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中古マンションの市況はこう決まる−好市況でも物件格差は拡大か

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★ 9日付日本経済新聞は、『中古マンション価格動向 「成約まで90日」前後で下落も』というタイトルで、不動産コンサルタント田中歩氏によるコラム記事を掲載しています。その概要は、次のとおりです。

『23区の中古マンションの成約単価と在庫件数をみると、
2008年から2014年ころまでは在庫が増えると成約単価は下がり、在庫が減ると成約単価が上がる自然な価格推移でした。しかし、2015年夏以降は在庫が急増しているのに成約単価は下がる気配がありません

 2013年1月の成約日数は96日です。
成約までに3カ月以上かかるのは不動産業界では日数がかかりすぎだと認識します。この時期は売主や不動産業者が強気の値付けができない心理状態がまだ続いており、売出価格と成約価格との差は5%程度しか開いていません。

 成約日数は2013年7月に69日まで短くなり、
2014年9月から一気に55日まで短縮化しました。2カ月足らずで成約するのは需要が旺盛なことを示します。売主らも強気に値付けができる環境になり、売出価格は2014年9月からそれまで以上の勢いで上昇します。

 成約日数は2015年12月までは60日を切る水準が続きますが、同じ時期の
売出価格と成約価格の差は11%にまで広がります。強気で売り出す物件が急増したため、成約価格は上昇しなかったのです。2015年12月以降は在庫の高止まりもあって成約日数が上昇を続け、2018年3月には79日までに達しました。

 売主らはこれまで通りの強気な値付けが徐々にできなくなり、
売出価格は2015年12月以降、横ばいに近い状態になりました。ただ、低金利のおかげで成約価格は上昇を続けているので、2018年3月には成約価格と売出価格の差は3%までに縮小しています。

 こうなると、
売出価格がさらに上昇しない限り成約価格が上昇することはなさそうです。在庫が高止まりし、成約日数も長期化して90日前後に近くなったとき、23区の中古マンション価格のトレンドは転換のタイミングに入っているかもしれません。』

 以上が日本経済新聞の記事の概要です。
中古マンションの価格には、二つの要素が絡み合っていると考えています。一つは純粋な中古マンションの需要と供給の関係、もう一つは新築マンションの相場動向です。前者だけだと純粋に、供給が多くなれば価格は下がり、供給が逼迫すれば価格は上がるわけで、スーパーマーケットの野菜の値段に似ています。

 ただ、
マンションは野菜のように簡単には腐りません。中古市場に出すタイミングには、人間の心理が働きます。新築マンション価格が先行きも高騰すると予想される場合には中古マンション価格にも先高感が出ますので、市場への供給は少なくなります。

 それではこのときに
需要が高まるかというとやや微妙で、むしろ現在市場にある新築マンションの方にお得感が出て、中古マンションに関心が向かなくなる可能性もあります。中古マンションの供給が減少するのに、中古マンションの価格は上がらなかったりするわけです。

 一方、
新築マンション価格が下落に向かうときは、中古マンション所有者も慌てて売りに出すケースが増えてくると想定され、中古マンション価格も下落する可能性が高いでしょう。先安感があるときの購入検討者は、「今買うと高値掴みになる」と考えますので、新築にせよ中古にせよマンション購入を手控えるようになります。売主にとっては最もつらい環境です。

 そして、今のように、
新築マンションが高止まりし、先行き不透明な時期が中古マンション市場にとっては最も良い環境なのではないでしょうか。購入検討者にとっては、新築マンションはあまりにも高くなってもはや検討の俎上にも上らなくなり、今後下がるのでなければ購入の可能性はない、との気持ちの中で、これからますます中古マンション価格が新築マンション価格に引っ張られて上昇しては、中古マンションも買えなくなる、と思うようになります。

 一方、中古マンションのオーナーにしても、新築マンションの価格上昇に鈍りが出ていることから、ここから下落しては困る、と考えると、
高いうちに売却してしまおう、という気持ちになります。その結果、中古マンション市場には多数の売り物件が登場することになるわけです。

 こうして、中古マンション市場では、
供給が多くなりながら需要も落ちず、成約価格がじりじりと上昇する状態になっています。中古物件の販売価格は、停滞している新築マンション価格に頭を抑えられているため、成約価格と売出価格の差が縮小しているのだと考えます。

 だからといって、売主が有利かというと、
買主の選別の目は厳しくなっています。駅距離や資産価値への感度はますます鋭くなり、ポータルサイトのシミュレーション等の活用により、各物件の相場も把握されていますので、ごまかしは効きません。つまり、価格設定が適切な優良物件が順当に売れていき、そうでない物件はいつまでも売れ残るという、物件格差が大きくなっているように感じます。

 もう一つ、中古マンションの売買には
仲介手数料がそれぞれかかるため、この点が売主・買主間の「適正価格」の意識に乖離が生じる要素になります。逆に、売主が相手の負担を考慮して価格を設定すれば、成約に至る期間はより短くて済むことになるでしょう。
 
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