首都圏でも空き家が今後急増−購入者が得する価格で生前処分すべき

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★ 6月22日付日本経済新聞は、『空き家予備軍、東名阪に330万戸 高齢者だけ居住』という記事を掲載しています。その概要は、次のとおりです。

「総務省の住宅・土地統計調査(2013年)から65歳以上だけが住む戸建てを抽出し、空き家予備軍とみなしたところ、全国の持ち家3,179万戸に対し、空き家予備軍は22%にあたる705万戸で、
三大都市圏はこの48%を占め、世帯数の全国比に匹敵しました。単身高齢者が急増しており、高齢化で空き家問題が先行した地方の実情と似てきました。三大都市圏の賃貸などを除く空き家は107万戸で、割合は7%にとどまっていました。

 予備軍が最も多いのは東京都の67万戸で、持ち家の21%です。現在の空き家は15万戸で5%です。空き家数でトップの大阪府も予備軍は51万戸で、その比率は東京都を上回る22%です。神奈川、千葉も2割を超しています。三大都市圏は住居の密集度が高く、空き家発生の影響は大きくなります。

 三大都市圏の予備軍を10万人以上の市区でみると
千葉県我孫子市が28%で最も高くなりました。空き家は7%ですが、戸建て1万戸に高齢者だけが住んでいます。東京駅まで電車で1時間の地域として1970年代に開発が進みましたが、当時の世代は退職し、亡くなる人も増えました。40年前から夫婦で住む70代の男性は「都内の子供らは戻らない。私たちが死んだら空き家になる」と話しています。市民生活部によると「相続人が住まずに空き家になる事例が目立つ」と言います。

 予備軍比率の上位には、
東京都町田市や兵庫県川西市など郊外都市が並びます。アパートで新婚生活を始め、庭付き戸建てにたどり着く「住宅すごろく」を理想とする世代の持ち家が多いのが特徴です。開発が進む都心部の比率は低いのですが木造住宅や古いマンションの密集地もあります。一橋大学の斉藤誠教授は「空き家問題は都心部にも押し寄せる」と警告しています。

 空き家があちこちにできる現象は「スポンジ化」と呼ばれます。
居住密度が下がると水道やゴミ収集など行政サービスの効率が悪化します。これを防ぐには中古住宅の流通を促す必要がありますが、国土交通省によると、住宅流通に占める中古の割合は米国83%、英国87%に対し日本は15%です。

 背景には
根強い新築信仰があります。高品質な住宅に手を加えて長く住む欧米の価値観と対照的です。日本政府は経済効果を狙い、税優遇などで新築購入を後押ししてきました。着工数は今も年100万戸規模です。規制が強い英国の新築は16万戸にとどまります。

 スタイルアクトの沖有人社長は
「日本でもリフォーム市場を活発にする必要がある」と語ります。木造戸建ては築22年になると税務上の資産価値が認められず、改修資金を借りにくく、これが欧米と比べて改修投資が極端に少ない理由だといいます。「改修後の実質的な価値で資産評価すべきだ」と沖氏は訴えます。改修資金の借り入れに新築と同様の税優遇を求める声もあります。

 住宅の用途変更規制を緩めるのも一案です。中古住宅を店舗や飲食店、福祉施設などに今よりも転換しやすくなれば買い手は増えます。官民ともに新築偏重の姿勢から脱却することが大都市で空き家の大量発生を防ぐカギとなります。」

 以上が日本経済新聞の記事の概要です。
日本の過疎地域は、都会の先行モデルです。過疎には取り残された老人が住むのに対し、都会は若者が流入してくるので、状況は違うように見えますが、古い家屋に若い世代が住まず見捨てていく点では同じです。

 しかも、これから
団塊世代が大量に後期高齢者になっていきます。昭和の企業戦士として24時間戦ってきた彼らは、郊外の一戸建てから雨にも負けず風にも負けず毎日片道1〜2時間かけて通勤してきました。そんな思いを引き継ぐ先もないまま、ち家とともに人生をクローズしていく年代となりました。

 上記記事の我孫子、町田と聞くと、今でも買い手がいそうですが、彼らの住宅はたいてい、
我孫子市や町田市の各駅から徒歩20分超、又はバス便である場合が多いのです。かつ、当時の規格で、土地も建物も100平※、庭付きなど、リフォームにも維持にもお金がかかり、購入検討者から見て真っ先に敬遠されてしまいます。

 私が提案したいのは、
とにかく安くてもいいから生きている間に売却してはどうか、ということです。もはや住宅ローンも払い終わっているでしょうから、売却の結果、数十万円、数百万円でも手元に残れば御の字です。

 幸い
首都圏であれば、多少田舎でも、駅から遠く離れていても、割安な価格設定をすれば必ず買い手がついてきます。むしろ購入される方に福をわけ与えるくらいの気持ちで値段設定をすれば、思い通りのタイムスケジュールで事が運べるはずです。

 逆に売り切れずに残してしまうと、
遺産相続の際に揉め事のタネになっていく可能性が高いです。子孫に迷惑をかけないよう、注意しながら売却の道を進めるべきだと考えます。

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| ノウハウ・経験談 | 21:32 | comments(0) | trackbacks(0) |
川向こうのタワー−ムサシコスギと川口の逆襲

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★ 今晩の飲み会のコミュニティは「なぜか埼玉」都民の同僚・後輩達でした。武蔵小杉在住の私は関係ないはずなのですが、「お前もどうせ南北線だろう」という無茶な理由で王子まで連行されたのでした。

 一緒に行ったメンバーは、浦和のマンションに住む同僚のA君と、鳩ヶ谷の戸建てに住む後輩のB君、赤羽の寮に住む若手のC君とD君で、どうみても私がいるのは場違いです。居酒屋に入ると
浦和の民が自然と上座に座り、鳩ヶ谷民がその横に、赤羽民がその対面に座って、このベン図に入れないコスギの民は一番下座となりました。

 浦和の民がひとしきり浦和の教育環境がいかに素晴らしく、浦和の住民がいかに教育熱心であるかを語った後、最近
赤羽の寮を抜け出して川口のタワーマンションに移り住んだE君の話題となりました。

「川口にタワマン?キューポラのある街じゃないのか」

 川口に足を踏み入れたことがない私の川口イメージは、昭和30年代に一世を風靡した映画のかすかな記憶でした。

「吉永小百合かよ。違う違う」

 話が通じたのは浦和の民の同僚だけでした。

「今や川口はタワマンの街なんだぜ。駅周辺には10本ぐらいタワーが林立している。」

 赤羽のC君も口をはさみます。

「私ら赤羽組も荒川を渡って川口に買い物に行きます。工場跡地で広い敷地がいっぱいできたんですね。アリオもイオンモールもララもありますし、そごうもありますしね。」

「荒川渡ると東京じゃないから、地価が15%くらい安いんだよ。でも便利さはほとんど変わらないから、タワマンがぼこぼこできた。元々工業都市だから土地規制も緩かったし。」

「…川口って人口45万くらいだったっけ」

「いや、人口は60万人くらいいってるんじゃなかったか。外国人も増えて西川口は中華街みたいだよ。お前の知っている川口は昭和の川口だな」

「川口には映画館もあるんです。赤羽の映画館は潰れたってのに。映画も川口に見に行ってます。」


 外国人や映画館はさておき、私の頭のなかでさっきから「ん?どっかで聞いたような…」と、彼らの話したフレーズが反芻されていました。10本くらいのタワマン、川を渡る、工場跡地、アリオ、ララ、東京じゃないから地価が安い、人口増…

「なんだ、コスギとそっくりじゃないか」

 武蔵小杉も東京から多摩川を渡った向こう側にできたタワマンの街です。多摩川を渡ると東京ではなくなるため、地価はぐっと安かったのです。「武蔵小杉」駅の昔の名前は「工業都市」駅で、駅周辺には東京機械や不二サッシ等の工場がありましたが、これらがタワーマンションや商業施設(グランツリー武蔵小杉)に変わっていきました。

 東京23区に住むことを憧れた私は、資金の面等から夢かなわず、
多摩川を渡りきれませんでした。そんな人達ばかりではもちろんないのですが、東京に向かう多摩川の手前で、大田区や世田谷区を見下ろすようにタワーマンションが林立、川口と同じように人口が増加し、街は拡大し続けています。

 あたかも都心から東西にまっすぐ線を引き、
北と南、埼玉と神奈川で、線対称となったような川口と武蔵小杉です。そこは必ず川で区分され、ある意味では一段低く見られた場所が今、川の向こうにある23区に対して逆襲をしています。

 今や川向うのコスギという街に、自由が丘以南にお住いの東京23区の方々も買い物に来られるようになりました。砂漠のようだったコスギに
東急スクエアができて涙しララができ、そしてグランツリーができて、「武蔵小杉」駅で下車した大勢の人たちがグランツリーに向かって歩いてくるのを見た時は、感動のあまりその場に立ち尽くしたものです。もしかすると川口市民も、同じような感動を胸に抱いたかもしれません。

 しかし、
「シン・ゴジラ」では、ゴジラを東京に足を踏み入れさせないため、多摩川が防衛ラインとなり、コスギは「捨て石」となりました。もし次にゴジラが茨城県沖に現れた場合、荒川が防衛ラインとなり、川口はコスギ同様、「捨て石」となるのでしょうか。所詮はそういう位置づけなのかもしれませんが、日本が平和な間はたっぷりと繁栄していきたいものです。

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| ノウハウ・経験談 | 21:02 | comments(0) | trackbacks(0) |
意外とおいしくないタワマン商売−長期プロジェクトの難しさを実感

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★ 26日付マネーポストは、『利益が出ないケースも 不動産会社にとってタワマン販売の難しさ』と題して記事を掲載しています。その概要は、以下の通りです。

「ここ10年ほどで、都心部を中心に一挙に増えたのがタワーマンションです。今や、タワマンが建つ街=人気の街という図式が成り立ち、タワマン在住=成功の象徴のような感さえあります。ところが、大手不動産会社の中堅社員Yさんによれば、不動産会社にとって
『タワマン販売』というビジネスは、意外とオイシくない面もあるそうです。

タワマンが難しい最大の理由は、完成までにあまりにも時間がかかることです。私が初めて携わったタワマンの場合、計画が持ち上がり、敷地の調査から用地の取得完了までに7〜8年。建物の取り壊し、整地、基礎工事と進み、建物がだんだんと高くなっていくまでにさらに数年を要し、ようやく販売を始めた時はかれこれ10年目。最終的に住民が住み始めるまでには10数年かかりました』

 10年先のことを正確に予想することができる人間などいるはずがありません。もちろんそこを見越して商売をするのがプロですが、
「景気」という化物を前にすれば、何もできることがないというのが本音のようです。

『それだけ時間がかかってしまうと、売り始める時に景気がどうなっているかがまったく予測できません。苦労に苦労を重ねたタワマンの完成が近づき、
『じゃあそろそろ売り出すか』という時に、景気がどん底で、マンション購入などとんでもないという状況になっているかもしれませんし、鋼材価格や建築資材、現場の職人の人件費がどう変動しているかも分かりません。

 一帯の土地が大幅に下落していれば、当然価格にも反映させないといけません。儲けが出るような価格を付けたところで、売れなくては何の意味もありませんから。結果的に
全戸売れたのに、利益がまったく出ないようなこともあり得るわけです』

『これも10年近くをかけたプロジェクトでしたが、
完成間近に東日本大震災が発生しました。そのタワマンは『オール電化』が売りで、発売開始予定は震災発生日の直後でした。スケジュール変更も検討されましたが、予定通りに売り出さないと会社の数字に大きく影響するので、上の判断は『GO』。停電や節電騒動などがあったため、販売戦略の方向転換を強いられました』

 結局、オール電化の話題は巧みにすり抜けつつ、『この間の大震災でも、建物にも地盤にもまったく影響はありませんでした』と、しっかりアピールして、
窮地をしのいだそうです。」

 以上がマネーポストの記事の概要です。私は以前、本ブログで
「タワーマンションほど、利益率が高く、成功が約束された物件はない」という趣旨のことを書きましたが、これには上記記事のような「竣工までに長間を要することによるリスク」を全く念頭に入れていませんでした。

 確かに、『クロスエアタワー』などは東日本大震災発生と販売がもろにかぶってしまい、弱気の販売にならざるを得ませんでした。逆にその時に勇気を出して(?)購入した人は大変お得な買い物をしたわけで、同マンションは中古マンション市場で分譲価格より4割超高い価格で取引されてきています。

 ただし、その
逆も真なりで、不動産価格が右肩上がりの時は、10年前に安く仕入れた土地を今事業化すれば、利益は格段に大きくなります。要は変動の大きさはリスクですが、リターンの大きさもその特徴と言えます。

 タワーマンションの売主がほとんど
大手デベロッパーの独占状態なのは、事業にかかる費用の大きさ、プロジェクト期間の長さに耐えうる資金力及びマネジメント能力、上記リスクでも揺るがない財政基盤及び信用力、施工者となる大手ゼネコンでわたりあえる交渉力など、さまざまな「力」が必要とされるからでしょう。

 こういった意味で、
タワマンは「意外とオイシくない」商売なのだと勉強になった記事でした。

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| ノウハウ・経験談 | 20:55 | comments(0) | trackbacks(0) |
タワマン28階に住んで感じる予想外の「負け感」−鶏口牛後じゃダメなんです。

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★ 19日付日刊SPA!は、『湾岸タワマン28階に住んだのに、予想外の“負け感”。主食はコンビニ弁当…』という記事を掲載しています。その概要は、以下の通りです。

37歳、独身、年収は1200万円、湾岸エリアでも人気の月島にある賃貸タワーマンションの28階で一人暮らしをする酒井優一さん(仮名)。住んでいる部屋は42平米の1LDKで、家賃は19.8万円です。タワマンに引っ越しをして、すでに後悔しているといいます。

「よくタワマンでは高層階用と低層階用のエレベーターがあって、住民のヒエラルキーがあるって言いますよね。28階の高層階で、たしかに最初は優越感に浸ることもありました。でも、僕の部屋は高層階のなかでは低いほう。だから、誰かと一緒に乗るときは自分のほうが低層で先に降りることが多いんです。
乗っている30秒間は、どこか負けた感じがしますね……。『鶏口牛後』という言葉があるように、“上の下”ではダメなんですよ」

 タワマン住民にとっての階層ヒエラルキーは「高層階vs低層階」ではなく、同じエレベーターの中にあるということです。

 酒井さんがこのタワマンを選んだ決め手は部屋から見える夜景だったということですが、それも最初の1か月で見飽きたそうです。

「毎日同じ景色を見ているとさすがに飽きて、それに残業で
毎晩終電近くで帰ってくると周囲はもう電気が消えていて真っ暗です。そもそも疲れて寝るだけだから、夜景なんて見てる場合じゃないですよ」

「たまに女の子が部屋に来ても、夜景にまったく興味を示さないんです。女の子って夜景に興味がないんですか?正直これじゃ、タワマンに住んでる意味がないですよ」

 また、多少収入が高いとはいえ、やはり毎月20万円の家賃の負担は大きいようです。

「月20万円ということは、
1日あたり7,000円ほどかかっている計算になります。しかも寝るだけで。7,000円も払えば、都内のちょっとしたビジネスホテルくらいには泊まれますよね。仕事柄、夜遅くまで長時間働くこともありますが、意地でも帰って寝てやろうって気持ちになりました。じゃないと、次の日の“宿泊代”が1万4000円かかることになりますから。でも、こんなことを考えている貧乏性の人間はタワマンに住むものじゃないのかもしれませんね

 酒井さんは「選んだ街も、自分に向いてなかった」と後悔しきりです。

「月島はもんじゃ焼き屋ばかりで、
一人で入れるようなチェーン店が少ないんです。近くには比較的安いことで知られる食品スーパーがあるんですが、ファミリー層が多い街のせいか、夜11時には閉まってしまいます。それに、高所得者が多いエリアだからか、閉店直前に値引きしてもわずか2割引き程度で全然安くならないんです。しかも、総菜コーナーが小さいから仕事帰りに寄ってもほとんど残っていない。結局、毎晩コンビニ弁当ばかりですね」

 湾岸エリアを通る電車にも不満が炸裂です。勝どきは都営大江戸線、豊洲は有楽町線、月島はその両方が通っていて利便性は高いはずですが、

大江戸線はかなり地下深い路線だから、ホームまで時間がかかり、電車の本数も少なめで、電車待ちが長いですね。有楽町線は都心部で乗換駅が多くあるのですが、乗り換えに距離があり10分ほど歩くこともザラです。」

「勝どきのタワマンも内見しましたが、勝どきは海に近くて高層ビルやタワマンが多くて、どこも風が強かった。内見したのが弱い雨の降っている日で、傘がまったく役に立たないくらい風が強くて歩くのもしんどいし、
雨も横殴り状態でした。正直、勝どき、月島、豊洲あたりの湾岸エリアが人気の理由がまったくわかりませんね

 更新がくるまでは我慢して住むつもりですが、
もう引っ越しを考えているといいます。

「普通のマンションだと退去する1か月前に告知すれば引っ越しできますが、タワマンの多くは解約の2か月前。つまり、引っ越したくても2か月近くの家賃を無駄に多く払う必要があるんです。以前のマンションより家賃は2倍になりましたが、不満まで2倍になりました……」』

 以上が日刊SPA!の記事の概要です。
見栄を張りながら、実は貧乏性な、そんな誰でも持っている性格がそのまま酒井さんの言葉に現れていて、クスリと笑ってしまいます。上記記事の中の名言を挙げてみます。

・ 『鶏口牛後』という言葉があるように、“上の下”ではダメなんですよ。

・ タワマン住民にとっての階層ヒエラルキーは「高層階vs低層階」ではなく、同じエレベーターの中にある。

・ 夜景なんて見てる場合じゃないですよ。

・ 女の子って夜景に興味がないんですか?正直これじゃ、タワマンに住んでる意味がないですよ。

・ 意地でも帰って寝てやろうって気持ちになりました。じゃないと、次の日の“宿泊代”が1万4000円かかることになりますから。

・ 閉店直前に値引きしてもわずか2割引き程度で全然安くならないんです。

・ 傘がまったく役に立たないくらい風が強くて歩くのもしんどい。

・ 更新がくるまでは我慢して住むつもり。

・ タワマンの多くは解約の2か月前。つまり、引っ越したくても2か月近くの家賃を無駄に多く払う必要があるんです。

・ 以前のマンションより家賃は2倍になりましたが、不満まで2倍になりました。


 初めは一つ一つ、タワマンに住むことの是非について分析を試みようと思っていましたが、何回か上記記事を読んでいるうちに、この予想外の「負け感」には解説はいらない気がしてきました。今回はこのまま、上の「名言」を「あるある」と親近感を感じつつ、味わいたいと思います。

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| ノウハウ・経験談 | 22:19 | comments(0) | trackbacks(0) |
六甲アイランドの中心施設から全テナント撤退−東京のアイランド型開発は大丈夫か

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★ 14日付け産経新聞によれば、神戸市東灘区の人工島・六甲アイランド(六アイ)の大型複合施設「神戸ファッションプラザ」の商業棟から、最後のテナントの食品スーパーが撤退することがわかりました。所有者側のトラブルでエレベーターなどが停止している状況ということです。六アイは今年で街開きから30年を迎えましたが、市は同施設を中心に島の発展を目指してきただけに、「街の活性化は非常に厳しい状況になった」と頭を抱えています。

 同施設は平成9年開業し、
大型映画館を擁する10階建ての商業棟のほか、美術館やホテルなどを併設し、全盛期には多くの市民でにぎわいました。しかし、商業棟は利用者が伸びずに店舗の撤退が相次ぎ、今年4月からは1階のスーパーが唯一のテナントとなっていました。

 民間企業や市がそれぞれの施設の所有権を持ち、商業棟は昨年12月から「合同会社神戸ファッションプラザ」(東京)が所有しています。関係者によると、
同社は管理委託料を滞納しており、今年5月22日に棟内の全エレベーターとエスカレーターが停止しました。スーパーにとっては、地下駐車場や最寄り駅からの動線を止められたことになるため、同社に書面で何度も対応を要請しましたが返答はないということです。

 スーパー側は「今後さらに利用者に不便をかける恐れがある」として、
7月3日で閉店することを決めました。

 現在、
人口約2万人の六アイにスーパーは2店舗しかなく、閉店後は1店舗のみになります。

 一方、同施設の管理組合に加わる
市も所有会社と連絡が取れず、正確な事態を把握できていないということです。市は官民一体で六アイを盛り上げようと、テナント誘致を要望してきましたが実現には至らず、「所有が民間会社なので市が対応するにも限界がある。もはやどうしようもない」とあきらめの声が上がります。

 市の担当者は「市有地の空き区画に商業施設を誘致することなどを含め、新たな振興策を検討するしかない」としています。

 六アイの約6,300世帯で構成する「六甲アイランドCITY自治会」の實(じっ)光(こう)良夫会長(70)は
「島は今も阪神大震災の影響を引きずっている。スーパーがなくなるのはつらいし、不便だという声も多い。市のリーダーシップでスーパーの問題くらい解決できないと、島が発展する将来像を語っても夢のまた夢だ」と指摘しています。

 以上が産経新聞の記事の概要です。


「あの六甲アイランドが…」

 私は、この記事に少なからずショックを受けました。この記事を発見して思わず複数の知り合いに転送したところ、そのうちの一人は返信をこう返してくれました。

「六甲ライナーができ、六甲アイランドが発展していく姿を間近で見て育った者として、愕然としました。。」

 特に関西出身者で東京に出てきた人にショックが強いように思われます。

 私は入社してすぐの勤務が関西でした。24歳のクリスマスの頃、レンタカーを借りて、彼女とはまだ言えない大阪の女の子と
六甲アイランドにドライブデートをしたのです。六甲アイランドは街開きをしたばかりの頃で、新しい街はすべてが明るく、未来に向けて輝いていました。「今夜、これからどうしよう」と、どきどきしながら、クリスマスツリーのきらびやかな装飾を眺めて悩んでいたのを思い出します。

 六甲アイランドから商業施設が撤退していったのは、記事によれば
利用者が伸びなかったから、とされています。ではなぜ利用者が伸びなかったか、というと、やはり交通の便と商業施設の魅力のバランスがとれなかったからではないかと思われます。

 確かに六甲ライナーはできましたが、
神戸市中心部からお客を呼び込むほど商業施設に魅力が大きいわけではなく、島の住民の需要だけではもたなかったと考えられます。それで、日常生活に密着したスーパーだけが残ったわけですが、それではテナント全体数を埋めるだけの賃料は得られず、管理会社の質は劣化し、今日のような事態を生んだものと推察します。

 そもそも
官民協力の再開発というのは、持続性にリスクがあると考えています。官が入る再開発は、民間だけだと採算が合わず、実現できないプロジェクトを官の力でやらせようとする匂いが感じられます。したがって、調子がよいときは官民の性格の違いが目立たなくてよいのですが、調子が悪くなると、官民それぞれが責任の所在は相手方にあると考えるようになり、加速度的に破滅の道を走り始めるのです。

 心配するのは、
同じような結果が東京でも繰り返されないだろうか、という点です。アイランドは、住宅・商業・オフィスなどが集積した複合型開発を呼び込みやすい利点がありますが、周囲から途絶された環境ともなりがちです。

 アイランド型開発を成功させるには、内部から常に火を燃やし続けなければならないというしんどさがあるかもしれません。六甲アイランドもまだ逆転のチャンスはありますし、東京の再開発地域も、現在の繁栄に気を緩めずに未来を見つめていく必要がありそうです。

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| ノウハウ・経験談 | 21:47 | comments(2) | trackbacks(0) |
神奈川、埼玉、千葉、茨城の女性はストレス高い−通勤時間、住居費等が影響か

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★ 化粧品販売会社「メディプラス」の関連会社「メディプラス研究所」が本年3月、全国の20〜69歳の女性約7万人を対象に、心身のストレスの状態を調べる「ココロの体力測定2018」を実施しました。同研究所では、その分析結果から、47都道府県の女性のストレスオフ度を推定し、「ストレスオフ県ランキング」として発表しています。2018年度版のランキングは、以下の通りです(数値は、「ストレスオフ指数」です)。

ベスト10
1 愛媛県 50.1  2 静岡県 41.8  3 佐賀県 39.8
4 島根県 27.3  5 長崎県 22.7  6 熊本県 22.2
7 岡山県 19.4  8 滋賀県 19.3  9 鳥取県 19.0
10 青森県 18.2


ワースト10
1 秋田県  ▲61.3  2 長野県 ▲32.4  3 岐阜県 ▲28.7
4 北海道  ▲22.3  5 岩手県 ▲18.9  6 沖縄県 ▲15.2
7 神奈川県 ▲15.1  8 福島県 ▲14.3  9 富山県 ▲12.8
10 埼玉県  ▲12.8


 1位の愛媛県の指数と最下位の秋田県の指数の開きが111.4もあり、どんな指数なんだろうという点と、果たして各県民の数は、有意な人数が取れているのだろうかという点(各県千サンプル以上なので大丈夫とは思います)はありますが、このサンプリングが適切なものとして以下書いてみたいと思います。

 1位の愛媛県は、昨年に引き続き2連覇です。同研究所では、その要因を分析していますが、全国平均と最も差が大きかったのが、「通勤時間ストレスが少ない」というものでした。これは、愛媛支社に4年間いたことがある私としてはよくわかるところで、まず、県庁所在地である松山の街は平地にあり、どの方面からもアクセスが良いのです。皆、ここは中国かと思うくらい、ママチャリに乗ってのんびり通勤してきます。他にも今治、新居浜、宇和島など程よく都市が分散して、職住近接が実現しているのだと思います。

 また、
支出ストレスの少なさ、教育ストレスの少なさも目立っています。松山は四国で一番大きな都市でありながら、物価は全国で2番目に安く、住宅取得費用も安くて、皆ほとんどが持ち家です。そのせいか、地元のDIYショップが大繁盛で、そのオーナーは地元経済界・政界の大立者になっています。松山東、今治西、新居浜西、宇和島東など、各地に文武両道の公立高校があり、高いお金を出して私学に行かせる必要がありません

 愛媛に縁がある私としては嬉しい結果でしたが、もう一つ気になる点がありました。首都圏各都県の女性のストレスオフの順位なのですが、
東京が24位と案外ストレスが小さいのに対し、千葉36位、茨城37位、埼玉38位、神奈川41位と、東京通勤圏の各県が軒並み下位なのです。

 しかも、東京が昨年27位から順位を上げているのに対し、千葉、茨城、埼玉、神奈川は
いずれも昨年より順位を下げました。データが手元にあるわけではないので要因はわかりませんが、愛媛とは反対に、「通勤時間ストレス」「支出ストレス」「教育ストレス」が影響しているのではないでしょうか。

 東京は、マンション価格など住居費は飛び抜けて高いのですが、それを支払える層にとっては
通勤時間が短くてすみ、育児にも余裕ができてストレスが小さいのではないかと思います。これに対し、千葉、茨城、埼玉、神奈川は、東京に引っ張られてマンション価格等が高くなっている割には、東京までの通勤に時間がかかり、それが子育てにしわ寄せとなって、高い保育料を払っているのに楽にならないという悪循環に陥っているのではないか、と心配になります。

 首都圏に住む女性がワークライフバランスを実感し、ストレスオフの充実した人生を歩めるようにするにはどうしたらよいか、例えば東京以外の地域における職住近接が実現できれば最も良いと思いますが、政治、行政、民間企業、そして夫としての家事分担など、様々なレベルで考えていくべき問題だと思います。

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| ノウハウ・経験談 | 20:33 | comments(0) | trackbacks(0) |
都心でも古いビルの賃貸業は苦戦?−夢と消えたオフィス移転計画

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★ 私の勤めている会社も、一時期の苦しい時期を乗り越え、何とか現状を維持できるまでになっています。そんな折、いくつかに分散している事業部のビルの一つが賃料の値上げを告げてきました。そこは、コンピュータシステムを運営しているためにセキュリティなどを含め特殊加工をしているビルで、今までも相当高額の賃料を払ってきたはずなのですが、ビルのオーナーたる法人は、「今でも安すぎるくらいだ」と、譲る気配がありません。

 実はこのシステムは更新時期が来ていて、今のビルでは手狭になっていたのも確かです。したがって、これを契機に、
会社の東京本部の全体の配置を見直してみることにしました。これまで業務の拡張に伴って、事業所が数か所にまたがってしまっていたので、事務所は事務所、システムはシステムと、集約し直すプランを作成してみました。

 すると、驚いたことに、
新築の高層ビルに事務所を集約し、システムをよりセキュリティが強化された広いデータセンターに移行した方が、全体コストが下がることが判明たのです。しかも都心に複数個所あった従来の事業所と、ほぼ同じような都心の好立地でこれが実現するという見積もりです。

 これまでは場所が分散していたために、
会議のたびに社員は各事務所間を移動しなければならず、それだけで結構な手間と時間がかかり、ストレスも生んでいました(だから会議を減らす、という発想にならないのが悲しいところです)。今回のプランでは事務所が一か所に集約されるため、このような無駄を排することができ、会社としての効率化も大きく進みます。

「まさに一石二鳥、いや三鳥」

と社員一同大喜びで、新築の高層ビルへの移転をワクワクしながら待っていました。

 しかし、思わぬところで、
この計画は頓挫することになったのです。その原因は、意外にも身内のグループ会社でした。

「え?ここを出ていくんですか?勘弁してくださいよ!」

 複数箇所ある事務所のうち、2番目に規模が大きいA事務所だけが、グループ会社所有の建物を借りていました。その場所は都心一等地で、駅からも徒歩2分、申し分のない立地の建物だったので、「我々が出てもすぐ借り手が見つかるだろう」と思っていました。グループ会社ということで、賃料も安くしてもらっていたという認識だったので、出ていった方がむしろその会社の収益機会を増大するとも考えたのです。

「何を言っているんですか。うちは築30年のビルですよ。この広いスペースを今さら借りてくれるところを見つけるなんて簡単じゃないことくらい、わかってもらわないと」

 都心のオフィス需要が旺盛だと言っても、それは新築又は築浅のビルに限られ、築古のビルは空きが目立つのだそうです。いや、むしろ都心にオフィスを構えるような会社は、見栄えを気にするところがほとんどで(都心オフィスの意味はそこにあるとも言えます)、都心築古の不利さ加減は「ハンパない」とのことでした。

 確かに、
私たちの規模の会社でも、移転するとなれば新築物件をまず探したのです。好き好んで古いところに移転する会社はめったにない、というのもうなずけました。

 結局、
このグループ会社の賃料が減ると、会社全体の収支に影響が出て、事務所移転のメリットがほとんどなくなることがわかりました(会社全体の収支計算には他法人への賃貸による賃料収入増大もカウントされていました)。私たちの新築オフィス移転の夢ははかなくも潰え、システムのデータセンター移行だけが実施されることとなりました。

「都心物件と言えども、厳しいんだなあ」

 今は新築高層ビルといっても、新しいビルは毎日のように作られていきますので、すぐに陳腐化していきます。不動産経営はどの地でも安泰ではないな、と、古くて雑然とした職場を眺めながら、ため息をついたのでした。 

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| ノウハウ・経験談 | 20:18 | comments(2) | trackbacks(0) |
地方「都心」の1棟ビル=23区中古1Rマンションの値段、の現実

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 東京23区と地方都市の不動産価格は大きく違う−頭ではわかっていても、実際の価格差にはピンとこないものです。ただ、その地方が、自分が馴染みがある場所だと、その格差を実感することができます。
 
 さきほど、私はGoogle Alertに登録して配信された記事を見ていると、
「【価格変更】今治市共栄町2丁目 収益物件 1600万円」という見出しが目を引きました。

「ん?今治で1,600万円の投資用マンションなんてあるのか」

 仕事で愛媛の支店にいたことがある私は、懐かしさも手伝って、配信記事のリンクを開きました。最近は加計学園ですっかり有名になってしまいましたが、今治市は愛媛県で松山市に次ぐ第2の都市、造船の町として有名、最近は高級ブランド化に成功した今治タオルやゆるキャラ「バリィさん」も知られています。

 そんな都市だから
県庁所在市でなくても投資用マンションがあるのか、と思って開いたページを見て驚きました。

「…ビル1棟じゃないか。しかも今治の『都心一等地』だよ」

 今治市共栄町2丁目にあるそのビルは、今治市第一の目抜き通りに面し、「今治」駅からは徒歩10分、同駅と今治港を結ぶ重要幹線道路沿いにあって、今治市役所にもごく近い位置です。1階にJTBの営業所の看板が見えることも、この建物が中心部に位置することの証左になっています。

 しかし、どうもこのビルが
空家になっており、以前の値段では買い手がつかず、私が投資マンションの値段と間違えた1,600万円に値下げした、というのです。敷地面積は132.15平米、建物面積514.67平米もあり、建物建築は1971年でかなり古いですが、大通りから見える部分はきれいに塗装され、堂々たる1棟ビルです。

 一方、東京都心で現在販売中の1棟ビル物件で、上記のビル物件と敷地面積・建物面積が最も近い物件が、
「勝どき」駅徒歩3分、敷地面積134.70平米、建物面積534.62平米で、販売価格18億円となっています。

 1,600万円の今治市物件と、18億円の勝どき物件の
格差は112.5倍となります。ただ、この勝どき物件は他に比べても殊の外高く、築年数も築25年と相対的には新しいことから、これだけをもって「東京・地方圏格差」と言うのは早計かもしれません。それでも、築年が1971年〜1972年で近い「田町」駅徒歩8分ビルが2億9,700万円、「水道橋」駅徒歩1分ビルが2億8,500万円であり、これらと今治物件との格差は18.2倍となっています。

 この「マンション物価」の違いを例えて言うならば、
今治「都心」では1パック200円の卵が、東京都心では3,600円〜22,500円もする計算です。「そこまで東京都心の方に価値があるのか」と問いかけた場合、答は様々になることでしょう。

 この今治1棟ビルは5階建てですので、もし仮に、
ワンフロア100平米×5階分(計5室)のそれぞれを10万円で貸すとした場合でも、年間収益は600万円となり、年間の表面利回りは37.5%で、1,600万円の投資額はわずか2年半で回収することができます。

 しかし、地方の抱えている問題は、
「街の中心部の繁華街であっても、そもそも賃貸の需要がない」という現実です。「取らぬ狸の皮算用」が本当に「皮算用」で終わる可能性が高く、非常にスリルがある投資となります。

 地方の住宅地にある空家問題ばかりが最近注目されていますが、
地方都市の中心部にある1棟ビルが、東京都23区の中古ワンルームマンションと同じ値段で買えてしまう実態も、頭の隅に置いておきたいものです。

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| ノウハウ・経験談 | 22:05 | comments(0) | trackbacks(0) |
昭和のニュータウンを「看取る」−街の再生の幻想を超えて

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★ 昭和の頃に各地にできたニュータウンが苦境に陥っています。一部盛り返したところもあるようですが、それは幸いにも交通の便がよいところで、大部分のニュータウンは都心から遠く、駅からさらにバスを乗り継いでようやく辿り着く大規模団地で、購入当時の住民の方々が老いて、まぎれもないシルバータウンになっています。

 昭和40年代から不動産バブルにかけて、倍率数百倍の難関をくぐり抜けて、
非常に幸運にも抽選に当たって夢のマイホームを手に入れた方々が、今やその始末に困っています。「今さら他に行くお金も元気もない」ので、だんだんと街が寂れていくのを見ながら日々を過ごしています。

 当時はこれらのマイホームから
約2時間をかけて都心の職場に皆通っていました。往復合計4時間にもなります。家から駅までは約30分、バスを使ったりバイクや自転車に乗ったり、雨の日も風の日も、皆元気でした。そこからギュウギュウづめの満員電車で1時間半ほど揺られても、まだ有り余る体力でモーレツに仕事をこなし、夜は飲んで騒いで、再び2時間かけて帰宅して、皆本当に元気でした。

 ひょっとすると、そのような
長時間通勤こそがある種のモーターとなって、モーレツ戦士を生んでいたのかもしれません。そうやって皆でがんばって、暮らし向きが良くなって生活が便利になり快適になって、ふと気が付くと、往復4時間の通勤時間だけが苦痛になってきました。

 最大の誤算は、大量の団塊世代が必死になって手に入れた「夢のマイホーム」を、団塊ジュニア世代が引き継ぐことなく、ことごとく見捨てたことです。育ちがよくなり、無茶苦茶なガッツもなくなった団塊ジュニア世代は、余裕のある所得で少しでも都心へ都心へと住まいを求めていったのです。

 街は、円滑に世代交代していかないと、たちまち老化していきます。その意味で、ニュータウンの劣化は予想以上のスピードで進んでいきました。地方創生の叫ばれる昨今、ニュータウンの所在する自治体は必死にその流れを食い止めようと、地域振興策やコミュニティ強化、ご当地アイドル、まちおこしで盛り上げる様々なイベントなど様々な施策を出してがんばっています。

 私も、それらの努力をこれまで好ましいものとして見ていました。できれば、
昭和の高度成長期の頃の輝きを取り戻してほしい、そのためにはあらゆる手立てを打つべきだと考えていたのです。

 しかし、冷静になって考えれば、
どう見てもこの街に人が戻るはずがないのです。人口が爆発的に増えていた昭和の頃は、既存の街には住めなかったから、不便な地に山を切り開き、何とか交通アクセスを確保しながらニュータウンを作っていきました。今は何もそんなところに住まなくても、駅徒歩圏内にいくらでも住めるところがあるのです。

 このような
不便な地のニュータウンの生命を維持するためには、そこで高齢化していく住民の生活機能をきちんと維持するため、商業施設や医療・介護施設、さらには将来の繁栄のために小中学校、育児施設等を集積させていかなければなりません。

 しかし、
ニュータウンを開いた当時は、そこにいる住民のニーズに応えるためにこれら施設が自然と集積していったのですが、住民をつなぎとめるために、既に廃れてしまっているこれら施設を巨額のコストをかけて再構築していくのは、何か本末転倒のような気がします。

「そこまでしなければ生命を維持できないニュータウンとは何なのか」

 冷徹な言い方になりますが、私たちが将来の世代のために進めるべきなのは、劣化していくニュータウンを「看取る」ことなのではないでしょうか。人が住んでいる以上はその街はたたむことはできないでしょうが、むしろそこには新しく住まわせないようにすべきなのです。

 そして、その
自治体の最も乗り降りが多い駅の徒歩5分圏内に集中投資し、「新しい駅前の街」をコンパクトに作るのです。その方が住民にとって便利になりますし、自治体にとっても既存の広大なニュータウンを生き永らえさせるより、はるかに安いコストで街のにぎわいを生み出すことができるでしょう。

 深刻な財政危機に陥り、「将来の日本の地方自治体の先取り」とも言われる夕張市では、
炭坑労働者のために作った大量の公営住宅を次々と閉鎖しています。そこに住んでいる人たちは、半ば追い立てられるように住む場所を移されているのですが、そこまでしなければ持たない夕張市の現状があります。

 ニュータウンの始末も、早ければ早いほど傷は小さくて済むと思います。「夢よもう一度」というノスタルジアを捨てて、歯を食いしばって前に進むべき時が来ています。

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| ノウハウ・経験談 | 23:02 | comments(2) | trackbacks(0) |
大規模修繕には悪質コンサルに注意せよ!−最も効率的な修繕は51〜75戸規模物件か

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★ 12日付の朝日新聞は1面トップで、『マンション修繕、割高契約に注意 国交省「相場」を公表』という記事を報じました。その概要は、次のとおりです。

『マンションの大規模修繕工事の際、
割高な代金で契約させられるなどトラブルが相次いでいることから、国土交通省は各地の工事を調査し、11日に結果を公表しました。調査対象は過去3年間に施工された944事例で、1戸あたり「75万〜100万円」が31%で最も多く、「100万〜125万円」が25%、「50万〜75万円」が14%と続きました。

 同省のこうした調査は初めてで、費用の目安を情報提供し、トラブルを未然に防ぐ狙いがあります。大規模な修繕は
1回目が築13〜16年前後で行われ、1戸あたりの平均は100万円です。2回目は築26〜33年前後で同97万9千円、3回目以降は築37〜45年前後で同80万9千円でした。工事は外壁関係、防水関係が多く、2回目は給水設備が増えるとのことです。

 修繕工事はそれぞれの状況が異なり、相場が分かりにくいほか、マンションの管理組合と施工会社の間を取り持つ
コンサルの一部で、工事費を不適切につり上げるケースもあるということです。国交省は昨年1月、悪質な例を紹介して管理組合に注意を促し、今回の調査に乗り出した経緯があります。

 調査結果は同省のホームページで公開しており、マンションの規模ごとに概況を掲載し、「管理組合は同規模のマンションのデータと比較すると有効」としています。また、事前に検討した方がいいポイントとして、
「過剰な工事項目・仕様などがないか」「戸あたり、床面積あたりの工事金額が割高ではないか」などを挙げています。

 住宅問題に詳しい吉岡和弘弁護士の話では、「大規模修繕工事では、事前に聞き出した積立金の額に合わせて見積もるなど、適正さが疑われるケースが多く、問題は設計コンサルだけではなく、マンションの管理会社でも知り合いの工事業者を使って高く見積もるケースがあります。そもそもコンサルや管理会社に任せきりになっている管理組合が多い実態も問題です。
その工事が適正か管理組合や住民が自ら監視していける手法を身につけるのが大切です」ということでした。

 以上が朝日新聞の記事の概要です。私も11日の国交省の発表資料を把握していましたが、1面トップの朝日新聞をはじめ、各紙がこれほど大きく取り上げるとは思いませんでした。おそらく各紙編集部上層部にマンション住まいが多く、
「他人ごとではない問題」として関心を引いたのでしょう。

 確かに、マンション住まいの人が急速に増加し、特に東京都では一戸建てよりマンションに住んでいる人の数のほうが多くなっていますので、
マンション住人の誰もが直面する大規模修繕問題は、もはや「国民の一大関心事」と言っていいでしょう。しかも、その施工の判断は、行政ではなく、自らがしなければなりません。まさに「住民自治」の場だとも言えます。

 最近問題になっているのは、施工業者とマンション住人の間で
中立の第三者として仲介すべきコンサルタントが、実は業者とつるんでリベートをもらっているという出来事です。このことにより、何よりコンサルタントに安心して任せられなくなったことが、マンション住人にとっても大きな痛手でしょう。

 さて、私が気になるのは、
「大規模修繕にかかる1戸当たり費用は、小規模マンションと大規模マンションのどちらが高いのか」という点です。このことについて、国土交通省の公表資料は必ずしも明らかにしていませんので、推測してみたいと思います。

 比較の方法として、規模別集計の中で、
第1回目の大規模修繕に要した費用が最も多い価格帯を抜き出してみたいと思います。以下の通りです。

20戸以下    2,000〜 2,500万円   21〜 30戸  3,000〜 3,500万円
31 〜 50戸  4,000〜 4,500万円   51〜 75戸  5,000〜 5,500万円
76 〜100戸  10,000〜12,500万円  101〜150戸 10,000〜12,500万円
151〜200戸  15,000〜17,500万円  201〜300戸 20,000〜30,000万円
301戸以上  30,000〜40,000万円・50,000万円〜


 それぞれの区分の中央値から、1戸当たりの負担額を計算すると、次のとおりです。

20戸以下    225万円   21〜 30戸  127万円
31 〜 50戸  105万円   51〜 75戸  83万円
76 〜100戸  128万円  101〜150戸  90万円
151〜200戸  93万円  201〜300戸  100万円
301戸以上    ?


 数値がおおまかなレンジからとっているため、正確な数値はわからないのですが、やはり規模の経済が働き、小規模マンションほど1戸当たりの負担が重いことがわかりました。上記数値からは、51〜75戸規模が大規模修繕において最も1戸当たりの負担が少なくなるようです。

 これから推測されることは、
小中規模マンションはシンプルに造られ、コストのかかる共用施設・サービスは少ないのですが、あまりに小規模だとそれでも1戸1戸の負担が重くなることがわかります。

 一方、
大規模マンションの数値は、やや低い価格帯と高めの価格帯の二つの山ができることが特徴です。前者は団地型マンションで共用施設などのコストはそれほどかかりません。一方、後者は大規模タワーマンション各種設備が複雑かつ高度であること、コストのかかる共用施設・サービスを有していることが挙げられます。

 設備が高度で複雑であればあるほど、知識に限界があるマンション管理組合・住人側の立場は弱くなり、コンサルや業者の「言いなり」にならざるをえないリスクがあります。この観点からは、シンプルな団地型・51〜75戸程度のマンションが最も効率的に運営できると言うこともできるかと考えます。

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| ノウハウ・経験談 | 21:26 | comments(0) | trackbacks(0) |