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昭和のニュータウンを「看取る」−街の再生の幻想を超えて

JUGEMテーマ:マンション


★ 昭和の頃に各地にできたニュータウンが苦境に陥っています。一部盛り返したところもあるようですが、それは幸いにも交通の便がよいところで、大部分のニュータウンは都心から遠く、駅からさらにバスを乗り継いでようやく辿り着く大規模団地で、購入当時の住民の方々が老いて、まぎれもないシルバータウンになっています。

 昭和40年代から不動産バブルにかけて、倍率数百倍の難関をくぐり抜けて、
非常に幸運にも抽選に当たって夢のマイホームを手に入れた方々が、今やその始末に困っています。「今さら他に行くお金も元気もない」ので、だんだんと街が寂れていくのを見ながら日々を過ごしています。

 当時はこれらのマイホームから
約2時間をかけて都心の職場に皆通っていました。往復合計4時間にもなります。家から駅までは約30分、バスを使ったりバイクや自転車に乗ったり、雨の日も風の日も、皆元気でした。そこからギュウギュウづめの満員電車で1時間半ほど揺られても、まだ有り余る体力でモーレツに仕事をこなし、夜は飲んで騒いで、再び2時間かけて帰宅して、皆本当に元気でした。

 ひょっとすると、そのような
長時間通勤こそがある種のモーターとなって、モーレツ戦士を生んでいたのかもしれません。そうやって皆でがんばって、暮らし向きが良くなって生活が便利になり快適になって、ふと気が付くと、往復4時間の通勤時間だけが苦痛になってきました。

 最大の誤算は、大量の団塊世代が必死になって手に入れた「夢のマイホーム」を、団塊ジュニア世代が引き継ぐことなく、ことごとく見捨てたことです。育ちがよくなり、無茶苦茶なガッツもなくなった団塊ジュニア世代は、余裕のある所得で少しでも都心へ都心へと住まいを求めていったのです。

 街は、円滑に世代交代していかないと、たちまち老化していきます。その意味で、ニュータウンの劣化は予想以上のスピードで進んでいきました。地方創生の叫ばれる昨今、ニュータウンの所在する自治体は必死にその流れを食い止めようと、地域振興策やコミュニティ強化、ご当地アイドル、まちおこしで盛り上げる様々なイベントなど様々な施策を出してがんばっています。

 私も、それらの努力をこれまで好ましいものとして見ていました。できれば、
昭和の高度成長期の頃の輝きを取り戻してほしい、そのためにはあらゆる手立てを打つべきだと考えていたのです。

 しかし、冷静になって考えれば、
どう見てもこの街に人が戻るはずがないのです。人口が爆発的に増えていた昭和の頃は、既存の街には住めなかったから、不便な地に山を切り開き、何とか交通アクセスを確保しながらニュータウンを作っていきました。今は何もそんなところに住まなくても、駅徒歩圏内にいくらでも住めるところがあるのです。

 このような
不便な地のニュータウンの生命を維持するためには、そこで高齢化していく住民の生活機能をきちんと維持するため、商業施設や医療・介護施設、さらには将来の繁栄のために小中学校、育児施設等を集積させていかなければなりません。

 しかし、
ニュータウンを開いた当時は、そこにいる住民のニーズに応えるためにこれら施設が自然と集積していったのですが、住民をつなぎとめるために、既に廃れてしまっているこれら施設を巨額のコストをかけて再構築していくのは、何か本末転倒のような気がします。

「そこまでしなければ生命を維持できないニュータウンとは何なのか」

 冷徹な言い方になりますが、私たちが将来の世代のために進めるべきなのは、劣化していくニュータウンを「看取る」ことなのではないでしょうか。人が住んでいる以上はその街はたたむことはできないでしょうが、むしろそこには新しく住まわせないようにすべきなのです。

 そして、その
自治体の最も乗り降りが多い駅の徒歩5分圏内に集中投資し、「新しい駅前の街」をコンパクトに作るのです。その方が住民にとって便利になりますし、自治体にとっても既存の広大なニュータウンを生き永らえさせるより、はるかに安いコストで街のにぎわいを生み出すことができるでしょう。

 深刻な財政危機に陥り、「将来の日本の地方自治体の先取り」とも言われる夕張市では、
炭坑労働者のために作った大量の公営住宅を次々と閉鎖しています。そこに住んでいる人たちは、半ば追い立てられるように住む場所を移されているのですが、そこまでしなければ持たない夕張市の現状があります。

 ニュータウンの始末も、早ければ早いほど傷は小さくて済むと思います。「夢よもう一度」というノスタルジアを捨てて、歯を食いしばって前に進むべき時が来ています。

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| ノウハウ・経験談 | 23:02 | comments(2) | trackbacks(0) |
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Comment
こんにちは。

駅遠のニュータウンをたたみ駅近にシフトすること、
合理的には真剣に取り組むべき局面に来ていると思います。
けれど現実にはいろいろと難しいのでしょうね。

週末に代官山のMRを見学してきました。
(参考までに見せていただくスタンスで行きました)
それが今の相場なのだと理解はできても、高額でした。
他ではなくここに住む意味、、、を考えてしまいました。

室内でくつろぐ限り、立地は無関係ですよね。
将来「長時間通勤は人生にゆとりを生む」というような価値観が生まれて
各自が気ままに点在するようになれば、それもまたおもしろいのに!
(間違いなく不合理ですけれど!笑)
| あおい | 2018/05/23 11:00 AM |
あおいさん、こんばんは。
コメントどうもありがとうございます!

ニュータウンの問題は深刻です。
私が住む武蔵小杉も、
「将来は…」みたいな意見も聞かれます。
駅近立地なのが救いではありますが。

代官山、私も住みたいなと思っている場所です。
6年前に分譲された
「ザ・パークハウス代官山」は、
「代官山」駅徒歩4分の立地で、
平均坪単価410万円でした。
今やその1.5倍のお値段ですので、
ますます手が届かなくなっています。

そろそろこのあたりで、
あおいさんのおっしゃるとおり、
価値観の転換のきっかけになってくれると
いいのですが…

今後ともどうかよろしくお願い申し上げます!
| coralisland | 2018/05/23 11:23 PM |
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