ひょっとして癌なのか−団体信用生命保険のありがたさ

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 「この肺の下の部分、影が見えますよね。念のため、CTを取りましょう」

「え、先生、本当ですか…」

 先週のことです。1か月前から咳がどうにも止まらず、職場でずっとマスクをしていたら、ついに上司から言われました。

「君は風邪と言うが、一か月も咳が止まらないなんて、おかしくないか。ちゃんとした病院に行って、診てもらえ!」

 翌日、総合病院の外来診療を受けてレントゲンを撮り、その3日後に専門の呼吸器の先生の診断を受けることになりました。まさか、CTで身体をスキャンされるとは思っていなかったので、不安は一気に募りました。

「ああ、俺ももしかしてこれまでか…楽しい人生だったな」

 それにしても悔やまれるのは、検討しながら加入をずるずる先延ばししてきた「がん保険」です。今の総合医療保険ではがん診断の一時金が出ず、先進医療の保険もきかず、入院1日3,000円しか出ないなど、極めて不十分な内容なのですが、若い頃に入ったこの保険が来年満期となるために、新しい保険はその後に入ろうというせこい考え方からついケチってしまったのでした。

「後悔先に立たずとはこのことか」

 気分はすっかりがん患者となり、残される家族のことを考え始めました。その時、唯一、救われた思いになったのは、私が抱えている莫大な住宅関連ローンが、団体信用生命保険の適用で死亡によりすっかり消えるという事実でした。

 特に、今居住中のマンションの住宅ローンだけでなく、勢いで買ってしまった
セカンドハウスのセカンドハウスローンにも団信がついていて、この借金が帳消しになるのがありがたかったのです。

 居住中のマンションはもちろん、
残された家族の住まいとして使い続けることが可能になりますし(管理費+修繕積立金は払わなければなりませんが)、セカンドハウスは晴れてフリーになって賃貸に出すことができ、家族が恒常的な副収入を得ることができます。その管理が煩わしかったり、一時的にお金に窮するのであれば、売却して3〜4千万円を一度に手にすることも可能となります。娘は2人とももう大学生ですし、何とかなるでしょう。

「少なくとも、家族に対しては面目が立つかな」

 そう考えると気持ちが少し落ち着き、CTの台に平静な気分で乗ることができました。

「…炎症が残ってるけど、風邪の治りかけかあ」

 お医者さんはCT画像を見ながらなぜか残念そうにつぶやきました。

「じゃあ、前回と同じ、咳止めを処方しておきますね」

 こうなると結構高価なCT代が痛かったのですが、何はともあれ無事放免となりました。実感したのは、団体信用生命保険のありがたさで、かつ、自分の身代わりに働いてくれる可能性があるセカンドハウスの存在でした。それに気づいただけでも、CT代の元を取った、ということかもしれません。

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| ノウハウ・経験談 | 20:20 | comments(0) | trackbacks(0) |
人気マンションで希望の住戸をゲットする方法−常識と穏健さがカギのマンション売買

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★ 私が見ていて感心するのは、人気分譲マンションの売れ方です。例えば総戸数100戸のマンションが即日完売したとすると、ものすごい数の申込みが殺到して、阿鼻叫喚の抽選の中、当選者が決まるのではないか、と思いがちです。

 確かに、一部の超人気マンションの一部の住戸では今でもそのような売れ方をしていますが(本日抽選の『ザ・タワー横浜北仲』はこれに該当するのでしょう)、大多数のマンションでは、
即日完売に近かったとしても、概ね1倍住戸、すなわち無抽選住戸が大方を占め、抽選になる住戸は少数で、しかも2〜3倍程度、というものが多くなっています。

 1990年代の不動産バブルの頃は、
郊外の不便なマンションでも当選倍率が常に2ケタで、なかなか当たらない、といった様相でした。2000年代も、リーマンショック前までは、元気な30代、40代のヤングカップルが威勢よく抽選に繰り出し、どれも結構な高倍率で、私も数回、当たらなかった覚えがあります(今では当たらなくてよかった、と思うマンションもあります)。

 やはり、
マンション購入者層が確実に減ってきているのでしょう。以前は一次取得のヤングファミリーが購入の中心でしたが、今はその経験を経てきたややシニアな家族や単身者、カップルの二次取得又は複数取得が増えつつあります。

 したがって、彼らに「どうしてもこのマンションでなければ」という
悲壮感はあまり感じられません。また、住戸についても、「どうしてもこの階のこのタイプでなければイヤ!」と固執する方も少なくなりました

 それは年齢のなせるワザなのか、それとも日本人特有のマナーなのか、
多くの購入検討者が営業担当の「調整」に素直に従っています。私などは当初、「このお部屋は既に検討されているお客様がいらっしゃいます」と言われても、「そんなの個人の自由でしょ」と言うことを聞かず、営業担当に嫌な顔をされていました。

 だから私は抽選に当たらなかったのかもしれません(?)が、私もだんだん、
「ああ、これって言うことを聞くべきものなんだ」と学んできました。最終的には抽選で決まるべきものですから、事前調整に応ずる義務は何もないのですが、マンション販売はどうも、「売る方も買う方も気持ちよく手続を進める」ことが社会的に求められているようなのです。

 よくわからない仕組みですが、営業は、
「希望住戸をお選びいただけましたら、その住戸は力の限りお守りいたします!」と宣言し、他の客のあらゆる申し出を頑なな態度で拒絶しようとします。購入検討者は、「ああ、そこまで守ってくれたのか」と恩義に感じ、「そこまでしてくれたらやっぱり買わなきゃな」と購入を決心するのです。これはひょっとして鎌倉時代の「御恩と御奉公」みたいな関係(ちょっと違う気もしますが)ではないでしょうか。

 この
固い契りを崩壊させるのは、そのような守りが歯止めをきかせられなくなった「超人気マンションの超人気住戸」です。一旦堰が切れると統制は全くきかなくなり、各所で争いが勃発、「応仁の乱」のような状態になります。抽選が意味を持つのは、まさにこのような無政府状態に終止符を打つためということであり、それ以外の普通の人気マンションの抽選は、「本来しなくてもよかった抽選」ということになるのでしょう。

 さて、それでは、超人気マンションを除いて、
希望の住戸を手に入れる方法は何でしょうか。一番肝心なのは、「希望住戸の聴取開始日」と「住戸登録の登録開始日」の一番早い時間帯に担当営業者のアポを取ることです。こうすれば第一希望の住戸を担当者が精一杯守ってくれ、大多数の購入検討者は、マナーに従ってその住戸を避けてくれます。

 もちろん前提として、
担当営業者とのコミュニケーションを良くしておくことも大事でしょう。日本のマンションの買い方は、「コミュ力」とまでは言わないまでも、「常識的なふるまい」と「穏健な(強烈な、ではなく)熱意」が必要なのではないか、と最近考えているところです。

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| ノウハウ・経験談 | 22:53 | comments(0) | trackbacks(0) |
戸建てなら80平米、マンションなら40平米−港区ファミリーは戸建てしか住めない?

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★ 私はこれまで様々な不動産ポータルサイトにアクセスし、メルマガ登録等をしているせいか、毎日のように不動産業者から「完全未公開」情報がメールで届きます。不特定多数に近いメルマガ読者に送られてくる「完全未公開」情報とはどの程度の公開度なのか、いまだに謎なのですが、本日送られてきた情報は、幸い公開されているようなので、以下にその概要を記します。

新築一戸建て
 住所:港区高輪1丁目
 交通機関:「白金高輪」駅徒歩8分
 土地:64.61平米
 建物:103.29平米(2LDK+S)
 構造:木造3階建+ルーフバルコニー
 販売価格:1億1,000万円


 「1億1千万円なんてムリムリ」と私のターゲット外ではありますが、現在販売中の新築マンションで考えた場合、『アトラス白金高輪』(「白金高輪」駅徒歩6分)では116.81平米がメゾネットタイプでも1億7,960万円しますし、『ザ・パークハウス白金二丁目タワー』(「白金台」駅徒歩5分、「白金高輪」駅徒歩6分)では中層階100.39平米が1億8,760万円です。

 坪単価で考えれば、
上記新築戸建が坪352万円、『アトラス白金高輪』が坪508万円、『ザ・パークハウス白金二丁目タワー』が坪618万円です。都心では、新築戸建の1.4倍〜1.8倍のお金を出さないと、マンションを買えない状況になっています。

 以前は、「港区の一戸建てに住んでいる」ことは相当高いステータスでしたが、今や港区マンション所有者に富裕度が負けている状態です。今後は、
「一応港区在住なのですが、戸建てでして」と恥ずかしそうに言うことになるのでしょうか。

 戸建ての良さは、その土地の有する力(建ぺい率・容積率等)を目一杯活かせれば、思わぬ居住空間を実現できることです。以前、不動産屋で見た「白金台」駅徒歩9分の土地は36平米で5千万円台と高額でしたが、土地力が高くて1千数百万円で80平米台半ばの戸建てを作ることができ、トータルでは
80平米台3LDKが6千万円台で実現可能でした。これなら私でも「白金台」駅最寄りの新築一戸建てが購入できそうだったのです。

 しかし、
今港区で購入できる6千万円台の新築マンションは、せいぜい40平米台の1LDKです。例えば、『アトラス西麻布』は42.66平米の1LDK6,490万円が最低価格ラインになっています。現在、港区新築マンションは、最低価格帯が坪400万円台後半〜500万円となっているため、これを6千万円台で割り戻すとどうしても専有面積が40平米台になってしまうのです。

 こうなると、
6千万円台のマイホームを購入でき、かつ、港区を希望する方は、ファミリーであれば戸建てを、独身であればマンションを志向すればよい、という方向性となります。ファミリーでマンションを購入したいのであれば、夫婦共働きか、高額所得者か、という条件が付いてきます。

 もっとも、
1990年代の不動産バブルの頃は、港区に土地付きの新築戸建など、夢でもとても言えないくらいのとんでもない発想でした。それを考えれば、私たちの時代は、とてつもなく恵まれている状況だと言えるのでしょう。

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| ノウハウ・経験談 | 22:44 | comments(2) | trackbacks(0) |
もし女子大生がマンションを買おうとしたら

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★ 若者言葉は、いつの時代でも流行を形作り、その時々を象徴するものとして歴史をも作っていきます。最近はSNS言葉、特に2ちゃんねる中心の用語の使用法が現実の社会にも溢れ出てきていて、これはこれで興味深いです。

 少し前に、「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」という本がベストセラーになりましたが、
「もし女子大生がマンションを買おうとしたら」どのような会話が繰り広げられるのでしょうか。

女A「ねえ、このマンションおしゃかわ(おしゃれでかわいい)。」

彼B「んー、チキチキる(ビビる)」

女A「MJK(まじか)」
 
友女C「あげぽよ(テンションあがる)」

友女D「やばいwバイブス上がるwww(フィーリングが上がる)」


女A「最近三井とニコイチwww(仲がいい)」

彼B「そマ?(それってマジ?」

女A「この気持ち、ありよりのあり(有りか無しかで言うと・・・有り!)」

彼B「画像うぷ汁(画像をアップしろよ)」

女A「あーね(あーそうだね)」

友C「草(笑)」

友D「これすこ(これ好き)」

彼B「卍卍卍卍卍卍卍卍卍卍卍卍卍(感情の起伏を表す)」

友C「それな(たしかにね)」

友D「ワンチャンあるww(可能性はある)」


女A「とりまおk?(とりあえず、まあOK?)」

彼B「りょ(了解)」

友C「あーアモーレ(愛する人)ほしいww」


 …すみません、書きながら何度かやめようと思ったほどくだらなかったですが、何とかオチを付けました。しかし、若い世代であれば、このようなLINEのやり取りをしながら、マンション購入のような重大な意思決定も軽々とやりそうな気がする−書き進めるうちにそう感じたのも事実です。

 昨日、たまたま、YOU TUBEで
1989年〜1992年のJR東海の「クリスマス・エクスプレス」のCM(山下達郎の「クリスマス・イブ」)を見つけて、しばらく見入ってしまいました。あの1990年代のバブルの時代、携帯もまだ普及せず、好きな人と会えない時間はとても長く、特に遠距離恋愛のカップルは「クリスマス・イブ」に命を賭けていました。

 そんな切なさ、ドキドキ感も幸せの一部だったように思いますが、それも過去のことになったな、と若者言葉を見るにつけ感慨に浸っています。

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| ノウハウ・経験談 | 23:40 | comments(2) | trackbacks(0) |
住宅ローン減税を使い切る−10年目の感慨と感謝

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★ この時期になると、年末調整に必要な書類作成で、休日の数時間を費やします。毎年、制度が少しずつ変わリますし、私の状況も微妙に変わってきますので、結構時間をとられるのです。今年作成していて、最も印象深かったのは、私の住宅ローン減税の10年という期間が終了することでした。

 私が
マンションを購入したのは、11年前のまだ地方の支社勤務だった頃です。このブログで何遍も書きましたが、東京勤めの頃にモデルルームを何十件と訪問しながら決めきれず、数々の好物件を見送った挙句、地方に転勤になった後に、家族を東京へ戻すためのマンション購入を決めたのでした。

 家族を地方に連れて行くことについては、私の人生の中で最も悩んだ事柄で、結局、当初は連れていくものの、
子どもたちが中学受験の時に元いた場所に戻す、という中途半端な解決策を取りました。おかげで社宅は出ざるを得なかったので、家族を戻すためにはマンションを購入するしかなかったというわけです。

 それでもマンションの入居時期と家族を戻す時期がぴったり一致というわけにはいかなかったので、
半年間はマンション近くの礼金不要なUR暮らしをさせました。地方勤務で給料は少なく、二重生活でカツカツの暮らしで、さらに独り暮らしは耐え難いほど寂しく、思わず支社長に「1年早く戻してくれ」と懇願し、驚かれました(結局、この願いは本社が却下して実現しませんでした)。

 さて、マンション入居に当っても
悩ましい事態が持ち上がりました。私が入居した年は、ちょうど住宅ローン減税の最終年で、その当時は段階的に縮小していた住宅ローン減税の終了がまことしやかに囁かれていました。私は住宅ローン減税が受けられることをもカウントに入れて購入を決め、「住宅ローン減税に間に合った」と、勝ち組のつもりでいました。

 ところが秋の入居1ヶ月前になって、あの
リーマンショックが勃発、誕生したばかりの麻生政権は、当初予定していた衆議院の冒頭解散・総選挙を取りやめ、リーマンショックに対処するための超大型景気対策に取り組むことになりました。その中に「住宅ローン減税の翌年からの拡大」が盛り込まれていたのです。

 私は虚を突かれました。
私が受けられる住宅ローン減税額は10年間で160万円だったのですが、翌年度からの住宅ローン減税額は何と最大600万円まで可能とするものでした。もっとも、私は住宅ローンを目一杯借りる予定ではなかったので、新住宅ローン減税で受けられる額は300万円弱との試算だったのですが、それでも100万円超、減税メリットが違います

 もし
入居時期を2ヶ月半ずらして来年1月に遅らせ、住民票をその時点で移したら、新しい制度での住宅ローン減税を受けられることになります。しかし、この景気対策の中身はあくまでマスコミで報じられているに過ぎず、これが政権の真意だとしても、国会が通さなければ画に描いた餅になってしまいます。この景気対策が万一通らなかった場合の住宅ローン減税はゼロになるわけで、それこそ激しく後悔することになるでしょう。

 それに、もっと気がかりなことがありました。
上の娘が小6で、翌年1月から中学受験が始まるのです。そんな大変な時期に引っ越しを経験させ、環境の変化で受験を失敗しようものなら、それこそ後悔どころではすみません。長女のことを考えれば、できるだけ早く新居に落ち着いた方が良いのです。

 結局、私は
これらの事実と悩みを家族には告げず、入居可能日の最初の日の朝に、マンションの鍵を真っ先にもらいに行き、その日のうちに家族の住民票を新居に移しました。ですから、私たち家族は、このマンションに最も古くから居ることになります。観察していると、多くの世帯が翌年から春にかけて引っ越してきました。やはり住宅ローン減税の拡大の影響もあったのかもしれません。

 住宅ローン減税の
「勝ち組」のつもりだった私は、結局、21世紀に入って最も少ない住宅ローン減税しか受け取れなかった「負け組」となりました。少々苦い気持ちで毎年申請していた住宅ローン減税用の税務署の用紙も、10年目となって、ついに最後の1枚となりました。

「いろいろあったが、ありがとう」

 私は何となくつぶやいて、金融機関の残高証明書を裏に貼って提出しました。来年マンションを買い換えれば、また新たな住宅ローン減税が始まるのでしょうが、今のところそんな予定はありません。住み慣れたこの地で、できるだけ長く、家族4人(+ワンコ1匹)で生活していきたいと思います。

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| ノウハウ・経験談 | 22:33 | comments(0) | trackbacks(0) |
今買うのが愚かなのか、買わないのが愚かなのか−マンション市況の曲がり角に佇む

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★ 10月29日付マイナビニュースでは、『過去の景気クラッシュに学ぶ不動産市場の終焉とは?』と題して、中山聡氏の記事を掲載しています。以下その概要を記します。

不動産市場の活況が続いています。不動産経済研究所の調べでは、2017年度上半期に発売された首都圏のマンション一戸当たりの平均価格が5,993万円で、16年前のバブルの頂点の時よりも高くなりました。東京カンテイが公表した新築マンション年収倍率は、首都圏で10.68倍です。通常であれば5〜6倍程度です。

 ここまで不動産価格が上昇すると、マンション開発会社も
庶民向けマンションは売れにくいとみて、より付加価値が見込める「億ション」の開発にシフトしています。それも2億、3億といった超高級マンションの開発に注力して、これがまたよく売れているといいます。

 戦後2番目ともいわれる景気拡大を受けて、株式市況も不動産市況も活況を呈している中、
このような景気がいつまで続くのか、過去の例を振り返ってましょう。

 ここ50年の地価動向を見てみると、次のきっかけで不動産価格が大きく下がりました。


(1) 証券不況(1964年)
 東京オリンピック後の金融引き締めにより、企業業績が悪化、それまで無理な資金繰りをしていた証券会社があおりを食って赤字となり、山一證券への日銀特融や赤字国債の発行で対応しました。年40%から80%も上昇していた地価は、その5年後にほぼ0%まで変動しました。

(2) ニクソン・ショック(1971年)とオイルショック(1973年、1979年)
 ニクソン大統領がドル紙幣と金の交換を停止し、急激な円高(1ドル360円→308円→変動相場制)が起きたためによる円高不況、それに続いて原油価格が1バレル5ドルから11ドルと2倍以上に上がった結果、それまで年30%から40%上昇していた地価は、年マイナス10%くらいまで変動しました。

(3) プラザ合意の円高不況(1985年)とバブル崩壊(1991年)
 その後、プラザ合意を経てバブル景気につながりました。地価も年30%から90%も上昇しましたが、不動産業への貸し出しを規制する総量規制をきっかけに地価は年マイナス20%からマイナス40%も下落することになりました。

(4) リーマンショック(2008年)
 ようやくバブル崩壊から回復しようとしていた時、アメリカの住宅バブル崩壊をきっかけとしたリーマンショックは、日本でも不動産会社がバタバタ倒産する事態となりました。バブル後から回復しようとしていた地価も、再び下落することになりました。

 現在、アメリカも、ヨーロッパも、世界的に好景気にあるようです。
日本の景気拡大は58か月と長く続いています。一方、歴史を見れば10年続いた景気拡大はなく、今後、景気も、不動産市況も何かのきっかけで下がることも考えられます。しかし、残念ながらそれはいつになるかは誰もわかりません。

 しかし過去の歴史をみれば、
不動産市場の崩壊は、金融と株式からはじまることが多いとわかります。不動産市況が崩壊する前には、必ず金融政策と株式市場が変調します。心配な方は、日経平均などを日々チェックしておくとよいのではないでしょうか。」

 以上がマイナビニュースの記事の概要です。最近、「中国はいずれ崩壊する」と書いて売上を伸ばしてきた数多の
「中国崩壊本」自身が「崩壊」るのでは、とその信憑性が疑われる事態になっています。不動産バブルの崩壊を唱える論調もそれに似たところがあって、私も反省するところなのですが、「皆が安心したその時が危ない」という言い方もまたできてしまうので、こればっかりは先行きどうなるかわかりません。

 また、
今年は昨年に比べてマンション価格の上昇が鈍っており、一説には昨年に比べて新築分譲マンションの価格を1割落としたとも言われています。野村不動産では、社内的に許容できる利益率を下げてくれたこともあり、プラウドシリーズの価格が昨年より見やすいものになっています。

 ただ、これらの動きが、
果たしてマンション価格崩壊の先駆けなのか、それとも単なる一段の価格上昇への調整期なのか、これも後年度になって初めてわかることです。前者であれば「今買うのは愚か」ですし、後者であれば「今買わないのは愚か」なのです。

 ここ2週間の土日はいずれも
台風混じりの強い雨で、せっかくの分譲マンション秋商戦に手痛い水を差しました。最近のマンション販売のクライマックスである11月下旬〜12月上旬の販売を行うためには、融資相談、希望住戸登録等、できるだけ多くの方のモデルルーム来場が必要だったのに、叶わなかったからです。私のところに本日来たDMには、「ご好評につき」希望住戸登録期間を延長するとありました。

 過去からハイペースで売れてきた
人気高級タワーマンションの停滞ぶりも気になります。しかし、株価は2万2,000円を超えて絶好調、海外株式も高騰しています。その中にあって国内リートだけが値を下げ、私が保有する投信の中で唯一損失を出しています。

 上記の記事の地価下落の例の中では、不動産バブル崩壊から
リーマンショックのインターバルが長いのですが、不動産バブルで地価の底を見たのは2003年ころですから、結局この時の地価上昇期間は5年に過ぎませんでした。今回の地価上昇は、2011年の東日本大震災の影響を脱した2013年頃からで、そろそろ5年になります。

 上記記事が言うとおり、
今、「金融政策と株式市場が変調」をきたしたら、不動産価格を何とか支えている足元が一気に崩れ去るような気もしてきました。

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| ノウハウ・経験談 | 20:17 | comments(2) | trackbacks(0) |
働く女性のためのマンション購入−産休、育休中に住宅ローンは借りられる?

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★ 本年7月6日付のcamilyの記事『産休・育休中に住宅ローンは組める?注意点を解説!』と題して記事を掲載しています。その概要は、次のとおりです。

「共働き中に夫婦合算で審査に通り返済がスタートしていても、
途中で妊娠が発覚し、出産して産休・育休に入ることもあります。そういった場合の優遇を用意している金融機関もあります。

 返済中に子供を授かった場合、子供一人当たり2年間、元金の返済を据え置くことができ、産休・育休で収入の減っている期間は利息のみを支払えばよい(その期間の元金は復職後に返済)というものや、出産後1年間は金利が0.1%優遇される女性専用の住宅ローンもあります。

 また、『ライフステージに応じて返済額を増減できるプラン』を利用する場合、
20歳未満の子供がいる家庭は手数料無料利用できるという優遇もあります。

 一方、産休・育休中だからこそ将来のことを考えるようにもなり『復職してからの引っ越しはバタバタだろうし今のうちにマイホームの購入を…』と思う方も多いでしょうが、
『復職するから』という前提で、夫婦でローンを組もうとしても、意外と金融機関の対応はシビアなのが現実です。復職するという気持ちが変わる可能性はゼロではありませんし、保育園に必ず入れるかどうかも分かりません。そうなると、金融機関としても本当に復職するのか懐疑的にならざるを得ないのです。

 結局のところ、産休・育休中でも住宅ローンを組むことができるかどうかは金融機関によりますが、次の
3つの対応に分かれます。

(1) 住宅ローンの申し込みも融資実行も両方可能

 復職時期を明示し、産休・育休前の源泉徴収票と直前の源泉徴収票により審査を行い決定します。中には、復職時期が3か月以内であることと、見込み収入が一定額以上あることを条件にしている金融機関もあります。復職前でも後でも購入できるパターンです。

(2) 住宅ローンの申し込みはできるが融資実行は復職後に限られる

 申し込みは産休・育休中でも可能ですが、融資実行時に復職していること、もしくは1か月給与を受け取っていることを基本条件としています。審査の際には、産休・育休前の年の80&〜100%の年収で審査を行います。

(3) 住宅ローンの申し込みが復職後しかできない

 妻単独ローンはもちろん、夫婦ペアローンや、収入合算であっても、産休・育休中には申し込みすらできない金融機関もあります。復職時点で、直近1か月の給与×12か月を見込み年収として審査を行います。」

 以上がcamilyの記事の概要です。最近、共働き夫婦が非常に増えて、私の職場では、
結婚して専業主婦になる方がほとんどいない状態です。結婚年齢もどんどん遅くなっていますから、マイホーム購入適齢期である30歳代中頃に出産されるケースも多くなっています。

 私自身、働く女性の視点で住宅ローンの借り方を意識したことがなかったので、上記記事は大変参考になりました。金融機関によっては産休・育休中に住宅ローンの申込すらできない場合があることも初めて知りました。

 そのような金融機関がたまたま最も条件の良い融資を提示していたとしたら悔しいことです。
「女性活躍」ということが官民挙げての目標として謳われている以上、このような女性のライフステージによる取扱いの区別はできるだけなくすべきではないでしょうか。

 融資審査基準は各金融機関でまちまちであるのは当然ですが、産休・育休期間中はむしろ優遇している金融機関もあるぐらいですから、その
金融機関の当該産休・育休期間の延滞率を調査し、当該期間以外の延滞率とそれほど変わらないようであれば、政府としてこのような区別の撤廃を働きかけてもいいのではないかと思います。

 早くマイホームを持ち、子どもを産み育てる環境を各自が整えることが、少子高齢化に対する有効な対応策にもなると考えます。女性であることをハンデとしない社会の実現は、マンション購入においても求められることなのではないでしょうか。

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| ノウハウ・経験談 | 22:49 | comments(0) | trackbacks(0) |
都心不動産は相続税対策の商品に−不動産はもはや利回りでもなくなった

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★ 10月14日付のダイヤモンド・オンラインでは、『富裕層が不動産を買うと節税になる仕組みとは?』と題して、以下のような記事を掲載しています。後半部は著書の本の紹介が中心ですので、前半部のみご紹介します。

「プライベートバンクの顧客がすでに高齢の場合には、
資産を増やすことの優先順位は高くありません。それよりも喫緊の課題が相続税対策です。そして相続税対策に不動産保有が効果てきめんなことは、よく知られています。ご存じの方も多いでしょうが簡単に説明しましょう。

 日本の土地の価格は複雑で、1つの土地に「実勢価格」と「公示地価」、「相続税路線価」「固定資産税路線価」という4つの価格があります。実勢価格とは実際の市場で売買されている価格で、公示地価は国土交通省が毎年調査して発表する、土地取引や土地税制評価の基準となる価格。相続税路線価と固定資産税路線価は、それぞれの税金を決める基準となるものです。

 そして、相続税対策としての不動産保有でポイントになるのが、実勢価格と相続税路線価の違いです。


 路線価は多くの場合、実勢価格の70〜80%程度です。つまり1億円で購入した不動産でも、相続税・贈与税を計算する際には7000万円〜8000万円の資産と見なされ、税額は実際の資産価値よりも低くなるということ。タワーマンションを購入して節税をおこなう「タワマン節税」が数年前に話題になりましたが、これは実勢価格と相続税評価額の乖離による節税効果を狙ったものでした。

 また、
相続人がその住居に実際に住み、一定の条件を満たすことで相続税評価が8割も減額される「小規模宅地等の特例」や、マンションやアパート経営に活用することで減税される「貸家建付地の優遇措置」など、不動産にはさまざまな形で相続税評価額を減らせる仕組みがあります(2015年より贈与税・相続税の最高税率のアップがおこなわれ、また相続における基礎控除枠の減少で相続税の対象になる人も増えたため、このあたりの知識は富裕層以外の人にとっても重要です)。

 すでに使い切れない資産を持つ富裕層は、資産を「増やす」ことよりも「減らさない」ことに対するニーズが強いため、この税金対策の提案は富裕層にとって非常に刺さりやすいわけです。

 よって、富裕層がてっとり早く資産を圧縮して相続税を減らしたいのであれば、
不動産を買い漁ることが有効な手段です。その際には当然、売買手数料や仲介手数料が発生しますが、不動産を買うことで相続税が仮に数千万円、数億円抑えられたら十分ペイできるのです。そういったシミュレーションもプライベートバンクがおこないます。

 一般の人はそのような不動産の買い方はできませんから、これも一種の富裕層限定の資産運用法といえるでしょう。

 ちなみに、相続対策を目的とした不動産投資が多いといっても、日系のプライベートバンクだけでなく、外資系のUBSやクレディ・スイスでも不動産担保ローンを扱っており、不動産投資の支援をしています。株や債券などの金融商品を担保にして、借りたお金で不動産投資をするような柔軟な運用戦略も各社ごとに用意があります。また、プライベートバンカー自身が独自に不動産投資会社とネットワークを構築しているケースもあり、
個別でキックバックを受けとっているという噂もかつてよく耳にしました。」

 以上がダイヤモンド・オンラインの記事の概要です。本日、私が目にした大手不動産仲介会社のチラシは、
「不動産の投資物件を探しています」というものでした。1物件の金額水準は1億5千万円までで、複数戸を次々と購入するような勢いのチラシでした。利回りは表面で4%あればよい、とのことです。

 表面利回り4%というと、
ローンを組むとまずは足が出る水準となります。しかし、今回の依頼主はすべてキャッシュで購入する意向とのことです。マンションでは毎月の管理費・修繕積立金もかかりますし、賃料も下落していきますから、購入分を取り戻すには25年どころか30年超はかかる計算です。

 そうだとすると、これは
有り余るキャッシュを持ってしまった個人又は法人の節税対策ではないか、という気がします。個人の場合は上記のような解説なのでしょうし、法人については詳しくはわかりませんが、例えば社宅としての購入ならば経費として損金算入できるなど、さまざまな会計処理上のメリットがありそうです。

 マンションの売却を考えている方は、
このような誘いに乗ることも一つの方法でしょう。もちろん仲介会社の適正価格への査定は入るのでしょうが、相手が待ち構えているだけに売りやすく、厳しい指値も回避できる可能性が高いと思われます。もっともこのような広告は仲介会社の誘い水に過ぎず、実際にはそんな虫のいい話はなかった、ということもあり得ます。

 郊外の実需のマンションの売れ行きが鈍っているというのに、
都心の高額マンションがまだまだ好調なのは、こういった背景があるのでしょう。不動産はもはや、価格を追求する実需でも、利回りを追求する投資でもなくなり、評価額を減じるための相続税対策の商品となりつつあります。一般人からすればこの如何にも不合理な売れ方が日本経済を引っ張っているのだとすれば、好景気の実感がわかないのも「むべなるかな」という気がします。

 額に汗して労働し、長年かけて貯金してきたお金で、ささやかなマイホームを建てる−そんな
日本人の古き良き夢が懐かしく思い起こされる今日この頃です。

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| ノウハウ・経験談 | 22:48 | comments(0) | trackbacks(0) |
競売でマンションを買う?−「下手な鉄砲数打ちゃ当たる」の精神で

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 「こんなに高いとどうにも…」

 マンション価格を眺めるのが趣味みたいになっている私ですが、これだけマンション価格が上がると、検索してもただ意気消沈するだけになってきています。例えば、「代官山」駅徒歩10分内マンションで検索すると、築52年を超える『中目黒マンション』(「中目黒」駅徒歩2分、「代官山」駅徒歩7分)が専有面積37.81平米に対し販売価格3,480万円、坪単価304万円と、坪300万円を超えてしまっています。特にリノベーション物件とも記載がないので、購入後にさらにコストをかけなければいけないのでしょう。

「……」

 私が3〜4年前検索した時は、「代官山」駅徒歩5分で、上記マンションより新しいマンションが、専有面積40平米超で販売価格2,000万円ちょっとでした(あっと言う間に売れていきましたが)。坪単価は200万円を下回っていたわけで、3〜4年の間に中古価格は少なくとも1.5倍になっています。

「…最後の頼みは任意売却か、競売か…」

 実は私の知り合いが都心の任意売却物件を最近購入しました。懸念された権利関係のトラブルもなく、全面リフォームで時間とコストはかかりましたが、市場価格よりかなり格安で都心マンションを手に入れる>ことができました。

 今、『競売公売.com』というサイトを見ると、「渋谷」駅徒歩6分、「代官山」駅徒歩8分という立地のマンション『サンビューハイツ渋谷』(1981年築)の6階住戸が
専有面積60.66平米に対し3,610万円という見積もり価格が出ています。坪単価は197万円で坪200万円を切っており、かつ、所有者が居宅として使用し、未納管理費もない「権利関係のきれいな物件」です。

 もちろん競売ですから、見積もり価格で買えるわけではなく、入札者の中で最も高い価格で札を入れた者が勝ち得ることになります。この
「いくらで札を入れるか」が素人には難しく、二の足を踏んでしまいます。

 それでは、目安としてだいたいどれくらい上乗せして札を入れれば
「笑われない」(誰も笑う人はいないのですが、気分としてはそんな感じです)でしょうか。見積もり価格と落札価格との乖離を「乖離率」と言いますが、この乖離率は物件によって様々で、平成20年〜25年の間のマンション競売では、最高329%、最低87%と大きな開きがありました。

 それでも、その中間値をとってみると一定のところに落ち着いてきます。各年の中間値を取ってみると、
平成20年129%、平成21年124%、平成22年144%、平成23年144%、平成25年153%、平成26年166%と、徐々に乖離率が大きくなっています。

 本来は平均解離度をかければ納得の価格設定となると思いますが、本物件の場合、乖離率1.66をかけると5,990万円となり、旨味はなくなります。一方、本物件の
中古推定価格は概ね4,870万円ですので、見積もり価格と推定価格の中間の額4,240万円程度にはとどめたいところです。

 競売は
「下手な鉄砲数打ちゃ当たる」の精神でよいのでしょう。ある程度の推測で札入れを続けていけば、早晩きっとお得な「お宝物件」を手に入れることができると思います。

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| ノウハウ・経験談 | 20:43 | comments(4) | trackbacks(0) |
生きかはり死にかはりして−子どものいない「せんぐまき」

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 生きかはり死にかはりして打つ田かな  村上鬼城

 江戸から昭和にかけて生きた村上鬼城の代表句です。この句にはいろいろな解釈がありますが(多義的な解釈が生まれるのは名句の証でもあります)、私は人の営みの永遠さを「田打ち」という行為に託して詠んだ作品ととらえています。

 しかし今や、
人の永遠の営みを受け入れる「田んぼ」が、日本の大部分の場所で荒れ果てようとしています。また、その営みを永遠に続けていくはずの人が「生きかはり死にかはり」しなくなり、高齢者が亡くなっても生まれてくる赤ちゃんがいなくなりつつあります。つまりこの句は、平成の世の中になって、ほとんど成り立たなくなってしまったのです。

 先日、遅い夏休みで半年ぶりに九州の田舎に帰りました。帰省を電話で告げた時、母親からは、


「ずっと空家になっていたお隣のAさんとこだけど、お孫さんが住むことになってね。今家を建てよるからガンガンうるさいよ」

と言われました。「ガンガンうるさい」と言いながら、声が明るかったのは、高齢化が進む一方だったご近所に、思いもよらず若い人が住んでくれることへの嬉しさがあったのでしょう。

 また、それはこのエリアの土地が、
まだまだ市場価値があることの証左の一つとも言えます。父親は、40年前にこの土地を買う際に、もっと安い郊外の団地の中の土地か、値段は張りますが中心部に近い今の土地か、ずいぶん迷ったと言います。40年後の今、おそらくその団地の土地を買っていたら処分に途方に暮れていたはずであり、そういうことも含めて声が明るかったのだと思います。

 さて、帰省してみると、それまで平屋だった場所に、頼もしく2階建ての骨組みができていました。


「昨日突然2階建てに立ち上がってね。最近はツーバイフォーとかだから早いわい」

と父親が教えてくれました。そのお隣の築古アパート(昔お向かいに住んでいた当時マドンナ女子高生だった方が大家さんです)も外壁塗装を昨日終えたところで、新築物件が周りに次々立つ中で、CATV、インターネット無料化で対抗し、がんばって満室を維持しています。

 帰省2日目、その建築中の家に突然吹流しが飾られ、
「本日せんぐまき」との垂れ幕が下がりました。

「え、この時代にせんぐまき…?」

 私は他人事ながらとても心配になりました。「せんぐまき」とは上棟式の際に屋根から餅を投げる行事を言う方言なのですが、それも受け取る人がいてこそ成り立つ行事です。半生記近く前、私も大勢の子どもたちとわーわー言いながら餅やお菓子やおひねりを拾っていましたが、そんな大勢の子どもたちが今、どこにいると言うのでしょうか。

 私は「せんぐまき」の時間になると居ても立ってもいられなくなり、散歩のふりをして様子を観察していました。すると、そこそこの家族がぱらぱらと来て、最終的には10組くらいが集まって、何とか形になったため、私もほっとしました。しかし、車で乗り付けた家族もいたことから、どうも事前に知り合いにお願いしてお膳立てをしていたものと推測されました。

 しかし、そんな風に頼まれて来ているものですから、当然
盛り上がっている様子はありません。昔、私たちは、これから行われる楽しい行事に興奮を抑えきれずにはしゃぎまわっていたことを思い出します。お互いに話すでもなく静かに待っている複数の家族の様子は、とても私の知っている「せんぐまき」の光景ではなく、私はいたたまれなくなって、「せんぐまき」が始まる前にその場を離れていきました。

 両親が家を建てた頃は、誰もが土地をとにかく手に入れたいと躍起になっていた時代で、市では、その土地を供給するために、市の境界にある山をいくつも切り開いて団地化する大事業を行っていました。今や市の中心部でも、
「家を建ててくれるだけでありがたい」と思われるようになりました。冒頭の鬼城の「田打ち」ではありませんが、何とか土地を住み継いでくれる人が見つかったことは、まさに「めでたい」ことになったのです。

念力のゆるめば死ぬる大暑かな  村上鬼城

 これも鬼城の代表句です。これからの日本は、よほど気を張っていないとすぐに荒廃が忍び寄ってくる、そんな時代が始まりました。

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