JR、東武、小田急が〇、西武、東急が×ー通勤電車の快適度ランキング

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★ 週刊東洋経済2月16日号は、「最強の通勤電車」というタイトルで、東京圏主要32路線のうち混雑や遅延が少なく、利便性の高い路線をランキング形式で紹介しています。これによれば、総合ランキングは、次の通りです。

1 小田急小田原線  2 東武伊勢崎線  3 京急本線   3 京成本線
3 JR常磐線快速   6 東武東上線  7 京成押上線  7 JR東海道線
9 京王線      9 JR中央線快速  9 東急田園都市線


 これは、混雑率、混雑率改善度、運行本数、輸送力、朝ラッシュ時の速度、遅延発生日数、朝の通勤ライナーの7要素をランキングし、これを順位により点数化して和したものです。

 1位は小田急小田原線となりました。約30年かけた複々線化が完了し、昨年3月のダイヤ改正後、運行本数が増加、混雑率が大きく改善しています。特急ロマンスカーを活用した通勤ライナーの本数も多くなっています。個別項目では、混雑率改善度、輸送力がトップで、遅延発生日数がやや弱くなっています。

 2位は東武伊勢崎線で、北千住―北越谷間が複々線で、運行本数首位です。朝ラッシュの速度も比較的高く、遅延発生日数も少なくなっています。

 3位は京急本線、京成本線、JR常磐線快速が同点で並んでいます。京急補選は突出した指標はないものの、順位の悪い指標がなく、バランスよく加点されています。京成本線は輸送力は変わっていないのですが、成田スカイアクセス線の影響か利用客が減少傾向で、結果的に混雑率の低さで2位になっています。JR常磐線快速は、朝ラッシュ時の速度が2位で、時速130キロの高速運行が可能な列車を多数投入していることも奏功しています。

 ランキング最下位はJR横須賀線です。朝ラッシュ時の速度と通勤ライナーの本数は3位ですが、混雑率196%はワースト3位です。「武蔵小杉」駅から都心に向かう利用者が急増し、輸送力が追い付いていません。同じ線路をJR湘南新宿ラインが使っているため、運行本数も少なくなっています。

 なお、各指標のトップ5は、以下の通りです。


混雑率  1 JR中央線各駅停車  2 京成本線  3 都営浅草線
混雑率改善度  1 JR山手線  2 小田急小田原線  3 JR京浜東北線
運行本数  1 東武伊勢崎線  2 小田急小田原線  3 東京メトロ丸ノ内線
輸送力  1 小田急小田原線  2 東武伊勢崎線  3 JR中央線快速
朝ラッシュ時の速度  1 JR東海道線  2 JR常磐線快速  3 JR横須賀線
遅延発生日数  1 東武東上線  2 京王井の頭線  3 東武伊勢崎線
朝の通勤ライナー  1 JR東海道線  2 小田急小田原線  3 東武伊勢崎線


 このように各指標を並べて思うのは、JR、東武線、小田急線の路線が上位に目立つということです。一方、東京メトロ、都営地下鉄、京成線、京王線は上位に乏しく、西武線、東急線に至っては上位は皆無です。

 さて、私が日常使っているのは
東急東横線なのですが、7指標のランキングはいずれも下位にとどまっています。その中で最も高いのが朝ラッシュ時の速度15位で、これは通勤特急がその2本前の各駅停車を祐天寺で無慈悲にとどめおく運行を2〜3年前に始めたためでしょうか。最も悪いのが混雑率22位(168%)で、30位のJR横須賀線(196%)ほどではないにしても、小杉タワマン乱立が招いた負の側面でしょう。

 JR横須賀線が武蔵小杉に止まるようになってしばらくは、混雑はJR横須賀線側であって、東急東横線は余裕があった(会社によっては通勤定期の割引の大きいJR線限定にしているとも)のですが、
最近は東急東横線の混雑率が確実に悪化しています。

 東京メトロ副都心線とつながることによる電車遅延は今は目立たなくなったものの、毎日体がいじめられながら通勤しています。今度は
「最強の痛勤電車」の特集を期待したいものです。

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| ノウハウ・経験談 | 19:38 | comments(0) | trackbacks(0) |
ちょうどいいがきっと見つかる1億円ープレシス驚きのキャンペーン

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★ 最近、電車内のデジタルサイネージが盛んです。朝夕のラッシュ時には本を読むこともスマホを眺めることもできず、もみくちゃにされながら天を仰ぐことが多いわけですが、そのときに目に入るのが開閉ドアの上部にあるデジタルサイネージです。

 なるほど、これは
費用対効果で大きなメリットがあります。例えば、西武鉄道の電車では、1回当たり15秒、7日間放映する際の料金が50万円からとなっています。よく同じ映像がTVと併用で流れたりしていますが、私を含め、現代人はTV視聴がごく限られており、身動きの取れない電車内で否応なく何べんも何べんもサイネージで見せられて覚えた動画の方がTVCMよりよっぽど印象に残ります。

 おそらく
TVCMにかかる費用は数千万円にもなるのでしょう。私のような人間にとっては、それよりもはるかに見る機会が多いのが電車内のデジタルサイネージであり、その費用はわずか数十万円で済むとなれば、広報媒体としての主力がデジタルサイネージに移るのも時間の問題のような気がします。

 そして
近頃よく目にするのがデベロッパーのサイネージです。三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、伊藤忠都市開発、阪急阪神不動産、大成有楽不動産など、今思いつくだけでも複数社挙げることができます。そして今年に入って印象的だったのがプレシスブランドの一建設のデジタルサイネージでした。

 つくりはごくシンプルで、ソファに座った若い夫婦を演じる男女に対し、
「あなたにとって、ちょうどいい暮らしとは何ですか」と画面外から呼びかけ、妻の微笑みを受けた夫が「ちょうどいい…ちょうどいい…」と答えに詰まり、「ちょうどいいって難しいですね」と笑いながら答える動画です。

 「これって製作費は数十万円?」と思えるほどお金をかけた跡が見えないCMで、サイネージ利用代を含めても、数百万円で収まっているのではないかと感じるほどです。あまりにさりげなさ過ぎて、かえってお金をかけた他のデベロッパーのサイネージよりも印象に残りました。

 そんな
節約志向の一建設が太っ腹なキャンペーンを展開しました。『「”ちょうどいい”がきっとみつかる」マンション事業40周年キャンペーン開催総額1億円プレゼント』というものです。各企業の決算月が近いこの時期に値引きキャンペーンをやるのは珍しくないですが、各物件ごとに数百万円、せいぜい1千万円という規模で、今回のように、一建設分譲のマンションならどれでも対象になり、しかも桁違いの1億円オーダーというのは、初めて見ました。

 もちろん1億円が1名様、ではないのですが、
1等500万円4名、2等300万円10名、3等100万円50名という、シンプルな当選額・当選人数で、特に1等が当たれば大ラッキーなスケールです。私も思わず、一建設の現在分譲中のマンションを調べてみました。

 23区マンションは今はどこもお高いのですが、一つだけ「おっ」と思ったのは、
『プレシス三軒茶屋』です。「三軒茶屋」駅徒歩16分と、駅から遠いのですが、パンダ住戸が専有面積65平米に対し5,200万円と、駅距離の遠さを考慮に入れても格安に見えました。

 そして、もしここで
1等500万円が当たったとすると、専有面積65平米の住戸が5,200万円ー500万円=4,700万円となり、何と坪単価239万円で「三軒茶屋」駅最寄りの新築マンションが購入できることとなります。

「おっ、これはちょうどいい!」

 ただし、ネット上の掲示板の情報によれば、この住戸は随分前に売れてしまっていたらしいとのことで、実際にはそのような可能性ははじめからなかったのかもしれません。それを割り引いても、今年は「ちょうどいい」がきっと見つかる一建設に、楽しい夢を見させてもらいました。

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| ノウハウ・経験談 | 21:02 | comments(0) | trackbacks(0) |
保育園に入りにくい駅−急激な人口増加の湾岸タワマン地帯、ではなくなった

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★ 1月16日付おうちマガジンは、『保育園に入りにくい駅、入りやすい駅はどこ?各駅の0歳児人口も明らかに』と題した記事を掲載しました。概要は、以下の通りです。

「今回の調査は、2018年4月時点で、0歳児の保育所潜在需要がどの程度になるかを推計しました。待機児童数の潜在需要を把握するため、各行政区に対して町丁目毎の0歳児人口の調査を行い、0歳児人口の総数を最大需要と推計し、さらにそれらを駅単位で集計。その待機児童数を、各駅における認可保育所を中心とし、区が定める基準を満たす保育サービスを提供する専用施設の0歳児定員を引いて算出しました。

 調査の結果、東京都区部における、
0歳児の保育園に入りにくいワースト15駅は以下の通りです。

1 江戸川区 葛西   新築価格5,190万円 不足人数755人
2 葛飾区  新小岩  新築価格5,080万円 不足人数701人
3 足立区  北綾瀬  新築価格4,390万円 不足人数644人
4 江戸川区 西葛西  新築価格5,400万円 不足人数639人
5 江戸川区 篠崎   新築価格4,770万円 不足人数540人
6 江戸川区 一之江  新築価格4,790万円 不足人数515人
7 足立区  竹ノ塚  新築価格4,320万円 不足人数508人
8 江戸川区 船堀   新築価格5,120万円 不足人数503人
9 江戸川区 小岩   新築価格4,880万円 不足人数500人
10 練馬区  大泉学園 新築価格5,260万円 不足人数488人
11 江戸川区 瑞江   新築価格4,930万円 不足人数457人
12 葛飾区  金町   新築価格4,620万円 不足人数426人
13 葛飾区  亀有   新築価格4,980万円 不足人数425人
14 杉並区  荻窪   新築価格7,300万円 不足人数415人
15 中央区  勝どき  新築価格7,670万円 不足人数404人


 葛西駅、新小岩駅、北綾瀬駅と、今回のワースト3駅には、いずれも800名を超える極めて0歳児人口が多い駅がランクインするという結果になりました。0歳児人口が800名を超えるのは、都区部の全駅内でこの3駅のみです。

 この3駅の0歳児人口が多い理由は、いずれも
都心部へのアクセスが良いにもかかわらず、都区部の中では比較的マンション価格が抑えられていることにあります。そのため人気が集中しており、今後も多くの需要が発生することが予想されます。

 以上がおうちマガジンの記事の概要です。本記事は、『住まいサーフィン』の「認可保育園に入りにくい?!駅ランキング ワースト15」を基にしています。

 上記ワースト15の駅を23区別に見ると、
江戸川区が7駅、葛飾区が3駅、足立区が2駅、練馬区・杉並区・中央区が1駅となっています。子育て支援に手厚さがあることで定評がある江戸川区が圧倒的に保育園が足りないとは、皮肉な結果とも言えます。最も、こういう現状だからこそ、江戸川区は子育て支援に熱心なのでしょう。

 確かに、江戸川区の各駅は、新築価格が安い割に、都心とのアクセスがとても良いのです。
葛西、西葛西は東京メトロ東西線、篠崎、一之江、船堀、瑞江は都営新宿線、小岩駅はJR総武線で、それぞれ一本で都心まで乗り入れています。また、一般的に、足立区・葛飾区よりも都心へ短い時間で着くことができます。

 ただ、
私が想像したランキングとはやや異なっていました。私が新築マンションを探していた頃は、港区・中央区・品川区の湾岸エリアに坪単価200万円未満のタワーマンションが建っていた時代で、若い夫婦がこぞってこれらマンションを購入していました。

 これらの区は、それまでは地価の高さから若い世代がどんどん流出していたので、むしろ希少な若い世代が住んでくれると補助金を出していたくらいでした。そこへ突然、20代・30代世帯が大量流入したものですから、当然
保育園などの環境整備が追い付かず、「阿鼻叫喚」の騒ぎが起きたものです。したがって、保育園の入りにくさとは、潜在需要の絶対数の多さが原因ではなく、むしろ保育園の絶対的な少なさが原因となっていました。

 しかし、時代は変わり、上記湾岸エリアのマンション価格は、私が探していたころと比較して
ここ15〜20年で約2倍となりました。その間に若い世代の年収が2倍になったわけではもちろんありませんので、湾岸マンション購入の主力は、若い世代の年収の2倍ある40代、50代に移っていきました。いくら晩婚化傾向とは言え、そのような世帯の保育園ニーズは激減していると言っていいでしょう。

 実は、
2017年にも「保育園に入りにくい駅」がAERAで特集されています。このときは、現在待機児童数でランキングされているので、正確な比較はできませんが、2位に勝どき、4位に豊洲が入っています。本年の調査では、湾岸タワマン関連駅では15位に勝どきがかろうじてランクインしているくらいですので、その「退潮ぶり」を表しているかもしれません。

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| ノウハウ・経験談 | 20:13 | comments(0) | trackbacks(0) |
中国人が好む立地とは?−王さんの思い出

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★ もうずいぶん前のことですが、不動産仲介会社の王さんにお世話になったことがあります。気になる物件があって、電話で問い合わせたところ、案内に来たのが王さんでした。

 電話に出た人が女性だったので、てっきり女性社員が来るのだと思って待ち合わせ場所できょろきょろしていたのですが、それらしい人が見当たりません。冬の寒い日で、20分くらい吹きさらしの場所で待っていたところ、同じく隣でガタガタ震えていた青年がやおら携帯を取り出して
「〇〇サン、コナイヨ!〇〇サン、コナイヨ!」と私の名前を連呼し始めたので、ようやく彼が案内人だとわかりました。

 王さんは日本の大学に留学してそのままこの仲介会社に就職したとのことでした。当時は中国経済が絶好調で、多くの中国人が日本の不動産を求めて日本にやってきていました。不動産所有が認められていない中国と異なり、日本ではお金さえ出せば誰でもたやすく不動産のオーナーになることができます。しかも、長年のデフレの影響で、東京の不動産は、名だたる世界の主要都市の中で格段に価格が安く、資産価値の観点からも中国人に飛ぶように都心のマンションや土地が売れていったのです。

 そんな
中国人の「爆買い」を当てにして、この仲介会社は王さんを雇ったのでした。と言っても、日本人相手の時には補助に回されるらしく、王さんは私を車で待つ日本人社員のところに連れていく役割だったのです。ぬくぬくと暖房の効いた車内で待っていた日本人社員に対し、寒風に吹きさらされた王さんと私には、いつしか国境を越えた連帯が生まれていました。

 見に行った物件は、「自由が丘」駅徒歩10分圏内の中古戸建でした。格安に思えましたが、敷地と道路に大きな高低差があり、1階部分は地下に沈んでいました。それでも見学者は後を絶たなかったようで、スピード感に気圧された私は、それ以上のステップを踏むことができませんでした。

 その夜、仲介会社から来たメールの送信者は日本人社員ではなく、王さんでした。


「もっといい物件あるよ。見に来ますか」

という言葉と、でかい写真をばこばこ貼り付けた奇怪なメールに情熱を感じ、私は思わず次の週末のアポを依頼しました。

 次の土曜日、今度は王さん一人が車で迎えに来てくれました。


「正直言うと、こないだの物件、全然いいと思わないね」
「んー、確かに土地の形状に難ありだけど」
「いや、そうじゃなくて、なんで自由が丘がいいのよ。値段が高いだけで、全然面白くないじゃない」
「んん?日本人の憧れの場所だけど」
「自分は東横線とか田園都市線とか魅力を感じないね。東急線はダメ。街並みがきれいなだけ」
「そのきれいな街並みがいいんだけど」
「気取っていて、中国人には人気ないヨ」
「じゃあ、王さんはどの場所がお薦めなの?」
「日比谷線の入谷とか三ノ輪とか。池袋も。にぎやかで面白い。そこなら飛ぶように売れるヨ」
「ふうん」

 日本人には西洋への憧れがあり、きれいな邸宅地が従来から人気でした。最近は駅近が重視されるようになりましたが、繁華性はむしろマイナス要因となる場合もあります。中国人の感覚だと、むしろ下町に近い活気が好まれるかもしれません。そこにはいい意味での人間臭さがあり、「人が人として住んでいる」という実感があるのでしょう。それはそれで、何となく理解できるものがありました。

「中国人はね、気に入った物件があると、価格をつり上げる」
「日本でも売値が上がることはあるよ」
「いや、買うほうね。1億円で競争になると、1億1千万円出すとか。日本だと売るほうが困っちゃう」

 王さんがおすすめした物件は、確かにその価値はわかるのですが、やはりどことなく「これじゃない」感があって、丁重にお断りしました。

 それでも王さんは週に1,2度は、カタコトの日本語とともにコンスタントに物件資料を送ってくれました。しかし、やはり趣味は合わず、ついにある日王さんに電話しました。


「王さん、やっぱり無理だわ」
「そうか?東横線にしようか?」
「うーん…ちょっと今仕事が忙しくなって。余裕ができたら電話する」
「…そうか。約束だよ。日中友好のために」

 それから3年後、私は思いきって王さんのいた仲介会社に電話しました。

「王なら1年前に退社しましたよ」

 中国ではその後、中国人の海外不動産投資を抑制するための法律ができ、日本の不動産へのお得感が薄れたこともあって、中国人の不動産投資のための訪日はめっきり減ってしまいました。王さんもまた、新しい可能性を求めて、違うフィールドに旅立ったのでしょう。

 日本と中国の関係は、今年は習近平国家主席の訪日が予定されるなど、ようやく
雪解けモードになってきました。しかし、私と王さんの日中友好関係は未だ果たされないままでいます。 

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| ノウハウ・経験談 | 20:19 | comments(0) | trackbacks(0) |
世田谷のマンションが売れない?−価格で訴求できない曖昧さが一因か

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★ 12月8日付の週刊東洋経済は、特集として『マンション絶望未来』と題したマンション市況の現況と今後の展望を掲載しています。その中では、世田谷の2物件を以下のようにレポートしています。

『ブランズシティ世田谷中町』は総戸数252戸で、訪問時の在庫は123戸です。東急田園都市線「用賀」駅から徒歩15分で、東急不動産が「過去10年間で都内最大級の開発プロジェクト」として、第一種低層住居専用地域に分譲マンションとシニア住宅の複合開発を行ったものでした。2016年より分譲を開始し、2017年に竣工しましたが、いまだに売り出されていない住戸もあります

 『蘆花公園 ザ・レジデンス』は京王線「千歳烏山」駅から徒歩9分です。2017年春に分譲を開始し、2018年に竣工しました。分譲会社は三菱地所レジデンスが筆頭で、野村不動産とセコムホームライフが加わります。そのうちの1社の担当者は、「ここは完全な赤字物件」だと言います。「事の発端は三菱があまりに高く用地の入札をしてしまったこと。リスク回避のために我々を巻き込んできた」

 平均販売価格は7,000万円台前半と近隣物件よりも高めに設定せざるを得なくなりました。それでも三菱のプライドか、対応した営業員は値引きの可否について尋ねると、一切認めないと回答しました。」

 以上が週刊東洋経済の該当部分の概要です。

 まず、『ブランズシティ世田谷中町』ですが、
一番のネックは駅距離の遠さです。東急線の駅徒歩15分の大規模開発は、「都立大学」駅徒歩15分の2003年分譲『深沢ハウス』(総戸数772戸)を想起させますが、『深沢ハウス』も当初分譲には苦労していました。しかし、その後に2008年までの不動産プチバブルの波に乗ってマンション購入熱が盛り上がり、値引き販売を行ったこともあって、最後は急速に成約が進んで完売したと記憶しています。

 しかし、現在のご時勢では、
再び新築マンション購入熱が高まることは難しいのではないかと考えられます。シニア住宅との共生も、コンセプトは大いに賛同するものですが、販売サイドからすると売りにくいこともあるでしょう。私は本マンションを知った時、「販売に苦労するだろうなあ」と直感しましたが、おそらく多くの方が同じ思いを持ったのではないでしょうか。

 『蘆花公園 ザ・レジデンス』については、
「芦花公園」駅からは徒歩6分ですので、駅から遠いというハンデがあるわけではありません。しかし、世田谷区でも環八を超えてしまうと、売れ行きは微妙に鈍ってきます。想起されたのは、2009年に竣工した『グローリオ蘆花公園』(「芦花公園」駅徒歩8分、総戸数363戸)で、思い切った値引きを敢行して売り切ったとされています。

 世田谷区は確かにブランドですが、
都心・駅近が尊ばれる昨今にあって、真っ先に売れ行きに影響が出るエリアでもあり、実際、2008年までの不動産プチバブル期にも、世田谷区の変調がまず目立ったものでした。私は、都心寄りでない世田谷区において、駅から遠い物件については、高額ブランドというより、価格面で訴求した方がアピールするのではないかと考えます。

 その好例が
2004年に分譲された『東京テラス』です。「千歳烏山」駅徒歩16分というハンデを背負いながら、総戸数1,036戸というスケールを活かしつつ児童向けの多彩な共用施設でヤングファミリーを惹きつけ、平均坪単価210万円台というリーズナブルな価格水準で早々に完売させました。

 ターゲットは30歳代ファミリーで、70平米台3LDKが4,500万円〜5,500万円で購入でき、しかもそこは、東京の世田谷区であり、子どもたちの喜ぶ共用施設がいっはいある、それならパパも駅徒歩16分くらい大丈夫、という心理をつかんだのです。

 今の世田谷区マンションの不調は、価格で行くか、高級路線で行くかのコンセプトが曖昧になっているところに起因するものと思われます。土地代や人件費の関係で、価格面での妥協ができないのであれば、今や郊外にも属してしまう世田谷区エリアの物件の供給はしばらくお休みすべきなのかもしれません。

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| ノウハウ・経験談 | 20:23 | comments(0) | trackbacks(0) |
転売、また転売−どエンド君の誕生と幸せについて

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 「珍しいな…」

 不動産ポータルサイトSUUMOで、ある土地物件が目を引きました。そこは都心繁華街の大ターミナル駅で、誰もが資産を持ちたがる立地です。そこで、その大ターミナル駅徒歩10分内、土地面積30平米台後半で、価格は4千7百万円台でした。

 それでも高い、と思われるかもしれませんが、その2〜3週間前に、
同じ駅徒歩10分内で土地面積30平米のものが6,600万円台で売られていたのです。それと比べて土地面積は大きく、かつ、価格は約2千万円安いのでした。

 興味をそそられて、仲介業者に電話しました。


「問い合わせが結構来てましてね。この場所でこの価格、ちょっとないですよ。買取業者が4,500万円台なら買い取ると言ってますし、お早めにご検討ください」

 しかし、建物プランを見せてもらうと、当然ですが、3階建てで50平米台しか取れません。面積が小さいと、道路斜線を逃げて後退することができず、すっきりしたシルエットにもなりません。おまけに、道路に電柱が立っており、車が通れないのです。

「電柱って移設できないんですか?」
「東京電力に問い合わせたんですけど、他の住戸にも送電している太い線があるので、無理だって言うんですよね」

 建物価格は1,500万円はするでしょうから、結局、50平米台の駐車場なし3階建ミニ戸建てで土地と併せれば6千万円台前半はしてしまいます。立地はとても魅力的なのですが、果たしてお得なのかどうかわからなくなってきました。

 モノになるのであれば妻に話してみようかとも思ったのですが、
これではどうしようもない、と判断しました。しかし、気にはなるので、その後どうなるのかと時々フォローしていました。

 検討者は複数いたはずですが、物件は掲載されたままです。おそらく、
どの検討者も同じ思考過程を辿って諦めたのだと思われます。しかし、1ヶ月近く経ったある日、本物件は忽然と姿を消しました。

「ああ、ついに売れたか」

 少々悔しい思いを抱きながら、この土地に対する思いをクローズしたのですが、何とその2週間後、本物件が再びHP上に姿を現したのです。

「何だって!」

 私は目を疑いました。つい2週間前まで4,700万円台だった土地が、6,900万円台で売られているのです。この2週間で値段が約1.5倍つり上がったことになります。

 しかし、あらためて売りに出された本物件は、
土地売ではありますが、新たな建築プランの提案がくっついていました。そして、その提案では、地下を掘ることによって、建築面積は90平米近くを確保していました。

 さらに、今回の提案では、建物が
駐車場付きになっているのです。おそらく買い取った業者がいくらかお金を出すことで、東京電力に電柱の移設をさせることにしたのだと思われます。これで、土地面積は小さいものの、立派な車庫付き3LDKファミリー物件となりました。

 地下を掘ることで多少費用がかさむとは言え、建築費は2千万円もしていません。
結果として、90平米近い間取りの家が8,700万円程度で手に入ることになります。以前の提案が50平米台の家で6千万円台でしたので、建築坪単価はむしろ安くなっているのです。

 私を含む
当初の検討者層は、この値段でこの土地を買うことにはとても耐えられないでしょうが、初見の方であれば非常に魅力的かもしれません。こうしてこの買取業者は、少しの手間とコストとアイディアで、2千万円も物件価格を釣り上げることに成功したのです。

 そもそも
この前の売主も買取業者でしたので、ここに長年住んできた最初の売主は、相当安い価格でこの土地を手放した可能性があります。もしかすると、一番最初の値段は3千万円台で、それがこの2ヶ月足らずで約2倍の値段になったのではないかと推測しています。

 このように
転売に次ぐ転売で何人かの業者が潤った挙句、最後に物件をつかまされるのは一般の実需としての消費者です。まさにエンドの中のエンド、どエンド君の誕生となります。しかし、それで皆がハッピーなのであれば、それはそれでよいのでは、と思ってしまうところが不動産の怖いところであり、面白いところなのだと思います。

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| ノウハウ・経験談 | 20:46 | comments(2) | trackbacks(0) |
マンション大型バーゲンセールが始まる?ー今回は「購入は増税後まで待て」が正解か

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★ 来年10月、消費税の税率が10%引き上げられるのに伴い、住宅ローン減税の期間が今の10年から15年に延長される可能性が報じられています。何気ない報道がほとんどなのですが、これは住宅購入に与えるインパクトは近年になく大きいのではないかと思っています。

 従来の景気対策や消費税率引上げ対策は、
住宅ローンの控除額を引き上げる方策でした。特にリーマンショック後の対策は、私が適用を受けた控除額限度20万円(総額160万円)から一気に50万円、長期優良住宅の場合は控除率が通常の1%から1.2%に引き上げられ、通常の住宅で総額500万円、長期優良住宅で総額600万円の控除が限度額となっていました。

 年間控除額が20万円だった私は相当悔しい思いをしましたが、それでも入居日を遅らせなかったのは、娘の中学受験が迫っていたことと、実際に借りた住宅ローンが3,000万円程度で、
新住宅ローン控除でも控除の恩恵は約250万円で、見かけほどインパクトがなかったからです(それでも140万円は違いますが)。

 一方、
今回の景気対策は、見た目以上に得られる恩恵が大きいのです。これまでの対策だと、そもそも限度額目いっぱいに住宅ローンを借りる(借りられる)人はとても少なく、政治的にはアピールできても、実際の効果はそれほど大きくありませんでした。しかし、今回は、私の例ですと、住宅ローン控除総額は現在の約250万円から約340万円となり、現在の約1.4倍になります。

 suumoによれば、2015年において、23区の住宅ローン借入額の平均は4,470万円となっています。これを現在の主要都市銀行の変動平均金利0.607%で35年借りるとすれば、
住宅ローン控除額は現在の約380万円から約530万円へ約150万円増加します。

 一方、2015年に23区で購入された新築マンションの平均額は5,644万円です。一般的なマンションであれば、建物・土地割合は1:1くらいでしょうか(タワーマンションでは建物:土地は、例えば7:3程度と建物割合が高くなります)。消費税は建物のみにかかりますので、5,644万円のマンションであれば消費税額は税率8%の場合、約225万円です。これが消費税率10%になると、約280万円で、
55万円の増税となります。

 したがって、住宅ローン減税の期間が15年に延びた場合、
得られる恩恵は約150万円、片や増税額は55万円で、住宅ローン減税額の方が約100万円も多くなります。つまり、今消費税率引上げを恐れて駆け込みで買うより、むしろ消費税率が10%に上がるのを待ってマンションを購入した方がお得なのです。

 一般的なマンションの場合、上記借入額で住宅ローン減税期間延長の恩恵額と
同程度までの増税額となるには、物件価格が約1億5千万円にならなければなりません。すなわち、1億円をキャッシュで出し、5千万円の借入れをして初めて住宅ローン減税期間延長の効果がなくなることになります。一般サラリーマンが住宅ローンを借りながら新築マンションを購入する場合、ほとんどのケースで「購入を増税後まで待つべき」という結論になります。

 まして、
需要が鈍ってまだ売り出すこともできないでいる潜在在庫も含めた大量の増税前の売れ残り物件を、来年10月以降に消費税率2%を上乗せして購入したい人がどれほどいるのでしょうか

 今週木曜日、本年1月に竣工してもうすぐ1年が経過しようとしている
『クラッシィハウス湘南藤沢』が、朝日新聞の1面を使って大々的に「大商談会」の開催をアピールしていました。新築マンションの第1期売り出しで全面広告を出すのなら普通ですが、割引ありを示唆する「大商談会」の全面広告は珍しいと思われます。

 昨日のDMでは、
『シティタワーズ東京ベイ』「ご来場キャンペーン楽天スーパーポイント2,500ポイントプレゼント」とありました。このようなポイントプレゼントで住友不動産がわざわざDMを使用するのも久しぶりな気がします。

 来年1月になれば、
今回の景気対策に焦った売主側がいよいよ本格的に「増税前在庫物件一掃セール」を始めるかもしれません。しかし、これと対照的に、購入者側で、「増税前駆け込み購入」が起きるかどうかは疑問であり、むしろこのような景気対策のもとでは、駆け込み購入をすべきではないと強く感じています。

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| ノウハウ・経験談 | 20:19 | comments(0) | trackbacks(0) |
都心物件も値下げを始めた?−西麻布高級マンションの「特別大商談会」

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★ 東京カンテイの「2018年10月の三大都市圏中古(既存)マンション70平方メートル換算価格の月別推移」によれば、2018年10月の首都圏中古マンション価格は、全域で弱含んだ影響から前月比−0.3%の3,625万円と僅かながら引き続き下落しました。都県別で見ると、東京都では−0.3%の4,879万円と直近のピークだった8月よりもやや水準を下げ、神奈川県(−0.6%、2,873万円)や千葉県(−0.2%、2,016万円)でも再びマイナスとなりました。また、緩やかな上昇傾向を示していた埼玉県では、−0.7%の2,278万円と6ヵ月ぶりに反転下落しています。

 ただし、
東京都では−0.3%の下落でも、23区及び都心6区ではそれぞれ0.2%の上昇です。三井不動産リアルティの調査でも、都心7エリアのプレミアムマンションでは直近の2018第2四半期が成約単価のピークとなっており、都心高級物件の強さを感じます。

 しかし、
成約件数については、上記プレミアムマンションでも2017年第2四半期を直近のピークとして徐々に減少しています。価格は高騰しながらも、それについていける高所得者層の購入は一層限られてきている印象です。

 最近は、
都心の話題マンションでも、販売期間がずるずる延びてきています。以前は、人気の大規模タワーマンションについては、第1期・第2期の2期構成であっという間に完売していましたが、この春以降はそのような事例を見聞きしなくなりました。

 例えば、鳴り物入りで販売がスタートした
『パークタワー晴海』は現在第5期7次を数えていますし、「月島」駅徒歩2分という利便性と値頃感から個人的には早期完売を予測していた『MID TOWER GRAND』は現在、第1期3次販売となってこちらも小刻みな販売となっています。

 買手がいなくなったわけではないのですが、どの販売現場からも
熱気は感じられません。妙な言い方をすれば、以前は買わなくてもいい人まで買っていたのですが、今は買うべき人が買っているような気がします。

 最近「おや」と思ったのが、
『アトラス西麻布』のダイレクトメールです。西麻布4丁目アドレスで、「広尾」駅徒歩7分のアクセス、そして旭化成不動産レジデンスの「アトラス」ブランドと、都心高級物件として欠けるところがありません

 しかし、総戸数16戸と小規模ながら
2017年10月竣工から1年経過しても最終1戸が売れ残っています。この11月からは「特別大商談会」、つまり値引き可の物件となりました。

 対象住戸は、
間取り2LDK、専有面積80.83平米で販売価格14,890万円、坪単価609万円です。ルーフバルコニーも12.66平米付いています。北・東・西の三面採光・角住戸プランでもあります。

 専有面積の割に収納が多く、3LDKとならなかったのが売れ残った理由かもしれませんが、
パワーカップルであればむしろ好ましい間取りとも言えます。逆に富裕層には物足りないコンセプトと価格設定だったのかもしれません。

 さて、本物件はいくらまで下げられるのでしょうか。
1割引でも13,400万円で私などは全く手が届きませんが、それでも1,500万円もの値引きとなります。このクラスになると、値引きの相場がさっぱりわからないのが正直なところです。

 それにしても
都心物件、しかも港区西麻布物件で堂々と「特別大商談会」をやるのは今まではほとんど聞いたことはありませんでした。実はほかにも、「これは値下げではないのか」と思われる都心新築高額物件を最近目にしたことがあります。

 都心高級マンションは高ければ高いほど売れるといった時代は既に終わり、
そろそろ売れ残り物件を処分しなければ危うい、そんな雰囲気が業界にも出始めたと言っては言いすぎでしょうか。

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| ノウハウ・経験談 | 23:56 | comments(0) | trackbacks(0) |
緊急時の駆けつけはやはり都心居住が便利−危機管理と私生活

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★ この夏から関連会社に出向しています。そこでは様々な情報システムを扱っているのですが、先日は肝を冷やす出来事がありました。

「む…」

 朝5時、何となく気配がして、枕元においてあるスマホを眺めると、朝4時前の着信で担当者から「システムがダウンしています。原因は不明です」というメールが入っていました。

「まずい」

 すぐさまその担当者に電話を入れます。

「どういうことだ」
「深夜からシステムが動かなくなりまして、ずっと原因を調査していたのですが、まだわかっていません。もうすぐサービス開始の時間になりますので、朝早く恐縮でしたがとにかくご一報をと思いまして」
「サービス開始って、朝の6時だよな」
「そうです。あと1時間後です」

 がばりと起き上がると、すぐ職場へ向かう準備を始めました。今朝は犬の散歩を言いつけられていたのですが、もちろん行けません。朝食をとる暇も当然なく、関係先に謝罪して回ることを考えて地味めのスーツとネクタイにして家を飛び出しました。

 曲がりなりにも全国でサービスを展開しているため、
ユーザーに影響が出る可能性があります。ただ、いくらやきもきしても、私は現場で奮闘している技術者ではないため、今できることは祈ることしかありません。

「6時…職場には間に合わんな」

 5時半には家を出たのですが、武蔵小杉から職場に着くのはおそらく6時10分頃です。6時に職場に着いたからといってどうなるものでもありませんが、絶望感を感じました。

「…お?」

 担当者からメールです。

「原因がわかりました。昨晩の◯◯作業の◯◯の工程に問題があったようです。」

 一筋の光が差し込みました。システムトラブルで最もまずいのは「原因がわからないこと」です。逆に原因がわかれば多くの場合でリカバリーできます。原因となった機器の交換、悪さをしたデータの削除や欠如していたデータの追加という、シンプルな作業で復旧することがままあるのです。しかし、この連絡があったのが5時半過ぎです。6時に間に合うのか…

 5時58分、担当者からメールが入りました。


「ただいま、システムの全工程で疎通が確認できました。復旧です。」

 電車の中で全身の力が抜けるのを感じました。社会の一隅にあるようなシステムですが、それを何とか守ることができました。

 今回あらためて思ったのは、
職住近接の必要性でした。実際にはオペレーションをしているSEが現場に貼り付いて作業を夜通しやったおかげで復旧したわけですが、それも現場に駆けつける初動が肝心だったでしょうし、技術者でない私も、関係先対応や連絡調整など、できるだけ速くオフィスに着いた方がよいのです。

 特に
会社の能力が問われるのは、緊急時の危機管理体制です。そんな事態はめったには来ませんが、万一発生したときの対応のまずさは会社にとって致命傷となってしまいます。

 東京では会社が都心に集中しているため、
都心居住者は緊急時にいち早く駆け付けられることとなります。仕事に引っ張られて住む場所を決めることはしたくないのですが、危機管理における都心居住のメリットを強く実感した出来事でした。

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| ノウハウ・経験談 | 22:25 | comments(2) | trackbacks(0) |
ばたばたと人辞めていく秋の暮−不動産転売屋に厳しい年の瀬

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★ 私は、実需の分譲マンションの情報のみならず、投資用物件の情報を流してくれるメールもいただくようにしています。実際、投資用物件の動きは、実需物件の動きよりも速く、不動産市場の動向を占うのに適しているとも思われます。また、実需物件で指標となるのは坪単価ですが、投資用物件の場合は利回りとなり、異なる視点から市況を感じることもできます。

 そんな投資用物件を扱う業者の担当者さんから、
この半年間で4通ほど、転職や退職のメールをいただきました。お一人は結構魅力的な利回り物件をズバッと送ってくれる方だったのですが、ある日突然、「このたび一身上の都合で◯◯生命の営業職に転職しました。」とのメールが届きました。「あれだけ魅力的な物件を揃えていたら、かなり儲けているだろうなあ」と思っていたので、びっくりしました。

 もう一人の方は、やはりアグレッシブに売り込みをかけていた会社代表でした。メールは毎日のように着ていたのですが、半年くらい前から
メールの文面に愚痴が出るようになり、ある日突然会社名を変更し、そこから取り扱う物件がしょぼくなり、メール配信もとぎれとぎれになったのですが、つい最近、また会社名が代わったメールが届きました。まるで業(ごう)のように不動産業界から足を洗えないようで、先行きが心配です。

 残りの2通は、チームで物件を紹介してくる業者です。この会社も毎日複数メールで提案があるのですが、果たしてどの程度反響があるのだろうかと見ていた矢先、そのチームのシニアと思われるお一人から、
「一身上の都合で退職することとなりました」とのメールが届き、その2、3日後に、それに影響されたかのように、同じ社の若手から同様のメールが届きました。

 このように律儀に退職をメールで報告してくれる方は
ごく少数派でしょうから、おそらくかなり多くの方が不動産投資業界から足を洗いつつあると思われます。

 もちろん、この背景にあるのは
「スルガ・ショック」です。今、不動産投資業界は、ほとんどは「三為(さんため)業者」になっているのだそうです。「三為業者」とは不動産の転売屋のことで、かつ、物件を仕入れるときに自社の登記を入れずに売主から買主に直接登記を移転する(新・中間省略登記=第三者のためにする契約(=三ため))ことにより、登記費用・登録免許税・不動産取得税等を免れる業者のことです。

 これだとまさに物件を「横流し」できるわけで、費用をほとんどかけずに転売の売却益を得ることができます。しかし、「スルガ・ショック」で金融機関の融資が厳しくなり、買手がいなくなってしまったので、今度は逆に、売主に支払った手付金(物件価格の5%程度)を失い、多額の違約金(物件価格の20%程度)が請求されるリスクが出てきてしまうのです。

 こうなると、
アグレッシブに突っ込んだ業者ほど多数の売れない物件を抱えてしまい、手付金喪失・違約金請求の束に悩まされることになります。会社としては立ちゆかなくなり、社員としては自発的に辞めていくか、人員整理の対象になるかの場面に立ち至るようになります。

ばたばたと人辞めていく秋の暮

 例年お正月は、投資用不動産がばんばん売れていくシーズンでした。来年の年明けは、一体どのような光景が広がっていることでしょうか。

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| ノウハウ・経験談 | 22:34 | comments(0) | trackbacks(0) |