフィートライト(東京・中央)は、「大阪ひびきの街ザ・サンクタスタワー」(大阪市)向けに、防災情報サイトを開設します。

 災害時に入居者は自身の安否を登録し、ほかの入居者の状況を相互に確認できます。体が不自由な人があらかじめ登録しておけば、ほかの入居者から補助を受けられます。近隣で起きた事故を入居者が配信して全戸に知らせる機能もあります。

 タワーマンションは1棟当たり千人単位の住民が住みます。これまで、駅前や駅ナカなどに多かったサービス産業も、こうした大口顧客をとらえようと、タワーマンションに照準を当て始めました。

 総務省の調べでは、
2008年、20階建て以上の超高層マンションは900棟で、不動産経済研究所によれば、2009〜2013年でさらに385棟増え、2014年以降も191棟、約7万3千戸が完成予定です。」

 以上が日本経済新聞の記事の概要です。私が住んでいるマンションで、先日、
1枚のチラシが配られました。それは何と、マンション居住者を対象にした三井アウトレットパーク木更津への無料シャトルバスサービスのお知らせでした。私が住んでいるのは武蔵小杉ですから、あのアクアラインを通って木更津まで送迎してくれることになります。

 実は我が家ではお正月に
多摩南大沢のアウトレットに行くか、木更津のアウトレットに行くかで迷いました。結局、娘達の馴染みの店が多い多摩南大沢にしたのですが、妻はより規模が大きくて新しい木更津に行きたかったようです。しかし、娘達は正月以外は部活・勉強に忙しく、今度家族で出かけるのはいつのことやら、といった状況でした。

 そこに舞い込んだのが上記のお知らせで、
シャトルバス運行は平日昼間なのですが、むしろ行きたかったのは妻だけだったので問題はありません。しかもマンション居住者以外の友人を誘ってもOKなので、ますます行きやすくなっています。平日昼であれば、アクアラインの渋滞もなく、すいすい快適に到着できると考えられます。

 アウトレット側でも、平日昼の来客数は週末の来客数を大きく下回っているでしょうから、往復のバス代を負担しても来客数が増加してショッピングをしてくれれば、十分元がとれるわけです。私が住んでいるのは三井不動産レジデンシャルのタワーマンションですので、なるほど三井不動産グループでうまく連携したものだと感心しました。このサービスは、マンション居住者にとっても、アウトレット側にとっても利益になるWIN-WINの関係ということができるでしょう。

 考えてみれば
タワーマンションほど効率の良いお客はないかもしれません。1棟当たり数百世帯が住み、その全てが一定以上の所得水準を有し、購買意欲も盛んです。しかも数棟ある団地型の大規模マンションと異なり敷地面積は狭く、1棟のみで無駄なくセールスすることができます。

 例えば今話題の『Tomihisa Cross Comfort Tower』
総戸数1,091戸で、間取り1LDK〜3LDKですので、1住戸当たりの平均居住人数を2.5人とすると、約2,700人が1棟のタワーマンションに住んでいることになります。

 日本の各市町村の人口を調べてみると、
2,700人未満の町村が102ありますので、『Tomihisa Cross Comfort Tower』1棟で小さな町村を超える人口を有することとなる計算です。しかも高齢化率が低く、おそらく1世帯当たり平均年収は優に1,000万円を超えていることでしょう。

 ここに
タワーマンションを商機ととらえる事業者とこれらのサービスを自宅にいながらにして受けられる居住者との間にWIN-WINの関係が築かれることとなります。したがって、タワーマンションは、他のマンションにはないサービスを享受できるという意味で、ますます魅力を増大させることになり、それが当該タワーマンションの人気につながって、資産価値の一層の維持・向上が図られる、という図式が描けそうです。

 タワーマンションは
デベロッパーにとっても利潤が大きいと言われています。となれば、タワーマンションという存在は、売主・買主・サービス提供者の三者にとって様々な富やサービスを生み出す「打ち出の小槌」にも見えてきます。タワーマンションばかりの街は異様ですが、この「打ち出の小槌」が効力を発揮する限り、にょきにょき、にょきにょきとタワーマンションが作り続けられるのでしょう。

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過熱化する外国人の日本のマンション争奪戦!−その「正しさ」の証明とは?
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★ 今月5日付ブルームバーグ紙によれば、バブル崩壊から20年以上が経過し、すっかり手ごろな値段となった東京の地価に、今後はアベノミクスを背景に地価反転が期待できるとみて、アジアの富裕層や投資家たちが、都心の物件を盛んに物色し始めています。

 日本と台湾を行き来する元キャビンアテンダントのジュリア・チャンさん(48)は、
都内で3軒目の購入物件を探しています。保有資産の分散化に向けて海外でも物件を探し回った結果、「東京の不動産は比較的安くなっており、投資するにはいい買い物だ」と判断しました。

 台湾最大の上場不動産会社、信義房屋不動産の何偉宏社長によると、
今年1−6月に日本で販売仲介した物件は113億円と、昨年1年間の86億円を既に上回っています。顧客間の物件争奪戦は過熱化し、抽選で買い手を決めるようなケースもあります。何氏は、「販売実績が急増したのはアベノミクスと大いに関係がありそうだ」と話します。

 不動産売買・仲介の三倉屋商事が中国語で日本の物件を紹介するホームページを設けたのは3年前です。谷口雅之社長は
「今まで全然反響がなかった」といいますが、昨年末の安倍政権発足を機に「急に台湾、香港から問い合わせがくるようになった」と振り返ります。

 アジア諸国からの引き合いが活発化している背景には、
賃料収入が最高で物件価格の8%にも達するほどの高収益性や、デフレ脱却を目指す安倍政権下での値上がり期待があります。また、香港やシンガポールでは地価が高騰するなか、円安のおかげで外国人にとって日本の不動産は割安感が増しているという側面もあります。何氏は、円安に伴い東京のマンション価格は昨年末に比べて15%安くなったといいます。

 不動産仲介のクッシュマン・アンド・ウェイクフィールドのサンジェイ・バーマ最高経営責任者(CEO)は、
アジアの主要都市に滞留していた高額物件への投資マネーが今や、東京に流入し始めていると指摘します。信義房屋の何氏によると、5,000万円以下のマンション(1ベッドルーム)で投資収益は約6−7%と、住宅ローン金利の約2.5−3%を上回っているため、収益を確保できるといいます。

 台湾の大手銀行、中國信託商業銀行 東京支店によると、
1−6月の日本での外国人向け住宅ローン供与額は前年同期の3倍に跳ね上がりました。変動型ローン金利は2−3%と邦銀よりも高いのですが、住宅ローン担当の松本惠娟氏は顧客にとって今が格好の投資チャンスだとして、同行は旺盛な資金需要に応えようとしていると話しています。

 日本の主要都市の不動産価格は1990年ごろのピーク時に比べて半値以下に落ち込んだのに対し、香港は過去5年でほぼ倍増、シンガポールや中国、マレーシア、台湾は25%強も値上がりしました。総合不動産サービスの米ジョーンズラングラサール(JLL)の調べでは、東京の住宅価格は1平方フィート当たり12万−15万円なのに対し、香港は28万−40万円、シンガポールは20万−25万円と、いずれも東京を上回っています。

 さらに今後の地価動向を左右する政策運営にも違いが見られます。
日本はアベノミクスの下で日銀が大規模な金融緩和に踏み切ったこともあり、株価や不動産などの資産インフレ期待が台頭、一方、中国や香港、シンガポールでは、当局が行き過ぎた不動産投機の抑制策に既に動いています。

 少子高齢化で国内の住宅需要が中長期的には縮小に向かう中、不動産業界は海外マネーを取り込もうと、躍起になっています。JLLは日本のマンション販売会を昨年以降、シンガポールで5回、香港で1回開催してきました。同社キャピタルマーケット事業本部の水野明彦氏は、「今年はこれまでにシンガポールと香港で総計100戸以上売れた。12月末までに150−180戸は売りたい」と鼻息も荒くなっています。

 東急リバブル は昨年、
上海に現地法人を設立するとともに、香港やシンガポールなど海外で国内マンション販売を始めました。取締役専務執行役員の北川登士彦氏は、「過去にはデベロッパーが海外に売りに出ていくことはなかった」といいますが、「アジアは欧米と並ぶ経済規模になり、富裕層の比率が高い」と指摘、同社はアジアの富裕な投資家相手に新たな販売チャネルを広げる必要があると判断したということです。

 長い引用でしたが、興味深い内容でしたので、ほぼ全文掲載しました。
外国人勢の日本の不動産買いはたびたび指摘されてきましたが、その需要は一斉旺盛になっているようです。その要素は、外国人の目から見て、地価の安さ+値上がり期待+円安のトリプルポジティブな環境が非常に魅力的に映っているからでしょう。

 不動産価格とは相対的なものです。歴史的に見れば、どの時点を基準に置くかで、現在価値が割高なのか割安なのかが変わってきます(タテの相対性)。また、国際的に見れば、どの国の地価水準を基準に置くかで、やはり割高感・割安感が大きく左右されます(ヨコの相対性)。そして、タテの相対性とヨコの相対性が組み合わさることによって、現在の日本の不動産価格は「大変割安」と判断されているわけです。

 日本の不動産が人気となっている背景の一つには、
購入者層の変化もあると思われます。従来は、我が国の不度運業界にとって外国人とは欧米人のことでした。彼らは自国マーケットもフリーのため、「それでもあえて日本の不動産を買う理由」には、相当厳しい冷徹な判断がなされていると思われます。

 一方、
最近のバイヤーは東アジア・東南アジアの富裕層です。彼らは自国マーケットの規制や不安定な金融政策のリスクを経験しており、それに比べれば日本の不動産は自由かつ安全であると評価していると思われます。また、彼らから見て日本は先進国であり、その先進国日本の不動産を自分は所有しているという満足感もあるような気がします。

 利回りの高さも魅力のようです。記事にあるような表面利回り8%の新築マンションがあるなら私も買いたいですが、そこまで行かなくとも、表面利回り6%の新築マンションであれば、探せば出てくる水準です。ただ、これに毎月の管理費+修繕積立金の支払いや、金利2.5%〜3%のローン支払いを差し引くと、ほとんど手許にキャッシュは残らないのではないでしょうか。それでも外国人の購入意欲が衰えないのは、やはり日本の不動産の値上がり期待(キャピタルゲイン期待)があるからだと思われます。

 彼らは
日本の不動産会社にとってもお得意様です。外国人の投資期待の目から見た不動産評価と、日本人の実需ベースの不動産評価は異なっていることが想定され、実際、日本人には売れないマンションが外国人には好調に売れてゆく現象が見られます。また、遠隔地にあることから彼らの判断は迅速であることが想定され、「手間がかからない」良いお客さんであると考えられます。

 一方、
日本人もマレーシアやタイなどの東南アジアへの海外不動産投資が盛んになっています。投資妙味に絶対の基準があるならば、このような投資対象の相互乗り入れは起こらないはずなのですが、日本人と外国人のどちらが正しい判断を行っているのでしょうか。

 こうして見てくると、要は日本人も外国人も思惑で買っているからこそ、投資判断に違いが出てくるのだと思われます。ある利潤が確定しているのであれば、そこには日本人も外国人も関係なく、利潤の大きな方を選ぶに決まっているからです。

 そのような
合理的判断を誤らせているのが、その人の主観であったり価値観であったり、思い入れであったりします。人間はこの主観を持つばっかりにいつも苦い思いをするのですが、それでも元気で生きていけるのも、人間が主観で生きる動物だからでしょう。

 今回の
外国人の日本買いも、アベノミクスに代表された雰囲気に煽られている結果とも言え、目先のさまざまな好条件も、「そう見るからそうなのだ」ということに過ぎない気もします。さて、このような「日本買い」に日本人も便乗するのが正しいのか、傍観する方が正しいのか、そもそも「正しい」か「正しくない」かという基準の立て方が正しいのか不動産はいつも証明不能なパラドックスだらけです。

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マンションから町工場を守る条例って?−将来につながる住工共生のまちづくり
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★ 今月27日付産経新聞によれば、ものづくりの町として知られる大阪府東大阪市で、町工場が立ち並ぶ地域の住宅建設に“待った”をかける異例の条例が10月に本格施行されます。撤退した工場跡地にマンションなどが建った結果、住民の苦情で既存工場の操業が妨げられるトラブルを未然に防ぐ狙いです。他の企業城下町でも同様のトラブルは増えており、ものづくり振興と住環境の両立を図る取り組みとして注目されます。

 地下鉄とJRの最寄り駅から徒歩10分。印刷所や鉄工所など、
昔ながらの町工場がならぶ東大阪市高井田中の一角に、数十軒の真新しい西洋風の戸建て住宅が立ち並びます。いずれも数年前、工場が撤退した跡地に建てられたものです。

 ある住民から
「一日中、嫌なにおいがする。近くの塗料工場から出ているのではないか」同市に苦情が寄せられました。調査の結果、原因は塗料工場ではなく、さまざまな工場の稼働に伴うものづくり地域特有のにおいだと判明しました。こうした転入住民からの苦情により、既存工場が操業しにくくなり、廃業や転出するケースが増えているということです。

 東大阪市が10月1日から本格施行する
「住工共生のまちづくり条例」は、騒音や振動、においなどをめぐり、新たな住民と既存工場の間に軋轢(あつれき)が生じるのを防ぎ、町工場の移転を防止するのが目的です。

 同条例では都市計画法上の工業地域で住宅を新築する場合、
建築主は事前に建築計画について市と協議する義務を負うほか、騒音や振動を軽減するために二重窓などの対策を講じる努力義務規定も盛り込みました。

 国の工業統計によると、
東大阪市内の事業所数はピークだった昭和58年の約1万から平成20年には6,016まで減少しました。同市の工業地域が市街化区域に占める面積割合は7.3%で、市は今後、条例の対象地域を一部の準工業地域へも拡大する方針だということです。

 同様の悩みは、大企業が立地する他の
“企業城下町”も抱えています。パナソニックの電池工場を擁する大阪府守口市の、西端勝樹市長は「孫請けの事業所が廃業し、住宅になっていく」と表情を曇らせます。

 工業地域は地価が安く、近年は住宅の開発も増えています。東大阪市の担当者は、消費者に対し「現地モデルルームを見学するのは工場が休みの土日が多く、通行車両も少ない」と住宅取得の際の注意を促しました。

 以上が産経新聞の記事の概要です。各自治体では、
地域の良好な住環境を守るため、マンション建築に関するさまざまな規制条例を設けることがありますが、東大阪市の取組は、「町工場を守るため」というちょっと変わった内容です。

 しかし、考えてみれば
もっともな政策です。私が今住んでいる武蔵小杉エリアも、もともとは工場地帯で、そもそも東急の「武蔵小杉」駅自体が開業時は「工業都市」駅という名称だったのです。武蔵小杉では、経営不振に陥った不二サッシの工場跡地の売却をきっかけに、川崎市の政策もあって、工場用地が次々とタワーマンションへと変わっていき、それに押されるかのように、老舗企業の東京機械が駅前の広大な土地を手放し、今駅前で工場が残っているのはNEC等のIT企業のみになりました。

 武蔵小杉の場合は、地価が上昇したこともあって、むしろ経営効率を考えて移転するほうが得策という判断がはたらきやすかったのですが、東大阪市のように特に小さな工場ががんばっているエリアは、移転経費やその他の事情も含めてなかなか簡単に動けるものではありません。そもそもその地の先住者は工場なのであって、そこに後からわざわざ入ってきた新住民匂いや騒音でクレームを付けるというのは、どう考えても割に合わないところでしょう。

 しかし、工業地域はその性格から地価が安く、工場跡地など広い敷地が取れるので、価格の安い大規模マンションを造るには格好の場所となります。購入検討者がファミリーの喜ぶ豪華な共用施設に目を奪われ、また、安さに惹かれて周辺環境のことをあまりよく考えずに購入してしまうことは「よくあること」ですし、それがデベロッパーの販売戦略でもあります。

 しかも、上記記事にあるとおり、
モデルルームの見学は休日が多いため、工場稼動時の状態を知らずに決断する方も多いと思われます。住んでみて初めて、「何だこれは」となった時、購入者も困りますし、工場側もいい迷惑です。

 東大阪市の「住工共生のまちづくり条例」では、こういった状況を踏まえ、
「市民の良好な住環境とモノづくり企業の操業環境を保全し、創出することにより、住工共生のまちを実現していく必要がある」と規定しています。

 その内容をみてみると、
工業地域及び準工業地域のうち指定するエリアをモノづくり推進地域として指定し、その地域内で建築主が住宅を建築しようとするときは、あらかじめ市と協議しなければなりません。建築主は、その協議に係る住宅については、騒音等の影響を自ら低減するための措置を講じなければならないとされています。

 また、建築主は、上記の協議を行った際には、
モノづくり企業や協議会に対してその建築計画の内容を説明し、その結果を市長に報告しなければなりません。

 さらに、宅地建物取引業者、すなわち、
住宅の売買又は賃借の仲介をする者は、購入検討者又は賃借検討者に対して、そこがどういう地域であり、各種規制やモノづくり企業の立地状況がどうであるか、また、土壌汚染等の事実がないかなどについて、説明しなければなりません

 この内容をみればわかるように、当該マンションの
事情をもっとも詳しく知る者は購入検討者でも町工場のおやじさんでもなく、当のマンションの建築主であり、それを販売する仲介業者ですので、条例では彼らに対して影響軽減措置を課した上で、関係者に対する協議義務、説明義務を課すことで、当該マンションの建築計画の内容が、市にも、購入検討者にも、町工場の経営者にも伝わり皆が納得ずくで影響軽減に努めたマンションが分譲されるように工夫されています。

 それぞれのエリアにあったコミュニティがあるとすれば、工場地域では、マンション住民と工場関係者が共生する必要があることは、考えてみれば当然のことです。しかし、今まではそのような取組がなされず、お互いが不満を持つ中で、最大の起因者であるデベロッパーだけが売り抜けて知らん顔ができるという不都合が生じていました。

 こういった中で、東大阪市の取組は、
皆が合意の下でマンション分譲が行われ、ひいてはそれが住工共生のまちづくりのきっかけになるのではないか、という期待まで感じさせるものとなっています。昔も今も、そしてこれからも日本の現場を支え続ける町工場が元気であり続けるために、一つの可能性を示唆する明るいニュースだと感じました。

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| 最新ニュース | 19:58 | comments(0) | trackbacks(0) |
さらば同潤会アパート−百年後に引き継がれたひたむきなクラフトマンシップ
JUGEMテーマ:マンション

★ 5月8日付産経新聞によれば、関東大震災後の復興事業で建てられ、日本の近代的集合住宅の先駆けとされる同潤会アパートで唯一現存する「上野下アパート」(東京都台東区)の解体が決まり、内部が報道陣に公開されました。6月に取り壊しが始まり、マンションに建て替えられます

 建て替え事業にかかわる
三菱地所グループによると、上野下アパートは1929年築で鉄筋コンクリート造り4階建ての2棟(計71戸)です。14階建てのマンション(128戸)に生まれ変わります。工事は2015年夏に終わる予定で、1戸当たりの専有面積は最大で約40平方メートルから約75平方メートルに広がります。

 現在の居住者65人のうち55人が建て替え後のマンションに入居します。

 以上が産経新聞の記事の概要です。
日本の共同住宅のパイオニアで、建築史にその名を刻んだ同潤会アパートがついに姿を消します。中村草田男は「降る雪や明治は遠くなりにけり」という有名な俳句を残していますが、「昭和は遠くなりにけり」という思いを強くする記事でした。

 私が同潤会アパートの存在を知ったのは、平成16年の旭化成の
『アトラス江戸川アパートメント』の分譲でした。これは、東洋一のアパートと言われた『同潤会江戸川アパートメント』の建替事業で、売主である旭化成の力の入れようも並ではなく、旧同潤会アパートの象徴であった「社交場」「アトリエ」といったコミュニティ機能の復活にも力を入れたマンションでした。当時江戸川エリアに全く関心がなかった私も、「いっぺんモデルルームに見学に行こうかな」と真剣に考えたくらい、光ったマンションでした。

 実は、代官山のランドマークマンションである
『代官山アドレス』も、同潤会代官山アパートメントの建替事業で誕生したものですし、同潤会青山アパートメントの建替が現在の『表参道ヒルズ』です。これらは元々立地が商業地で良かったこともありますが、住宅系敷地にあった同潤会江戸川アパートメントの建替事業である『アトラス江戸川アパートメント』がグッドデザイン賞を受賞し、今でも売却益が出る優れたマンションであるなど、同潤会アパートの建替事業には、デベロッパーも特別に力が入るようです。

 先週、図書館でたまたま借りた
「マンション60年史−同潤会アパートから超高層へ」(1989年出版)によれば、同潤会とは、上記記事にあるとおり、関東大震災後、罹災者の住宅の回復安定等を目的として設けられた財団法人でした。大正15年から昭和16年の間に2,508戸のアパートを造りましたが、これらはすべて震災を教訓に対火耐震のRC造りで、大半が3階建でした。

 当時の演劇評論家である
坪内士行は、江戸川アパートメントについて、次のように回想しています。「江戸川アパートの建設プランの刷り物を目にした。私は「これだ」といっぺんに決めて申し込んだ。お値段の方は案外に安い。」ここにあるように、江戸川アパートメントは、「所謂超満員にして係員は常に申込者を謝絶することに苦しんでいる有様」だったそうです。

 「同潤会18年史」によれば、
同潤会アパートの特徴は、次のとおりです。

「|録未飽汰瓦覆襪海函↓火災に安全なること、E霪颪良坩他なきこと、は騨里寮験萢夕阿鮗由に選択しうること、ド要な設備を一切完備せること」

 設備の新旧の違いはあるにせよ、その目指すところは現代の分譲マンションと異なるところがありません。このようなアパートを造るのを目指して、同潤会は当時の建築界の精鋭を集め、極力アメリカ方式を採用しようと、議論に議論を重ねました。「日本建築家山脈」という本は、このような光景を、「そこに一貫するのは合理的な、しかも堅実な精神であって、これを大正デモクラシーの残映と見ることもできよう」と評価しています。

 同潤会アパートの価格は
1戸が3,000円相当で、月賦金が1,000円について6円50銭から7円、火災保険料・地代管理費などを合わせて月26〜27円この家賃並みの月賦金を15年払うと、住宅は自分のものになる、という仕組みでした。「家賃並みのローン支払額」というセールスポイントも、現代のマンション事情と相通ずるものがあります。

 また、
同潤会職員の勤務形態は滅私奉公的で、各アパートに住まわされ、昼は分譲住宅の仕事をしながら、夜はアパート管理をしていました。「前線に出てお客様に接し、サービスに努めることこそ本会職員の本務」と説かれていたそうです。

 戦後、
GHQは、同潤会を閉鎖するために、アパートを1戸ずつ払い下げることを指示、ところが当時はアパートの1住戸の分譲など考えられないことだったので、その法的関係、管理体制のあり方に大変苦労したようです。こういった経緯もあって、建物区分所有法が制定された、ということでした。

 このような
苦労の結晶であった同潤会アパートは、「戦前の住宅改良思想の頂点の一つ」と高く評価されています。そして、同潤会アパートができてから90年近くを経た今、東日本大震災を経験して、さらに安心・安全なマンションを目指して、生まれ変わろうとしています。

 同潤会アパートが関東大震災勃発を契機として建築が始まり、東日本大震災の対策が強く求められる現代に姿を消すというのは象徴的な出来事です。あたかも同潤会アパート自身が自らの役割を果たし終えたことを自覚し、「後は任せたぞ」とばかりに私たちの背中を押してくれているような気さえします。

 新しい時代の新しいマンション、それは同潤会アパートメントの精神そのものなのでしょう。

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| 最新ニュース | 20:44 | comments(0) | trackbacks(0) |
市役所は大家さん?−市役所庁舎の上にマンションを造ることを国が推進
★ 本日付け時事通信によれば、国土交通省は3日、老朽化した公共施設の建て替えが本格化するため、市役所など自治体の庁舎と、マンション、店舗、オフィスなどの民間施設を一体的に整備する手法を検討する方針を決めました。地方の財政負担の軽減と市街地活性化が狙いです。5月にも有識者検討会を設置し、来年3月までに自治体向けの手引を作ります。 

 庁舎のほか、学校や公営住宅などは高度成長期の1960年代に集中的に整備されたため、今後、建て替えや大規模改修が必要な施設が急増します。しかし、多くの自治体は財政状況が厳しく財源確保は容易ではありません。そこで国交省は、建て替えや公共用地の跡地利用に民間の力を借りて、自治体の負担を軽減する方策を検討することにしました。

 今後、
公共施設の建て替えや跡地利用を予定する複数の自治体をモデルケースに、有効な整備手法を探ります。具体的には、庁舎を高層ビル化し一定以上の階をマンションとして分譲したり、店舗、オフィス向けに賃したりすることで、建て替え費用を賄う方法などが想定されます。商業施設などの併設は多くの人を呼び込むことになり、市街地活性化の効果も期待できます。

 また同省は、老朽化施設の有効利用の一環として、
児童生徒の減少で廃校となった学校跡地の活用方法なども検討します。手引には、住民の合意を得ながら、公共施設の統廃合を進める手順や留意点なども盛り込みます。

 以上が時事通信の記事の内容です。いよいよ
マンションが市役所の上に建てられる時代になってきました。実際、今後分譲予定の『Brillia Tower 池袋』は、豊島区本庁舎と一体となった日本初のプロジェクトで、話題を呼んでいます。

 思うに、これは
市役所にもマンション購入者にもデベロッパーにもメリットがあります。まず、市役所にとっては、市役所を建て替える財源ができ、市民から「無駄遣い」と言われなくてすむ、という点です。

 つまり、
市役所を高層ビルにして中高層階をマンション分として売ることにして、場合によってはほぼ持ち出しなしでデベロッパーに庁舎を造ってもらうことができます。通常のマンションであれば、「事業協力者」として、持分だけの階数を無償取得する手法です。

 市役所建替えで、
一番怖いのは市民の批判です。庁舎の建替えは十中八九、「私たちの税金でこんな立派な庁舎を建ておって」と攻撃されることになります。このため、市役所は例え耐用年数を過ぎて、耐震診断でNGが出ても、建替えることができず、いわば朽ち果てたようになっている庁舎もたびたび見かけます。

 しかし、この手法を用いれば
「建替えに当たっては皆様の大切な税金は使っておりません」と胸を張って言えます。むしろ、これにあわせて新庁舎周りをきれいに整備して(高層化することで敷地に余裕が出てくるものと思われます)市民のための憩いの広場を造れば、市民の利便性向上にも役立ち、むしろ市民から誉められるかもしれません。

 本当にそうなのかはわかりませんが、例えば
総合設計制度を用いた容積率緩和なども、許可するのが同じ市役所なので、スムーズに認められる可能性が高いのではないかと思います。まさか意のままに緩和できるとも思えませんが、うまくすれば庁舎建替えの上に余剰が市の財政を潤すこともありうるかもしれません。

 これは、分譲マンション型にしなくても、
賃貸にしてもOKです。併せて1階部分をオフィスや店舗に貸せば、投資効率も高まります。この場合、市役所は立派な大家さんになります。いや、むしろこれは、賃貸併用住宅タイプに近いとも言えます。

 購入者にとっても大きなメリットです。庁舎一体型だからと言って価格面で格安になることはないでしょうが、市役所庁舎の大部分は、エリアの中心地に立地し、利便性の極めて高い一等地にあります。ただでさえ知名度の高い場所であるのに、そこに高層タワーマンションでも建とうものなら、一気にエリアの人気ランドマークとして君臨することになります。

 このほか、
市役所と一体であることによるメリットとして、役所への申請・給付・納税などの手続きが至極便利だということが挙げられます。また、市役所と同じ建物であることから来る安心感があり、これは構造面でもセキュリティ面でも該当するでしょう。

 このような
人気マンションとなる可能性が高いことから、デベロッパーにも当然大きなうま味があります。ランドマーク間違いなしの人気物件ですから、価格に多少のプレミア乗せは許される可能性が高いです。

 この手法の
パイオニアは、やはり上記の豊島区役所建替プロジェクトでしょう。このプロジェクトが成功を収めれば、他の自治体も追随する動きが次々とでてくるかもしれません。

 自治体も購入者もデベロッパーも皆が喜ぶ庁舎高層化プロジェクト、今後もどんどん進めていってほしと思います。

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| 最新ニュース | 19:35 | comments(0) | trackbacks(0) |
三菱地所レジデンスの誤算?−パークハウスからグランシリーズを差別化
JUGEMテーマ:マンション

★ 今月19日付SankeiBizによれば、三菱地所レジデンスは18日、同社のマンションブランド「ザ・パークハウス」の最上位住宅として、新たに「グラン」シリーズの展開を始めると発表しました。JR山手線内を中心に都心の「希少な立地」をキーワードに、中古マンションになっても資産価値が落ちにくく、間取り平均が約100平方メートルと最高水準の住宅を提供します。年間2〜3棟の新築物件を供給する方針です。

 「グラン」シリーズの第1弾「グラン南青山高樹町」(東京都港区)は今春から販売開始し、来年3月下旬に引き渡しを行う予定です。その後、皇居に近い東京都千代田区の三番町、千鳥ケ淵の各物件の販売を計画します。販売価格帯は未定ですが、大半の物件が「億ション」となる見通しです。

 同社の
「パークハウス」ブランドは1969年の販売開始以降、5,000万円前後の価格帯を中心に、これまで全国主要都市で87物件6,491戸を販売してきました。ただ、国内のマンション市場が成熟化する中、「物件にこだわりのある消費者が増えている」(八木橋孝男社長)として、今回新たに最上級シリーズの展開を始め、多様な住宅需要に応えていきます。

 以上がSankeiBizの記事の内容です。これまで
「パークハウス」ブランド一本で通してきた三菱地所レジデンスが、ついにブランド名の差別化を始めました。正確に言えば、都市型シングル物件「パークハウスアーバンス」シリーズは以前から存在したわけですが、高級物件と言われる「パークハウス」よりさらに高級な物件を表す「グラン」シリーズを立ち上げる理由を考えてみました。

 三菱地所レジデンスは、最大のライバルである
三井不動産レジデンシャルが、「パークホームズ」ブランドを基本として、早くから「パークマンション」「パークコート」「パークタワー」「パークシティ」そして近年の「パークリュクス」細かい差別化を図ってきたのとは対照的に、「パークハウス」ブランドを守ってきました。ここでどちらの戦略が良いかは一長一短で決められないものがあります。

 すなわち、複数のブランドに分けるという戦略は、
それぞれのアピール・ターゲットを持つことで、幅広い購入者層を狙うことができます。一方、その裏返しですが、各購入者層のターゲットが固定化してしまい、柔軟性を欠いてしまうということ、それぞれのブランドの差別化されたコンセプトを各物件に明確に付与するというのは案外難しく、ブランド間の混在が始まるとブランド価値の回復が困難で、各ブランドともステイタスの劣化が始まりやすいこと、などが欠点ということができるでしょう。

 これに対し、
ブランドの一本化は、そのブランドが明確なステイタスを持つ限り、セグメント化されたブランドよりも強みを発揮すると考えられます。ご承知の通り、最もこれに成功しているのは野村不動産の「プラウド」であり、「プラウド」と冠するだけで割高物件も売れてしまうというマジックが存在します。

 しかし、それは、その
ブランドが付与された物件がいずれもクオリティが高く、周囲からもステイタス感を持って受け止められ、そこに住んでいることが誇りとなり、中古市場でも他の物件より高く売れる、という実績に裏打ちされているからこそです。当該デベロッパーがその努力を怠って、高く売れるからという理由で安易な物件をそのブランド名で乱造するようになると、たちまちブランド価値も下がることとなります。その場合には、ブランド名が一本しかないだけにリスク分散ができず、当該ブランド名の全ての物件の価値が毀損してしまう、という大きなリスクを背負うこととなります。

 三菱地所レジデンスの
「パークハウス」はもちろん、ぴかぴかのトップブランド名です。「プラウド」が新興勢力だとすれば、「パークハウス」は老舗中の老舗で、高級感があり、最も信頼できるブランドの一つということができます。だからこそ、他社のようにブランド名を数年おきに変える必要がなく、その価値を長年維持してきた稀有な例ということができます。

 それなのに、なぜ今、「パークハウス」から新しい高級ブランドを派生させる必要があったのでしょうか。推測するに、それは2年前の藤和不動産との統合にあると考えます。

 それまでの
三菱地所は、都心部の高額物件を主に手掛けてきました。ここに、経営不振にあえいでいた藤和不動産が統合されていくのですが、藤和不動産は主に郊外部における一次取得者層向け物件を扱ってきており、両社はそのターゲットゾーンが全く異なっていたのです。

 おそらくは、統合当時の経営陣が考えていたのは、
両社が異なる強みを1社の中で活かすことにより相乗効果を生み出し、市場のボリュームゾーン(販売価格3,000〜6,000万円台)を確実に取り込むという戦略だったのだと思います。確かに合併効果と言うのは性格の異なる2社だからこそ発揮されるもので、その意味での考え方はある程度正しかったのだと思います。

 しかし、実際に統合してみると、
結果として起こったのは「パークハウス」ブランドのステイタスの低下でした。すなわち、2年前の1月、会社名を「三菱地所レジデンス」とし、新ブランド名を「ザ・パークハウス」として新たなスタートを切ったのですが、藤和不動産が有していた郊外の土地を「ザ・パークハウス」と銘打ってマンション化することにより、その高級イメージが薄まってしまったのです。

 私たちが2年前に発した
「え?こんなところにパークハウス??」という驚きは、「この地にパークハウスができるということはそれだけこの場所のステイタスが上がったのだ」というプラスの驚きではなく、「この地にパークハウスができるということはそれだけパークハウスのステイタスが下がったのだ」というマイナスの驚きでした。というのも、その地が三菱地所が「パークハウス」を建てるために入念に選んだ場所なのだ、という「神話」が通用せず藤和不動産と合併したから機械的にこの場所に「ザ・パークハウス」が建ってしまうのだ、という舞台裏が見えてしまったからなのです。

 このように見てくると、当時の経営陣が選択した
「藤和不動産との統合」という選択肢は戦略的に誤りではなかったものの、本来はこの統合時にブランド名を差別化すべきだった、と考えます。うがった見方をすれば、経営陣が当時抱いていた「パークハウス」ブランドへの強い思い入れと過剰な自信が、結果として「パークハウス」ブランド全体の価値の毀損につながってしまった、と思うのです。

 現在の
「ザ・パークハウス」は、たとえそれが代官山にあったとしても、どうしても以前ほどのステイタスが感じられないように思います。こうなると、以前はブランド名込みで相場よりも高値で売れていたパークハウス物件がその値では売れなくなり、強気な価格設定ができなくなります。もともと三菱地所は都心高級物件を手掛けることで利益を挙げていただけに、最近ではその本来の強みが発揮できない状態になっていたのではないでしょうか。

 したがって、
「グラン」ブランドの創設は、「攻めの戦略」と言うよりはやむにやまれぬ「守りの戦略」なのではないかと思います。そうでなければ、長年高級物件として定着していた「パークハウス」ブランドの価値を自ら低下させるような仕打ちはしないと考えるからです。

 はたから見ていて、
最近の三菱地所レジデンスの物件は、どことなく迷いが感じられるものが多く見受けられました。購入検討者はそのような雰囲気を敏感に察知するもので、売主自身が売り方に迷うような物件を進んで買うような気持ちにはならないものです。

 ある意味では
「ザ・パークハウス」ブランドをあきらめ、代わりに「グラン」シリーズを導入することにより再び三菱地所レジデンスが元気を取り戻せるのであれば、それに越したことはないでしょう。今年は久しぶりに三菱地所レジデンスにとって快心の一年であってほしいものです。

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| 最新ニュース | 20:38 | comments(0) | trackbacks(0) |
あの一流デベロッパーも倒産の危機?−驚きの倒産危険度ランキング!
JUGEMテーマ:マンション

★ もう先週号になりますが、週刊ダイヤモンド2013年1月26日号の特集は「倒産危険度ランキング」でした。これを読むと、私たちに馴染みのある知名度の高い一流不動産会社が軒並み顔を出していることに驚きました。そもそも倒産危険度ランキング第1位のジアースもマザーズ上場の不動産情報会社であり、ワースト40には8社も業種を不動産とする会社がランクインしています。

 さらに東証1部上場のワースト30にも不動産会社が8社、以下のとおりランクインしています。数値は倒産危険度で、数値が低いほど倒産危険度が高いことを表しています。

1 ランド        ▲0.43
4 東京建物        0.08
9 常和ホールディングス  0.36
11 ランドビジネス     0.40
18 平和不動産       0.56
19 NTT都市開発       0.60
21 住友不動産       0.62
25 東急不動産       0.66


 東証1部上場ワースト1のランドは、昨年12月8日の本ブログ記事『暴かれたランドの粉飾決算?−根深く残るリーマンショックの後遺症』でも書いたところですが、粉飾決算の疑いで県警とSECによる家宅捜索が行われています。多額の最終赤字が解消できず、継続疑義が付されている会社です。

 ワースト4は、メジャー7の一角をなし、「Brillia(ブリリア)」ブランドで知られる東京建物です。週刊ダイヤモンドのコメントでは、「リーマンショック前の投資拡大のウミが、ここにきて収益力の低下と評価損として顕在化してしまった」とされています。確かに、素人目で見ても最近の東京建物は超大型物件を抱える一方で、中小規模の足の速い物件が少なく、元気がないように思えます。

 そして、
19位にはウェリスブランドのNTT都市開発、21位、25位には大手デベロッパーの住友不動産、東急不動産と続きます。

 しかし、この
倒産危険度とは何でしょうか。これはエドワード・アルトマンが1968年に考案したZスコアというもので、米国の会計基準を基に生まれたものです。具体的には、次の5つの指標の合計値により判断しています。

 (運転資本の増加分÷総資産)×1.2
◆(内部留保÷総資産)×1.4
 (税引前営業利益÷総資産)×3.3
ぁ(時価総額÷有利子負債)×0.6
ァ(売上高÷総資産)×1.0


 この指標を見てわかるのは、総資産や有利子負債が分母としていることで、不動産業は構造的に総資産も有利子負債も大きくなるのが普通ですから、必然的にスコアは悪くなるわけです。したがって、不動産会社はこのワーストランキングの常連であり、だから倒産する、というものではありません。逆に資産を持たなくても利益を出すことが可能なIT産業などは営業利益が黒字であれば素晴らしく良い数字が出るはずで、この点に重厚長大産業をスケールとした1968年考案スコアの限界がありそうです。

 とは言え、数値は良いに越したことはありません。以下に
大手デベロッパー(メジャー7+ワースト上位ランクのNTT都市開発)の「成績」を悪い順に並べて比較してみたいと思います。 銑イ肋綉5つの指標に対応します。

 会社名   危険度 前年比    ´◆  ´  ぁ ´
東京建物   0.08 ▲0.60  0.02 0.00 ▲0.25 0.12 0.19
NTT都市開発  0.60 ▲0.06 ▲0.03 0.13  0.09 0.26 0.15
住友不動産  0.62 ▲0.05  0.00 0.11  0.11 0.22 0.18
東急不動産  0.66 ▲0.27  0.00 0.12  0.11 0.12 0.32
野村不動産  0.76  0.04  0.02 0.11  0.09 0.22 0.32
三井不動産  1.18  0.03  0.01 0.24  0.10 0.48 0.35
三菱地所   1.35  0.00  0.01 0.30  0.08 0.72 0.23


 メジャー7では大京だけが倒産危険度500社にランクインしていませんでした。それが即優良企業ということにはならないとは思いますが、大京が平成16年に産業再生支援機構に支援を受けたことが嘘のようです。 

 さて、上記を見ると、
それぞれの会社の長所・短所が見えてきます。NTT都市開発は,悪いのですが、,話惨の資金繰りの状態を表し、在庫が増えるとこの数値が低くなるということです。

 △良いのが三菱地所、次いで三井不動産で、東京建物が最も悪くなっています。この指標はこれまで稼いできた利益の厚みを表し、大手トップ2の三菱・三井の安定感に対し、東京建物の近年の業績が芳しくないことがわかります。

 が極端に悪いのも東京建物です。これは総資産事業利益率で、▲が立つということは、税引前営業利益が赤字であることを表しています。

 い飛び抜けて良いのが三菱地所、次いで三井不動産です。この指標は負債の負担の軽重を示していますので、やはり最大手2社の負債が相対的に軽く、悪いのが東京建物と東急不動産です。

 イ六旭翩堝飴困トップ、次いで東急不動産と野村不動産が同率2位です。これは総資産回転率で、売り上げを稼ぐ効率の良し悪しを示しています。三菱地所が中位、NTT都市開発、住友不動産、東京建物が下位となります。

 総体として見ると、
三菱地所と三井不動産が最大手の実績とブランド力を活かして安定した成績です。野村不動産と東急不動産は効率良く売上げを上げることに成功しており、これもブランド力と販売力のなせるわざでしょう。

 これに対し、
住友不動産は際立って悪いところはないものの、冴えない数値が並びます。物件を高級化して高値を維持しつつ長期に販売する手法が現下の情勢ではあまり功を奏していないと思われます。NTT都市開発は,鉢イ凌値が悪く、販売力の強化が課題ではないかと推察します。

 そして、この中で
重症なのが東京建物です。5つの指標のうち良いものが一つもなく、営業利益の赤字もあって、その前年より数値がかなり悪化しています。経営陣も努力をされているのでしょうが、本格的な回復にはまだ時間がかかりそうです。

 平成15年、東京建物は
ブランドをBrillia(ブリリア)に統一竹中直人を起用した広告戦略も当たり、不動産市況活況の波に乗って無敵の勢いで売上げを伸ばしていきました。その力強さが勢いあまって不動産プチバブル期に過剰投資を行ってしまい、売りづらい土地を抱えて難しい経営を余儀なくされているのではないかと思います。

 ただし、上記は
2012年3月期の数値であって、本年は東京建物も連結決算では現在のところ黒字となっています。住宅事業は引き続き不振ですが、底地売却等によるビル等事業でカバーしている模様です。

 経営状態が厳しいと目先で
不動産バブルが起きたとしても、業容を大きく拡大することができないため、結果的には経営改善につながる可能性も大きく、前回の不動産プチバブル期の大京がこれに当てはまるのではないかと思います。今度は東京建物が息を吹き返す番で、本年は話題の東京豊島区再開発プロジェクトもあり、同社にとって明るい1年となることを期待しています。

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