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マンションの雪かきは誰がする?−専有空間と共有空間のはざまで
JUGEMテーマ:マンション

★ 2月18日のJ-CASTニュースでは、「マンションの雪かきするのは管理人なのか 記録的豪雪で除雪の責任問題が議論に」と題して、興味深い記事を掲載しています。以下に概略を記します。

 2月14日から15日にかけて降った大雪は、2月18日になっても
路肩などに汚れた雪が積み上げられています。とりわけマンションなど集合住宅の周辺に残っているケースが多いのです。一戸建ての場合は家族総出で雪かきをしている姿がよく見られますが、マンションやアパートに関しては道路に繋がる道も隠れてしまう場合が少なくありません

 こうした状況からネットでは、
「雪かきは誰がやるんだ?」といった疑問が出て、「賃貸だけど管理費取ってるんだから住人はやらなくていいでしょう」「別に雪かきなどしなくてもいい。誰もやらなければどうしても必要な者が勝手にやり始めるだろう」「雪かきは管理会社の仕事って北のほうでは当たり前」などといった議論が交わされました。

 法律事務所に聞いてみたところ、まず
建物周辺の道路は自治体の管理であるため、管理組合や大家、住民が雪かきをする法律的な義務はありません建物の敷地内の雪に関しても特別な取り決めがなければ、これも誰も雪かきをする法律的な義務はない、ということでした。ただし、建物の中に入れないなど生活に支障が出た場合大家の負担で生活ができる状態に戻す必要があるということです。

 また、マンション管理会社大手の日本ハウズイングの担当者によれば
「管理委託契約書に記載されている業務の中に、除雪作業が盛り込まれることは一般的には殆んどありません」ということです。豪雪地帯のマンションでは除雪の専門業者に委託する例もありますが、それは全く別の契約なのだそうです。

 といっても、
管理人がいる大きなマンションでは、契約書に書かれていなくても管理人が除雪作業をすることになります。ただし、勤務時間が短いところもあるほか、土日祝日などは管理人に臨時で出勤させ雪かきの仕事を任せることも難しく、巨大なマンションの雪かきを僅かな人数の管理人でこなせるとは考えられません

 NPO法人全国マンション管理組合連合会では、
「特定の誰かにやってもらうものでもなく、マンション住民のコミュニティーで解決する問題です」「自治」を強調しました。

 新潟市にある不動産会社の女性に話を聞くと、マンションの雪かきをする専門業者と契約したり、管理人に任せるという話は聞いたことがなく住民全員が自然に協力し合っているのだといいます。家族でマンションに住んでいる男性の話では、朝などは通勤する時間が早い人から順番に雪かきをして道を作り昼近くになるとだいたいの整備が終わっているということです。

 「みなさん当たり前に雪に対してやっていることで、都会のように『管理組合は何をやっているんだ!』などと主張する人がいたら、ここでは住んではいけませんよね」ということでした。

 以上がJ-CASTの記事の概要です。
先週末、先々週末の大雪にはうんざりしましたが、今週末は晴の日が続く予報で、久々に気持ちの良い休日になりそうです。

 先日、
「時」という字を眺めていたら、「ああ、これって『寺』の『日』を組み合わせた字なのだなあ」と気づきました。つまり、昔はお寺が鐘を鳴らして時間を知らせてくれて(これは西洋でも教会がそうでした)、皆はそれを聞いて生活のリズムを刻んでいたのです。語源辞典を見ると必ずしもそういう解釈ではありませんが、皆がお寺の鐘の音を「共有機能」として活用していたことは確かです。

 一方、
「店」という字を考えたら、屋根の下のある空間を「占めている」という漢字の組み合わせになっています。「家」もおそらくは屋根の下にいる豚、ということでしょうが、いずれにしても「専有空間」という意味を有しているのだと思います。

 戦後の日本人が夢見たマイホームというのは、土地付き戸建てのことで、ムラ社会としての共同体から逃れて、自分及び家族だけの「専有空間」を持ちたいという願望だったのでしょう。しかし、「専有空間」で生活に必要なあらゆる機能を専有化することは割高になりますし、機能の質としても低レベルにとどまってしまいます。

 そこで
最近勃興しているのがマンションという「共有空間」です。戦後の農地解放にもつながる土地への執着心からは無縁となった世代より高次の生活機能を求めて、それを今流行のクラウドのように共有化できる集合生活を志向するようになったのです。ただし、それは社会にオープンに開かれた共同生活ではなく、そのマンションの購入者という極めて限られた集団での共有化が図られたのでした。

 その共有空間における
「共有機能」はほとんどのマンションで契約に基づいて管理委託がされており、マンション住民がお金を払ってその利便性を享受しています。この極めてドライな関係で維持される共有空間は、契約で書かれていない事項については大変もろいという弱点を有しています。

 今回の
大雪はまさにそのような集合住宅の「死角」を露呈させました。これが戸建てであれば、当然自分で公道までの通路は雪かきをしますし、公道の除雪は行政の責任です。ところが集合住宅の「共有空間」は、誰も一義的な責任を感じることなく放置され、結果マンション住民は、「何この雪」顔をしかめて難儀しながらの外出を余儀なくされることとなったのです。

 ただ、
大規模タワーマンションは、管理体制が充実しているため、上記記事のとおり、管理会社の社員が雪かきをやってくれることが多いようです(やらなかったときのマンション住民からのクレームや、それが翌年以降の管理契約にはねかえることを嫌がるからでもあるでしょう)。私が住んでいるタワーマンションも、管理会社の男性社員の方々がやや憮然とした表情でエントランス周りの除雪に明け暮れていました。

 そんな中、
マンションエントランス前の公道たる歩道を、一人の50歳代ほどの女性が丁寧に雪かきをしていました。そのおかげで通行人はマンション先の交差点まで、靴をいたずらに濡らすことなく、歩行することができたのでした。

 その方(
マンションの住人の方だと思われます。)は、おそらく自然な気持ちの発露で雪かきを始めたのでしょう。もしかすると、そのような行為に慣れた雪国出身の方なのかもしれません。確かに言えるのは、その方のごくさりげない善意が多くの通行人にとってほっとする空間を作ってくれたということです。

 これは、
昔々にお坊さんが善意でつき始めたお寺の鐘の音がみんなの生活に活き活きと役立っていた事実と相通ずるものがある、と言っては言いすぎでしょうか。専有空間と共有空間のはざまでどうしようもなく積み上がった雪の塊を一方で見やりながら、私は虚を突かれたように立ち尽くしたのでした。

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| コミュニティ | 20:09 | comments(0) | trackbacks(0) |
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