コスパ最強の街でマンション購入−赤羽に住んで人生を謳歌、という選択肢

JUGEMテーマ:マンション


★ 5日付のlivedoor newsは、『東京でコスパ最強のマンションを買うなら「赤羽」を狙え』いう記事を掲載しています。その概要は次のとおりです。

「まず、JR「赤羽」駅には山手線の西側を走る埼京線と、東側の京浜東北線がともに乗り入れ、
山手線のどちら側の沿線にアクセスするにも便利です。次に、駅前の商業エリアが充実しており、日常の買い物はもちろん、食事などでも幅広い選択肢があり、街としての華やかさもそれなりです。

 ただし街としてのステイタス感は今一つで、「庶民の街」というイメージは濃厚です。しかし、
肩肘張らずに住むなら、かなり暮らしやすい環境を提供してくれています。

 しかも、
住宅の価格がリーズナブルです。東急リバブルが提供している「駅別相場価格データ」(アットホーム調べ)によると、赤羽エリアの新築マンションの相場観は3,100万円(※すべての間取りを対象に算出した相場価格)となっています。

 これに対して、たとえば新宿からのアクセス分数が同水準の
吉祥寺4,180万円です。しかも吉祥寺は赤羽よりも「東京」駅へは約10分遠くなります。

 また、山手線の南側にあって、赤羽同様に山手線の東西へ優れたアクセスが得られる
蒲田だと新築マンションの相場観が3,470万円です。蒲田は赤羽に劣らぬほど駅周辺の商業施設が充実しています。ただし、新宿へのアクセス分数は赤羽より20分前後遠くなります。もっとも、蒲田は川崎や横浜など、神奈川方面へは好アクセスを誇ります。

 確かに蒲田は神奈川方面へのアクセスが良いのですが、赤羽も
埼玉方面への玄関口の役割を担っています。上越や東北への新幹線を利用するには、「大宮」が使えます。

 さらに、
中古マンションや新築、中古の戸建てでも赤羽の価格優位性は際立っています。こういう街は、不動産価格が下落期に入ってもある程度底が堅く、一定レベルまで下落すると、そこで止まる傾向があるのです。

 ところが、これよりも郊外や湾岸エリアは下落期に入ると底が割れるほど資産価値が下落するケースがあります。しかし
路線が開通して100年以上も経過している街では、そこまで急激な下落は起こりにくいと考えるべきでしょう。

 赤羽や吉祥寺や蒲田は、そういった街の代表格で、中でも
最もコストパフォーマンスに優れているのが「赤羽」ではないかと考えています。」

 以上がlivedoor newsの記事の概要です。
赤羽は最近注目の街です。昨年12月12日に住宅ローン専門金融機関のアルヒ株式会社から発表された「本当に住みやすい街大賞2019」では第1位になり、世間を驚かせました。

 その理由の第一として、「赤羽」駅の存在があります。
「赤羽」駅は、埼玉県川口市、蕨市、戸田市、さいたま市などや、それ以北の同県内の都市から東京都心部へ移動する際に経由する駅であり、また山手線と併走する西側の埼京線・湘南新宿ライン(池袋・新宿・渋谷駅方面)と東側の京浜東北線・宇都宮線・高崎線(上野・東京・品川駅方面)への分岐点という、重要な位置づけを有しています。川口市内からもバス等で来て利用する客が多くなっています。

 更に駅ナカには2011年に開業した
「エキュート赤羽」があり、飲食店や惣菜店を中心に50店舗が入居しており、駅の中でも色々な買い物が可能です。高架下にもショッピングセンター「ビーンズ赤羽」があります。元々「アルカード」として1990年にオープンしたもので、スポーツ用品店やペット用品店をはじめ生活に便利な店が揃っており、多くの人が行き交います。

 駅北東には
「一番街」があります。ここには飲み屋が多く建ち並び、いわゆる「せんべろ」の店もある歓楽街となっており、赤羽の男性人気は高いものがあります。帰りに一杯飲んで帰れる店がたくさんあるのは赤羽の魅力となっています。総合スーパーは、ダイエー、イトーヨーカドー、西友と3つも駅前にひしめいています。

 LIFULL HOME'Sによる
「昼から飲んで怒られない街ランキング」では、赤羽は5位にランクイン、このほか、赤羽は「すっぴんで歩けそうな街ランキング」では1位、「生活費が抑えられそうな街ランキング」では3位となっており、女子にも人気が急上昇しているとの記事もあります。

 最近は物件価格が高騰しているようですが、
若い人が出店しやすい賃料、雰囲気で、最近はワインバルなど、お洒落な店も出てきているそうです。これらのユニークな赤羽の特性が大注目の要因です。

 一方、赤羽の弱点としては、
荒川の洪水への懸念があります。大正時代に荒川放水路ができたことで治水面での安全性はかなり確保されているとはいえ、ハザードマップを見れば、荒川氾濫の場合には赤羽駅東口のすぐ近くまで浸水するということです。岩淵や志茂エリアでは、北本通りよりも東側には都内でもトップクラスの地震時に地域危険度を持つ場所があります。ファッションや雑貨の店といった点でも、トータルで見ればまだまだ弱いと言えます。

 赤羽でマンションを購入する場合には、区の作成したハザードマップによく注意し、マンション自体の災害対策にも気を配りたいものです。その上で、人生を謳歌するには赤羽で、という選択肢もありかもしれません。

『分譲マンション・アップデート』へ


| ノウハウ・経験談 | 19:19 | comments(0) | trackbacks(0) |
なぜ「都心駅遠」より「郊外駅近」の方が幸せなのか

JUGEMテーマ:マンション


★ 少々古いですが、suumo8月6日版は、「都心駅遠vs郊外駅近−同じ通勤時間で価格や資産性はどう変わる?」という記事を掲載しています。物件選びの重視点の一つが「通勤時間」ですが、同じ「通勤40分」でも「家から駅まで15分+駅から通勤先まで25分」という選択肢(=都心駅遠)もあれば、「家から駅まで3分+駅から通勤先まで37分」という選択肢(=郊外駅近)もあります。この記事では、それぞれどんな違いがあるか、「都心駅十遠」「郊外駅近」両エリアの物件価格や、購入者の満足度を調査しています。

 ここで
「都心駅遠」とは、以下のエリアの最寄り駅から徒歩13分以上を指します。

・ 東京都の15区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区、目黒区、文京区、品川区、世田谷区、豊島区、中野区、台東区、墨田区、江東区、杉並区)
・ 大阪市の12区(福島区、西区、天王寺区、浪速区、北区、中央区、淀川区、都島区、阿倍野区、港区、大正区、西成区)

 また、
「郊外駅近」とは、以下のエリアの最寄り駅から徒歩3分以内を指します(最寄り駅からターミナル駅まで40分超の物件は除く)。

・ 首都圏の上記を除く1都4県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県)

・ 関西の上記を除く2府2県(大阪府、京都府、兵庫県、滋賀県)

 その結果、「都心駅遠」と「郊外駅近」の平均像は、次のようになりました。


       価格   専有面積  騰落率
都心駅遠  6,252万円  69平米  ▲10.0%
郊外駅近  5,187万円  69平米  + 0.3%


 ここでいう騰落率は、首都圏・関西で2007年8月〜2010年5月までに新規分譲され、2018年6月〜2019年5月に中古流通した分譲マンションのデータで紹介されています。意外だったのは、騰落率では都心駅遠より郊外駅近の方に軍配が上がった点で、郊外駅近物件を買った方が、都心駅遠物件を買うより平均640万円有利だったことになります。

 また、
満足度(インターネット・アンケートに基づく編集部の計算で、その計算方法は明らかにされていません)については、次の通りです。

○ 交通利便
・ 駅までのアクセスの快適さ  都心駅遠 81p  郊外駅近 182p
・ 終電が遅くまである  都心駅遠 130p  郊外駅近 107p

○ 生活利便・環境
・ スーパー・飲食店など店の数  都心駅遠 118p  郊外駅近 122p
・ 見晴らし・眺望の良さ  都心駅遠 87p  郊外駅近 112p

〇 夜間・休日診療の病院が近い  都心駅遠 101p  郊外駅近 73p

〇 エリアの閑静さ  都心駅遠 105p  郊外駅近 106p

〇 子育て環境
・ 通学先の近さ  都心駅遠 126p  郊外駅近 108p
・ 近隣の公園の多さ  都心駅遠 113p  郊外駅近 96p

〇 交通安全・治安の安心感  都心駅遠 102p  郊外駅近 114p

〇 学習塾・習い事の多さ  都心駅遠 83p  郊外駅近 92p


 明らかに満足度が違い、都心駅遠にメリットがあるのが「夜間・休日診療の病院」、郊外駅近に軍配が上がるのが「駅までのアクセスの快適さ」です。また、これらの項目の各満足度を単純合計すると、次のようになります。

 都心駅遠 1,046p  <  郊外駅近 1,112p

 総合的な満足度は単純合計で計算するものではないかもしれませんが、こちらも郊外駅近の方が勝りました。そして、ここでも「駅までのアクセスの快適さ」で101pもの差があることが決め手になっており、日本における「駅近」信仰の強さをあらためて裏付けた結果となりました。

『分譲マンション・アップデート』へ


| ノウハウ・経験談 | 19:48 | comments(0) | trackbacks(0) |
陸マイラーは住宅ローンが通らない!?−驚きと焦りのマンション購入体験

JUGEMテーマ:マンション


★ 娘2人が大学生となり、今の大学生は私の想像をはるかに超えて頻繁に海外旅行に行くことを知りました。例えば夏休みに1回、冬休みに1回、春休みに2回の年間計4回、娘2人ですから年間4回×2=年間8回です。旅行代の半分はバイトなどで自己負担をしてもらうのですが、半分は私の負担になります。1回10万円とすると、これだけで80万円です。

 これに釣られるように、
妻が海外旅行好きになり、合唱のイベントでニューヨークへ行きました。また、甥が結婚式をグアムで挙行し、家族4人で行くことにもなりました。私の年間支出の、あまり無視できない割合まで海外旅行関係が占めるようになりました。

 そして、
娘が2人とも留学を希望していることがわかった時、私は思いました。これからは恥を忍んでマイルを必死に貯めて、「陸マイラー」にならなければやっていけなくなると。

 「陸マイラー(おかマイラー/りくマイラー)」とは、
飛行機に乗らずに航空会社のマイルを貯める人たちのことを言います。御存知の通り、マイルを貯めるには必ずしも飛行機に乗る必要はなく、例えばANAカードで買い物をすれば0.5%〜1.0%程度のANAマイルが貯まります。しかし、その程度では飛行機に乗れるほどのマイルは到底たまりません。

 したがって、
ポイント交換により最終的にはマイルに変換できるポイントサイトでポイントを意識的に貯めることになります。Yahoo!ショッピングの買い物も楽天市場の買い物もポイントサイトを経由し、レストランでの食事もポイントサイトを経由し、エクスペディアでのホテル予約もポイントサイトを経由するなど、とにかく日常生活のありとあらゆる行為をポイントサイト経由で行うのです。

 私は
1年半ほど、死にもの狂いでポイントを貯めまくりました。そのおかげで、1年半後には約30万マイルを貯めることができました。下の娘はシアトルに留学したのですが、成田−シアトル間のフライトの必要マイレージは55,000マイルです。私はこの30万マイルを使って、娘の留学の往復フライトと、家族3人がシアトルにいる娘に会いに行く往復フライトをゲットすることができました。

 苦労の甲斐あったと言えばそうなのですが、マイルを貯めるのに
へとへとに疲れたのも事実です。ただ、上の娘のタイ留学に合わせた妻と下の娘のタイ旅行にも残余のマイルで行けそうですし、これでめでたしめでたし、となりそうだったのですが、落とし穴がありました。

 以前購入したセカンドハウスは、娘の大学キャンパスの移動に伴い使用頻度が落ちてしまい、収支がほぼトントンで売却したのですが、その分で別の
新築マンションのセカンドハウス購入をトライすることにしました。年齢は進行しましたが、借り入れは前回のセカンドハウスよりも少なく、年収も落ちてはいないので、住宅ローンも大丈夫だろうと思っていたのですが、住宅ローン審査で初めてNGとなってしまいました。

 首を傾げながら、
他社の住宅ローンの審査を申し込んだら、何とこちらも落ちてしまいました。申し訳なさそうにする担当者のAさんに、私は理由を教えてくれるように頼み込みました。審査結果の理由は普通は言わないらしいのですが、あまりに食い下がったせいか、Aさんはあいまいにぼかしながらヒントを教えてくれました。

「あの〜、クレジットカードとか、かなりの枚数お持ちですよね…」

 私はその一言で「あっ」と気付きました。実はマイルを貯めてきたこの1年半、数多くのクレジットカードを新規発行してきたのです。なぜならば、クレジットカードの新規発行により獲得できるポイントは、数千〜2万ポイントにものぼり、最も効率が良い貯め方だったからです。私はさらに高額のポイントがもらえるキャッシング系のカードにも手を出していました。

 しかし、一つ一つのクレジットカードには、
少なくても数十万円、多ければ数百万円のショッピング枠・キャッシング枠が設定され、それは金融機関のローン審査では「既存の借入枠」とされてしまうのです。「高額ポイント」のわけは、「それだけ身を削るから」という当然の理屈を忘れていました。私は急いで帰宅し、これまで発行してきたカード類の設定枠を計算してみると、実に数千万円オーダーに達していました。

「これはいかん」

 それから2ヶ月の間、私は発行してきた数多くのカードを一つ一つ電話して解約し、あるいはショッピング枠やキャッシング枠を最小限度に抑える作業を必死に行い、何とか住宅ローンの再審査の期限に間に合わせました。これで落ちたらタイムリミット、と思っていましたが、今度は無事にパスすることができました。

 「陸マイラー」の方が皆さん同じようにしているわけではないのでしょうが、
クレジットカードはポイント率が高いので、目が行きがちだと思います。もっとも、これを読んでいるほとんどの方が「陸マイラー」とは無縁でしょうから、こんな記事を書くのも恥ずかしいのですが、「人間無理をすると必ずどこかにボロが出る」という一般論としてお読みいただければ幸いです。
 
『分譲マンション・アップデート』へ


| ノウハウ・経験談 | 20:48 | comments(0) | trackbacks(0) |
今最安で買える都心ファミリー中古マンション−問題集バージョンで書いてみました。

JUGEMテーマ:マンション


★ (問) 地方在住のAさんは、都心企業に10月1日付の転職が決まり、家族で引っ越すことになりました。転職先は地方に支社もないことから、Aさんはこの際、都心の中古マンションを買おうと決意しました。できれば、仲介手数料等に消費税10%がかからない9月中に引っ越そうと思います。さて、Aさんは、住宅ローンを含めていくらあれば都心でファミリー用の中古マンションを買うことができるか、100万円単位まで求めなさい。

(解説) 消費税率が10%にアップするまでに中古マンションを購入するとすれば、9月30日までに物件引渡しを終えていなければならず、
今中古市場にあるマンションから選ぶしか選択肢はありません。したがって、Aさんがまずやるべきは、物件掲載数が最も多い不動産ポータルサイトSUUMOで現状ある物件を検索することです。

 ここで「都心」と言った場合、
都心3区(千代田区、中央区、港区)なのか都心5区(都心3区+新宿区、渋谷区)なのかで迷いますが、条件付けさえ明記すれば、いずれでも回答はOKです(ここでは都心5区としてみます)。専有面積や築年数等の条件が付されていませんので、検索条件としては、「間取り3K/DK/LDK又は4K/DK/LDK」のみでよいでしょう。

 現在SUUMOに掲載されている都心5区それぞれの最安の3LDK中古マンションは、次のとおりです。

(千代田区)
クリオ東神田 7,418万円 3LDK 63.04平米 「浅草橋」駅徒歩4分 2013年2月築 坪389万円

(中央区)
シティハイツ湊 2,990万円 3DK 41.01平米 「新富町」駅徒歩7分 1989年8月築 坪241万円

(港区)
マリンシティダイヤモンドパレス 2,190万円 3K 39.5平米 「田町」駅徒歩12分 1980年3月築 坪183万円

(新宿区)
哲学堂コーポラス 2,890万円 3LDK 57.6平米 「落合南長崎」駅徒歩11分 1967年6月築 坪166万円

(渋谷区)
秀和幡ヶ谷レジデンス 1,980万円 3DK 54.81平米 「幡ヶ谷」駅徒歩3分 1974年11月築 坪119万円

 したがって、最安の都心中古3LDKマンションは、都心5区で考えた場合、秀和幡ヶ谷レジデンス(1,980万円)ということになります。これに仲介手数料等諸費用がかかり、これは一般に7%分を上乗せすれば十分と言われていますので、1,980万円×1.07=2,119万円となります。これを100万円単位に切り上げた額が答となります。

(回答) 都心5区の場合、2,200万円

(参考) おそらく思ったよりも安値で購入できる結果となりました。しかし、30平米台の3Kや40平米台の3DKが現代の家族にふさわしい広さや間取りなのか、といった論点もあることでしょう。また、仲介業者に当たれば、不動産ポータルサイト未掲載の物件を教えてくれるかもしれません。その意味では、回答欄に、回答者自身の条件付けを付してさらに掘り下げた回答をすれば、追加点がもらえる可能性があります。

『分譲マンション・アップデート』へ


| ノウハウ・経験談 | 22:37 | comments(0) | trackbacks(0) |
データ駆動型社会からデータ断捨離社会へ?−不動産価格データの有効性を問う

JUGEMテーマ:マンション


★ 今日はお誘いがあって、データ活用社会に関するセミナーに参加してきました。最近の経済社会を語る言葉は、AI、IoTに始まって、Society5.0、Industry4.0など、すべてが「データ」に関するものです。私もここまでデータ活用が進化した流れに乗り遅れまいと、このセミナーで、多くの方のプレゼンテーションをじっくりとお聞きしました。

 その最後のプログラムであるパネルディスカッションの時です。現在のデータ活用中心主義の立役者とも言える先生が突如、隣に座ったゲストスピーカーの外国人教授に問いかけました。


「今のデータ駆動型(Data-driven)社会の次に来る波は何ですかね」

 聞かれた外国人教授はすかさずこう答えました。

「データを捨てる(Data-thrown)社会ではないですか」

 その瞬間、会場の雰囲気ががらりと変わりました。それまでビックデータの解析の効用やノウハウ、将来への活用方策をさんざん語っていたのですが、我々は夢から覚めたように気づいたのです。そうか、「データ駆動型社会」の次に来るのは「データ断捨離社会」かと。

 従来、それまでの研究は「仮説駆動型」で、「ある仮説を事前に設定し、その仮説検証を行うことで実験を進める手法」であり、最新の研究方式である「データ駆動型」とは、「事前の仮説(バイアス)無しに対象を観察したり、データを取得したりし、それらの結果から何が言えるのかを考える手法」とされてきました。

 そして、
データに基づく実証は、私たちをバイアスなしに正しい方向に導いてくれるだろうと信じられています。これは、マンション売買でも大いに役立っています。それまで売主や仲介業者の提示してくる価格の妥当性がわからず、「それが相場です」とか「相場より安くてお得ですよ」と、根拠のないセールストークを信じるしかありませんでした。

 それが
今では数々のポータルサイトが、大量の売買データを基に「適正価格」を教えてくれます。購入検討者はもちろん、売主や仲介業者もその価格水準を気にせざるを得なくなり、客観的な「ものさし」ができたようにも感じます。本ブログでも、中古物件については各サイトから算出した価格をご紹介し、割高・割安度を判定しています。

 しかし、忘れてはならないのは、
各サイトがどのようなデータをインプットして「適正価格」を算出しているか、という観点です。それが同一マンションの過去10年間の売買実績なのか、同一エリアの過去3年間の売買実績なのか、あるいは湾岸タワマンなど同じクラスの現在の売り出し価格なのかでも、「適正価格」は全く異なってきます。

 つまり、
「データ駆動型」でも、そもそもインプットすべきデータの収集にバイアスがかかっているのです。言い換えれば、「仮説駆動型」は「仮説立証型」であり、「データ駆動型」は「仮説生成型」に過ぎないことになります。むしろ「データ駆動型」の方が、客観性を装いつつ算定方法がブラックボックス化しているため、より質が悪いと言えます。

 今後
考えられるべきは、適正なデータの取捨選択でしょう。また、「生成された仮説」を「仮説駆動型」と同様、リアルな世界に引き戻して立証されなければなりません。今は逆に「データが創り出した適正価格」にリアルな相場が引っ張られており、これはいくらでも「操縦可能」だという点で、危険な香りがします。

 だから、
「データ駆動型社会」の次に来るのは「データ断捨離社会」であるべきです。今や雨後のタケノコのように無数に出現した「不動産価格シュミレーションサイト」も、真に必要なものを残して「断捨離」されるべきなのでしょう。

『分譲マンション・アップデート』へ


| ノウハウ・経験談 | 19:43 | comments(2) | trackbacks(0) |
港区が「子育ての街」、港北NTが「高齢者の街」に−怖い人口増減率ランキング

JUGEMテーマ:マンション


★ 30日、ポータルサイト「新公民連携最前線」は、『人口増減率ランキング2014-19』を発表しました。これは、5年間の増減率を見ることで、長期にわたって人口増加の勢いを維持している自治体を浮き彫りにすることを狙いとするものです。

 5年間で
最も増減率が高かったのは北海道の占冠(しむかっぷ)村で、これは、スキーリゾートで働く外国人の増加が人口増加率を押し上げている結果となっており、同じく近隣の赤井川村、ニセコ町でも同様の傾向を示しています。ここでは、23区の人口増減率を見てみることとします。

 23区の2014−2019年の5年間の人口増減率トップ10は、次のとおりです。パーセントは、人口増減率です。

1 中央区 22.54%  2 千代田区 17.49%  3 港区  9.39%
4 文京区  8.44%  5 品川区   7.03%  6 新宿区 6.81%
7 墨田区  6.77%  8 豊島区   6.58%  9 江東区 6.43%
10 台東区  6.12%


 この5年間で、中央区と千代田区は、約2割も人口が増えたことになります。都心3区と言われる千代田区、中央区、港区が人口増減率のトップ3を占めたということは、マンション購入検討者の購買力が上がり、歴史的低金利で住宅ローンを借りやすいという追い風がまだまだ吹いていて、過去に比べればやはり恵まれたマンション購入環境が続いていると言っていいでしょう。

 そして、
文京区は子育ての場所として人気が高い区ですし、品川区は羽田空港につながる湾岸エリアの再開発に続き、山手線新駅効果、リニア始発駅としての注目度の向上など、再開発期待が依然として高くあり続けています。新宿区、豊島区は外国人流入効果もあり、墨田区はスカイツリー効果、江東区は豊洲をはじめとする湾岸エリア再開発、台東区は浅草・上野など下町エリアがあらためて注目されていることが大きいと思われます。

 興味深いのは、
港区・中央区の自然増減数が群を抜いて高いことです。田町エリア、晴海エリアなどファミリー層も購入可能なタワーマンションが林立した結果、あの港区・中央区が「子育ての街」へと変貌してきているのです。一方で、豊島区や台東区では自然増減数がマイナスになっており、若い世代の流入人口以上に高齢化が進んでいると言えます。
 
 年少人口(15歳未満)の増減率で言えば、
中央区はここ5年間で15歳未満のお子さんが41%も増加、千代田区は32%、港区は25%も増加しています。したがって、保育所や小学校の既存キャパシティを超えてきているのではないかと危惧しています。千代田区などはつい最近まで年少人口の減少に伴い小学校の統廃合などを進めていたくらいですから、本当に様変わりです。

 以下に
23区の2014−2019年の5年間の年少人口増減率トップ9を示します(10位は同サイトに掲載されていませんでした)。

1 中央区 40.89%  2 千代田区 32.03%  3 港区  24.85%
4 文京区 18.30%  5 渋谷区  16.67%  6 品川区 14.32%
7 目黒区 11.89%  8 新宿区  11.50%  9 豊島区 10.28%


 年少人口では渋谷区、目黒区もトップ10入りしており、若い層の人気の強さを示しています。

 今後
気をつけなければならないのは、老年人口(65歳以上)の増減率ランキングです。23区にはまだその傾向はないものの、神奈川県で老年人口増減率のトップは横浜市都筑区で、7位には横浜市青葉区が入っています。都筑区は港北ニュータウン開発当時で住宅を購入した世代が早くも高齢化していき、青葉区も当時の高額所得者がこぞって戸建てを購入したエリアで、やはり高齢化が進んでいます。

 全国を見渡しても、
トップが守谷市(茨城県)、2位が印西市(千葉県)、3位が富谷市(宮城県)と、いずれも人口が増加し、一見元気がよく見えるエリアでありながら、開発の歴史があるため、この5年間で3割以上も老齢人口が増えています。

 これらの都市はいずれもマンション・戸建て購入者層に
購入力があり、生活水準も高いエリアなのですが、そのような地域がこれから急速に衰退していきかねない瀬戸際に来ています。そう思うと、まさに街の栄枯盛衰を一覧できるような、怖いランキングとなっています。

『分譲マンション・アップデート』へ


| ノウハウ・経験談 | 22:05 | comments(0) | trackbacks(0) |
さらば、ミサワホームー日本の人口1億人時代の終焉

JUGEMテーマ:マンション


★ 8月25日付Business Journalは、『ミサワホーム、ついにトヨタの軍門に下る…容赦ない“完全子会社化”で上場廃止に』と題した記事を掲載しています。その概要は、以下の通りです。

三菱地所は2018年7月、東証2部上場のマンション売買仲介・管理会社、アーバンライフに対するTOB(株式公開買い付け)を実施し、完全子会社にしました。三菱地所はアーバンライフを完全子会社とすることで関西での中古マンションの販売強化を狙います。アーバンライフは2018年10月12日に上場廃止となりました。

 三井不動産は2018年8月、東証1部に上場していた傘下の住宅メーカー、三井ホームに対しTOBを実施し、出資比率を56.33%から100%に引き上げました。三井ホームは戸建て住宅の「2×4(ツーバイフォー)」工法の最大手で戸建て住宅業界10位です。人口減少で国内住宅市場が縮小するなか、完全子会社にすることで経営の意思決定を迅速にし、三井不動産グループ全体の競争力を高めます。三井ホームは2018年10月12日に上場廃止となりました。

 東武鉄道は2018年8月、東証1部上場でグループの食品スーパー、東武ストアに対しTOBを実施し、完全子会社にしました。東武ストアは2期連続の営業減益で、東武鉄道は完全子会社とすることで店舗のテコ入れをはかります。東武ストアは2018年10月22日、上場廃止されました。

 トヨタ自動車とパナソニックは住宅関連事業を統合し、2020年1月に共同出資会社「プライム・ライフ・テクノロジーズ」を立ち上げます。ここに両社の住宅関連の子会社であるトヨタホームやパナソニックホームズなどを移管します。

 この移管に当たり、トヨタはトヨタホームの子会社
ミサワホームを株式交換で完全子会社とします。ミサワホームは木質プレハブ大手で戸建住宅業界7位です。三澤千代治氏が1962年に創業したプレハブ住宅のパイオニアだったミサワホームは2019年12月30日、東証1部を上場廃止となり、株式市場の表舞台から消えます。

 中堅ゼネコンの
高松コンストラクショングループは2019年8月、子会社である青木あすなろ建設の株式をTOBで買い増して完全子会社化を目指します。青木コンストラクション、青木あすなろ建設とも東証1部に上場しており、親子上場を解消します。完全子会社化後、青木あすなろ建設は上場廃止となります。

 青木あすなろ建設は海洋土木に強く、その前身は準大手ゼネコンの青木建設です。かつて青木建設株に政治家が売買に介入し、選挙や政局の節目に動意づく
「政治銘柄」の代表格でした。創業家の2代目で大蔵官僚出身の青木宏悦会長は、故・竹下登元首相の官房副長官時代に官房長官秘書を務めた縁から、青木建設は「竹下銘柄」とささやかれたこともあり、バブル期を象徴する企業の1社だった青木建設がこれまで生き残ってきたのは、政治力の賜物といわれました。

 以上がBusiness Journalの記事の概要です。センセーショナルなタイトルに似合わず、数々のTOBの事実関係のみをレポートしていますが、その
淡々とした筆致がかえって事実のすごみを感じさせます。

 こうみてくると、
ミサワホームをはじめとする知名度の高い企業が次々と完全子会社化され、上場廃止となっています。これが倒産であれば一つ一つが大きなニュースになるところですが、実態はそれとあまり変わらないようにも思えます。

 人口減少下の日本でこのまま企業を存続させても展望が開けず、しかし企業としての価値はあるので、子会社化することでその良さを伸ばしていこうとしているのでしょう。そのこと自体が「縮退する日本」を象徴しているようです。

 私が子供のころは、
ミサワホームと積水ハウスが住宅メーカーの双璧をなしていました。しかし、2004年に産業再生機構がミサワホームの支援を決定、トヨタ自動車が再生スポンサーになったのです。ところが2017年にトヨタホームがミサワホームを連結子会社化し、今回完全子会社化した上で、トヨタ自動車とパナソニックの合弁会社・プライム ライフ テクノロジーズ株式会社がミサワホームの株式を譲り受け、同社の子会社となってしまいました。

 プレハブ住宅のパイオニアだったミサワホームは、人口が急増し、高度経済成長していく日本の逼迫する住環境を支えてきたのです。それが2015年にはマンション事業に再参入し、2020年までに10棟前後を建設し、戸建て依存からの脱却を図ろうとしていました。その途上で、AI・IOTによる新しい街づくりを目指すトヨタ・パナソニック連合軍にあえなく飲み込まれたことになります。

 時代の流れとは言え、
ミサワホームの輝かしい軌跡を考えると、若干の寂しさを覚えます。新会社においても、技術を追求してきたその社風を活かし、Society5.0時代の超スマート社会の実現に貢献してほしいと思います。

『分譲マンション・アップデート』へ


| ノウハウ・経験談 | 19:06 | comments(0) | trackbacks(0) |
過去のマンション騰落率は再現しない−今のデべロッパーの価格設定の問題点

JUGEMテーマ:マンション


★ 8月16日付日本経済新聞によれば、不動産調査会社マーキュリーが首都圏再開発マンションの中古流通価格を調べたところ、新築分譲時との騰落率が最も高かったのは東京・新橋のマンションでした。新築時の2倍以上に値上がりしました。騰落率上位をみると「勝ち組の購入者は景気悪化時や条件不利地であっても先行投資で購入を決断している」(同社)としています。

 調査対象は首都圏で2004年以降に分譲された大規模再開発マンション164物件です。首都圏では新築マンション価格が上昇局面にあり、直近で中古流通のあった142物件で
騰落率がプラスなのは127物件と9割に及びました。

 騰落率が113%と最も高かったのが東京都港区の「新橋プラザビルコアレジデンス」でした。新橋虎ノ門地区市街地再開発事業の一環で2010年に分譲され、当時は2008年のリーマン・ショック後の不況のあおりで不動産価格が低迷していました。直近では都心の立地が再評価されており、騰落率が高まりました。

 騰落率が112%と2位だった「ナビューレ横浜タワーレジデンス」は横浜市のみなとみらい地区にあります。分譲は2005年と周辺開発が現在ほどには進んでいませんでした。3位の「豊洲シエルタワー」(東京・江東)の騰落率は95%でした。2005年に分譲され、当時の豊洲はショッピングセンターなどが開業する以前でした。

 以上が日本経済新聞の記事の概要です。同記事にはランキングも掲載されていますので、以下に掲載します。


   物件名                所在地  分譲年 騰落率(%) 
1 新橋プラザビルコアレジデンス      港区   2010  113
2 ナビューレ横浜タワーレジデンス     横浜市  2005  112
3 豊洲シエルタワー            江東区  2005   95
4 アークヒルズ仙石山レジデンス      港区   2012   76
5 パークタワー横浜ステーションプレミア  横浜市  2005   70


 大規模再開発に限定したランキングではありますが、港区2件、横浜市2件、江東区1件と偏りがある結果となりました。「新橋プラザビルコアレジデンス」は新橋・虎ノ門地区再開発事業、「アークヒルズ仙石山レジデンス」は虎ノ門・六本木地区再開発事業と、いずれもこれまでビジネス街一辺倒だった虎ノ門を中心とする再開発です。

 「豊洲シエルタワー」は豊洲駅前地区第一種市街地再開発事業で、
「豊洲」駅徒歩1分と、豊洲エリアのどのタワーマンションよりも駅に近い物件です。

 「ナビューレ横浜タワーレジデンス」及び「パークタワー横浜ステーションプレミア」はいずれも2005年築、「ナビューレ」は
横浜そごう隣接の住宅棟・商業棟・業務棟が一体となった大規模複合開発の住居、「パークタワー」も1階から6階までが業務・商業フロア、いずれも「横浜」駅徒歩5分以内という、みなとみらい線沿いに林立したタワーマンションより利便性に優っています。

 それぞれの分譲時の平均坪単価と、上記騰落率に従った現在の中古市場の坪単価を掲げてみます。

   物件名                分譲坪単価  現在坪単価
 
1 新橋プラザビルコアレジデンス      361万円  770万円
2 ナビューレ横浜タワーレジデンス     241万円  511万円
3 豊洲シエルタワー            189万円  369万円
4 アークヒルズ仙石山レジデンス      496万円  873万円
5 パークタワー横浜ステーションプレミア  219万円  373万円

 
 これら分譲時坪単価を調べて思い出したのが当時の各エリアの新築マンション相場で、豊洲は坪単価200万円前後、横浜で坪単価220万円前後くらいでした。今や豊洲も横浜も坪単価350万円〜400万円になっており、ここ15年でマンション価格が7〜8割上がったことになります。

 「新橋プラザビルコアレジデンス」と「アークヒルズ仙石山レジデンス」の分譲時についても記憶があります。「アークヒルズ仙石山レジデンス」は工事現場も見に行きましたが、
当時坪単価500万円というのがとんでもなく高く思え、「誰がこんなところに住めるんだろう」と思ったものでした。坪単価500万円というのは、今や都心マンションがこの価格で買えるとしたら「安い」と思えるくらいになってしまいました。

 「新橋プラザビルコアレジデンス」については、
当時も「おや」と指が止まる安さでした。「新橋」駅徒歩3分で坪単価300万円台とは、「ちょっと普通はない価格だな」と思ったのですが、マンション名の「レジデンス」よりも「新橋プラザビル」の方に目が行き、「新橋の雑居ビル」に住まいがあるようなイメージを持ってしまったのです。モデルルームで説明を聞き、現地を見に行けば印象はすっかり変わっていたことでしょう。

 いずれにせよ、
これらのマンションが出た時代は、タワーマンションが「原価積算」で価格が形成され、安く買えたよい時代でした。街の再開発には行政が深く関わることが多く、土地取得が安価に実現し、かつ、マンション建築に補助金まで出るなど、デべロッパーにとっても購入者にとっても利益の出る物件群でした。

 ところが
今の再開発事業は、タワーマンションが「収益還元」で価格が形成され、タワーマンション物件が中古市場で高く売買されることを見越して、必要以上に高い価格で分譲されているように思われます。行政のスタンスはそれほど変わらないでしょうから、要はデべロッパーのみが儲ける構図に一変してしまいました。

 今話題の
「Harumi Flag」については、デべロッパーが「安く値付けすると周辺相場を崩すからこの価格で」とし、結果、「利益が上振れしそうだから東京都にその分返すね」となっていますが、そこにはどこにも購入者に対する視点がありません。マンションが上記物件が分譲された頃に比べてとても買いにくくなっているのは、こういうデべロッパーのスタンスにも一因があるのではないでしょうか。

『分譲マンション・アップデート』へ
 


| ノウハウ・経験談 | 21:20 | comments(0) | trackbacks(0) |
世田谷ブランドは揺らいでいるのか?−「ためにする議論」が生む現実も

JUGEMテーマ:マンション


★ 4日付ハーバー・ビジネス・オンラインは、『揺らぐ「世田谷ブランド」。22年問題による地価下落から学級崩壊まで……』という気になる記事を掲載しました。その概要は、次の通りです。

『東京23区に
数年内に大量の住宅用地が新たに供給されます。供給源は、農地以外への転用や売却を制限される代わりに固定資産評価額が農地並みに低く抑えられてきた「生産緑地」です。生産緑地の指定期間は30年ですが、その総面積は23区で東京ドーム91個分に相当するといわれます。この生産緑地の約8割が2022年に期限を迎えるのです。

 以降は土地の売買が自由になる一方、住宅地としての評価となり、
固定資産税や相続税などのコストも上昇するため、まとまった土地が売りに出されると予測されています。当然、不動産相場への影響が懸念されているのですが、世田谷区は練馬区に次いで生産緑地の面積が広いのです。

 「世田谷区は生産緑地の総面積が広い区の中で、
土地の相場が一番高いため、相続税や固定資産税も高くなり、指定解除されたら即売却したいと考える人が多い」と不動産業者は話しています。

 また、同区の不動産市場は生産緑地問題以前にすでに黄信号がともっているという識者もいます。>2014年の日銀の追加金融緩和で、都内城南エリアにおいて最初に不動産価格が上がったのが世田谷区
でしたが、新築マンションの売り出し価格の平均は一時坪単価400万円まで上昇し、文京区が420万円程度であることを考えても高すぎ、結果、世田谷区では新築マンションの売れ残りが常態化していったということです。

 不動産検索サイト「スーモ」で区内で販売中の新築マンションを調べたところ23棟がヒットしましたが、うち
17棟が完成在庫=売れ残りでした(7月18日時点)。

 ライフスタイルの変化を指摘する声もあります。
世田谷区の西部地域では徒歩20分以内に鉄道の駅がないエリアがかなりあり、昔はそうした場所でも『閑静な住宅街』ということで買い手はつきましたが、『職住近接』が基本の最近の30〜40代には魅力的とは言えなくなってきているということです。

 また、東京五輪を控え、ここ数年は山手線沿線の違法風俗への締め付けが厳しくなっており、そこから
逃れた違法風俗が世田谷区内に店を構えるようになったり、振り込め詐欺集団の拠点ができたりしているようです。2018年の警視庁の統計によれば、世田谷区での犯罪発生件数は6,035件で新宿区に次いで23区中2位となっています。

 さらに、
小学校の学級崩壊が相次いでいるほか、ふるさと納税による今年度の区民税減収額が約53億円に上るなど、大幅な税収減となっています。さらに、世田谷区は、要介護3以上の認定者の割合が23区で2位ですが、一方で、入所型高齢者福祉施設の定員充足率が22位、特別養護老人ホームの定員充足率も23区で最低レベル、高齢者の正社員就業率はワースト2位となっています。』

 以上がハーバー・ビジネス・オンラインの記事の概要です。元々が週刊SPA!の記事ですから、興味を引くように書いてあるところも大きいと思います。

 まず、認識しなければならないのは、
世田谷区は23区の中で、人口は約90万人と飛びぬけてトップで、面積は58.08平方キロで第2位と広い点です。生産緑地の面積割合は練馬区の方が世田谷区の2倍以上となっており、世田谷区だけを取り上げるのはいかがかと思います。

 鉄道駅にしても、
放射能状に伸びる鉄道網を考えれば、徒歩20分以内に鉄道の駅がないエリアは23区周辺部では世田谷区に限らず偏りなく存在します。違法風俗にしても、もともと存在していた地点を強調した印象論の感があります。マンション売れ残りの割合も23区全てで比較しないとフェアではないでしょう。

 犯罪発生件数も人口が多い世田谷区で多いのは当然で、これも率で示してほしいです。ふるさと納税の税収減もやはり23区各区ごとの率で示すべきでしょう。学級崩壊についても同様です。

 老人ホーム等の定員充足率については、
地価の高いところに老人ホームができにくいのは当然で、人口の多い世田谷区の高齢者数を同区内の施設数で割るのも無理があります。面積当たりの病院数も少ないのですが、都心の密集地と世田谷の良好な住宅地で面積あたりの数が違う方が自然です。

 以上、
あえて反論モードで書いてみました。マンション市況にしても何にしても「ためにする議論」が横行していますが、これも今に始まった話ではありません。それで世論が形成され、現実がついていく場合もあるので、あながち軽視もできません。私たちはむしろ、そのような論調を注意深く見ながら、今後の流れを読んでいくような洞察力もいるのではないかと思います。

『分譲マンション・アップデート』へ


| ノウハウ・経験談 | 19:12 | comments(0) | trackbacks(0) |
マンションを巡る2030年首都圏未来図−デュアルに生きる軽やかさ

JUGEMテーマ:マンション


★ 7月9日発行のsuyumo新築マンション首都圏版は、『首都圏2030未来予想図』を特集しています。首都圏では多くの再開発プロジェクトが進行する一方で、単身世帯の増加、働き方改革の進展など、家族の在り方や住まい方も大きく変化しようとしています。これら状況を念頭に置きながら、本記事では次のような予想を立てています。

「まず、これからの社会は、以下のように変わることが予想されています。


1.少子高齢化はさらに進む〜平均寿命は女性90歳、男性は84歳に
2.
半数近くが「一人暮らし」に〜単身世帯が約4割に
3.
「空き家」は増加の一途〜空き家は全国で約850万戸に上る
4.イベント年表は次の通り

 2020年春 高輪ゲートウェイ駅暫定開業
 2020年夏 東京オリンピック開催
 2022年度 日比谷線虎ノ門ヒルズ駅最終完成
      都心と臨海地域を結ぶ「東京BRT」本格運行
 2023年  選手村跡地に「HARUMI FLAG」入居開始
 2024年度 京葉線幕張新駅完成予定
 2027年度 リニア中央新幹線開通予定(東京←→名古屋)
      渋谷の再開発が完了予定
 未定   羽田アクセス線(仮)開業


 今後単身世帯が増加しますが、単身者は利便性が高い都心暮らしを望む人が多く、また、共働き率の増加による職住近接志向も重なり、広さより立地重視がますます進むと考えられます。

 一方、
リモートワークの推進により都市部勤務にこだわらない働き方も増加の兆しがあります。リニア中央新幹線や高速道路の開発によって、都市部と地方を行き来する住まい方が広がる可能性もあります。それに伴い、社会問題となっている、地方部の空き家を活用する動きも期待されます。

 今後の住まい方の4つのキーワードは、次の通りです。


1.多拠点居住
 都市部と地方に複数の拠点をもち、双方の生活を楽しむ「デュアラー」が話題になっています。シェア文化の浸透、空き家の増加を背景に、地方の物件を安く借りたり、定額で複数拠点に住めるサービス利用も増えています。

2.近居2.0
 従来は「スープが冷めない距離」が主流でしたが、最近は、同じマンション内近居が増加しています。子世帯の育児サポート、親の介護など、双方にメリットがあります。また、高齢化や単身世帯の増加を背景に、シニア層が友達同士で近居するケースもあります。

3.スマートシティ・ZEH
 ICT技術を用いて、環境に配慮しながらも生活インフラを効率的に管理する都市が「スマートシティ」であり、五輪の選手村跡地にできる「HARUMI FLAG」もその一つです。省エネルギー住宅「ZEH」とともに、次世代の住まい環境として話題になっています。

4.エリア価値向上
 戦略的なマンション管理を住民主導で行い、資産価値の維持・向上を図るとともに、近隣のマンションや行政を巻き込んで、エリアコミュニティを活性化し、マンション単体はもちろん、街全体の魅力を上げる試みや開発が注目されています。

 例えば、
平日の住まいをコンパクトにすることで居住コストを抑え、その分、週末は地方の空き家を安価で利用し、暮らしを楽しむ人が増えています。」

 以上が本特集記事の概要です。

 私が特に将来の可能性を見出したいのは、
「多拠点居住」です。IT分野に従事している現在の職場から言えば、これは、CPU(中央演算装置)のマルチコア化に似ています。コンピュータの心臓部であるCPUも進化し、一度に一つの処理しかできないシーケンシャルな仕組みから、現在は一度に並列の処理ができるように変わってきています。

 処理速度は遅くなるのですが、一つの処理を待っている間でもう一つ、いやそれ以上の処理ができるようになるのです。これにより私たちは、
例えば2つのサイトを同時に訪問し、マルチに仕事をこなしたり、楽しんだりしています。

 多地域居住も、
どちらかに比重を置くのではなくて、両方の良さを堪能することができます。いくら医療が進化しても、人生の長さは2倍には伸ばせませんが、人生の充実度は2倍にも4倍にも増やすことができるのです。

 最も良いのは、
人生において一つのものに執着し、しがみつくことがなくなることではないでしょうか。人は常にあることにとらわれすぎて、人生を自ら狭め、苦しんでいるような気がしてなりません。

 所有しているマンションについても、
「これこそ終の住み処」と思い込まずに、もっと軽やかに生きる方法もあるのではないでしょうか。

『分譲マンション・アップデート』へ


| ノウハウ・経験談 | 20:00 | comments(2) | trackbacks(0) |