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人間は忘れる動物である

JUGEMテーマ:マンション


 「最近、物忘れがひどくて…年のせいかな」「ごめんなさい、人の顔を覚えるのが苦手で…」

 いずれもよく聞く言葉で、特に後者は、私が実感として思っていることでもあります。通常、加齢とともに、記憶能力が落ちていくとされています。知力・体力の衰えをさみしく受容しつつ、こんな言葉を発するのが常であります。

 しかし、私が最近読んだ本(すみません、立ち読みでしたので題名が…)によれば、最新の研究では、
脳細胞は加齢によって劣化したり、縮小したり、消滅したりするものではなく、むしろそれは脳の使用量によって決まるのだということです。つまり、脳を使えば使うほどこれらの脳細胞は発達し、それは高齢者かどうかは関係がない、というのです。

 昔、よく聞かされたのは、
脳細胞の活動は20歳くらいが最高で、その後は1日約10万個死滅していくのだということで、「ああ、それで記憶力が低下していくのだな」と哀しく納得していたのですが、実は脳細胞の衰えは、単に「使っていない」ことの証なのでした。

 「受験生の頃はあんなによく記憶していたのに」と嘆く前に、その頃の勉強方法を思い返してみるといいのです。おそらく
英単語集や数学公式集を何度も何度も繰り返し読み、覚えようと努力していたに違いありません。私は50歳になってそんな勉強をかけらもしておらず、名刺交換しても意識してその人の顔と名前を覚えようとしていないことに気づきました。要は、「怠けている」だけなのです。

 そう思うと、普段脳を使っていない自分を恥じ入ると同時に、
未来への希望が湧いてきます。そして、もう一つ、この本を読んで、「なるほど」と思うことがありました。

 それは、上記の話と逆説的ですが、
「忘れる」ことの効用す。人間は、ありとあらゆることを認識し、脳に情報を入れ込みます。そのとき脳は、スムースに流れる川の流れのように、情報を必要なものと不要なものとに取捨選択しながら、柔軟に活動しているのです。

 もし「忘れる」ことをしなければ、人間の脳は早速根詰まりを起こすか、あるいははじめから情報を受け付けないといった態度をとることでしょう。
ほとんど忘れることはないのですが、ごく狭い情報量で生きるのが人間以外の他の哺乳類です。「忠犬ハチ公」は、実は「忘れることのできない」犬の習性の限界事例なのかもしれません。

 そして、この
「忘れる能力」が人間に生きる希望や、社会の発展をもたらしてきたのではないか、と思います。どんなに打ちひしがれても、どんなに失敗しても、その傷はいつしか癒され、あるいは克服されて、人間は前に進めるのです。

 なぜこのブログでそんな話をしているかというと、
マンション価格についても、忘れっぽい人間だからこそ価格上昇や下落が許されるのではないか、と思うからです。例えばつい10年ほど前までは、坪単価150万円程度の千代田区神田アドレス、中央区八丁堀アドレスなどの都心新築マンションがありました。

 10年後の今日、同じような場所で新築マンションを購入しようとしたら
その3倍近く、坪単価400万円程度はしてしまいます。消費者物価がなかなか上がらないこの日本で、こんなに価格が上昇している主要商品が他にあるでしょうか。

 しかし、ある面では、
価格がこれだけ上昇してもそれに傷付くことなく買い手がいるからこそマンション市場は活発化しているのです。それだけ私たちは、よく言えば「現状適応能力に優れている」わけですし、悪く言えば「忘れっぽい」と言えます。

 ビットコイン価格も、ほんの1ヶ月前は200万円を軽く超えていましたが、今やその価格は80万円そこそことなり、
1週間前には今の価格の1.5倍の120万円程度だったことさえ、忘れ去られようとしています。大損をくらった人もいることでしょうが、それでも朝日は昇るのが人間社会の良いところなのでしょう。

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| ノウハウ・経験談 | 23:52 | comments(0) | trackbacks(0) |