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★ 今話題の『ザ・パークハウス晴海タワーズ クロノレジデンス』ですが、「Yahoo!不動産」の同マンションの欄を見ていて、妙な記述を見つけました。「交通」の欄には、「山手線 「東京」駅 バス19分 「晴海三丁目」バス停から 徒歩6分 (都営バス「東京駅丸の内南口」バス停より(都05系統)」という表現で、「東京」駅からのバス便利用で、乗車時間は19分、しかもバス停から徒歩6分かけて同マンションにたどり着くという交通ルートが「代表例」として掲載されているのです。
同マンションは、最寄りの駅は都営大江戸線「勝どき」駅で、確かに徒歩距離は若干あって11分、しかし「東京」駅までの時間も読みづらいバス便利用よりははるかに合理的な選択肢に見えます。しかも、「東京」駅は非常に大きな駅で、そこからオフィス街に行くにも、鉄道に乗り換えるにしても、かなりの距離を歩かなければなりません。そもそも、「東京」駅下車の通勤や乗り換えは、あまりメジャーではない気がします。
私は、同マンションのモデルルームに行きましたが、都心へのアクセスについて、販売員の方から「東京」駅バス便利用ルートなどは伺ったことがありませんでした。公式HPを見ると、多様な選択肢の可能性の中に小さな字で「東京駅丸の内南口バス19分」表示がありますが、代表例として大きく掲げられているのは、徒歩での「勝どき」駅利用あるいはシャトルバス利用の「月島」駅利用又は「東銀座」駅利用となっています。
いったいこれはどういうことなのでしょうか。実は私と同じようなご疑問をお持ちの方が他にいらっしゃったようで、1週間ほど前に、マンションに興味のある方々のツイッターでこの「東京」駅表示が話題となりました。
そのうち、中のお一人が説得力のある考え方をツイートしてくれました。その方によれば、これは、「東京」駅表示をすることで、SUUMOから駅等で毎週無料頒布されている雑誌「新築マンション」の紹介ページのトップに掲載されることを狙っているのだ、ということなのです。
「え?そんな理由で。。。」
私はその日の帰り道、半信半疑で雑誌「新築マンション」を持ち帰り、調べてみました。すると、確かに、同雑誌の掲載順序はJR山手線「東京」駅から始まっており、その紹介ページの巻頭という栄冠に浴したのは、「東京」駅バス32分、「有明テニスの森」徒歩1分の場所にある『Brillia(ブリリア)有明Sky Tower』だったのです。
ちなみに、巻末の「首都圏マンション スーパーガイド」という索引を見ると、「東京」駅利用として掲載されている分譲中のマンション数は18物件もありました。しかし、その中でバス便利用でないのは1物件『ベルドゥムール東京八丁堀』(「東京」駅徒歩14分)のみで、残りの17物件は、バス乗車時間15分〜35分の湾岸物件ばかりなのです。
この17物件の区別内訳は、江東区12物件、中央区4物件、台東区1物件となっています。同雑誌の物件紹介ページでも、冒頭の77ページめから111ページまで延々と「JR山手線 東京駅 (東京都江東区)」の物件名が並んでいます。そして、「東京」駅最寄りの江東区物件という表記自体にとまどいを覚えます。
本当かどうかわかりませんが、ツイッターによれば、この手法を最初にとったのは『シティタワーズ豊洲』であり、そのうち他の湾岸物件が追随するようになったとのことです。確かに、例えば有明物件で、「りんかい線利用」などとすると、掲載順序はかなり後ろになってしまいます。しかし、このことはすなわち、湾岸物件が軒並み通常利用の交通に難があることを自ら白状する結果となってしまいます。
それにしても、「SUUMO対策」、というならそれはそれでわかるのですが、記載順が雑誌形式と全く異なるネット上のポータルサイトでも同様の表記をしているのには首をかしげます。例えば、冒頭の「Yahoo!不動産」では、かなり後ろの方で「東京」駅バス便利用の『ザ・パークハウス晴海タワーズ クロノレジデンス』が掲載されており、「東京」駅バス便利用の表記は何の効果ももたらしていないことがわかります。
果たして、雑誌の冒頭に掲載される、という効果がどれほどあるのでしょうか。本当かどうかわかりませんが、比例代表選挙では、名簿のトップに掲載された方が票を多く集める傾向があるとのことで、読者の目に留まる、という意味ではそれなりの効用を発揮しているのかもしれません。
気になるのは、この交通表記は、雑誌冒頭に載るためのマッチングキーにされているに過ぎず、購入検討者に何の有益な情報も提供していないという点です。いや、むしろ、この表記を見た人が、「ふうん、このマンションは、毎朝通勤するのにバスで30分かけて「東京」駅まで行き、そこから乗り換えなくちゃいけないのか。都心立地と言いながら、えらい不便だなあ」と思ってしまう可能性が高く、かえって早々と選択肢からはずすきっかけになってしまうのではないでしょうか。
何よりも、これらの表記は、雑誌の巻頭付近を飾って目立ちたいがための「売主目線」であり、読者に有益な情報を与えようとする「顧客目線」ではありません。私などは、この表記を見るだけで、げんなりします。外形的な広告効果を狙うあまり、心がこもっていない情報を提供しているのではないでしょうか。
もちろん、上記の論の展開は、あくまで推測に基づくものであり、この「東京」駅バス便利用表記の真の理由は、もっと深いところにあるのかもしれません。今度、モデルルームに行く機会があったら、ぜひ真相を聞いてみたいと思っています。
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