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おすそ分けがマンション・コミュニティの鍵−命を守り、守ってもらうために
JUGEMテーマ:マンション

★ 9月22日付アメーバニュースによれば、三井不動産レジデンシャルが中心となって立ち上げたプロジェクト「サステナブル・コミュニティ研究会」はこのほど、「マンション・コミュニティに関するアンケート調査」の結果を発表しました。

 同調査は、三井不動産グループが管理する
首都圏のマンション5棟の居住者を対象として2012年12月(配布・回収)〜2014年4月(分析)に実施したもので、サンプル配布数は1,575戸、回収率は29.9%です。

 「災害時に駆けつけてくれる人がいるか」と聞いたところ、5つの調査対象マンション全てで「いない」と回答した人が5割を超えました。築年数が1年未満のマンションでは「いない」が約8割と突出して高い数値でしたが、築年数が20年以上のマンションでも過半数が「いない」と答えており、マンション居住者の関係づくりは、築年数の経過や居住の長さだけでは醸成されないことがわかりました。

 「顔と名前が一致する人の数」「災害時に駆けつけてくれる人」の関係をロジスティック回帰分析と呼ばれる方法で分析したところ、「顔と名前が一致する人」が増加すればするほど、災害時に助けてくれる人が「いる」と答える割合が高まることが分かりました。「顔と名前が一致する人」が20人以上いると答えた人では、約7割以上が「いる」と考えていました。

 マンション内の居住者間で行われている
日常のつきあいの種類を11項目例示し、「そうしたつきあいをしている人が同じマンション内にいるか」を聞いたところ、「いる」と答えた人が多いほうから「会釈」→「挨拶」→「立話」→「連絡先交換」→「おすそ分け」→「お茶・食事」→「趣味・興味」→「悩み相談」→「SNS」→「お出かけ」→「鍵預け」の順となりました。

 また、11項目の日常の
きあいの種類間の関係を分析したところ、「おすそ分け」が他のつきあいの項目との関係が最も深く「連絡先交換」「お茶・食事」「悩み相談」等、比較的深いつきあいの項目との関係が強いことが分かりました。

 さらに、
「顔と名前が一致する人の数」「おすそ分けをしあう人の有無」の関係を見ると、おすそ分けをしあう人が「いる」人の約20%が、「顔と名前が一致する人」が20人以上いたのに対し、「いない」人では約2%でした。
 
 以上がアメーバニュースの記事の概要です。
東日本大震災を機に一度は盛り上がったマンション内のコミュニティづくりですが、危機感が薄らぐにつれて、また下火になりつつあります。私のマンションも、大震災後には同じフロアで夕食会をやり、つながりもいったんできたのですが、現在では誰が住んでいるのかわからない住戸が増えてきました。

 新聞に毎週折り込みで入ってくる中古マンションのチラシを見ても、
同じフロアの売却物件を見たことがないので、売却されて人が変わったというより、もともと賃貸用で貸していた住戸の人が入れ替わっているようです。一方、同じフロアのマンションの購入組は異動がほとんどなく、皆顔見知りなのですが、賃借人の方々はお互い付き合いがなく、よくわからない、といった状態です。

 興味深いのは、上記アンケート結果で、
「災害時に駆けつけてくれる人の有無の割合」が最も高かったのが築5年のマンションだったことです。今回調査は5棟のみの結果ですから一般化には慎重であるべきですが、これを全体の傾向と仮にとらえるならば、マンション活動が最も活発となるのが居住者がお互い顔見知りとなり、小学校などの関係ができてくる5年程度の時であり、逆に築22年、25年となってしまうと、賃貸や転売など、各住戸の遍歴が区々となって、コミュニティは弱体化するのかもしれません。

 そして面白いのは、
マンション内の関係性を規定する最も重要な要素が「おすそ分け」という行為だということです。確かに、「会釈」「挨拶」なら気持ちがこもってなくても誰でもします。「お茶・食事」までいくと、それはコミュニティを超えた深い関係になってきます。

 しかし、
「挨拶」では物足りないけど、「食事」まではどうか、と思う大概の住人とのお付き合いで、最も心地よいのが「おすそ分け」をし合う関係です。「挨拶」ほど一瞬ではなく(おまけに私の挨拶はつぶやくような小声です)、「食事」ほど時間を要さない、それでいて相手の気持ちを良くするのが「おすそ分け」です。

 例えば
私が愛媛の松山に住んでいたのはもう20年近く前で、大方の事は忘れてしまいましたが、ご近所に住む校長先生が突然「これ釣れたから」大きなタイを持ってきてくれたときの驚きは今でも鮮明に覚えています。また、松山では事あるごとにいろんな人がミカンを持ってきてくれて、松山にいる間、ミカンは買う必要がありませんでした。私達家族が何かお返しできたのかは心許ありませんが、住んでいた家は幽霊屋敷のようなボロ家だったにもかかわらず、「松山は良かったなあ」と今でもじんわり思い出すことがあります。

 「よき友、三つあり。一つには、物くるる友」

 兼好法師の「徒然草」の第117段の有名な文章の抜粋です。2004年に若くして亡くなった天才俳人田中裕明「よき友はものくるる友草紅葉」はこれを下敷きにしたもので、私の愛唱句でもあります。本人にとっては余り物、しかしそれを他人に与える行為には無邪気な善意があります。それを受ける人も、本人にとって余り物ですから気兼ねなくもらうことができ、しかも自分に向けられた善意を感じることができます。そこに温かいコミュニケーションが生まれます。

 「おすそ分けし合う」関係とは、皆が「よき友」になることを意味します。桃太郎きび団子「おすそ分け」することでイヌ、サル、キジに助けてもらうことができました。もちろん、命を守ってもらうために「おすそ分け」をするのではないのですが、「おすそ分け」をし合うことが、常に気持ちをかけあう関係の円の中にいることになり、まさかの時に相手を思いやり、咄嗟の時に相手を思い出すことになるのだと考えます。

 例えば、
一人の人がおすそ分けできる人を同じマンションで2人以上持つことができれば、「おすそ分け」の輪は自然と広がっていくのではないでしょうか。そのようなマンションは、どのような苦境にも「とても強い」マンションになれるのだと思います。

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| コミュニティ | 22:11 | comments(4) | trackbacks(0) |
Comment
ブログ運営者様

初めまして。ご紹介頂いたリリースの発信主体である、サステナブル・コミュニティ研究会の事務局を担当しております、嶋田と申します。

この度は、「サステナブル・コミュニティ研究会ニュースレターVol.5」のご紹介ありがとうございます。

拝読しまして、築年数の経過によるコミュニティの弱体化、おすそ分けの意義など、非常に深い論考、大変感銘を受けました。徒然草のくだりなど、とても腑に落ちました。

貴ブログの記事を当研究会のミーティングで紹介させて頂きましたが、三井不動産レジデンシャル、三井不動産レジデンシャルサービスの担当者も、今回の調査結果をこのように受け止めて頂いたことに、とても感謝しておりました。

研究会としては、これからも、「顔と名前が一致する関係づくり」「おすそ分けをしあえる関係づくり」を支援していきたいと思っております。

今後も調査結果、活動結果を発信してまいりますので、またご意見、アドバイスを頂ければと思います。

まずは、簡単ですが、御礼を書き込ませて頂きます。
| 嶋田 | 2014/09/26 1:52 PM |
嶋田 様

どうもありがとうございます。
思いがけない形でコメントをいただき、
大変恐縮しております。

今回のアメーバニュースの記事を読んだとき、
「このアンケートの内容は是非ブログに書きたい」
と思いました。
ロジスティック回帰分析という統計手法から浮かび上がった
コミュニティ形成のキーワードが
「おすそ分け」という身近な行いだったことに
新鮮な驚きがあったからです。

私が非常に感銘を受けたのは、
貴研究会のアンケート項目で
日常の付き合いの種類を11項目に細分化し、
その中に「おすそ分け」という
普通はあまり意識せずに行っているささいな行為を
一つの項目として独立化して、
コミュニティ形成におけるその重要性を
初めて(だと思います)明らかにしていただいた点です。

私もマンション住人として、
「無理なく自然にコミュニティができたらいいな」と
願っている一人です。
おそらく多くのマンション居住者がそう願いながら
どう振る舞えばいいかわからないのが現状です。

貴研究会と三井不動産レジデンシャルが
このことに真剣に取り組んでおられるのを知って
大変心強く、明るい気持ちになりました。

今後とも有益なご活動を続けられ、
私共にマンション・コミュニティのあり方を
ご教示いただけますよう、
どうかよろしくお願い申し上げます。
| coralisland | 2014/09/26 9:48 PM |
ブログ運営者様

先日コメントさせて頂きました、
サステナブル・コミュニティ研究会・事務局の嶋田です。

コメントへの返信ありがとうございます!我々の活動の趣旨に共感頂き、心強く思います。

さて、この度、当研究会では、マンション・コミュニティをテーマにしたシンポジウムを開催しますので、ご案内させて頂きます。

▼プレスリリース
「Mirai Mansion Meeting」
〜「マンション・コミュニティ」という視点からマンションの未来を語るシンポジウム〜
http://www.mfr.co.jp/company/information/2014/pdf/1106_02.pdf

▼シンポジウム特設サイト
http://sustainable-community.jp/sc/meeting2014/

> 私もマンション住人として、
> 「無理なく自然にコミュニティができたらいいな」と
> 願っている一人です。
> おそらく多くのマンション居住者がそう願いながら
> どう振る舞えばいいかわからないのが現状です。

管理者様に、コメント頂いた上記のような現状を、マンション居住者や管理組合リーダー、マンションに関心を持つクリエイター、アーティスト等とともに、未来のマンション、未来のコミュニティのあり方について、ディスカッションするような内容です。

ぜひ、貴ブログでもご紹介頂ければと思います。また、ブログ管理者様にもぜひご参加頂きたく思っております。(ご参加くださる場合はご一報ください。ぜひともお会いしてご挨拶させて頂きたく・・・)

≪開催概要≫
名称:Mirai Mansion Meeting
日時:2014年11月26日(水)18:30〜21:30 (受付開始18:00)
場所:日本橋三井ホール
(〒103-0022 東京都中央区日本橋室町2-2-1 COREDO室町1・5F エントランス4F)
 
プログラム:
【SESSION1】 18:30〜 『未来の都市をマンションから考える』
≪登壇≫
藤村龍至建築設計事務所代表 藤村龍至氏
三井不動産レジデンシャル社長 藤林清隆
三井不動産レジデンシャルサービス社長 岩田龍郎
 
【SESSION2】 19:45〜 『マンションの新しい捉え方』
≪登壇≫
ena AMICE代表 蛯原英里氏
チームラボ代表取締役 猪子寿之氏
issue+design代表 筧裕介氏
 
【SESSION3】 20:40〜 『ミライ・マンション・ミーティング』
来場者全員参加型のワークショップ
 
入場料:無料
 
主催:
三井不動産レジデンシャル株式会社
三井不動産レジデンシャルサービス株式会社
サステナブル・コミュニティ研究会
| 嶋田 | 2014/11/09 3:46 PM |
嶋田 様

ご連絡どうもありがとうございます!

私も「三井に住んでいます」が、
三井不動産レジデンシャル及び皆さまの
マンション・コミュニティに対する
熱心な取組については、
ご送付いただく刊行誌等を拝読し、
いつも共感しております。

26日は会社の業務であいにく参加できませんが、
ささやかながら
ブログでご紹介させていただければと存じます。

今後ともどうかよろしくお願い申し上げます。
| coralisland | 2014/11/09 9:04 PM |
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