<< 代官山ハウス(中古)−「代官山」駅徒歩2分・地下2階生活の危険な誘惑 | main | ザ・サンメゾン広尾エルド(新築)−広尾×恵比寿の小ぶりな上質レジデンス >>
人はなぜマンション投資をしたがり、なぜ失敗するのか
JUGEMテーマ:マンション

★ 本日付日経新聞朝刊は、マネー&インベストメント欄で、「マンション投資甘くない」との見出しで、マンション投資の難しさとREITとの比較を行っています。この欄は投資初心者向けにわかりやすく解説することを目的とするもので、それほど新味があるわけではありませんが、よくまとまっていますので、以下にご紹介します。

 まず、
家賃で家計を補う目的の不動産投資には次の3つの失敗パターンがあるとしています。

1.高額な新築ワンルームにこだわる
2.現地を見ない
3.自己資金が少なく多額のローンを組む


 1.については、投資対象として考えると新築は割高だからです。ワンルームの値段は通常、新築時が最高で、駅距離にかかわらず徐々に値下がりします。築10年では23区で新築時の8割程度、大阪市では約6割に下がっているというデータがあります。

 また、新築ワンルームの
表面利回りは年4%台前半ですが、実質利回りは表面利回りマイナス2%程度となります。空き室リスクなどにも備えるためには表面利回りは10%は必要で、そうなると選択は中古が必然となるということです。

 2.については、
リスクの高いマンション投資を行うためには綿密な調査が必要だということです。ここで記事では成功例を挙げているのですが、この方は最初の1戸選びに1年以上かけ、週末は神奈川県から東京都にかけてしらみつぶしに歩き、町並みやマンション価格、家賃を調べ上げるということです。この世界で有名なオリックス銀行も、「融資する側も必ず現地に足を運び物件を見る」と言っています。

 3.については、
多額のローンを組むと、家賃収入がいくら高くても手取りは赤字になりがちです。特にローン返済の元本分は税法上経費にならないので、手取り収入は赤字でも不動産所得が黒字となり、課税される可能性が高いのです。

 これに対し、
REITでは投資法人が持つ賃貸不動産の家賃を分配金として受け取ります。分配金利回りは実質利回りに近く、現在は5%強を確保できます。分配金が減るリスクはありますが、上記の1.のような物件選びをする必要がなく、2.のように靴が擦り切れるほどの現地調査を行う必要がなく、普通は自己資金でしか行わないので3.のように多額のローンを組む必要もありません。

 つまり、マンション投資のデメリットである1.〜3.をすべてクリアしているという意味でREITはお勧めだ、というのがこのコラムの結論のようです。ここまで読むと、これはもしかしてREIT販売促進のための巧みな誘導記事だったのかと苦笑いしてしまいます。

 もちろん
REITにもその商品自体の市場での値下がりリスクがあります。つい3、4年前には実際にREITで大きな損失を被ったり、運用が思わしくないREITの分配金が停止されたりするなど、REIT不信論が高まった時期もありました。現在はREITが絶好調なのでリスクが単に陰に隠れた状態に過ぎないことも注意すべきでしょう。

 とは言え、客観的に見ても、
マンション投資の方がREITに比べてはるかにリスクが高いのは事実です。それなのに、人はなぜマンション投資をしたがるのでしょうか。

 その理由は、上記1.〜3.の失敗の裏返しと言えます。まず、1.新築ワンルームを持ちたいのは、「自分がきれいなマンションのオーナーなのだ」という物的な満足感を得たいのだと思われます。自宅以外に立派な不動産を持ち、それが長年収入を自動的に産み出してくれるというロバート・キヨサキの「金持ち父さん」的な富裕層の世界にあこがれるわけで、そのような実感は、REITではなかなか得られません。

 2.現地を見ない、というのは個人的にもそれはどうかと思いますが、例えば地方のサラリーマンが都心に物件を持ちたいと思えば(実際にこの事例は多いと聞きます)、それは現地を見るだけで時間も手間もかかる話で、おそらく営業の口車にも乗せられて「新築ワンルームなら現物を見なくてもきれいだし大丈夫」と表面の計算だけで決めてしまうのだと思われます。目先の数万円のコストや手間を惜しんで数百万円から1千万円単位の損をするパターンです。

 3.多額のローンを組んでしまう、というのは、そうしないと多額の家賃が入ってこないからです。例えば500万円の自己資金をすべて500万円の物件1戸につぎ込んでしまうと、なるほど借金はありませんが、それで元手の500万円を収益で回収するのには順調に行ってもおそらく20年くらいはかかってしまい、そんな結果のなかなか見えない気の長い投資はほとんどの人が望んでいないのです。これにレバレッジを利かせて5,000万円の10戸構成のアパートを買うと、見かけの収入は10倍近くになります。一気に「金持ち父さん」への道が開けるように思うわけで、これは自己資金100%が原則のREITでは実現不可能なことです。

 要は、
「何とかして楽して今すぐ金儲けをしたい」「富裕層のようなオーナー気分を味わいたい」という誰もが持っているあこがれの気持ち、そのわくわく感がマンション投資にはあり、REITではそのような精神的な高揚感が満たされないのです。そこが私たちに投資マンション業者がつけいるスキになるのだと考えます。しかし、現実にそれが上手くいかないのは、上記の記事にある通りです。

 そういう私もそんな偉そうなことを言える立場ではなく、実際
3〜4ヶ月ほどマンション投資にふらっとしたことがあります。しかし、計算をしてみると、購入額のほとんどをローンで組んだ場合、諸費用+ローン+税金で利回り7%程度は持っていかれて、空き室リスク等も考えれば、表面利回りが9%以上はないとペイしないことがわかりました。

 新築マンションの表面利回りは、どんなに良くても6%台ですから、この時点で既にアウトです。それでは、と中古マンションに狙いを定めましたが、こちらは良い物件はあっという間に売れていきます。私は、これはと思う物件が「不動前」駅周辺で出たのをネットで発見し、すぐに現地に赴いて管理状態もすこぶる良いことを確認したので、さあ連絡しよう、と思ったら既にサイトから消えていました。多数の投資家が鵜の目鷹の目で物件を狙っていますので、公開物件の場合、セオリーには反しますが、「これっ」と思ったら現地など見ずに即座に反応しないと現実には間に合わず、そのためには資金が手許に潤沢にないと太刀打ちできないという矛盾が生まれてしまうのです。

 しかし、この
根底には、現状の自分の生活水準に常に不満があり、「あと●●万円毎月入ってきたらこんなことも、あんなこともできるのに」というあせりの気持ちがそうさせるのだと思います。そして、例えその●●万円が入ってきたとしても、また新たな欲求が生まれ、人間の気持ちは「これでよい」と満足することはありません。

 「自分や家族のために本業以外の利殖の道を」はやる気持ちが、この記事の冒頭に出ているように、次々と投資マンションを購入させ、その結果、そのワンルームマンション5戸分のローンが払えなくなってこれらを安値で売却せざるを得ず、年老いた親の援助も得てようやくローンを完済した50代の男性公務員のような「高い勉強代」を払った失敗事例を数多く生んでいます。毎月の給与が安定している公務員なのですから、そのままじっと堅く貯金を毎月継続していれば、50代では数千万円の資産を貯めていてもおかしくなかったはずなのですが、それでは我慢できないのが人間の性なのでしょう。
 
 パスカルは、
"All of humanity's problems stem from man's inability to sit quietly in a room alone."(人間が引き起こす問題のすべては、人間が一人静かに部屋に座り続けることができないことに起因する)という言葉を残しているそうです。至言というべきでしょう。

『分譲マンション・アップデート』へ


| 不動産投資入門 | 19:50 | comments(0) | trackbacks(0) |
Comment
コメントする









この記事のトラックバックURL

トラックバック