三菱地所レジデンスの誤算?−パークハウスからグランシリーズを差別化
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★ 今月19日付SankeiBizによれば、三菱地所レジデンスは18日、同社のマンションブランド「ザ・パークハウス」の最上位住宅として、新たに「グラン」シリーズの展開を始めると発表しました。JR山手線内を中心に都心の「希少な立地」をキーワードに、中古マンションになっても資産価値が落ちにくく、間取り平均が約100平方メートルと最高水準の住宅を提供します。年間2〜3棟の新築物件を供給する方針です。

 「グラン」シリーズの第1弾「グラン南青山高樹町」(東京都港区)は今春から販売開始し、来年3月下旬に引き渡しを行う予定です。その後、皇居に近い東京都千代田区の三番町、千鳥ケ淵の各物件の販売を計画します。販売価格帯は未定ですが、大半の物件が「億ション」となる見通しです。

 同社の
「パークハウス」ブランドは1969年の販売開始以降、5,000万円前後の価格帯を中心に、これまで全国主要都市で87物件6,491戸を販売してきました。ただ、国内のマンション市場が成熟化する中、「物件にこだわりのある消費者が増えている」(八木橋孝男社長)として、今回新たに最上級シリーズの展開を始め、多様な住宅需要に応えていきます。

 以上がSankeiBizの記事の内容です。これまで
「パークハウス」ブランド一本で通してきた三菱地所レジデンスが、ついにブランド名の差別化を始めました。正確に言えば、都市型シングル物件「パークハウスアーバンス」シリーズは以前から存在したわけですが、高級物件と言われる「パークハウス」よりさらに高級な物件を表す「グラン」シリーズを立ち上げる理由を考えてみました。

 三菱地所レジデンスは、最大のライバルである
三井不動産レジデンシャルが、「パークホームズ」ブランドを基本として、早くから「パークマンション」「パークコート」「パークタワー」「パークシティ」そして近年の「パークリュクス」細かい差別化を図ってきたのとは対照的に、「パークハウス」ブランドを守ってきました。ここでどちらの戦略が良いかは一長一短で決められないものがあります。

 すなわち、複数のブランドに分けるという戦略は、
それぞれのアピール・ターゲットを持つことで、幅広い購入者層を狙うことができます。一方、その裏返しですが、各購入者層のターゲットが固定化してしまい、柔軟性を欠いてしまうということ、それぞれのブランドの差別化されたコンセプトを各物件に明確に付与するというのは案外難しく、ブランド間の混在が始まるとブランド価値の回復が困難で、各ブランドともステイタスの劣化が始まりやすいこと、などが欠点ということができるでしょう。

 これに対し、
ブランドの一本化は、そのブランドが明確なステイタスを持つ限り、セグメント化されたブランドよりも強みを発揮すると考えられます。ご承知の通り、最もこれに成功しているのは野村不動産の「プラウド」であり、「プラウド」と冠するだけで割高物件も売れてしまうというマジックが存在します。

 しかし、それは、その
ブランドが付与された物件がいずれもクオリティが高く、周囲からもステイタス感を持って受け止められ、そこに住んでいることが誇りとなり、中古市場でも他の物件より高く売れる、という実績に裏打ちされているからこそです。当該デベロッパーがその努力を怠って、高く売れるからという理由で安易な物件をそのブランド名で乱造するようになると、たちまちブランド価値も下がることとなります。その場合には、ブランド名が一本しかないだけにリスク分散ができず、当該ブランド名の全ての物件の価値が毀損してしまう、という大きなリスクを背負うこととなります。

 三菱地所レジデンスの
「パークハウス」はもちろん、ぴかぴかのトップブランド名です。「プラウド」が新興勢力だとすれば、「パークハウス」は老舗中の老舗で、高級感があり、最も信頼できるブランドの一つということができます。だからこそ、他社のようにブランド名を数年おきに変える必要がなく、その価値を長年維持してきた稀有な例ということができます。

 それなのに、なぜ今、「パークハウス」から新しい高級ブランドを派生させる必要があったのでしょうか。推測するに、それは2年前の藤和不動産との統合にあると考えます。

 それまでの
三菱地所は、都心部の高額物件を主に手掛けてきました。ここに、経営不振にあえいでいた藤和不動産が統合されていくのですが、藤和不動産は主に郊外部における一次取得者層向け物件を扱ってきており、両社はそのターゲットゾーンが全く異なっていたのです。

 おそらくは、統合当時の経営陣が考えていたのは、
両社が異なる強みを1社の中で活かすことにより相乗効果を生み出し、市場のボリュームゾーン(販売価格3,000〜6,000万円台)を確実に取り込むという戦略だったのだと思います。確かに合併効果と言うのは性格の異なる2社だからこそ発揮されるもので、その意味での考え方はある程度正しかったのだと思います。

 しかし、実際に統合してみると、
結果として起こったのは「パークハウス」ブランドのステイタスの低下でした。すなわち、2年前の1月、会社名を「三菱地所レジデンス」とし、新ブランド名を「ザ・パークハウス」として新たなスタートを切ったのですが、藤和不動産が有していた郊外の土地を「ザ・パークハウス」と銘打ってマンション化することにより、その高級イメージが薄まってしまったのです。

 私たちが2年前に発した
「え?こんなところにパークハウス??」という驚きは、「この地にパークハウスができるということはそれだけこの場所のステイタスが上がったのだ」というプラスの驚きではなく、「この地にパークハウスができるということはそれだけパークハウスのステイタスが下がったのだ」というマイナスの驚きでした。というのも、その地が三菱地所が「パークハウス」を建てるために入念に選んだ場所なのだ、という「神話」が通用せず藤和不動産と合併したから機械的にこの場所に「ザ・パークハウス」が建ってしまうのだ、という舞台裏が見えてしまったからなのです。

 このように見てくると、当時の経営陣が選択した
「藤和不動産との統合」という選択肢は戦略的に誤りではなかったものの、本来はこの統合時にブランド名を差別化すべきだった、と考えます。うがった見方をすれば、経営陣が当時抱いていた「パークハウス」ブランドへの強い思い入れと過剰な自信が、結果として「パークハウス」ブランド全体の価値の毀損につながってしまった、と思うのです。

 現在の
「ザ・パークハウス」は、たとえそれが代官山にあったとしても、どうしても以前ほどのステイタスが感じられないように思います。こうなると、以前はブランド名込みで相場よりも高値で売れていたパークハウス物件がその値では売れなくなり、強気な価格設定ができなくなります。もともと三菱地所は都心高級物件を手掛けることで利益を挙げていただけに、最近ではその本来の強みが発揮できない状態になっていたのではないでしょうか。

 したがって、
「グラン」ブランドの創設は、「攻めの戦略」と言うよりはやむにやまれぬ「守りの戦略」なのではないかと思います。そうでなければ、長年高級物件として定着していた「パークハウス」ブランドの価値を自ら低下させるような仕打ちはしないと考えるからです。

 はたから見ていて、
最近の三菱地所レジデンスの物件は、どことなく迷いが感じられるものが多く見受けられました。購入検討者はそのような雰囲気を敏感に察知するもので、売主自身が売り方に迷うような物件を進んで買うような気持ちにはならないものです。

 ある意味では
「ザ・パークハウス」ブランドをあきらめ、代わりに「グラン」シリーズを導入することにより再び三菱地所レジデンスが元気を取り戻せるのであれば、それに越したことはないでしょう。今年は久しぶりに三菱地所レジデンスにとって快心の一年であってほしいものです。

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あの一流デベロッパーも倒産の危機?−驚きの倒産危険度ランキング!
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★ もう先週号になりますが、週刊ダイヤモンド2013年1月26日号の特集は「倒産危険度ランキング」でした。これを読むと、私たちに馴染みのある知名度の高い一流不動産会社が軒並み顔を出していることに驚きました。そもそも倒産危険度ランキング第1位のジアースもマザーズ上場の不動産情報会社であり、ワースト40には8社も業種を不動産とする会社がランクインしています。

 さらに東証1部上場のワースト30にも不動産会社が8社、以下のとおりランクインしています。数値は倒産危険度で、数値が低いほど倒産危険度が高いことを表しています。

1 ランド        ▲0.43
4 東京建物        0.08
9 常和ホールディングス  0.36
11 ランドビジネス     0.40
18 平和不動産       0.56
19 NTT都市開発       0.60
21 住友不動産       0.62
25 東急不動産       0.66


 東証1部上場ワースト1のランドは、昨年12月8日の本ブログ記事『暴かれたランドの粉飾決算?−根深く残るリーマンショックの後遺症』でも書いたところですが、粉飾決算の疑いで県警とSECによる家宅捜索が行われています。多額の最終赤字が解消できず、継続疑義が付されている会社です。

 ワースト4は、メジャー7の一角をなし、「Brillia(ブリリア)」ブランドで知られる東京建物です。週刊ダイヤモンドのコメントでは、「リーマンショック前の投資拡大のウミが、ここにきて収益力の低下と評価損として顕在化してしまった」とされています。確かに、素人目で見ても最近の東京建物は超大型物件を抱える一方で、中小規模の足の速い物件が少なく、元気がないように思えます。

 そして、
19位にはウェリスブランドのNTT都市開発、21位、25位には大手デベロッパーの住友不動産、東急不動産と続きます。

 しかし、この
倒産危険度とは何でしょうか。これはエドワード・アルトマンが1968年に考案したZスコアというもので、米国の会計基準を基に生まれたものです。具体的には、次の5つの指標の合計値により判断しています。

 (運転資本の増加分÷総資産)×1.2
◆(内部留保÷総資産)×1.4
 (税引前営業利益÷総資産)×3.3
ぁ(時価総額÷有利子負債)×0.6
ァ(売上高÷総資産)×1.0


 この指標を見てわかるのは、総資産や有利子負債が分母としていることで、不動産業は構造的に総資産も有利子負債も大きくなるのが普通ですから、必然的にスコアは悪くなるわけです。したがって、不動産会社はこのワーストランキングの常連であり、だから倒産する、というものではありません。逆に資産を持たなくても利益を出すことが可能なIT産業などは営業利益が黒字であれば素晴らしく良い数字が出るはずで、この点に重厚長大産業をスケールとした1968年考案スコアの限界がありそうです。

 とは言え、数値は良いに越したことはありません。以下に
大手デベロッパー(メジャー7+ワースト上位ランクのNTT都市開発)の「成績」を悪い順に並べて比較してみたいと思います。 銑イ肋綉5つの指標に対応します。

 会社名   危険度 前年比    ´◆  ´  ぁ ´
東京建物   0.08 ▲0.60  0.02 0.00 ▲0.25 0.12 0.19
NTT都市開発  0.60 ▲0.06 ▲0.03 0.13  0.09 0.26 0.15
住友不動産  0.62 ▲0.05  0.00 0.11  0.11 0.22 0.18
東急不動産  0.66 ▲0.27  0.00 0.12  0.11 0.12 0.32
野村不動産  0.76  0.04  0.02 0.11  0.09 0.22 0.32
三井不動産  1.18  0.03  0.01 0.24  0.10 0.48 0.35
三菱地所   1.35  0.00  0.01 0.30  0.08 0.72 0.23


 メジャー7では大京だけが倒産危険度500社にランクインしていませんでした。それが即優良企業ということにはならないとは思いますが、大京が平成16年に産業再生支援機構に支援を受けたことが嘘のようです。 

 さて、上記を見ると、
それぞれの会社の長所・短所が見えてきます。NTT都市開発は,悪いのですが、,話惨の資金繰りの状態を表し、在庫が増えるとこの数値が低くなるということです。

 △良いのが三菱地所、次いで三井不動産で、東京建物が最も悪くなっています。この指標はこれまで稼いできた利益の厚みを表し、大手トップ2の三菱・三井の安定感に対し、東京建物の近年の業績が芳しくないことがわかります。

 が極端に悪いのも東京建物です。これは総資産事業利益率で、▲が立つということは、税引前営業利益が赤字であることを表しています。

 い飛び抜けて良いのが三菱地所、次いで三井不動産です。この指標は負債の負担の軽重を示していますので、やはり最大手2社の負債が相対的に軽く、悪いのが東京建物と東急不動産です。

 イ六旭翩堝飴困トップ、次いで東急不動産と野村不動産が同率2位です。これは総資産回転率で、売り上げを稼ぐ効率の良し悪しを示しています。三菱地所が中位、NTT都市開発、住友不動産、東京建物が下位となります。

 総体として見ると、
三菱地所と三井不動産が最大手の実績とブランド力を活かして安定した成績です。野村不動産と東急不動産は効率良く売上げを上げることに成功しており、これもブランド力と販売力のなせるわざでしょう。

 これに対し、
住友不動産は際立って悪いところはないものの、冴えない数値が並びます。物件を高級化して高値を維持しつつ長期に販売する手法が現下の情勢ではあまり功を奏していないと思われます。NTT都市開発は,鉢イ凌値が悪く、販売力の強化が課題ではないかと推察します。

 そして、この中で
重症なのが東京建物です。5つの指標のうち良いものが一つもなく、営業利益の赤字もあって、その前年より数値がかなり悪化しています。経営陣も努力をされているのでしょうが、本格的な回復にはまだ時間がかかりそうです。

 平成15年、東京建物は
ブランドをBrillia(ブリリア)に統一竹中直人を起用した広告戦略も当たり、不動産市況活況の波に乗って無敵の勢いで売上げを伸ばしていきました。その力強さが勢いあまって不動産プチバブル期に過剰投資を行ってしまい、売りづらい土地を抱えて難しい経営を余儀なくされているのではないかと思います。

 ただし、上記は
2012年3月期の数値であって、本年は東京建物も連結決算では現在のところ黒字となっています。住宅事業は引き続き不振ですが、底地売却等によるビル等事業でカバーしている模様です。

 経営状態が厳しいと目先で
不動産バブルが起きたとしても、業容を大きく拡大することができないため、結果的には経営改善につながる可能性も大きく、前回の不動産プチバブル期の大京がこれに当てはまるのではないかと思います。今度は東京建物が息を吹き返す番で、本年は話題の東京豊島区再開発プロジェクトもあり、同社にとって明るい1年となることを期待しています。

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暴かれたランドの粉飾決算?−根深く残るリーマンショックの後遺症
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★ 今月5日付時事通信によれば、東証1部上場の不動産会社「ランド」(横浜市西区)が、不動産売却損を隠し決算を粉飾していた疑いが強まったとして、神奈川県警捜査2課と証券取引等監視委員会は5日、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で、同社や関係先を家宅捜索しました。水増し計上額は20数億円に上るとみられ、捜査2課などは押収資料の分析とともに、会社関係者らを事情聴取して実態解明を進めるとしています。

 関係者によると、ランドは賃貸ビルなど
複数の不動産を売却した際に、取得時との差額の売却損を計上せず、今年2月期までの数年間に、20億円を超える決算の水増しを続けていた疑いが持たれています。

 開示資料によると、ランドは
2011年2月期まで3年連続で経常赤字を計上しましたが、今年2月期には1億6千万円の黒字に転じました。同期の売上高は約86億円です。

 2008年2月期には借入金と未払い金で計約561億円の債務を計上しましたが、債務免除を受けるなどした結果、今年6月の残高は約76億円にまで減少していました。

 捜査2課などは、同社が
上場を維持するなどの目的で財務状況をよく見せ掛けていた可能性があるとみています。

 以上が時事通信の記事の内容です。久しぶりに不動産会社をめぐる犯罪の摘発のニュースです。
ランドは、横浜市西区に本社を置く不動産会社で、1996年に設立されました。2003年にはジャスダックに上場し、2007年には東証2部に上場、2008年には東証1部に指定替えになっています。つい最近までトントン拍子で成長してきた会社と言えます。

 ランドの分譲マンションのブランドで代表的なものは
「ランドシティ」です。23区で言えば、『ランドシティ北千住』(2008年分譲)、『ランドシティ中野新井薬師』(2010年分譲)など数が少ないのですが、横浜市や多摩をベースに、埼玉県、さらに秋田、長崎、鹿児島など地方都市にも進出しています。

 私はランドが勢いが良かった時に地方の支社で勤務をしていましたが、その
地方都市でも「ランド」のマンションがいくつも建っていくので驚いたことがあります。「ランドって首都圏の会社だよなあ。なんでこんな地方で事業をやっているんだろう」といぶかしく思ったことを覚えています。

 ランドも然りですが、
不動産プチバブルの当時、新興デベロッパーで地方に積極的に進出していった会社、あるいは地方から首都圏に果敢に乗り込んでいった会社はほとんど失敗しています。そして、そのいずれもが、身の丈以上に世間や市場から評価され、言葉は悪いのですが、舞い上がってしまった企業が多いのです。

 株価も不動産も絶好調だった2004年当時、私も現物株を売り買いしていて、株関連のサイトもよく見ていたものですが、そのときに
ランドが推奨株として名前がよく上がっており、私もよっぽど買おうかと悩んだのを覚えています。2004年当時の株価の記録は見つけられませんでしたが、2007年に東証2部に上場した時の株価は259,000円、今は2円です。

 ランドの経営悪化も最近の話ではなくて、やはり
リーマンショックの影響によるものです。新興デベロッパーが不動産プチバブルの波に乗ってさらに業容を拡大し、多額の融資を金融機関から受けて膨れるだけ膨れたところで、一挙に資金収縮の波が起こったのです。体力のないところやあまりに過大に資金を借りていたところはひとたまりもなく倒産していき、ランドも何とか持ちこたえていましたが、結局会計上のつじつまが合わなくなって、決算を粉飾してしまったのでしょう。

 以前も述べましたが、不動産開発事業は、特に中小にとっては
自転車操業を強いられます。不動産開発に多額の債務をかかえ、それを分譲マンションの売却益で何とか返済して、また次の資金を借りることになります。つまり、極端に言えば、永遠に事業を続けていかないと金融機関に借金が返せないわけで、言わばハムスターが滑車を回し続けるようなものかもしれません。

 ランドと同様に継続疑義が付いている会社のマンション販売の方とお話をしたことがありますが、彼らは
分譲価格に高値が付けられないのだそうです。つまり、チャレンジングなプライシングをしてもし売れなかったらたちまち自分の首がしまってしまい、金融機関から融資を引き揚げられることになります。

 したがって、価格設定に当たっては
常に標準相場より安く設定し、売れ残ることのないよう気を付けており、金融機関もその動向を注視しているとのことでした。ということは、その会社のマンションはお得だということになりますが、経営破たんした場合に建物等に瑕疵が生じた際のリスク(今は制度としてかなりの程度担保されるようになりましたが)を考えると、おいそれと手が出せないと思われます。

 読売新聞によれば、ランドも
「金融機関から債務返済を迫られ、現金が必要となり、不動産を簿価より大幅に低い価格で売却し、この損失を隠していた」とされています。ランドは、進むも地獄、進まぬも地獄という、いずれにせよ経営破綻という絶望的な状態の中で、損失隠しでこれを違法に免れようとした疑いが持たれています。ランドの経営者は相当苦しんだことでしょう。

 これは何かの本で読んだのですが、
業績が急拡大する企業はすぐに没落する企業が多いと言います。なぜならば、会社を興してまず地歩を固めなければいけない段階で、例えばIPOなどしようものなら、ファイナンスにばかり時間と人手を割かれて、本業がどうしてもおろそかになるからなのだそうです。一時的には確かに株式公開で巨額の資金を手に入れることができますが、気付いた時にはそれを持続するための肝心の事業体が既に弱体化しており、一気に衰退の道に入ってしまうのです。

 振り返ってみると、リーマンショックで次々に潰れていった新興デベロッパーは、不動産プチバブルの
末期には、お客様に喜ばれるマンション事業の価値創出というより、もはやファイナンスのために必死にマンション建設を進めていたように思えます。スケール的に都心部の激烈な競争には手が出せなかった新興デベロッパーが、競争が少なく、今後の発展が見込める(と思いこもうとした)地方都市に活路を見出さざるを得なかったのは、ある意味悲劇とも言えるでしょう。

 ともあれ、
リーマンショックから4年を経過した今でも、その傷跡は癒えずにいまだに苦しんでいるデベロッパーがいたことが改めて浮き彫りにされました。これはランド独りの問題ではなく、他にも多くのデベロッパーがその後遺症を引きずっているのではないでしょうか。

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国家公務員宿舎の廃止で不動産業界活況?−麹町、青山、広尾の土地を放出
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★ 本日付日経QUICKニュースによれば、財務省の武正公一副大臣は26日午後、定例記者会見で、国家公務員宿舎を現行の約半分に減らすと発表しました。全国1万684住宅のうち、5,046住宅を廃止し、2016年度をメドに約5万6,000戸を削減します。宿舎跡地の売却などで約1,700億円を捻出し、原則として東日本大震災の復興財源に充てるということです。

 併せて
宿舎の使用料を総じて2倍弱に引き上げることも明らかにしました。国家公務員給与を削減していることを踏まえ、使用料の引き上げは2014年4月から2年ごとに3段階で実施します。

 宿舎の削減は2011年12月の時点で、5年をめどに5万6,000戸程度の削減をおこなう方針を決めていました。

 以上が日系QUICKニュースの概要です。先週あたりから報道されていた国家公務員宿舎の廃止計画ですが、
本日が正式発表だったようです。財務省のHPには、武正副大臣の発表を受けて、『国家公務員宿舎の削減計画』(平成23年12月1日公表)に基づくコスト比較等による個別検討結果及び宿舎使用料の見直しについて」という報道発表資料が掲載されていますので、こちらの資料を見ていきたいと思います。

 まず、今回の発表は、
昨年12月1日に公表された削減計画に基づいてコスト比較を行い、その結果を発表したものです。その計画の内容については、本ブログでも本年3月7日に『不動産業界にとってダブルチャンス!−一粒で二度おいしい公務員宿舎削減計画』で取り上げたところですが、このときに予定していた通り、約5万6千戸の宿舎削減を行うこととなりました。

 一方、そのときに
予定されていなかったのが、現行の宿舎の使用料を2倍弱に引き上げる決定です。これは、現在の宿舎使用料が安すぎるという世間の強い批判に対応したものと考えられます。

 例えば、
東京23区の幹部宿舎は、築15年までで現在7万8千円から9万2千円だったところ引き上げ後は14万7千円に、平均築年数である築26年の宿舎は現在6万6千円のところ倍近い11万8千円となります。23区のよい場所にある宿舎の場合はまだ安すぎる気もしますが、一般企業の社宅でも通常は安く抑えられていますので、それとの比較考量も行ったのでしょう。

 上記の本年3月7日の本ブログでは、
「不動産業界にとってダブルチャンス」と書きました。このダブルチャンスとは、宿舎の廃止により格好の土地が売りに出されることと、宿舎を追い出された公務員がマンションを購入するのではないか、という2点でしたが、今回、残る宿舎の使用料も大幅に引き上げられることで、宿舎を追われない多くの公務員も、これを機会にマンション購入に踏み切る可能性が高まることとなり、つまりは「トリプルチャンス」と言える状態になりそうです。

 さて、廃止が決まった宿舎ですが、
東京都だけで321宿舎もありました。自治体ごとに数の多い順に並べると、次の通りです。

1 世田谷区 44宿舎  2 新宿区  26宿舎  3 港区  22宿舎
4 文京区  21宿舎  5 杉並区  20宿舎  6 中野区 19宿舎
7 北区   14宿舎  8 渋谷区  12宿舎  8 目黒区 12宿舎
10 八王子市  9宿舎
  11 千代田区  8宿舎  11 品川区  8宿舎
11 府中市   8宿舎  11 小平市   8宿舎  15 大田区  7宿舎
16 武蔵野市  6宿舎  16 立川市   6宿舎  16 八丈町  6宿舎
19 板橋区   5宿舎  19 小金井市  5宿舎  19 三鷹市  5宿舎
19 東久留米市 5宿舎


 これらの中には独身寮などもあって、規模のごく小さな住宅もあることが前提ですが、それにしてもトップ5が世田谷区、新宿区、港区、文京区、世田谷区といずれも人気の住宅地や都心立地ばかりで、これは相当な優良立地のマンション供給が見込まれます。

 具体的に宿舎の場所をみてみると、例えば規模の大きい可能性が高い合同住宅では、
千代田区麹町、二番町港区南青山、青山、三田、六本木、西麻布文京区小石川、真砂目黒区目黒、駒場世田谷区太子堂、深沢、用賀、用賀第二渋谷区原町、広尾など、垂涎の立地が目白押しです。

 ただし、国家公務員宿舎跡地だからといって、
分譲価格が安くなることはないと思われます。むしろ国庫に少しでも売却収入を入れようと、当然入札にかけられるでしょうから、よい立地ほど競争が熾烈で、結局は高値での落札となり、それが分譲価格にも反映されると推測されます。

 ともあれ、今までこんなに
よい立地のところになぜこんな低利用の古ぼけた公務員住宅があるのか、といった違和感は軽減されるでしょう。23区の街並み形成にとっても良い効果をもたらし、公務員の方々に一時的な痛みは伴うかもしれませんが、むしろマンション購入の踏ん切りがついて、皆がハッピーという結末を期待したいものです。

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23区・駅徒歩10分内でヤングファミリーが買えるお勧めマンションはどれ?
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★ 9日付R.E.Portによれば、(株)不動産経済研究所は8日、2011年1年間の首都圏における一次取得者層向けマンションの供給実態調査の結果を発表しました。マンション購入の主力である団塊ジュニアやジュニアネクスト等にとって比較的買いやすいマンションの供給実態について調査する目的で実施したものです。

 調査における一次取得者層向け住戸とは、
販売価格が3,500万円未満、かつ専有面積が60平方メートル以上の広さを持つものです。調査対象は2011年の首都圏供給実績戸数の4万4,499戸で、定期借地権マンション等は含みません。

 一次取得者層向け住戸に該当したのは
8,644戸(前年調査比5.4%増)で、全供給戸数に占めるシェアは19.4%(同1.0ポイント増)と、いずれも増加しました。

 都県別での物件戸数は、
都区部711戸(同41.4%増)、都下1,091戸(7.0%増)、神奈川県2,678戸(同26.0%増)、埼玉県2,576戸(同25.2%増)、千葉県1,588戸(同▲36.4%)です。シェアに関しては、都区部で3.7%(同1.2ポイント増)となったほか、埼玉県と千葉県では40%を超える結果となりました。

 千葉県では供給戸数が減少しているものの、都下や神奈川県、埼玉県の供給戸数が増加し、全体としては復調基調にあることが分かりました。

 同社では
「今後、低年収層の購入者が増加することで、立地の郊外化が進み、『一次取得者層向けマンション』の供給戸数およびシェアは増加傾向となるだろう」と分析しています。

 以上がR.E.Portの記事の概要です。
一次取得者層向け住戸の供給戸数はここ5年ほど減少し続けていたのですが、6年ぶりに供給戸数が増加しました。これは、リーマンショック後の仕入れ値の下がった土地を活用することで、23区内でも比較的リーズナブルなマンションの供給が可能になったことが大きな要因と思われます。

 しかも、もう
10年以上、サラリーマンの所得が減少している中で、高額のマンションを出しづらくなり、全般にマンションの低価格化が進んでいることも理由として挙げられるでしょう。

 しかし、
「一次取得者層向け住戸」にはリスクがあります。それは、価格が安いからといって郊外物件等を購入してしまうと、中古市場で価格下落が激しく借り入れた住宅ローンを返却できない価格でしか売れない状態(オーバーローン)に陥り、買い替えができなくなって一次取得のつもりが「終の棲家」状態になってしまうことです。

 今は社宅制度も廃止が進み、
若年層でも結婚後まもなくマンションを購入せざるを得ない時代でもあります。その中で、次の「二次取得」へとステップアップきるためにも、23区内で、かつ、駅徒歩10分圏内のマンションを購入するほうが有利になります。

 ポータル・サイト『30歳代後半・年収500万円〜600万円・4人家族にぴったりの駅徒歩10分内の23区・横浜・川崎マンション』は、そのような
一次取得者層向けで、ファミリー型3LDK又は4LDK、23区内で駅徒歩10分内の新築及び中古マンションをピックアップしたものです。
 
 ここに掲載されている物件は、
平成23年以降の概ね2,500万円〜3,500万円を目安とした専有面積60岼幣紊隆崋茲3LDK・4LDKの住戸を有するマンションとなっていますので、上記記事にある一次取得者層向け住戸の要件とほぼ重なるものとなります。

 まず、
新築マンションで見ますと、23区のうち該当物件のある区は約半分の12区となり、全体物件数111件のうち足立区20件、板橋区16件、葛飾区15件、江戸川区15件と、4区が59%と6割近くを占めています。江東区は9件で、このうち人気の湾岸エリアにあるものとしては『リビオ東京潮見』『クレヴィア辰巳』『クレストスカイウイング』『バンベール ルフォン 辰巳』など、豊洲・東雲エリアの外周にある物件が購入可能な水準として挙げられています。

 城南エリアでは大田区のみで、『クレストフォルム蒲田サウステラス』『グランイーグル南六郷掘『イニシア大田六郷テラス』『プレシス蒲田南』の4件が挙がっています。このうち、後者3件は大田区の中で比較的物件価格の安い六郷アドレスですが、『クレストフォルム蒲田サウステラス』は蒲田本町アドレス・「蒲田」駅徒歩7分で目を引きます。

 城北エリアでは上記板橋区物件のほか、豊島区が1件『クレヴィア巣鴨』が挙がっています。豊島区巣鴨アドレスで、都営三田線「西巣鴨」駅へ徒歩7分、JR山手線「巣鴨」駅にも徒歩12分地上19階建マンションで、低層階はかなりお買い得に感じます。

 中古マンションになると都心の港区物件も9件挙げられていますが、この中では1983年(昭和58年)築物件が一番新しく、1970年代物件が7件を占めるなど、こちらは築年数とロケーションのバーターとなってきます。

 マンションを購入するときはもちろん、
地縁や通学区、実家や職場との距離など、さまざまな条件を考慮して購入を決断するわけですが、やはり資産価値は重要な要素のひとつです。消費税増税の前にあわてて購入するのではなく、じっくり研究・分析して検討を進めるべきでしょう。

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地下室マンションの悲劇−将来リスクを負わないマンションを選ぶ秘訣とは?
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★ 今月24日付読売新聞川崎版によれば、川崎市で傾斜地に建設され、意図的な盛り土で上層階を「地下」として高さ制限をすり抜ける「地下室マンション」を巡り、開発業者と住民の紛争が相次いでいます。市は規制を強化する案をまとめ、23日からパブリックコメントの募集を開始しました。来年2月、議会に改正条例案を提出し、7月施行を予定しています。

 市の条例では、
傾斜地の建築物について、低層住宅地の第1種高度地区は高さ10メートル(5階以下)、第2種高度地区は高さ15メートル(7階以下)と定めています。高さは地上部分で判断しますが、「地下室マンション」は盛り土で高さの基準となる地盤面をかさ上げし、「地下」の階を増やす手法です。この「地下」部分を含めると、第2種高度地区では20メートルを超えるマンションも建設可能ということです。

 改正案は盛り土する前の地盤面を基準とします。高さ規制を順守させ、巨大な構造物建設を抑えます。隣地との境界線から4メートルの緩衝空地も作らせ、近隣への圧迫感を和らげます。業者が境界線近くに擁壁や立体駐車場を作る例があるためです。

 高津区久本では傾斜地にマンションを建設中の東京都内の開発業者2社に対し、北側マンションの住民14人が今月12日、「建築基準法を逸脱する計画で、日陰の被害を受ける」などとして建築禁止を求め、東京地裁に提訴しました。

 業者が近隣住民に示した建築計画によると、マンションは
地上4階地下3階建、地上5階地下2階建の2棟計80戸で、業者側は「市の指導を受けており、法的に問題はない」としています。原告の一人は、「南側ベランダの前に巨大なマンションと壁のような立体駐車場ができ、日が当らなくなる。なぜもっと早く規制できなかったのか」と訴えます。

 横浜市は川崎市と同じ2004年に条例を制定しましたが、盛り土で地盤面を高くすることも禁止し、地下室マンションを減少させました。

 高津区久本のマンションは、条例改正後なら規制対象となります。市民団体の事務局長は「川崎市の条例には『高さ』の抜け道があり、丘陵地が多いため、狙い撃ちされた」と指摘します。

 以上が読売新聞川崎版の記事の内容です。
マンション建設は、その規模の大きさから、近隣住民の方々の生活に少なからぬ影響を与えます。今回は、その中で最近話題にされることの多い「地下室マンション」の記事を取り上げました。

 まず、斜面地規制の代表例として取り上げられることが多い横浜市ですが、横浜市は丘の多い街で、それが魅力の一つにもなっており、その丘の見晴らしの良さをセールスポイントにしつつ、平地の少なさをカバーしてマンションを建築するのが一時期流行りました。私も、とある横浜市港北区のマンションで、その要塞のような外観と眺望に惹かれて、契約寸前までいったのですが、これが横浜市の条例により既存不適格建築物であることを知り、勉強不足を痛感したのを覚えています(2007年9月27日ブログ『既存不適格マンション、をどげんかせんといかん!』ご参照)。

 当時横浜市は、中田市政の下で、環境保全の観点から
「横浜市斜面地における地下室建築物の建築及び開発の制限等に関する条例」を平成16年3月5日に公布しました。また、お隣の川崎市でも、「川崎市斜面地建築物の建築の制限等に関する条例」を平成16年6月24日に公布しています。横浜市と川崎市の条例公布直時期に3カ月のずれがありますので、おそらく川崎市は、横浜市の条例を参考にしながら制定したところもあったでしょう。

 そこで、横浜市と川崎市の盛土に関する規定の違いを見てみますと、
横浜市条例では、「斜面地開発行為を行う場合は、地下室建築物の延べ面積を増加させることとなる盛土を行ってはならない。」明確に地下室の面積増を禁止していますが、川崎市条例では、「盛土を行わないとしても法及び法に基づく条例の規定による建築物の容積率に関する制限に適合していること。」として、盛土前の容積率さえ守っていればOKとされています。

 上記のとおり、
川崎市は横浜市の条例を研究する期間があったわけですから、そこにはやはり意図する制限が両市間で違っていたと考えるのが自然でしょう。そして、そのことが、「横浜市ではできないことを川崎市で」という業者の流入を招いたことは想像に難くありません。

 川崎市高津区久本は、「溝の口」駅南口近くまで丘陵地が迫り、崖地ができやすい地形をしています。問題となったのは地上2階地下5階建のマンションですが、このようなマンションは、購入者と周辺住民の方々の双方が迷惑を被ります。

 周辺住民の方々にとっては日照権の侵害や隣接建物としての圧迫感など生活環境の悪化を招きますし、購入者の方々周辺住民とのコミュニケーションに大きな支障をきたします。また、今回のように反対運動の高まりを受けて、条例改正の動きとなれば、このマンションは既存不適格建築物となり、現在の規模での建て替えは不可能となって資産価値としても大きな影響を受けます。

 いわば
皆が敗者となる最悪の結果です。それもこれも開発業者が意図的に法の網を潜り抜ける開発を行うことに原因があるわけで、業者にとっては、事態が問題化しないうちに売り抜けられるかどうかが勝負です。したがって、そのような確信犯的な業者の口車に乗って同マンションを購入してしまうことが最大のリスクとなります。

 また、このような斜面建築物としてのマンションは、今回の川崎市のように、
どの地域に住んでいても将来的な規制リスクを背負うこととなります。したがって、たとえ見栄えが良くても斜面地マンションは絶対購入しないという強い姿勢を持つことが肝要と思われます。

 冒頭述べましたように、そもそも
マンションという建設事業は、その地に既に住んでおられる住民の方々に多大な影響を与えるものです。それであれば、その影響をなるだけ小さくし、周辺住民の方々と協力し合えるマンションとはどういうものか常に探っていく姿勢があれば、上記のような危ないマンションを購入する選択肢はおのずと小さくなるのではないかと思います。

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買うなら丸紅のグランスイート?−売主別騰落率ランキングで思うこと
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★ 今月12日付のR.E.portによれば、不動産マーケティングのアトラクターズ・ラボ(株)は12日、「売主別中古マンション騰落率ランキング」の2011年版結果を発表しました。同年に売り出された中古売り出し価格を2001年以降に分譲された新築時の当該住戸と突き合わせ、新築時からの騰落率を算出し、これを売主別(JVを除く)に集計したもので、住戸サンプル数は2万7,848件、30棟以上サンプルがあるディベロッパーのみを対象としました。

 2011年の騰落率は、全体平均は▲8.8%で、前年の▲5.5%から大きく悪化しました。平均築年数6.1年(10年は5.5年)でした。

 売主別中古騰落率上位ランキングは、1位が丸紅(株)(2010年は1位)で2年連続トップです。平均騰落率は1.8%で、全体平均(▲8.8%)よりも10%以上上回っています。2位は野村不動産(株)(昨年8位、騰落率▲1.5%)、3位は東急不動産(株)(昨年4位、騰落率▲1.5%)です。騰落率がプラスだったのは、丸紅だけでした。

 以上がR.E.portの記事の内容です。不動産情報を積極的に公開してくれている不動産ポータルサイト『住まいサーフィン』を運営している
アトラクターズ・ラボが恒例となっている2011年版『売主別中古マンション騰落率ランキング』を発表しました。

 注目の第1位は今年も丸紅となりました。これで2年連続トップという輝かしい結果で、丸紅自身も各物件の公式HPやモデルルームで、この結果を宣伝しています。数字は正直ですので、これも丸紅の努力の結果でしょう。

 さて、
中古マンション価格が維持される要素とは何でしょうか。思いつくままに挙げてみると、分譲時価格、駅からの距離、築年数、利便性、規模、ブランド、ランドマーク性、共用施設、管理状態、コミュニティ力、有名人の居住の有無、などでしょうか。

 それではこれらのうち、
丸紅が2年連続騰落率1位となった原因は何でしょうか。上記の要素のうちで、丸紅が他と差別化が図れたものは何かを考えてみると、まずブランド力は、「グランスイート」「ファミール」ももちろん著名なブランドですが、他ブランドを凌駕するまでの飛び抜けた力を有するとまでは言えないでしょう。だとすれば、やはり分譲時の価格が割安だったのではないか、ということが考えられるわけです。

 かといって、
ただ安ければ良いか、というとそういうものでもありません中古で価格が維持されるということは、それだけ購入者が買いたい、買っても安心だという気持ちが強いことが背景にあります。そこにはやはり、丸紅という大手の安心感、それを表すブランド名が効いてきます。したがって、丸紅の強みは、分譲時の価格の割安感と大手ブランドの安心感がうまくマッチし、その総合力が中古市場での価格維持につながっているのではないかと思います。

 ところで、
現在販売中の丸紅の分譲マンションに割安感はあるのでしょうか。『23区新築マンション相場・坪単価ライブラリー』を利用して「グランスイート」で検索してみると、次のような結果となりました。

グランスイート鵜の木リバージュ     現在 5%程度割安
グランスイート三軒茶屋レジデンス    現在 4%程度割安
グランスイート高円寺          現在16%程度割高
グランスイート高田馬場ザ・レジデンス  現在 2%程度割高
グランスイート浅草ウエスト       現在 2%程度割高
グランスイート白金高輪         現在17%程度割安
グランスイート瀬田           現在11%程度割安
グランスイート市ヶ谷          現在28%程度割安
グランスイート渋谷桜丘町        現在 8%程度割安


 上記のとおり、物件によってばらつきはありますが、全体を平均すると、相場より6%程度割安という結果となりました。丸紅物件のお得感は今でも健在なのでしょう。

 ちなみに、本ブログでは、
2007年2月23日の記事で、『資産価値が上昇するマンション・ブランドのランキングを発表!』と題して、上記の調査の5年前の「売主別中古マンション騰落率ランキング」を取り上げています。その結果は、以下のとおりです。

1 プロパスト     15.4%
2 住友不動産      8.7%
3 東急不動産      6.6%
4 三菱地所       5.8%
5 丸紅         5.2%
6 ゴールドクレスト   5.1%
7 三井不動産      4.9%
8 モリモト       2.8%
9 リクルートコスモス  1.6%
10 野村不動産     0.1%


 このうち1位のプロパストは民事再生法が適用されて会社再建中であり、2位の住友不動産は現在10位、4位の三菱地所は現在14位(現:三菱地所レジデンス)と、やはり入れ替わりがあります。また、ご覧のとおり、2006年は上位10社が全て騰落率がプラスでしたが、今回の2011年調査では、プラスを維持できたのが丸紅のみとなっています。

 これは、各社のブランド力というより、
2006年のマンション価格が新築・中古とも上昇し、非常に好調だったことの表れで、2011年が東日本大震災の影響もあって中古価格が下落したことと、正反対の動きだったからです。それでは、大震災の影響を脱しつつある今後は再び騰落率がプラスとなるかというと、今度は比較対象となる10年前の分譲価格が上がっていく時期なので、これも難しそうです。

 それにしても、各年のランキングを眺めていると(過去の各年のランキングも『住まいサーフィン』の記者発表資料からご覧になれます)、
それぞれの会社がその時点でその位置にあるのは偶然ではなく、やはりその時々の会社の姿勢がよく現れた必然であるような気がします。これは、私たちマンション購入者が無意識のうちに各会社に授けた成績表のようなものなのでしょう。

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川崎市・横浜市・浦安市・木更津市が地価上昇!−基準地価に見る大震災の影響
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★ 国土交通省は今月19日、平成24年度都道府県地価調査(平成24年7月1日現在)の結果を公表しました。この調査は、都道府県知事が毎年7月1日における標準価格を判定するもので、土地取引規制に際しての価格審査や地方公共団体等による買収価格の算定の規準となることにより、適正な地価の形成を図ることを目的としています。

 その結果は、『平成24年都道府県地価調査の実施状況及び地価の状況』に掲載されていますが、以下その内容についてご紹介します。

 まず、
全体概況としては、以下の3点にまとめられています。

● 平成23年7月以降の1年間の地価は、全国的に依然として下落を示したが、下落率は縮小し、上昇・横ばいの地点も増加した。
● 地価公示(1月1日時点の調査)との共通地点で半年毎の地価動向をみると、
東日本大震災のあった23年1月〜6月に拡大した下落率は、23年7月〜12月以降縮小しており、24年1月〜6月は下落率が更に縮小した。
● 
不動産市場は回復傾向を示しているが、円高、欧州債務危機等の先行き不透明感による地価への影響も見られる。

 要は、
大震災でダメージを受けた地価が、時期を経るにつれて回復してきているということです。リスク要因は円高、欧州債務危機等で、もっと端的に言えば、外国資本の動きがまだ鈍い、ということでしょうか。

 中でも
住宅地について見ると、「低金利や住宅ローン減税等の施策による住宅需要の下支えもあって下落率は縮小した。人口の増加した地域で下落率の小さい傾向が見られ、また、住環境良好あるいは交通利便性の高い地点で地価の上昇が見られる」とされ、東京圏については、「大震災の影響からの回復傾向が見られ、半年毎の地価動向を見ると、特に24年1月〜6月は回復の程度が加速した。特に神奈川県では横浜市及び川崎市を中心として上昇地点が増加した」とされています。

 それでは、
東京圏の住宅地における騰落率のベスト8、ワースト10を見てみます。まず、ベスト8は、次のとおりです。

1 川崎市中原区  2.1%   2 浦安市    1.6%
3 川崎市高津区  1.3%   4 川崎市幸区  0.7%
5 木更津市    0.4%   6 川崎市多摩区 0.3%
7 横浜市神奈川区 0.1%   7 横浜市西区  0.1%


 ベスト10としなかったのは、地価上昇地点が8地点しかなかったからです。特に東京都、埼玉県では地価上昇地点がありませんでした。それでも、例えば東京都では、墨田区、目黒区、立川市、武蔵野市、昭島市、日野市で地価下落が止まっており(0.0%)、確実に改善傾向を示しています。

 さて、ベスト8の顔ぶれは、
神奈川県下が6区、千葉県下が2市となりました。神奈川県では、川崎市が4区、横浜市が2区で、武蔵小杉再開発が話題で、元住吉等の人気地を有し、日吉にも近い川崎市中原区がトップ、中原区に隣接する高津区や幸区も好調で、23区にも隣接し、不動産価格が23区よりも安価なことがその要因でしょう。横浜市は西区、神奈川区という「横浜」駅中心部から東京方面への臨海部にかけてのエリアがやはり人気のようです。

 千葉県下については、昨年
大震災で大きな影響を受けた浦安市の地価が急回復しました。また、木更津市の地価上昇は、本年春の三井アウトレットパーク木更津の開業が大きいと思われます。

 次に、
ワースト10は、以下のとおりです。

1  取手市  ▲4.7%  2  加須市     ▲3.3%
3  柏市   ▲3.2%  4  三郷市     ▲3.1%
5  我孫子市 ▲2.8%  6  千葉市美浜区  ▲2.7%
7  佐倉市  ▲2.3%  8  松戸市     ▲2.1%
9  野田市  ▲1.9%  10 さいたま市西区 ▲1.8%
10 久喜市  ▲1.8%  10 流山市     ▲1.8%

 
 地価上昇地域の中には、大震災の影響から脱却したエリアもありましたが、ワースト10には依然、その影響から抜け切れていないエリアがあります。一つは放射能汚染への懸念からで、取手市、柏市、三郷市、流山市などがその例として挙げられ、我孫子市、松戸市、野田市もその系統と言ってよいかもしれません。もう一つが液状化の心配からで、実際に被害のあった千葉市美浜区が挙げられます。

 ちなみに、
平成23年のベスト5、ワースト5は、以下のとおりです。

ベスト5

1 武蔵野市   ▲0.2%  1 川崎市中原区 ▲0.2%
3 木更津市   ▲0.3%  4 三鷹市    ▲0.5%
5 川崎市高津区 ▲0.6%  5 品川区    ▲0.6%
5 杉並区    ▲0.6%


ワースト5

1 浦安市    ▲7.1%  2 野田市 ▲6.4%
3 千葉市美浜区 ▲5.2%  4 加須市 ▲5.1%
5 取手市    ▲4.5%
 

 昨年は、地盤が良く津波の心配のない武蔵野市、三鷹市、杉並区などが人気でした。一方、大震災で液状化等の被害のあった浦安市、千葉市美浜区、放射能の影響が懸念される野田市、取手市がワーストに挙げられるなど、東日本大震災の影響が色濃く出た年でした。このうち、平成24年では、浦安市、またランクインはしていませんが市川市の地価が急回復したことになります。

 今後望むべくは、いまだに
大震災の影響を受けているエリアの懸念が払拭され、早く通常ベースの地価動向に戻ってほしいということです。来年の基準地価の発表時には、大震災の影響から完全に脱却し、一層力強さを感じる地価動向となることを願っています。

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「目黒」駅前に2棟のタワーマンション出現!−街並み一変の注目の大規模再開発
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★ 本年9月12日付ケンプラッツは、「目黒」駅前で進む目黒駅前地区第一種市街地再開発事業について紹介しています。本計画で建設される超高層ビルが3棟あり、そのうち2棟はタワーマンションになるというのですから、期待が盛り上がります。以下、関連部分の概要をご紹介します。

 東京都品川区上大崎の「目黒」駅前で、超高層ビル3棟を建てる再開発計画が進んでいます。計画を進めているのは、
7月11日に東京都の設立認可を受けた目黒駅前地区市街地再開発組合で、東京建物、第一生命保険、大成建設、竹中工務などで構成しています。

 「目黒」駅の東側に位置し、目黒通り(都道312号)と花房山通り(補助159号)に囲まれた約2.3haの土地マンション2棟、オフィス・ビル1棟を建てる計画です。総事業費は約747億円です。2014年8月の着工、2017年12月の竣工を目指します。

 「目黒」駅にはJR山手線など鉄道4線が乗り入れています。再開発組合は、駅前の計画地に商業・業務施設を建てることでにぎわいを生み出すとともに、都市型住宅と公共公益施設を整備し、周辺住宅地と調和した緑豊かな空間をつくる考えです。公共公益施設としては、子育て支援施設や行政サービス機能、災害対策備蓄倉庫などを予定しています。計画地北側を事務所や住宅(約510戸)、公共施設、店舗などを設けるAゾーン、南側を住宅(約410戸)と駐車場から成るBゾーンとして開発を進めます。

 計画地の周辺地区は、
駅に近い目黒通り沿いに商業・業務ビルが建ち並び、駅から遠い南側地区には駐車場やマンションがあります。交通結節点の「目黒」駅から至近にありながら、南側は静かな住宅街が広がっています。地形は駅周辺が高台であり、北側の目黒通り沿いから南側へ傾斜がついています。

 花房山通り沿いには
かつて都営バスの目黒営業所がありましたが、品川営業所目黒支所、品川営業所目黒分駐所への変更を経て2005年に廃止されました。跡地には三井不動産販売が2009年6月から、自動車とバイクを収容できる駐車場を開設しています。再開発事業までの間、東京都交通局協力会から運営管理を請け負ったものです。

 また、
花房山通りを現行の9.5mから15mに拡幅するなど周辺道路を拡幅整備し、歩道状空地や広場を設け、周辺住民の利便性の向上や歩行者ネットワークの強化を図ります。

 業務棟は制振構造、住宅棟は免震構造を採用し、災害に強い建物を目指します。防災備蓄品(飲料水、防護用品、簡易トイレなど)用の倉庫や非常用発電機、消防用水槽などを設置し、地域の防災性の向上に寄与したいとしています。災害時には、帰宅困難者の一時支援施設として広場を開放するということです。

 以上がケンプラッツの記事の概要です。
人気の高い「目黒」駅前で、タワーマンションが2棟建設されるという情報です。なお、「目黒」駅前ですが、同駅がそもそも品川区にあり、この再開発計画地も品川区上大崎アドレスとなります。

 約2.3ヘクタールという広大な敷地ですが、ここは元々都営バスの目黒営業所があったところで、平成17年に廃止され、その後は駐車場やマンションのモデルルームとして使用されています。現在は、『クロスエアタワー』のモデルルームが建てられています。それにしても、このような人気の高い「目黒」駅前一等地が、つい最近までバスの営業所だったということ自体が驚きです。

 敷地は、
「目黒」駅に近いAゾーンと、その南側に区画されるBゾーンに区分けされています。より利便性の高いAゾーンにはオフィス・ビルとタワーマンション1棟、より静かなBゾーンにはタワーマンション1棟が建築される計画で、Aゾーンのタワーマンションは地上41階建の『ノースレジデンス棟』(約450戸)、Bゾーンのタワーマンションは地上38階建の『サウスレジデンス棟』(約390戸)と呼ばれています。

 「目黒」駅前といえば、本件再開発とは対角線上の同駅北西側に立地する
同駅徒歩1分『パークタワー目黒』現在のランドマークになっています。同マンションは平成19年築で、販売された平成18年には不動産プチバブルが鮮明になった頃でしたが、同マンションは平均坪単価405万円という水準でした。

 『住まいサーフィン』によれば、現在、同マンションの
中古市場での平均坪単価は446万円であり、分譲時より10.1%値上がりしています。中古マンション価格が総体として値下がりし続けている現状において、1割以上の値上がり益を維持しているのはさすがです。
 
 今回の再開発により誕生するタワーマンションが
分譲なのか賃貸なのか、あるいはそのミックスなのかは不明ですが、現時点で「目黒」駅徒歩1分の新築マンションの標準相場を試算すると、330万円[目黒坪単価]×1.107[駅距離補正]=坪単価365万円となりました。こうなると、『パークタワー目黒』はよりプレミアムがついた価格になっていることがわかりますが、今回のタワーマンション2棟が同等の扱いを受けることも十分想定されます。

 本再開発事業の
総事業費は約747億円に上るビッグプロジェクトですが、当初の予定では総額約978億円でしたので、スケールとしてはダウンしています。代わりに当初の計画より2棟のタワーマンションの戸数が増加しており、収益性をより安定的に見込めるマンション事業の割合が増加した感があります。

 スケジュールとしては、
権利変換計画認可が今月予定、工事着手が来年8月予定、建物竣工が平成29年12月予定とまだまだ先になります。本タワーマンションが分譲物件だった場合の販売開始は建物竣工2年前の平成27年頃が推測されますから、これも今から3年後という先の話です。しかし、来年2月に解体工事に着手するということですから、もうすぐ再開発事業が目に見えて実感できるようになります。

 『パークタワー目黒』は総戸数が202戸という規模でしたが、
本件タワーマンションは2棟合わせると920戸と、『パークタワー目黒』の戸数の4.5倍の大規模マンション群となります。これだけ大きなマンションが「目黒」駅前に出現すると、街並みもまた一変することでしょう。消費税10%増税後のマンションとはなりますが、その登場を楽しみに待ちたいと思います。

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国土交通省が不動産価格指数を毎月発表!−時系列比較・国際比較に威力を発揮
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★ 本年8月29日付産経新聞によれば、国土交通省は同日、国内の住宅やマンションの不動産取引価格の指標となる「不動産価格指数(速報)」の公表を始めました。買い主へのアンケートによる売買額のデータを基に、2008年度平均を100として指数化しました。毎月公表し、売買タイミングなどの目安に活用してもらいます。2年ほどの試験運用後、本格運用に移行する計画です。

 今回公表した速報値は、集計などに時間がかかるため、
5カ月遅れとなる4月分です。全国の住宅総合指数は前年同月比1.9%減の91.9となりました。このうち土地と建物付き土地は2.7%減の89.0だった一方、マンションは1.9%増の106.8となりました。

 全国分だけでなく、
北海道から沖縄まで10のブロック別の指数と南関東、名古屋、京阪神の3つの都市圏別の指数も別途公表します。現地調査による詳細な情報を加味して作成した確報値は、1年後の発表となります。 

 米国などでは不動産価格や指数などの公表が進み、中古住宅を含めて不動産取引も活発に行われていますが、
日本では開示情報の少なさを指摘する声がありました。今回、指数を公表することで国内外からの投資の活性化につなげたい考えです。

 以上が産経新聞の記事の内容です。不動産価格の推移については、
不動産経済研究所や東京カンテイなど、民間シンクタンクが独自の集計に基づき発表しているものが複数ありますが、言われてみると確かに、政府が公表している指数はありませんでした。

 今回の発表資料『不動産価格指数(住宅)の試験運用の開始について』によれば、今回の指数作成・公表の経緯としては、迅速な金融・マクロ経済政策発動のためには、不動産市場の動向を測るバロメータ−(不動産価格指数)が不可欠であり、これが不動産投資市場の活性化にも寄与すること、2007年からの欧米発金融危機からの反省点として、不動産価格の変動とマクロ経済への影響を的確に把握できず、長期経済停滞を招いたことがあること、の2つが挙げられています。

 これを受けて、国際通貨基金(IMF)等がG20諸国に対し、
共通の国際指針に基づく不動産価格指数の迅速な作成・公表を要請したところ、多数の国際機関が協力して指針を作成し、2011年5月に公表されました。主要国では、2012年夏までに不動産価格指数(住宅)の公表を予定しています。

 我が国において、これにより
期待される効果としては、全国・地域毎の不動産価格の動向が毎月把握できること、不動産市場の過熱や冷え込みの適時・的確な把握により財政・金融政策に寄与できること、I堝飴沙埔譴砲ける透明性向上により国内外の投資家や個人による不動産取引の活性化が図られること、の3点が挙げられています。

 さて、これを前提として、実際の数値を見てみると、埼玉・千葉・東京・神奈川が対象となる
南関東圏の住宅総合指数は、2008年度平均を100として、4月は93.6(対前年同月比 -4.2%)、更地・建物付土地は90.0(対前年同月比 -5.7%)と下がっていますが、マンションは 105.3(対前年同月比 +0.7%)で上昇となりました。

 しかし、マンション指数に関しては若干
首をひねる結果ではあります。基準時となる2008年度平均は不動産プチバブルのさなかにあり、その秋にリーマンショックが勃発してマンションを含む不動産価格が急落、その後不動産プチバブルの影響は脱しましたが、昨年は東日本大震災により再びマンション市場が停滞し、現時点での価格は2008年度価格に比べて安くなる、すなわち不動産価格指数は100を切っているのが常識的な線であろうと思うからです。

 上記の疑問を抱きつつ、南関東圏の不動産価格指数の推移をみると、
マンションの指数は、2008年4月104.7から下降し、リーマンショック後の2008年11月には指数が100を切り、2009年2月が94.4で底となり、これが1年後の2010年2月に再び100を超えて復活、以降直近のピークは東日本大震災勃発月である2011年3月の106.0、その後は今日に至るまで一進一退を繰り返しています。

 トレンドとしての波を見ると、不動産価格指数は、
2009年4月〜10月まで前年指数を下回り、2009年11月から2011年6月までが拡大期、2011年7月から今日に至るまではやや前年指数を下回る形で推移しています。

 したがって、
指数の絶対値としてはやや感覚値とずれがあるものの、トレンドとしては、波の遅行は感じますがそれほど違和感がありません。今後、不動産価格指数が普及していくとすれば、むしろ私たちの感覚の方がこの指数に合わせていくのではないかという気もします。

 このような指数ができる
最も良い点は、数値に高度の信頼性が置けることです。これまでの民間シンクタンクが発表していた数値は、これらのシンクタンクが不動産業界とも密接な関係があるだけに、本当に中立性が担保されているのか確認する手段がないといった点がありました。

 第二に、その
高度に信頼が置ける数値が時系列に追うことができる点です。これは、不動産価格の分析に欠かせない強力なツールとなることでしょう。

 第三に、国際標準にのっとっていますので、
不動産価格指数の国際比較が可能になる点です。実際、国土交通省の資料にも添付されていますが、世界の中ではアイルランドが金融危機の影響もあり、不動産価格が下がり続けています。それ以外の先進諸国は、どれも指数100近辺をうろうろしており、ドングリの背比べのような状態になっていることがわかります。

 いずれにしても、
不動産価格指数は、これから毎月初旬に公表されることとなり、経済紙面をにぎわすことになるでしょう。本ブログでも今後、不動産価格指数を大いに活用していきたいと思います。

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