六甲アイランドの中心施設から全テナント撤退−東京のアイランド型開発は大丈夫か

JUGEMテーマ:マンション


★ 14日付け産経新聞によれば、神戸市東灘区の人工島・六甲アイランド(六アイ)の大型複合施設「神戸ファッションプラザ」の商業棟から、最後のテナントの食品スーパーが撤退することがわかりました。所有者側のトラブルでエレベーターなどが停止している状況ということです。六アイは今年で街開きから30年を迎えましたが、市は同施設を中心に島の発展を目指してきただけに、「街の活性化は非常に厳しい状況になった」と頭を抱えています。

 同施設は平成9年開業し、
大型映画館を擁する10階建ての商業棟のほか、美術館やホテルなどを併設し、全盛期には多くの市民でにぎわいました。しかし、商業棟は利用者が伸びずに店舗の撤退が相次ぎ、今年4月からは1階のスーパーが唯一のテナントとなっていました。

 民間企業や市がそれぞれの施設の所有権を持ち、商業棟は昨年12月から「合同会社神戸ファッションプラザ」(東京)が所有しています。関係者によると、
同社は管理委託料を滞納しており、今年5月22日に棟内の全エレベーターとエスカレーターが停止しました。スーパーにとっては、地下駐車場や最寄り駅からの動線を止められたことになるため、同社に書面で何度も対応を要請しましたが返答はないということです。

 スーパー側は「今後さらに利用者に不便をかける恐れがある」として、
7月3日で閉店することを決めました。

 現在、
人口約2万人の六アイにスーパーは2店舗しかなく、閉店後は1店舗のみになります。

 一方、同施設の管理組合に加わる
市も所有会社と連絡が取れず、正確な事態を把握できていないということです。市は官民一体で六アイを盛り上げようと、テナント誘致を要望してきましたが実現には至らず、「所有が民間会社なので市が対応するにも限界がある。もはやどうしようもない」とあきらめの声が上がります。

 市の担当者は「市有地の空き区画に商業施設を誘致することなどを含め、新たな振興策を検討するしかない」としています。

 六アイの約6,300世帯で構成する「六甲アイランドCITY自治会」の實(じっ)光(こう)良夫会長(70)は
「島は今も阪神大震災の影響を引きずっている。スーパーがなくなるのはつらいし、不便だという声も多い。市のリーダーシップでスーパーの問題くらい解決できないと、島が発展する将来像を語っても夢のまた夢だ」と指摘しています。

 以上が産経新聞の記事の概要です。


「あの六甲アイランドが…」

 私は、この記事に少なからずショックを受けました。この記事を発見して思わず複数の知り合いに転送したところ、そのうちの一人は返信をこう返してくれました。

「六甲ライナーができ、六甲アイランドが発展していく姿を間近で見て育った者として、愕然としました。。」

 特に関西出身者で東京に出てきた人にショックが強いように思われます。

 私は入社してすぐの勤務が関西でした。24歳のクリスマスの頃、レンタカーを借りて、彼女とはまだ言えない大阪の女の子と
六甲アイランドにドライブデートをしたのです。六甲アイランドは街開きをしたばかりの頃で、新しい街はすべてが明るく、未来に向けて輝いていました。「今夜、これからどうしよう」と、どきどきしながら、クリスマスツリーのきらびやかな装飾を眺めて悩んでいたのを思い出します。

 六甲アイランドから商業施設が撤退していったのは、記事によれば
利用者が伸びなかったから、とされています。ではなぜ利用者が伸びなかったか、というと、やはり交通の便と商業施設の魅力のバランスがとれなかったからではないかと思われます。

 確かに六甲ライナーはできましたが、
神戸市中心部からお客を呼び込むほど商業施設に魅力が大きいわけではなく、島の住民の需要だけではもたなかったと考えられます。それで、日常生活に密着したスーパーだけが残ったわけですが、それではテナント全体数を埋めるだけの賃料は得られず、管理会社の質は劣化し、今日のような事態を生んだものと推察します。

 そもそも
官民協力の再開発というのは、持続性にリスクがあると考えています。官が入る再開発は、民間だけだと採算が合わず、実現できないプロジェクトを官の力でやらせようとする匂いが感じられます。したがって、調子がよいときは官民の性格の違いが目立たなくてよいのですが、調子が悪くなると、官民それぞれが責任の所在は相手方にあると考えるようになり、加速度的に破滅の道を走り始めるのです。

 心配するのは、
同じような結果が東京でも繰り返されないだろうか、という点です。アイランドは、住宅・商業・オフィスなどが集積した複合型開発を呼び込みやすい利点がありますが、周囲から途絶された環境ともなりがちです。

 アイランド型開発を成功させるには、内部から常に火を燃やし続けなければならないというしんどさがあるかもしれません。六甲アイランドもまだ逆転のチャンスはありますし、東京の再開発地域も、現在の繁栄に気を緩めずに未来を見つめていく必要がありそうです。

『分譲マンション・アップデート』へ


| ノウハウ・経験談 | 21:47 | comments(1) | trackbacks(0) |
神奈川、埼玉、千葉、茨城の女性はストレス高い−通勤時間、住居費等が影響か

JUGEMテーマ:マンション


★ 化粧品販売会社「メディプラス」の関連会社「メディプラス研究所」が本年3月、全国の20〜69歳の女性約7万人を対象に、心身のストレスの状態を調べる「ココロの体力測定2018」を実施しました。同研究所では、その分析結果から、47都道府県の女性のストレスオフ度を推定し、「ストレスオフ県ランキング」として発表しています。2018年度版のランキングは、以下の通りです(数値は、「ストレスオフ指数」です)。

ベスト10
1 愛媛県 50.1  2 静岡県 41.8  3 佐賀県 39.8
4 島根県 27.3  5 長崎県 22.7  6 熊本県 22.2
7 岡山県 19.4  8 滋賀県 19.3  9 鳥取県 19.0
10 青森県 18.2


ワースト10
1 秋田県  ▲61.3  2 長野県 ▲32.4  3 岐阜県 ▲28.7
4 北海道  ▲22.3  5 岩手県 ▲18.9  6 沖縄県 ▲15.2
7 神奈川県 ▲15.1  8 福島県 ▲14.3  9 富山県 ▲12.8
10 埼玉県  ▲12.8


 1位の愛媛県の指数と最下位の秋田県の指数の開きが111.4もあり、どんな指数なんだろうという点と、果たして各県民の数は、有意な人数が取れているのだろうかという点(各県千サンプル以上なので大丈夫とは思います)はありますが、このサンプリングが適切なものとして以下書いてみたいと思います。

 1位の愛媛県は、昨年に引き続き2連覇です。同研究所では、その要因を分析していますが、全国平均と最も差が大きかったのが、「通勤時間ストレスが少ない」というものでした。これは、愛媛支社に4年間いたことがある私としてはよくわかるところで、まず、県庁所在地である松山の街は平地にあり、どの方面からもアクセスが良いのです。皆、ここは中国かと思うくらい、ママチャリに乗ってのんびり通勤してきます。他にも今治、新居浜、宇和島など程よく都市が分散して、職住近接が実現しているのだと思います。

 また、
支出ストレスの少なさ、教育ストレスの少なさも目立っています。松山は四国で一番大きな都市でありながら、物価は全国で2番目に安く、住宅取得費用も安くて、皆ほとんどが持ち家です。そのせいか、地元のDIYショップが大繁盛で、そのオーナーは地元経済界・政界の大立者になっています。松山東、今治西、新居浜西、宇和島東など、各地に文武両道の公立高校があり、高いお金を出して私学に行かせる必要がありません

 愛媛に縁がある私としては嬉しい結果でしたが、もう一つ気になる点がありました。首都圏各都県の女性のストレスオフの順位なのですが、
東京が24位と案外ストレスが小さいのに対し、千葉36位、茨城37位、埼玉38位、神奈川41位と、東京通勤圏の各県が軒並み下位なのです。

 しかも、東京が昨年27位から順位を上げているのに対し、千葉、茨城、埼玉、神奈川は
いずれも昨年より順位を下げました。データが手元にあるわけではないので要因はわかりませんが、愛媛とは反対に、「通勤時間ストレス」「支出ストレス」「教育ストレス」が影響しているのではないでしょうか。

 東京は、マンション価格など住居費は飛び抜けて高いのですが、それを支払える層にとっては
通勤時間が短くてすみ、育児にも余裕ができてストレスが小さいのではないかと思います。これに対し、千葉、茨城、埼玉、神奈川は、東京に引っ張られてマンション価格等が高くなっている割には、東京までの通勤に時間がかかり、それが子育てにしわ寄せとなって、高い保育料を払っているのに楽にならないという悪循環に陥っているのではないか、と心配になります。

 首都圏に住む女性がワークライフバランスを実感し、ストレスオフの充実した人生を歩めるようにするにはどうしたらよいか、例えば東京以外の地域における職住近接が実現できれば最も良いと思いますが、政治、行政、民間企業、そして夫としての家事分担など、様々なレベルで考えていくべき問題だと思います。

『分譲マンション・アップデート』へ


| ノウハウ・経験談 | 20:33 | comments(0) | trackbacks(0) |
都心でも古いビルの賃貸業は苦戦?−夢と消えたオフィス移転計画

JUGEMテーマ:マンション


★ 私の勤めている会社も、一時期の苦しい時期を乗り越え、何とか現状を維持できるまでになっています。そんな折、いくつかに分散している事業部のビルの一つが賃料の値上げを告げてきました。そこは、コンピュータシステムを運営しているためにセキュリティなどを含め特殊加工をしているビルで、今までも相当高額の賃料を払ってきたはずなのですが、ビルのオーナーたる法人は、「今でも安すぎるくらいだ」と、譲る気配がありません。

 実はこのシステムは更新時期が来ていて、今のビルでは手狭になっていたのも確かです。したがって、これを契機に、
会社の東京本部の全体の配置を見直してみることにしました。これまで業務の拡張に伴って、事業所が数か所にまたがってしまっていたので、事務所は事務所、システムはシステムと、集約し直すプランを作成してみました。

 すると、驚いたことに、
新築の高層ビルに事務所を集約し、システムをよりセキュリティが強化された広いデータセンターに移行した方が、全体コストが下がることが判明たのです。しかも都心に複数個所あった従来の事業所と、ほぼ同じような都心の好立地でこれが実現するという見積もりです。

 これまでは場所が分散していたために、
会議のたびに社員は各事務所間を移動しなければならず、それだけで結構な手間と時間がかかり、ストレスも生んでいました(だから会議を減らす、という発想にならないのが悲しいところです)。今回のプランでは事務所が一か所に集約されるため、このような無駄を排することができ、会社としての効率化も大きく進みます。

「まさに一石二鳥、いや三鳥」

と社員一同大喜びで、新築の高層ビルへの移転をワクワクしながら待っていました。

 しかし、思わぬところで、
この計画は頓挫することになったのです。その原因は、意外にも身内のグループ会社でした。

「え?ここを出ていくんですか?勘弁してくださいよ!」

 複数箇所ある事務所のうち、2番目に規模が大きいA事務所だけが、グループ会社所有の建物を借りていました。その場所は都心一等地で、駅からも徒歩2分、申し分のない立地の建物だったので、「我々が出てもすぐ借り手が見つかるだろう」と思っていました。グループ会社ということで、賃料も安くしてもらっていたという認識だったので、出ていった方がむしろその会社の収益機会を増大するとも考えたのです。

「何を言っているんですか。うちは築30年のビルですよ。この広いスペースを今さら借りてくれるところを見つけるなんて簡単じゃないことくらい、わかってもらわないと」

 都心のオフィス需要が旺盛だと言っても、それは新築又は築浅のビルに限られ、築古のビルは空きが目立つのだそうです。いや、むしろ都心にオフィスを構えるような会社は、見栄えを気にするところがほとんどで(都心オフィスの意味はそこにあるとも言えます)、都心築古の不利さ加減は「ハンパない」とのことでした。

 確かに、
私たちの規模の会社でも、移転するとなれば新築物件をまず探したのです。好き好んで古いところに移転する会社はめったにない、というのもうなずけました。

 結局、
このグループ会社の賃料が減ると、会社全体の収支に影響が出て、事務所移転のメリットがほとんどなくなることがわかりました(会社全体の収支計算には他法人への賃貸による賃料収入増大もカウントされていました)。私たちの新築オフィス移転の夢ははかなくも潰え、システムのデータセンター移行だけが実施されることとなりました。

「都心物件と言えども、厳しいんだなあ」

 今は新築高層ビルといっても、新しいビルは毎日のように作られていきますので、すぐに陳腐化していきます。不動産経営はどの地でも安泰ではないな、と、古くて雑然とした職場を眺めながら、ため息をついたのでした。 

『分譲マンション・アップデート』へ


| ノウハウ・経験談 | 20:18 | comments(2) | trackbacks(0) |
地方「都心」の1棟ビル=23区中古1Rマンションの値段、の現実

JUGEMテーマ:マンション


 東京23区と地方都市の不動産価格は大きく違う−頭ではわかっていても、実際の価格差にはピンとこないものです。ただ、その地方が、自分が馴染みがある場所だと、その格差を実感することができます。
 
 さきほど、私はGoogle Alertに登録して配信された記事を見ていると、
「【価格変更】今治市共栄町2丁目 収益物件 1600万円」という見出しが目を引きました。

「ん?今治で1,600万円の投資用マンションなんてあるのか」

 仕事で愛媛の支店にいたことがある私は、懐かしさも手伝って、配信記事のリンクを開きました。最近は加計学園ですっかり有名になってしまいましたが、今治市は愛媛県で松山市に次ぐ第2の都市、造船の町として有名、最近は高級ブランド化に成功した今治タオルやゆるキャラ「バリィさん」も知られています。

 そんな都市だから
県庁所在市でなくても投資用マンションがあるのか、と思って開いたページを見て驚きました。

「…ビル1棟じゃないか。しかも今治の『都心一等地』だよ」

 今治市共栄町2丁目にあるそのビルは、今治市第一の目抜き通りに面し、「今治」駅からは徒歩10分、同駅と今治港を結ぶ重要幹線道路沿いにあって、今治市役所にもごく近い位置です。1階にJTBの営業所の看板が見えることも、この建物が中心部に位置することの証左になっています。

 しかし、どうもこのビルが
空家になっており、以前の値段では買い手がつかず、私が投資マンションの値段と間違えた1,600万円に値下げした、というのです。敷地面積は132.15平米、建物面積514.67平米もあり、建物建築は1971年でかなり古いですが、大通りから見える部分はきれいに塗装され、堂々たる1棟ビルです。

 一方、東京都心で現在販売中の1棟ビル物件で、上記のビル物件と敷地面積・建物面積が最も近い物件が、
「勝どき」駅徒歩3分、敷地面積134.70平米、建物面積534.62平米で、販売価格18億円となっています。

 1,600万円の今治市物件と、18億円の勝どき物件の
格差は112.5倍となります。ただ、この勝どき物件は他に比べても殊の外高く、築年数も築25年と相対的には新しいことから、これだけをもって「東京・地方圏格差」と言うのは早計かもしれません。それでも、築年が1971年〜1972年で近い「田町」駅徒歩8分ビルが2億9,700万円、「水道橋」駅徒歩1分ビルが2億8,500万円であり、これらと今治物件との格差は18.2倍となっています。

 この「マンション物価」の違いを例えて言うならば、
今治「都心」では1パック200円の卵が、東京都心では3,600円〜22,500円もする計算です。「そこまで東京都心の方に価値があるのか」と問いかけた場合、答は様々になることでしょう。

 この今治1棟ビルは5階建てですので、もし仮に、
ワンフロア100平米×5階分(計5室)のそれぞれを10万円で貸すとした場合でも、年間収益は600万円となり、年間の表面利回りは37.5%で、1,600万円の投資額はわずか2年半で回収することができます。

 しかし、地方の抱えている問題は、
「街の中心部の繁華街であっても、そもそも賃貸の需要がない」という現実です。「取らぬ狸の皮算用」が本当に「皮算用」で終わる可能性が高く、非常にスリルがある投資となります。

 地方の住宅地にある空家問題ばかりが最近注目されていますが、
地方都市の中心部にある1棟ビルが、東京都23区の中古ワンルームマンションと同じ値段で買えてしまう実態も、頭の隅に置いておきたいものです。

『分譲マンション・アップデート』へ


| ノウハウ・経験談 | 22:05 | comments(0) | trackbacks(0) |
昭和のニュータウンを「看取る」−街の再生の幻想を超えて

JUGEMテーマ:マンション


★ 昭和の頃に各地にできたニュータウンが苦境に陥っています。一部盛り返したところもあるようですが、それは幸いにも交通の便がよいところで、大部分のニュータウンは都心から遠く、駅からさらにバスを乗り継いでようやく辿り着く大規模団地で、購入当時の住民の方々が老いて、まぎれもないシルバータウンになっています。

 昭和40年代から不動産バブルにかけて、倍率数百倍の難関をくぐり抜けて、
非常に幸運にも抽選に当たって夢のマイホームを手に入れた方々が、今やその始末に困っています。「今さら他に行くお金も元気もない」ので、だんだんと街が寂れていくのを見ながら日々を過ごしています。

 当時はこれらのマイホームから
約2時間をかけて都心の職場に皆通っていました。往復合計4時間にもなります。家から駅までは約30分、バスを使ったりバイクや自転車に乗ったり、雨の日も風の日も、皆元気でした。そこからギュウギュウづめの満員電車で1時間半ほど揺られても、まだ有り余る体力でモーレツに仕事をこなし、夜は飲んで騒いで、再び2時間かけて帰宅して、皆本当に元気でした。

 ひょっとすると、そのような
長時間通勤こそがある種のモーターとなって、モーレツ戦士を生んでいたのかもしれません。そうやって皆でがんばって、暮らし向きが良くなって生活が便利になり快適になって、ふと気が付くと、往復4時間の通勤時間だけが苦痛になってきました。

 最大の誤算は、大量の団塊世代が必死になって手に入れた「夢のマイホーム」を、団塊ジュニア世代が引き継ぐことなく、ことごとく見捨てたことです。育ちがよくなり、無茶苦茶なガッツもなくなった団塊ジュニア世代は、余裕のある所得で少しでも都心へ都心へと住まいを求めていったのです。

 街は、円滑に世代交代していかないと、たちまち老化していきます。その意味で、ニュータウンの劣化は予想以上のスピードで進んでいきました。地方創生の叫ばれる昨今、ニュータウンの所在する自治体は必死にその流れを食い止めようと、地域振興策やコミュニティ強化、ご当地アイドル、まちおこしで盛り上げる様々なイベントなど様々な施策を出してがんばっています。

 私も、それらの努力をこれまで好ましいものとして見ていました。できれば、
昭和の高度成長期の頃の輝きを取り戻してほしい、そのためにはあらゆる手立てを打つべきだと考えていたのです。

 しかし、冷静になって考えれば、
どう見てもこの街に人が戻るはずがないのです。人口が爆発的に増えていた昭和の頃は、既存の街には住めなかったから、不便な地に山を切り開き、何とか交通アクセスを確保しながらニュータウンを作っていきました。今は何もそんなところに住まなくても、駅徒歩圏内にいくらでも住めるところがあるのです。

 このような
不便な地のニュータウンの生命を維持するためには、そこで高齢化していく住民の生活機能をきちんと維持するため、商業施設や医療・介護施設、さらには将来の繁栄のために小中学校、育児施設等を集積させていかなければなりません。

 しかし、
ニュータウンを開いた当時は、そこにいる住民のニーズに応えるためにこれら施設が自然と集積していったのですが、住民をつなぎとめるために、既に廃れてしまっているこれら施設を巨額のコストをかけて再構築していくのは、何か本末転倒のような気がします。

「そこまでしなければ生命を維持できないニュータウンとは何なのか」

 冷徹な言い方になりますが、私たちが将来の世代のために進めるべきなのは、劣化していくニュータウンを「看取る」ことなのではないでしょうか。人が住んでいる以上はその街はたたむことはできないでしょうが、むしろそこには新しく住まわせないようにすべきなのです。

 そして、その
自治体の最も乗り降りが多い駅の徒歩5分圏内に集中投資し、「新しい駅前の街」をコンパクトに作るのです。その方が住民にとって便利になりますし、自治体にとっても既存の広大なニュータウンを生き永らえさせるより、はるかに安いコストで街のにぎわいを生み出すことができるでしょう。

 深刻な財政危機に陥り、「将来の日本の地方自治体の先取り」とも言われる夕張市では、
炭坑労働者のために作った大量の公営住宅を次々と閉鎖しています。そこに住んでいる人たちは、半ば追い立てられるように住む場所を移されているのですが、そこまでしなければ持たない夕張市の現状があります。

 ニュータウンの始末も、早ければ早いほど傷は小さくて済むと思います。「夢よもう一度」というノスタルジアを捨てて、歯を食いしばって前に進むべき時が来ています。

『分譲マンション・アップデート』へ


| ノウハウ・経験談 | 23:02 | comments(2) | trackbacks(0) |
大規模修繕には悪質コンサルに注意せよ!−最も効率的な修繕は51〜75戸規模物件か

JUGEMテーマ:マンション


★ 12日付の朝日新聞は1面トップで、『マンション修繕、割高契約に注意 国交省「相場」を公表』という記事を報じました。その概要は、次のとおりです。

『マンションの大規模修繕工事の際、
割高な代金で契約させられるなどトラブルが相次いでいることから、国土交通省は各地の工事を調査し、11日に結果を公表しました。調査対象は過去3年間に施工された944事例で、1戸あたり「75万〜100万円」が31%で最も多く、「100万〜125万円」が25%、「50万〜75万円」が14%と続きました。

 同省のこうした調査は初めてで、費用の目安を情報提供し、トラブルを未然に防ぐ狙いがあります。大規模な修繕は
1回目が築13〜16年前後で行われ、1戸あたりの平均は100万円です。2回目は築26〜33年前後で同97万9千円、3回目以降は築37〜45年前後で同80万9千円でした。工事は外壁関係、防水関係が多く、2回目は給水設備が増えるとのことです。

 修繕工事はそれぞれの状況が異なり、相場が分かりにくいほか、マンションの管理組合と施工会社の間を取り持つ
コンサルの一部で、工事費を不適切につり上げるケースもあるということです。国交省は昨年1月、悪質な例を紹介して管理組合に注意を促し、今回の調査に乗り出した経緯があります。

 調査結果は同省のホームページで公開しており、マンションの規模ごとに概況を掲載し、「管理組合は同規模のマンションのデータと比較すると有効」としています。また、事前に検討した方がいいポイントとして、
「過剰な工事項目・仕様などがないか」「戸あたり、床面積あたりの工事金額が割高ではないか」などを挙げています。

 住宅問題に詳しい吉岡和弘弁護士の話では、「大規模修繕工事では、事前に聞き出した積立金の額に合わせて見積もるなど、適正さが疑われるケースが多く、問題は設計コンサルだけではなく、マンションの管理会社でも知り合いの工事業者を使って高く見積もるケースがあります。そもそもコンサルや管理会社に任せきりになっている管理組合が多い実態も問題です。
その工事が適正か管理組合や住民が自ら監視していける手法を身につけるのが大切です」ということでした。

 以上が朝日新聞の記事の概要です。私も11日の国交省の発表資料を把握していましたが、1面トップの朝日新聞をはじめ、各紙がこれほど大きく取り上げるとは思いませんでした。おそらく各紙編集部上層部にマンション住まいが多く、
「他人ごとではない問題」として関心を引いたのでしょう。

 確かに、マンション住まいの人が急速に増加し、特に東京都では一戸建てよりマンションに住んでいる人の数のほうが多くなっていますので、
マンション住人の誰もが直面する大規模修繕問題は、もはや「国民の一大関心事」と言っていいでしょう。しかも、その施工の判断は、行政ではなく、自らがしなければなりません。まさに「住民自治」の場だとも言えます。

 最近問題になっているのは、施工業者とマンション住人の間で
中立の第三者として仲介すべきコンサルタントが、実は業者とつるんでリベートをもらっているという出来事です。このことにより、何よりコンサルタントに安心して任せられなくなったことが、マンション住人にとっても大きな痛手でしょう。

 さて、私が気になるのは、
「大規模修繕にかかる1戸当たり費用は、小規模マンションと大規模マンションのどちらが高いのか」という点です。このことについて、国土交通省の公表資料は必ずしも明らかにしていませんので、推測してみたいと思います。

 比較の方法として、規模別集計の中で、
第1回目の大規模修繕に要した費用が最も多い価格帯を抜き出してみたいと思います。以下の通りです。

20戸以下    2,000〜 2,500万円   21〜 30戸  3,000〜 3,500万円
31 〜 50戸  4,000〜 4,500万円   51〜 75戸  5,000〜 5,500万円
76 〜100戸  10,000〜12,500万円  101〜150戸 10,000〜12,500万円
151〜200戸  15,000〜17,500万円  201〜300戸 20,000〜30,000万円
301戸以上  30,000〜40,000万円・50,000万円〜


 それぞれの区分の中央値から、1戸当たりの負担額を計算すると、次のとおりです。

20戸以下    225万円   21〜 30戸  127万円
31 〜 50戸  105万円   51〜 75戸  83万円
76 〜100戸  128万円  101〜150戸  90万円
151〜200戸  93万円  201〜300戸  100万円
301戸以上    ?


 数値がおおまかなレンジからとっているため、正確な数値はわからないのですが、やはり規模の経済が働き、小規模マンションほど1戸当たりの負担が重いことがわかりました。上記数値からは、51〜75戸規模が大規模修繕において最も1戸当たりの負担が少なくなるようです。

 これから推測されることは、
小中規模マンションはシンプルに造られ、コストのかかる共用施設・サービスは少ないのですが、あまりに小規模だとそれでも1戸1戸の負担が重くなることがわかります。

 一方、
大規模マンションの数値は、やや低い価格帯と高めの価格帯の二つの山ができることが特徴です。前者は団地型マンションで共用施設などのコストはそれほどかかりません。一方、後者は大規模タワーマンション各種設備が複雑かつ高度であること、コストのかかる共用施設・サービスを有していることが挙げられます。

 設備が高度で複雑であればあるほど、知識に限界があるマンション管理組合・住人側の立場は弱くなり、コンサルや業者の「言いなり」にならざるをえないリスクがあります。この観点からは、シンプルな団地型・51〜75戸程度のマンションが最も効率的に運営できると言うこともできるかと考えます。

『分譲マンション・アップデート』へ


| ノウハウ・経験談 | 21:26 | comments(0) | trackbacks(0) |
タワーマンションはゴジラを誘発する

JUGEMテーマ:マンション


★ GW期間中に、案外とリーズナブルな価格水準に惹かれて、『MID TOWER GRAND』の事前案内会に行ってきました。お目当てのモデルルームの案内となり、「こちらが眺めがいい南東向きの部屋ですよ」という声に促されて、わくわくしながら70平米台の部屋に足を踏み入れました。

「うわ!」

 伸びやかに広がる空と眼下に見える街並みを想像して窓の方を振り向いた私の目の前を遮るように立っていたのは、おびただしい数のタワーマンション群でした。

「そうだ、ここは湾岸だったんだ…」

 しかし、いつの間にこんなにタワーマンションが建ったのでしょう。この月島からは、豊洲、晴海、有明、辰巳などが見渡せ、湾岸タワマンコレクションを見渡すには格好のロケーションとも言えます。ここから見える全部のタワーマンションの名前が言えるかどうか、「タワマン検定」にも使えそうです。

 「一つのタワマンを見つけたら百のタワマンが建つと思え」というハインリッヒの法則があるくらい(ウソです)、タワーマンションは他のタワーマンションを誘発します。それはそもそも行政がそのような地区として仕組むこともあるでしょうし、あるいは行政にそんな気はなくても、平等取扱いの原則から他のタワマンも認めざるをえないこともあるでしょう。

 いずれにしても
タワーマンション事業は、ほとんど百発百中でプロジェクトとして成功します。それだけ今の日本ではタワーマンションという住形態がもてはやされており、しかも分譲マンションの中では利益率を高くとれる事業でもあるので、タワーマンション建設が許される場所には「タワーマンションを建てずして何を建てるのだ」ということで、次から次へとタワーマンションが建設されていくのでしょう。

 しかし、私は、モデルルームからのタワマン林立風景を眺めながら、どことなく
「まがまがしい」ものを感じていました。それは、例えばタワーマンションが引き起こす風害や日照妨害、はたまた保育所や小学校の不足などを指すものではありません。

 変な話ですが、
これだけタワーマンションが立ち並んでいると、「誰かが壊したくなるのではないか」と思ってしまうのです。それは、小さい頃に食い入るように見たTVの「ウルトラマンシリーズ」の場面を思い起こさせます。突如として怪獣が現れ、高い建物をことごとく壊しながら進んでいくシーンです。

「そう言えば…」

 大ヒット作となった「シン・ゴジラ」は、私が住む武蔵小杉のタワーマンションの間を通り抜けて都心方角へと進んでいきました。映画に協力した配慮なのか、幸いにもシン・ゴジラは、タワーマンションや武蔵小杉の街並みをほとんど壊さずに進んでいったのですが、太宰治の「富士には月見草がよく似合う」と同じように、「ゴジラにはタワーマンションがよく似合う」のでした。

 アンサイクロペディアによれば、
東京タワーはこれまで58回、映画やゲームで破壊されているのだそうです。すなわち、「怪獣・無人兵器・巨大生物等による倒壊」が24回、「宇宙人の侵略行為による倒壊」が9回、「テロ活動による倒壊」が5回、「自然災害による倒壊」が6回、「これら以外の戦闘行為の巻き添えによる倒壊」が11回、「その他」4回です。

 東京タワーと同じように、
林立するタワーマンションも「破壊のシンボル」として似つかわしいと言えます。それは、映画やゲーム上の話だけではなく、現実世界でもそのような感情を引き起こさせると言えないでしょうか。思えば「9.11」のテロ行為は、1機の旅客機が乗っ取られ、超高層ビルに突っ込むことで始まったのでした。

 一つのタワーマンションには数千人の人が住み、それが狭い面積の中で密集して住むエリアは、悪意を持って攻撃してくる集団にとっては格好のターゲットです。タワーマンションを続々と同じエリアに作り続けたこの10数年の営みは、危機管理の観点からはとても間抜けな行為なのかもしれません。

 タワーマンションの街を好んで歩いた
シン・ゴジラは、東日本大震災、原発、核兵器、戦争、あるいは死そのものの象徴として解釈されています。私たちは、シン・ゴジラを呼び込むためにタワーマンションを作り続けているかのような、そんな錯覚に一瞬とらわれたのでした。

『分譲マンション・アップデート』へ


| ノウハウ・経験談 | 20:57 | comments(4) | trackbacks(0) |
不動産はハッピーエンドをもたらさない?−価値ある物件も価値ない物件も争いの種に

JUGEMテーマ:マンション


 「この不動産を巡っては親族が骨肉の争いをしていまして…」

 知り合いの不動産業者さんに聞くと、こんなお話を聞くことが時々あります。一例としては、所有者の男性がさまざま好き勝手をしてしまって、親族の気持ちも彼から離れていったのですが、いざ体の調子が悪くなって先が見えてくると、疎遠だった親族がわらわら集まってきて、男性の財産の相続についてもめはじめたそうです。まだ亡くなってもいないのに、相続を主張する親族も親族ですが、その防衛のために換金を急ぐ男性も男性です。

 また、不動産の売買で、時折
弁護士が間に入っている物件があります。任意売却の場合もありますが、相続絡みの場合も多いです。上記のように親族それぞれが相続の権利を主張し、にっちもさっちもいかない場合には、物件を売却して皆で分け合う方法が取られます。人気の場所であれば弁護士が入札の方式を取るなどして思わぬ高値で売れる場合もありますが、換金を急いで安値で売却される場合も多いです。

 「この物件、大幅に値を下げました。買いませんか?」

 確かにお聞きすると、かなりの安値です。「どうしたんですか?」と事情を尋ねると、仲介業者さんは、

「実はこの物件のオーナーが突然大病を患いまして…入院資金や手術資金などでまとまったお金が早急に必要になっったそうです。」

 このオーナーの方は、不動産投資には熱心に取り組まれていましたが、生命保険や医療保険の手当はあまりされておられなかったのでしょう。投資にまわすお金のわずかな部分を保険料に当てればよかったのでしょうが、「後悔先に立たず」です。

 しかし、こういった「売れる不動産」は今や日本の中で一握りしかなく、
その他大勢は「売れない不動産」です。相続の際、「負動産」として親族間で押し付けあうことも多く、こちらも悩みの種です。

 「今日はこれから田舎に帰って、親が残した土地・建物をどうするのか家族会議をするんだ」

 同僚のA君はため息をついて言いました。A君のご両親が住んでいた家は、幸いにも地方にあって売れないことはない立地なのですが、誰も住まないので売りたくもあり、しかし長年の愛着ある家を簡単には手放したくない感情が兄弟にもあり、しかしそうだとすれば、田舎に一人残っている姉にその管理を押しつけることになり…と悩みは深いようです。

 このように見てくると、
不動産とは、それが価値を持つものにしろ、持たないものにしろ、最終的には人を悩ませる存在になってしまうことが多いようです。ある人が責任をもって完全に所有している場合には問題は起こらないのですが、人間はいつか衰え、そして亡くなるものです。

 骨肉の争いにしろ、押し付け合いにしろ、不動産があるばっかりに起きる争いは多いです。不動産購入は相続税対策でもあるのですが、のこと自体が相続争いのタネにならないよう、十分に気を配りたいものです。

『分譲マンション・アップデート』へ


| ノウハウ・経験談 | 23:01 | comments(0) | trackbacks(0) |
期せずして幸せな結婚と資産を手に入れた男の話

JUGEMテーマ:マンション


★ 最近は晩婚傾向であることは言わずもがな、パートナーや事実婚は幸せな生き方ですが、やはり気になるのは結婚したいけどなかなかできない30〜40歳代の男女が非常に多いことです。これも何遍も本ブログで書いていますが、私の職場にも多くの未婚男女がいます。

 もちろん、元々結婚する気がないのであれば、何も言うことはありません。最近厄介なのは、
そのような意向を聞くこと自体がハラスメントになりかねないので、悩みを聞いてあげたり、力になってあげたりすることもしづらくなっていることです。

 そんな中で、昨年嬉しい出来事がありました。同じ職場で働いていた
30代前半のT君が結婚にゴールインしたのです。

「えっ、まじか!」

 2年前の冬、T君から彼女ができたと聞いた時、思わずこう言ってしまいました。T君は仕事はできますが、肥満系の体型で、お世辞にもイケメンとは言えません。35歳前ですが、「人間ドック行ったほうがいいんじゃないか」と心配するほどです。以前から様々に彼なりのアプローチを女性にしていることは皆知っていましたが、あまりうまくいっていませんでした。

「これは早速」

 ということで、私達シニアも含め、T君と仲の良いメンバーで飲み会を催し、T君と彼女の出会い等を聞き出しました。きっかけは、T君と友人と、その友人の知り合いの女性が連れてきたBさんの4人で飲み会をして、当然のことながら(?)ライン交換をして、友達付き合いから始まったという、最も典型的なパターンでした。

 T君は、見た目はあれなのですが、
コミュ力は高いのです。連絡はマメでもあります。したがって、一旦ライントークに持ち込めば、彼の土俵で相撲をとるようなものです。

「なるほど」

 飲み会のメンバーは皆納得して、T君を祝福したのでした。ところが、それから半年もたたないうちに、私たちは再び、

「えっ、まじか!」

と驚くことになりました。T君が「実は結婚が決まりまして」と報告に来たのです。私たちは再び、T君をサカナに居酒屋に集まりました。

 そう言えば、彼は
「ダンドリ君」とアダ名が付いていたくらい、ダンドリの良さには定評がありました。私はT君と出張に行ったことがありますが、先へ先への行動が全部決まっているのです。自由時間ができると、次の朝の列車が出る駅のホームの下見に行くくらいでした。

 そういうT君ですから、
付き合い始めたら次は「結婚のダンドリ」となるわけです。彼女であるBさんに異論はなく、ほどなくBさんのご両親に挨拶に行くことになりました。

 そこでT君が初めて知ったのは、Bさんのご両親は戦後すぐに田舎から一族で
城西エリアの今や邸宅地となっている場所に移り住み、Bさんのご両親もその地域に大きな土地を持つ地主であり、その一角でアパートを持って不動産経営もしているということでした。そして、Bさんは、そのご両親の一人娘だったのです。

 Bさんの父親からは、結婚に当たって、次のようなお願いがありました。

・ 今はよいが、ゆくゆくはこの土地で一緒に暮らしてほしい
・ その時には、今持っているアパートを引き継いで経営してほしい
・ 将来にわたって、この土地は売らないでほしい


 一面では夢のようなお願いであり、もう一面では重たいお願いでもありますが、コミュ力が高く、判断能力があるT君は、その場で快諾したそうです。しかし、T君の親にとってもこの結婚は青天の霹靂だったようで、結納を交わした帰りの車で、田舎から出てきたT君の母親はT君に向かってぽつりと

「ええんか、お前で」

とつぶやいたそうです。

 私達も、この飲み会の時に初めてT君からBさんの写真を見せてもらいましたが、その可愛らしい姿に
「ええんか、お前で」と叫んでしまいました。

 しかし、今回の結婚は
偶然というわけではなく、T君が今の世代には珍しい行動力、コミュニケーション力、判断力を持っていた賜物だと思います。逆に言えば、今は誰も決断をしなくなっている世の中だからこそ、勇気を出せばいろいろな物が手に入る時代になっているのではないでしょうか。そういう意味で、ある意味「努力すれば報われやすい社会」になっているのかもしれません。

『分譲マンション・アップデート』へ


| ノウハウ・経験談 | 22:48 | comments(2) | trackbacks(0) |
昭和のマイホーム取得促進は狂乱物価対策だった−持ち家手当の復活が日本を救う?

JUGEMテーマ:マンション


 「努力すれば、家を持てる制度」

 − こんな政策があったのをご存知でしょうか。これは、昭和50年、崩壊した田中角栄内閣の後を継いだ三木武夫内閣が掲げた新たなビジョン「生涯設計〈ライフサイクル〉計画」の具体策の一つです。残念ながら三木内閣は短命に終わったため、これらの施策は日の目を見ることはなかったのですが、私は、このいかにも昭和の時代らしいスローガンに心を惹かれました。

 このビジョンは、
昭和50年(1975年)に村上泰亮氏らが著した「生涯設計〈ライフサイクル〉計画」を下敷きにしたものです。田中角栄の列島改造論から生じた地価急騰による急激なインフレーション、続けて、第四次中東戦争(73/10)による第一次石油危機の勃発により、相次いで発生した便乗値上げ等により、さらにインフレーションが加速、1974年における国内の消費者物価指数が23%上昇、狂乱物価と呼ばれました。

 これらの情勢を受けて、三木内閣が目指したのが
「福祉国家への転換」であり、それを生涯の各段階で体系的に保障し、各人が生きがいを追求することを可能にしようとします。その中の柱の一つが、不動産価格高騰で誰もがマイホームを諦めかけていた時代に夢を持たせる「努力すれば、家を持てる制度」だったのです。

 「生涯設計〈ライフサイクル〉計画」の中で、著者の村上氏が考えていた目標が、
「都心から1時間程度の距離にある60〜65平米の3LDKマンションが1,500万円程度で、若しくは750万円〜1,000万円の土地に75〜100平米の家屋(1,500〜2,000万円程度)が購入できる」ようにすることでした。そして、それが実現するための条件を、金利や住宅価格上昇等を考慮に入れながら緻密にシミュレーションをしています。

 しかし、私が最も驚いたのが、
国民に「頑張らせて家を持ってもらう制度」の真の狙いが、「狂乱物価を抑えるため」である、ということです。つまり、家を買うには「努力して」貯蓄をしてもらう必要があります。そのための奨励策をいろいろ施すことを提案しているのですが、要は、国民が住宅取得のために一生懸命貯蓄をすれば市中に現金が出回らなくなり、金が金を呼んで価格が高騰していく悪循環が止められる、というのです。

 逆に、
皆が家を持つことを諦めてしまうと、人生最大の買い物である家を買う必要がなくなるのですから、その分日々の消費にお金が回ってしまいます。これは、強烈なインフレーションを止めることが国家の最重要課題だった当時の政府にとっては最も望ましくないシナリオだったということです。

 1990年代のバブル崩壊以来、
長らく続くデフレに悩まされている今の日本にとっては、考えられない真逆の社会情勢です。就任以来、年率2%の物価上昇率を目標に掲げる日銀の黒田総裁にとっては、当時は「夢のような」状態に見える、と言ったら言い過ぎでしょうか。

 しかし、もしかすると、
ここに今のデフレを脱却するヒントがあるかもしれません。当時と正反対の施策を取るとすれば、「皆にマイホームを諦めさせる」というのも理屈としては一つの方策です。今はいくら金融緩和を施しても、市中に金が回らない状態ですので、皆が住宅のために貯蓄しても購入は不可能だから、消費に回したほうがベターだ、と思わせる環境にする必要があります。

 もっとも、そのためには、
全ての人に生涯にわたって快適な住環境を提供するという保証をしなければならず、つまりそれだけの立派な公営住宅を国民の数だけ用意しなければならなくなります。もちろんこれは、土台不可能なことです。

 個人的に提案したいのは、
各企業が以前有していた「持ち家手当」を復活させることです。各自が家を持つのはよいのですが、そのためには巨額の住宅ローンを組み、毎月多額の支払いを老後まで続けていく必要があります。この住宅ローンの支払いにより失われる消費機会は、日本全体からすれば莫大だと思われます。

 社員の面倒を一生涯みてきた昭和の日本型家族経営の企業では、
賃貸住宅の家賃補助のみならず、持ち家についても手当を出して支援をしてきました。世界と競争するために、コストカットが吹き荒れる昨今ではすっかり過去の制度になってしまいましたが、これは、単に社員の福利厚生のためだけではなく、負担の重い持ち家世代の家計を助けることで消費を活発化し、ひいては日本経済を下支えする効果をも有するのではないか、と思うところです。
 
 なお、当時求めていた
都心1時間内の新築マイホーム(戸建てで土地・家屋合計2,250万円〜3,000万円)は、あまりに都心と郊外の住宅価格差が出てしまった昨今、実は40年後の今でも実現可能なレベルで存在しています。つい最近見つけた新築戸建物件は、京急本線「馬堀海岸」駅徒歩7分、90平米台の3LDKで1,990万円(https://suumo.jp/ikkodate/kanagawa/sc_yokosuka/nc_88702882/)、「馬堀海岸」駅から「品川」駅までは1時間内で着くことができます。

 不動産価格が毎年1割以上上昇し続けていた当時からすれば、
40年後にそれがそのまま通用できる物件があるなど、夢にも思わなかったことでしょう。経済というのは誠に読み難い、というのが実感です。

『分譲マンション・アップデート』へ


| ノウハウ・経験談 | 22:17 | comments(0) | trackbacks(0) |