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今、企業の継続に疑問の不動産会社はどこ?ー中堅デベロッパーの宿命

JUGEMテーマ:マンション


★ 週刊東洋経済7月4日号は、『激震!不動産』と題して特集を組んでいます。その中で目を引いたのが「不動産・ゼネコン 経営危険度ランキング」です。

 財務の健全性を見る指標に
負債資本倍率があります。有利子負債を自己資本で割った倍率で、1倍を下回れば健全というのが一般的な見方です。以下は、不動産・建設の上場企業を前期末の負債資本倍率が高い順にランキング化したものです。上位ほど有利子負債の負担が重く、財務が脆弱と言えます。数値は、1倍以下が望ましいとされる負債資本倍率です。

1 レオパレス21* 20.90  2 リーガル不動産 11.65  3 省電舎HD* 10.53
4 トラストHD 10.13  5 エスボア 7.37  6 アルデブロ 7.19
7 プロパスト 5.05  8 ビジネス・ワンHD 4.89  9 THEグローバル社* 4.21
10 APAMAN 3.93


 また、下の表は、不動産と建設業の時価総額減少率ランキングです。6月12日と、TOPIXが今年最高値をつけた1月20日を比較しました。TOPIXは6月12日、高値比マイナス10%まで戻していますが、下記各社は戻りが鈍くなっています。数値は、時価総額減少率です。

1 THEグローバル社* ▲50.8%  2 ウェルズ・マネジメント ▲50.7%
3 AMBITION ▲50.2%  4 ツクルバ ▲46.2%  5 ランドビジネス ▲44.6%
6 ファーストブラザーズ ▲44.4%  7 日本グランデ ▲43.5%
8 ティーケービー ▲41.9%  9 コスモスイニシア ▲39.1%
10 エムジーホーム ▲39.0%


 社名に*がついているのは、「継続企業の前提に関する注記」又は「継続企業の前提に関する重要事象等の記載」のある会社で、すなわち、企業としての今後の継続性に市場から疑問符がつけられている会社だと言えます。上記では、レオパレス21、省電舎HD、THEグローバル社の3社となります。

 まず、
レオパレス21については、建築したアパートの施工不備問題が響き、本年3月期の自己資本比率はわずか0.7%となりました。希望退職を実施し、補修工事を縮小する対策を取る予定です。

 そして、話題となっているのが
THEグローバル社です。分譲マンションでは、「ウィルレーナ」シリーズや「ウィルローズ」シリーズで知名度を上げた中堅デベロッパーです。この分譲マンション事業は堅調なのですが、近年流行りのホテル建設を積極的に手掛け、特に京都に集中投資してきました。
 
 しかも、通常デベロッパーは、「建築して終わり」で果実を得るのですが、
投資家に売却してリースバックするビジネスモデルを採用しました。いわば不動産売買と賃貸の一挙両得を狙ったわけです。

 当初は順調に見えた方式でしたが、
既に京都はホテル業が飽和化しており、さらにコロナ禍による外国人宿泊者の劇的な減少が追い打ちをかけ、それでも投資家に賃料を支払わなければならないという苦境に陥っています。同社が5月15日に発表した決算短信で、企業の継続性に不透明さが生じたとして「継続前提に関する注記」(疑義注記)が付けられることになったのです。

 こうしてみると、
リーマンショック直前に融資を膨らませるだけ膨らまして消えていった新興デベロッパーの姿を想起させます。勢いのある中堅企業は、さらに成長して大手を目指すためには背伸びをしなければならず、その過剰投資で失敗してしまうのもある意味ではセオリーとも言えます。

 多くの中堅企業が夢破れて消え去っていくのがデベロッパーの歴史でもあり、1980年代、1990年代のマンションの旧分譲主を見ると、大手を除いてはほとんど生き残っていません。最近の数少ない成功事例で絶好調なのはオープンハウス・ディベロップメントぐらいでしょうか。

 しかし同社も、同業者の買収等は成功していますが、
多角化を志向するあまり、米国不動産投資にまで乗り出しているのは危うさを感じます。負債資本倍率が高くなるのは不動産業の特徴でもあり、今後の不動産業界の行く末に注目が集まるところです。

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